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「うーっす!ちゃんと俺の試合は見てんだろうな、苗木?
 ま、メジャーの世界でも俺の実力なら余裕っす!・・・ぶっちゃけ、今は真面目に練習やってんだけどな。
 試合のチケットやるから、こっちに寄った時はちゃんと顔出せよな!」

「えっと・・・苗木君、久しぶり。私は今も変わらずプログラマーをやってるんだよ。えへへ・・・あ、つい癖で・・・!
 背は相変わらず伸びないんだけど、苗木君の方はどうかな?
 人工知能の開発も順調に進んでるんだ。今度見せてあげるから、是非遊びに来てね」

「おう、苗木。さすがに俺も今は族をやめて、つるはしを握ってるよ。
 昔の族仲間がどんどん入ってきて、今じゃこんな立派な道路を造る仕事まで任されちまった。十神の奴が推薦したらしいが・・・
 完成したら、俺の造った道を車で走りに来いよ!」

「久しぶりだな、苗木君!僕は今の学校教育の現場を変える為に教師になった!
 学力だけではない、君達から教わった大事なことを生徒達に教えられる立派な教師になりたいものだ!
 君に子供が出来たら、是非うちの学校に預けたまえ!」

「久しぶりですな、苗木誠殿。今週の僕の漫画は読んでくれましたかな?
 最初は商業化することに抵抗がありましたが、今や世界の人達が僕の漫画を読んでくれていると思うと良かったと思います。
 ・・・いっぱい儲けないといけない理由が出来たのもありますが」

「ふふふ、元気にしていますか、苗木君。私はさすがに顔を覚えられすぎたので、今はギャンブラーはお休みにしていますわ。
 十分に稼がせてもらいましたし、今はある方の仕事を手伝うバイトをしていますので・・・スクリーントーンを貼るのは難しいですわね。
 苗字が変わるので、年賀状はセレスのままでよろしいですよ?」

「元気か、苗木。我も元気にしている。
 この武者修行の旅が終わったら、本格的に道場を開こうと考えている。幸い、お主達のような仲間達が支援してくれるのでな。
 道場が完成した暁には是非寄ってくれ。我が稽古をつけてやる・・・当然、手加減はするから安心しろ」

「やっほー、苗木!テレビ見た?またまたメダル取っちゃったよー!
 うんうん!メダルを取った後のドーナツは美味しいよね!超おいしー!
 また大会があるから、苗木も応援に来てね!」

「久しぶりだべ、苗木!相変わらず借金地獄だが、俺は生きてるべ!生きてるって素晴らしいなぁ!
 占ってほしかったら、三割引きで占いに行くから、いつでも連絡してくれだべ!・・・ちょっと色つけてくれると助かるんだけども。
 やっべ!いろいろと追われてるから、また今度だべ~!」

「苗木、久しぶりね・・・し、知ってるでしょ、ずっと本書いてるわよ・・・あんた、出す度に律儀に感想の手紙送ってくるし。
 ・・・私の中のあいつのこと?・・・白夜様と出会ってから、もう殺す気はないみたい・・・い、いまいち信用できないけど。
 ・・・たまには白夜様に会いにきてあげなさい。毎朝、新聞を読みながら気にしてるのよ・・・顔には出さないけど」

「たまには連絡しろ、苗木。お前のような人材はいくらでも代わりはいるが、いちいち用意するのが面倒なのでな。
 お前のやりたいことを助けてやっているのが俺だというのを忘れるなよ。
 ・・・俺と話せる人間は貴重なんだ。俺の暇潰しくらいにはなるから会いに来い」

「苗木君、お久しぶりですね。さすがにもうアイドルはやってないですよ。今は歌手として頑張っています。
 って、知ってますよね?この前も新曲の感想を送ってくれましたし。
 えっと・・・スキャンダルとか気にしなくていいですから!いつでも待ってます!」

「三日に一度は連絡しなさいって言った筈よ。ここまで言わなくてもわかるわよね、苗木君?
 貴方の仕事はわかっているし、私にできることは手伝っているから、後はみんなに心配をかけないようにしなさい。わかるわね?
 ・・・貴方は今だって私の助手なのよ?」

「苗木。ああ、まだ運良く生きているよ。お前から貰った幸運をおかげかもしれない。
 お前から貰ったもう一つの希望のおかげで、私にはまた生きる目標ができた。・・・絶望に陥りそうな子供を一人でもこの紛争地域から助けなくては。
 ・・・それと、あいつの面倒を頼む」

「苗木ー、そろそろ出かける時間・・・って何?行く前にメールのチェックしてたわけ?」
「うん。また近くに寄る時があったら、顔を出さないとね」
「苗木様は忙しいですもんね。世界中の人に希望を与える仕事。ご自慢のトークと最大限のコネを使って何やってんだか」
「うん、僕も昔はこんな仕事・・・というかボランティアかな?するとは思ってなかったよ」
「元はただの普通の高校生が今は『超社会人級の希望』だっけ?」
「人に何やってるか聞かれた時に、いつも説明に困るよ」
「ま、他人に理解できるわけないしね。・・・多分、世界中であんただけだよ、こんなことできるの」
「僕だけじゃないよ。みんなのおかげでやれてるんだ。・・・当然、江ノ島さんの力もね」
「あんたの口説き文句、今でも覚えてるよ。プププ」
「あ、あれは口説き文句じゃないよ!」
「あたしを改心させるんじゃなくて、『超高校級の絶望』として受け入れたあのセリフは違うって言うの?」
「江ノ島さんは大切な仲間で友人だから・・・」
「はいはい。ま、やりがいのある仕事だと思ってるよ?絶望だけじゃ絶望が育たないように、希望だけでも希望は育たない。
 ただの前向きな人間なだけじゃ全ての絶望は救えないよ」
「うん。悔しいけどそうなんだ。希望と絶望は一枚のコインみたいに表と裏。決して切り離せないんだ。だけど、僕には絶望の感情が完全に理解できない・・・」
「つまり、あたしは絶望のプロってわけね。『超社会人級の絶望』。絶望を知って、希望を教える。・・・苗木にしか思いつかない発想だわ」
「僕は江ノ島さんと一緒なら多くの人に希望を渡せると思っただけだよ。・・・そして、僕は君にも希望を渡したい」
「希望がある限り絶望は消えない・・・いいよ、苗木が諦めるまで付き合ってあげる。それを見る瞬間があたしの最高の絶望にして最高の希望」
「僕達はいつまでも平行線だね」
「あたし達はいつまでも平行線なんだよ」

「じゃ、そろそろ行こっか」

「うん、行こう」


これは十年前の僕が見ているただの夢なのかもしれない。

16人全員が未来を創っている幸せな夢。

それでも、夢は諦めちゃいけないんだ。


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