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深い眠りから、ゆっくりと目を覚ます苗木。体に違和感を感じる。
目は何か(アイマスク?)で塞がれており、ふかふかの椅子から体を起こそうとしてもベルトで固定されていて叶わない。
訳がわからず、パニックを起こす。
「な、なんだコレ!?」
「落ち着きなさい、苗木君。危険はありませんわ」
すぐ近くから聞こえたのはセレスの声。
「セレスさん!? ……そうだ、思い出した。ボクは昨日、セレスさんと……」
昨夜も苗木はセレスとゲームで遊んでいた。
珍しくセレスが自分で紅茶を淹れて、苗木にも飲ませて……そこから先の記憶がない。
「……紅茶に何か盛ったね?」
「うふふ。さあ、どうでしょう?」
セレスの楽しげな声にため息をつく苗木。
「まあ、いいや。それより、何なのこの状況? ここはどこ?」
「飛行機の中ですわ。それもファーストクラスの」
「……は? 飛行機?」
そういえば微かにエンジン音がする。ふかふかの椅子は飛行機のシート……。
「ちょ、ちょっと待って。何でボクが飛行機に」
「お祝いですわ。記念と言ってもいいでしょう」
「……心当たりがないんだけど」
「Aランク昇格おめでとうございます、苗木君」
「えっ……」
「あと2時間ほどで、この機はフランスに到着しますの。お祝いの、記念旅行ですわ」
「フ、フ、フ、フランス!?」
「うふふ。いっそ婚前旅行にしてもいいかもしれませんわね。式はドイツで挙げましょうか」
「!!?? ちょ、ちょっと待ってよ! いきなりそんな事言われても……」
「いきなりではありません。……昨夜、あんなに愛していると言ってくれたではありませんか」
「!?」
確かに昨夜の記憶はないが……。
唖然とする苗木。
相変わらず視界は塞がれている。ふいに、唇に温かく、柔らかいものが触れた。
「幸せにしてくださいね、苗木君……」
耳のすぐそばで、愛情に満ちたセレスの声が聞こえる……。

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