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「暑いね、舞園さん…。」
「そうですね、苗木君…。」

普段忙しい舞園さんが久し振りにお休みを取れたので、舞園さんのお誘いで僕は彼女と一緒にお出掛けした。
その帰り道、僕と舞園さんは暑さに耐えかね、公園のベンチで休憩することにした。
ベンチのある所は陰になっているため直射日光は防げたものの、この蒸し暑さはどうにもならない。
僕はシャツの首元を掴んでパタパタさせたり、手で顔を扇いだりしているが、大した効果は無かった。
舞園さんもこの暑さには参っているようで、髪をアップにして、さっきからしきりにタオルで汗を拭っている。

「ふぅ…。まだ夏はこれからなのに、こんなに暑いなんて…。本当に嫌になっちゃいますよね、苗木君?」
「そ、そうだね…。」

僕は、あまり舞園さんの方を見ないようにしていた。
何故かというと、暑さで火照った舞園さんの顔やうなじが妙に色っぽかったり、シャツが汗で体にへばり付いて下着のラインが見えそうになったりしているからだ!

「苗木君、今ひょっとしていやらしいこと考えてませんでしたか?」
「え!?いや、そんな事全然これっぽっちも考えてないよ、うん!」

我ながら見事なまでに雑な誤魔化し方だ…。

「本当…ですか?」
「本当だよ!」
「そうですよね。誠実な苗木君が“うなじが色っぽいなぁ”とか“シャツが汗でへばりついて下着のラインが見えそうだなぁ”とか考えませんよね!」
「バレてたのね、やっぱり…。」
「エスパーですから。」

何故舞園さんはこうも僕の考えていることを悉く見抜いてしまうのだろう?
僕ってそんなに考えていることが顔に出るタイプなのかなぁ?

「ごめんなさい、許してください、もうしません…。」
「うふふ…。じゃあ、そこのコンビニで何か冷たい物買ってきてくれたら許してあげます。」

そう言われた僕はすぐに公園近くのコンビニへと向かい、何を買おうか店内を物色する。
ジュースにしようかアイスクリームにしようか迷っていると、僕も何だか冷たい物が欲しくなってきた。
そんな時、ある物が僕の目に留まった。

「あ。コレがいいや。」

僕はそれを手に取ってレジで会計を済ませ、舞園さんの待つ公園へと戻った。

「お待たせ、舞園さん。はい、お望みの冷たい物。」

今しがた僕がコンビニで買ってきた物は、2本一組のチューブ入りアイスだった。
僕は袋から取り出した中身を2つに分け、その片方を舞園さんに渡して彼女の隣に腰掛ける。

「考えましたね、苗木君。これなら2人一緒に涼めますね。」
「でしょ?さ、溶けない内に食べよう。」
「はい。それじゃあ、いただきま~す。」

それから僕達は2人揃ってチューブに入ったアイスを啜る。
これからどんどん暑くなるだろうけど、こういったささやかな幸運と出会えるのなら、暑い日も案外悪くないなぁと思う僕だった。

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