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「うー…何であたしが…」
寮のとある部屋の前で立っている朝日奈葵。部屋の主は十神白夜。
(朝食会に呼び出せとか…腐川ちゃんがすればいいのに…)
その肝心の腐川はジェノサイダー化していた為危険だと言うことで朝日奈が行くことになったのだ。
はっきりいって朝日奈にとって十神は苦手なタイプだ。
いつも他人を見下し、馬鹿にし、一歩離れたところで笑っている。そんなイメージだった。
「…ううん!仲間だもんね!とーがみぃー」
ふるふると頭を振り、インターホンを押す。
…反応なし
(あれ、寝てるのかな…?)
試しにドアノブに手をかける。
ガチャ…と音を立ててドアが開いた。
(え…?これってよくサスペンスにあるパターン…?)
どくん、と全身に鼓動の音が響く。
十神、死んでる?ぞくり、と寒気がする。ちらっとドアの隙間から部屋を覗くが人の気配がない。
「や…だ」
また仲間が殺されている?またあの裁判が開かれる?また誰かを疑う?またおしおきを見る?
(ダメ…!まだ確認してない!それに十神なら)「…え?」
今、自分は何を思ったんだろう。何かとんでもないことを思ったような気がする。
「う…うはあああっ!し、失礼しまぁす!」
と転ぶように部屋に入る。というか転んだ。
「いったー…失礼しまぁー…す?」
部屋には誰もいない。シャワールームも開かれているが人影はない。
(ていうか…)
部屋には何も置かれていない。ベッドや机という最初からあるものはあるが、それ以外には何もなかった。
すなわち、十神自身の物が何一つ置かれていない。
「……」
立ち上がり、部屋を見回す。閑散とした部屋。生活感がまったくない。
「俺を殺しにきたか」
「ひゃあっ!?」
慌てて後ろを振り向く。そこには十神白夜が眉間に皺を寄せながら立っていた。
「ち、違うよ!ていうか、あたしは絶対誰も殺さないよ!」
「ふん…どうだかな。で、何故俺の部屋に無断で入っている」
「あ…あぁ!朝食会に呼び出すために来たんだよ。
そしたら反応なくてさ、ドア開いてるし…心配したんだから!」
「…心配?」
何故か顔が赤くなる。
「ち、違うって、バカ!十神は別に何があっても死ななさそうだし!心配なんかしてないし!」
と慌てて否定する。が、逆に怪しいということに言い終わってから気づく。
しかし当の本人は
「当たり前だ、俺を誰だと思っている。十神白夜だぞ」
とこれでもかというどや顔でこちらを見る。
「あぁ、もう!もういいよ!朝食会に来てよ、じゃ!」
朝日奈はベーと舌を出しながらドアの前に行こうとする。
「おい」
十神の低い声に足が止まる。
「お前は先ほど『絶対誰も殺さない』と言ったな」
「…それが何?」
「もしお前の友人…まあ大神さくらだとしよう。そいつが誰かに殺された場合、お前はどうする?」
「…え?」
さくらちゃんが死ぬ?殺される?
「殺した奴を殺す…復讐という名の殺人をお前は犯すか?」
かあっ、と頭に血が上る。
だからやっぱり苦手…嫌いなんだ
「バカじゃないの!そんなことない!…さくらちゃんは絶対に死なない!」
と朝日奈は振り向き、舌を出して走り去る。
最低だ、嫌い、やっぱり嫌いだ!十神なんか!


「まったく幼稚だな」
と十神は笑う。ああいう感情論で動く女は嫌いだ。
だが見ていて飽きない。面白い。
「くく…楽しませてもらうか、朝日奈」

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