季節は冬
僕は霧切さんと一緒に帰っている時だった。
こんなに寒いと手袋やマフラーは必需品だ。
だというのに僕は手袋を部屋に忘れ、マフラーをうっかり教室のバケツの中に落としてしまい凍えながら帰るハメになっていた……。
何が超高校級の幸運だ―このままじゃ風邪引いちゃうかな……なんて考えていると僕の首に柔らかい物がかけられた。
「そんなに寒そうにされたらこっちも冷えるわ、私は厚着してるし手袋もあるから」
そう言いながら僕に自分のマフラーを巻いてくれる霧切さん
「いや平気だよ、僕だって一応男だし。このマフラーは霧切さんのでしょ、その気持ちだけで十分温かくなったから」
そう言って外そうとすると
「私がいいと言ってるのよ。好意は素直に受け取りなさい」と僕の手を握ってマフラーから外す
「霧切さん…ありがとうでも霧切さんの耳も赤いよ」彼女の耳も寒さのせいか赤くなっている。
「っ!……(これはあなたが手を握り返すからでしょ)」どんどん赤くなる耳
「とにかく私が平気と言ってるんだから構わないのよ」顔まで赤くなってる…やっぱり返さないと
「でも…」「いいからあなたに風邪を引かれたら困るし」そう言って早歩きで僕から少し離れる霧切さん
だから僕は「こうすれば二人とも暖かいでしょ」とマフラーをほどいて僕と霧切さんの両方にかけた
「何をいきなり」驚く霧切さん―それもそうだろう僕と霧切さんはほとんど肩を密着させお互いに頭をくっつけてマフラーを巻いているのだから
「だって長さが足りないでしょ、こうやってくっ付けば二人とも暖かいよね?」
「~~っあなたって人は…周りからどんな風に見られるか分かってるの?」「えっ……あっごめんね霧切さん僕なんかとこんな…恋人みたいな事させてすぐほどくね」
急いでほどこうとする僕の手をまた霧切さんが握りしめてきた。
「私は構わないわ。あなたとその………」「えっ何?」「ナン・デモ・ナイ」「それに手袋越しとはいえ手も繋いでいた方が暖かいでしょ?」
「…霧切さん顔赤いよ」「誰のせいだと思ってるの」「ごめん僕がドジなばっかりに」
「それにあなたも顔が赤いわよ」「えっ…いやこれは霧切さんと手を繋いで歩いてると思ったらなんか嬉しくて」
「苗木君のクセに生意気ね」
最終更新:2012年06月19日 19:48