五限目

感極まって彼女を抱きしめたけれど、その余韻に浸る時間はそんなになかった。
彼女の肩に乗せていた僕の頭を掴んで正対し、『こうでしょ』といわんばかりに優しく口付けてきた。
おまけに、僕の口内には彼女お手製のお弁当があり、それを承知で舌を入れてくるもんだから。
自然と口移しになり、口内で咀嚼され柔らかくなった食物を、まるで反芻するように何度も行き来させる。

最初に施されていた味付けも次第に薄まり、徐々に彼女の味に変わっていく。
勿論、僕好みの味付けは大好きである。だけど好みは変化したようで、こうやって舌を噛まれないように彼女の口内を誘導し、唾液を絡めてもらい
新たに味付けされ、とても消化しやすくなったコレは――間違いなく僕の大好物へと進化した。

まるで餌をねだる雛鳥のように口を開けて待つ。
親鳥が消化しやすくするように口の中で咀嚼し、唾液をたっぷりと絡める彼女。
いまかいまかと、舌を突き出して待つ僕。

今度は唇を合わせず、舌の上から舌の上へドロリと垂らす。
「美味しい」

次は僕の番と、卵焼きを口の中に放り込む。――甘いけれどとても美味しい僕好みの味。
柔らかいせいで逆に咀嚼が難しいけれど、その柔らかさを利用するため敢えて噛まずに彼女の口へと運ぶ。

舌で彼女の上あごに押し付けて潰す。とてもいいダシの味が僕の舌を刺激する。
口中に広がったダシを、彼女の唾液ごと強く吸い込む。
……本当に美味しい。まさに甘露だ。


そうやってお弁当を堪能していると、お昼休みが残り十分程になっていた。
普段ならギリギリまで余韻を楽しむけれど、今日はこの後が体育の時間だ。着替えるためにも早く戻らないと。
名残惜しいけど授業に参加しないとここまで続けた隠蔽工作が無駄になる。
それに、やっぱり我慢できなくなる。


「ご馳走様でした」
「お粗末様でした」
素早く口づけて、後片付けをした。


体育の時間は大好きだ。そして同時に不愉快にもなる。
理由は簡単。僕の運動能力が低いからとか、延々走らせる授業ばっかりだとかじゃない。
普段の制服姿も堪らなく可愛いが、この体操着姿がとてつもない破壊力を秘めているからだ。

普段もスカートから伸びるスラっとした長い脚。色白で、特に太ももの健康的な肉付き方ときたらもう……
シャツをブルマに入れることで強調される胸。制服の上からじゃわからない僕の手にすっぽり収まる大きさ……
前から見ただけじゃ分からないお尻のライン。
とっても柔らかそうで、それでいて鍛えてあるお陰で張りも弾力もあって、一生揉んでいても飽きることの無い柔らかさ……

そんな彼女を見れる喜びと、他の男子に見られてしまう悔しさが僕の胸を焦がす。


そして今日も延々とグラウンドを走らされている。

体育教師が言うには『いくら超高校級の才能を持っていても体力がなければ云々』らしい。
監督するのが面倒なのか、いつも僕らを走らせると同時に堂々とサボって木陰で寝ている。
おかげで真剣に走っている生徒は少ない。適当に走ってもサボっていても評価は同じなら普通はサボるだろう。
ただ風紀委員を始め、体力に自信のある人やトレーニング目的の人はちゃんと走っている。

僕と彼女も体力づくりとトレーニングとして走っているだが……。


体力はこの先必要になるので真面目に受けている。但し、彼女が作成したコースはグラウンドを外れ色々な所を走る。
『逃げる犯人が、律儀に道路を走るとは限らない』からだそうだ。

よって僕は逃げる彼女を追っている。土の上、芝生やアスファルトの上等々。
真っ直ぐな道を大きく蛇行しながら走ったり、わざと障害物がある道を選んだり……。


とうとう追い詰めた。ただ追いかけるだけじゃ凄くしんどい。
だから自分に言い聞かせていた。『追いついたらご褒美をもらおう』って。

そもそも逃げる彼女の背中を見ていると、どうしてもお尻に目が行ってしまう。
パンパンに実の詰まった、とっても美味しい禁断の果実。
サイズが合わないのか、時折何度かブルマの位置を調整していた。僕を挑発しているのかな……。

それに肉薄するたびに漂う、理性を削ぐ甘い香り。
わざと追いつかれそうになっているようにも思えた。
追いかければ追いかけるほどに僕の狩猟本能が高まる。

彼女が逃げ込んだのは校舎の隅。都合よくどの教室からも見えないし、出入り口からも離れている。
勿論グラウンドからも離れているから見つかる心配はない。


どうやら観念したようで、こちらを振り返り『降参』と両手を上げ、肩をすくめて見せた。
すっかり汗だくになってしまった彼女と僕。僕は一歩一歩彼女のほうへ歩きながら、ご褒美のことだけを考えていた。
クラクラする。――酸欠とは違う思考能力の欠如。

僕が何も言わないのを不審に思った彼女が近づいた瞬間。
僕は彼女を抱き寄せて、思いっきり深呼吸をした。

鼻腔を満たす甘い香り――さながら食虫植物の様に、僕だけを捕らえて離さない蟲惑的な香り。
抱き合うことで身体の熱さが分かる。動悸が速まっていく。
続けざまに舌を首筋に這わせた。ほんのりとしょっぱい彼女の味。不思議と甘さを感じさせる極上の味。
そのせいで汗を舐めるのを止められない。

汗をかいたことで落ちた化粧。もっとも彼女は薄くファンデーションをしているだけだが。
それすらも舐め取っていく。額、鼻すじ、まぶた、頬、顎、再び首筋、うなじ。
流石になされるままが嫌なのか、抵抗を始めるが僕が耳の裏を舐めるとビクリ、と身体が震え抵抗が弱まった。

その時、僕が舐めそこなった汗が胸元へと垂れていった。
当然のように僕も追いかける。体操着の首元を少し引っ張り、覗き込むように舌を這わせる。


僕の頭を両手で押し返そうと再び抵抗を始める彼女。

だから僕は一旦舐めるのを止め
「ご褒美が欲しいんだ」
と囁きながら彼女にキスした。


効果は覿面だったようで、さっきまで押し返すのに使われていた両手は僕の頭に添えられて、汗はかいても平然としていた顔は目を伏せて赤面していた。
「……汗を舐めるだけよ」
「……」
勿論汗を舐めるだけで終わらせる気などさらさら無い。

二の句を告げさせる前に体操着の下に頭を滑り込ませた。

目の前には可愛いおへそ。当然そこにも汗が垂れている。
念入りに舐め取ってあげた。さすがに服の下に入り込んでくるとは思っていなかったのだろう。必死に逃れようとしている。
だけど僕の両腕が逃げられないように腰をガッチリとホールドしている。

つづいては柔らかいけど引き締まったおなか。女性特有の柔らかさがとても気持ちいい。
モチモチしてはいるけれど、余分な脂肪は全然ない。思わず吸い付いてしまった。
再び僕の頭を強く押し返そうとする。

それでも進行を止めることはできず、眼前には、僕の選んだ可愛いリボンの着いたピンク色のブラ。
勿論さっき垂れた汗を舐め取るため、これ以上垂れてこないように胸元から攻める。
ドキドキする音が聞こえる。僕のかそれとも彼女のものか。
下から舐めるのが難しい位置だ。先ほど逃した獲物を追いかけているうちに谷間の方へ流れていってしまった。

こうなってしまうとブラが邪魔になってしまう。仕方がないので腰にまわしていた腕を一旦解いた。
すると、これ幸いと彼女が逃げ出してしまった。
僕の頭がスルっと抜け出してしまい、先ほどまで包まれていた温もりを失い肌寒さを覚えた。

顔を赤く染め、瞳を潤ませた彼女が何か言う前に彼女の手を取り、再び口を塞いだ。
「ダメじゃないよね?」
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