tm1_625-627

「お待たせ!アイスティーしかなかったけど、いいかな?」
「良くないだろ、色々と!」

今日の探索作業を終えた俺は、花村と食事を取っていた。
森で取れた植物をふんだんに使った野菜炒めが今日のメニューだ。

「う、うまい…!」
「僕を誰だと思ってるんだい?
『超高校級のシェフ』花村輝々だよ?」

こんな有り合わせのもので作った野菜炒めが、
箸を持つ手が止まらないくらいの至高の味になる。
まさに『超高校級の料理人』の実力だ…!

「お代は、君の身体で結構だよ?」

…これで性癖がアレじゃなければな。
そんな事を考えていると。

「あれ?罪木?」
「ひ、日向さん?どうしてここに…?」

牧場の探索に向かったはずの罪木が現れた。

「えっと、その…道に迷ってしまって…」
「道に迷って森まで来るのか…」

ドジっ子の本領発揮…というやつか。

「森で遭難し、雨に打たれた3人。
 暖を取るために、互いの身体を寄せ合って…」
「花村、トンカツの作り方ってどうすんだっけ」
「冗談だから日向くん!
 全く、彼女の事になると本気になるんだから…」

何か言い返そうと思ったけど、罪木が嬉しそうに笑っているので止めた。
可愛いは正義!というのは真理だよな。

「あの…それは…?」
「ん?ああ、花村の作った野菜炒めだけど」

皿に盛られた料理を、じっと見つめる。
ヨダレ垂れてるよ罪木。

「…食べる?」
「えっ?で、でもぉ…!」
「大丈夫だよ。俺はもう食べたし。それに…」
「それに、超高校級のシェフである僕にかかれば、
 この程度の料理ならすぐに作れるからね!遠慮する必要はないよ?」
「そ、そうですか…それじゃあ、ちょっとだけ…」

そう言うと、罪木は俺の箸を取って、ぱくりと料理を口に運んだ。

「お、おいしいれすぅぅ!!
 と、とっても、おいしいですぅぅ!!」

罪木は満面の笑顔になった。
それを見るだけで、俺達も笑顔が零れる。
…やっぱり、可愛いって正義だよな。
大事なことだから2回言っちゃったけど。

「お代は結構だよ?
 あ、でもその箸は洗わないで渡してくれるかな?」
「花村、ここの火山でトンカツってできるのかな」
「ひ、日向くん…さっきから冗談が怖いよ…?」

罪木は、せっせと料理を口に運んでいる。

「しかし、冗談抜きでさ」
「ん?」
「こんなに美味しそうに食べてくれたらさ、
 料理人として、こんなに嬉しい事もないね」
「…確かに。少し解る気がするよ。それ」

こんなに美味しそうに食べてくれるなら。
…こっちだって嬉しくもなるよな。

罪木があんまりにも美味しそうに料理を頬張るから。
つい俺は。

「ははっ、あんまり食べ過ぎて、太らないようにな?」

その言葉を口にした。
その瞬間。

目の前が真っ暗になって、意識を失った。

「ははっ、あんまり食べ過ぎて、太らないようにな?」

日向くんがそう言った、その瞬間。
僕は見た。
罪木さんが神速で懐から注射器を取り出し、日向の首筋にブスリ。
同時に、逆の手でハンカチを取り出し、日向くんの口を塞ぐ。

この間、僅か2秒!!
…チャプター3での犯行も納得の早業で、日向くんは意識を失った。

「あれ?あれあれあれぇ?
 困ったなー。日向さんが寝ちゃいました」
「……」

言葉が出ない。
つ、罪木さんは…正直、攻略難度は低めだと思ってたけど…。
前言撤回。選択肢を間違えたら、どうなるか解らないね…。

「で、でも…」
「は?」
「い、いや、その、何でいきなり、
 日向くんは寝ちゃったのかなー、なんて…」
「さぁ?何ででしょうねー?」

一体、あの発言のどこに地雷が…。

「あ」

ひょっとして。
『ははっ、あんまり食べ過ぎて、太らないようにな?』
まさか、罪木さんは、ちょっとポッチャリしてる事を、気にしてたり…。

「私、とんかつって、すごく美味しいと思うんですよぉ」
「い、いやいやいや!何も考えてませんよ!
 そうだ!採集行かないと!あ、罪木ちゃんは日向くんが
 起きるまで傍にいてあげてね!そ、それじゃあ!!」

僕は猛ダッシュでこの場から逃走した。
しかし、何と言うか…。

「……大変だね、日向くん」

そんな事を呟きつつ、僕は一目散に駆けていった。

おわれ。

ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。