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外の雨によって窓ガラスを叩く音。
それが目覚まし代わりとなって意識が覚醒する――。

視界を真上の天井から右側のサイドボードへ。
そこに載せている目覚まし時計の時刻が"07:58"と告げていた。
反対側に振り向くとぐっすりと眠る響子さん。

今日のオフは適当に外へ出掛けようと思っていたけど、この雨脚だったら別の案を練った方がいいんじゃないかと思った。


~ キリキス vol.4 ~


肘枕をして響子さんの寝顔を眺めていると、ふと初めて結ばれた日の翌朝もこんな雨の日だったと思い出した。
おはよう、ってお互い顔を真っ赤にしながら挨拶して起き上がろうとしたら僕は筋肉痛、響子さんは腰の痛みから再びベッドに横になったんだっけ。
それでこの日は映画を見る予定だったけど、ずっと二人してベッドの上でゴロゴロと戯れるように過ごして前売り券を只の紙切れにさせてしまった。

「んっ…………」

そんな当時のことを回想していたら響子さんの目蓋が震えだす。
そろそろお目覚めみたいだ。

「……ん、おはよう」
「おはよう、響子さん。んっ……」

そして、今日初めての口付けを交わす。
起き抜けにも関わらず彼女が素直に受け入れてくれる。
初めて結ばれた翌朝とは異なり、真っ赤な顔で拒絶することはなかった。

「……っ、雨、ね」
「うん……。出掛けるって予定だったけど、どうしよっか?」
「ちょっと待って。今プランの修正を練るわ……」

そう言って僕の身体に抱きついて再び瞳を閉じるのだった。
考えるっていうより、二度寝をするように見えなくもない。

トクン、トクン、トクン――。
僕と響子さん、二つの鼓動が重なり合う。


「もうちょっと、こうしていいかしら?」
「……いいよ。僕もそう思っていたから」

左腕を差し出すように仰向けになると、僕の二の腕を枕代わりにして寄り添ってくる。
啄むようにその唇を甘く噛むと、そのまま舌で歯茎をなぞられた。

抱きしめ合って――。
互いが互いを必要として――。
互いの温もりに癒される朝――。

「……"幸せ"ってこういうことを言うのかしら?」
「どうしたの、唐突に?」
「すごく平凡で、ありきたりな日常……。けれど、毎日ココロが満たされていく実感があるの」


差し出された左手を空いた右手で握り合う。
キミが居てくれるだけで、僕は――

「誠君、私は貴方を護り抜くわ。……この世の全ての絶望から」
「えっ……?」
「"幸せ"を気付かせてくれた最愛の貴方を。絶対……絶対、貴方のココロを護り抜く」

真剣な眼差しで僕を見つめ、その手を握る力が少し強くなった。

僕は思わず――見蕩れてしまった。
とても凛々しく、真摯に僕のココロをロンパしてくるのだから――。

「……ありがとう、僕を想ってくれて」
「フフッ……。このドキドキは嫌いじゃないわ? 私が貴方を愛していると実感できるから……」
「響子さんが宣言するんだから僕にも誓わせてほしいな。いいでしょ?」
「えぇ、もちろん。構わないわ」
「響子さん、キミは一人じゃない。僕がいる。キミが僕を必要とする限り、僕はキミを支え続けるよ」
「誠君……」
「響子さんの隣を歩んでいくよ。もしキミが迷った時、その背を支えたい。過去、僕にそうしてくれたように」
「こちらこそ。あなたと一緒なら私達はくじけずに前に進むことができるわ」
「たとえ引きずってでも、僕らは希望を分け与えていけるように……」


言葉で繋がって、ココロでも繋がった僕らは――。

「んっ、んっ、んっ、んっ……」
「んんっ……ん、んぅ、んふっ」

感情の赴くまま相手の唇を貪る行為に没頭するのであった。
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