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「あら、もうこんな時間なのね。しょうがないわ、苗木君今夜は泊っていきなさい」
「……ねえ霧切さん。質問いいかな?」
「なにかしら?言っておくけど家に帰りたい、というのは駄目よ」
「いや、確かに日が暮れてだいぶたつけど、まだ電車は動いてるし……
第一、事務所から僕の家までそんなに離れていないの知ってるで」
「駄目」
「…………」
「そうそう、頼んでおいたオードブル、一人では多いと思っていたのよ。
 ちょうどいいわ。今日はそれを食べましょう。もちろんケーキもあるわよ」
「……絶対計画的だよね」
「なんのことかしら」
「大体、今日遅くなってるのは霧切さんがいきなり大量の仕事押し付けてきたからだよね。
 普段はこんなこと絶対しないのに……」
「年末で忙しくて忘れていたのよ」
「……簡単だけど時間のかかる仕事内容ばかりなのは偶然?」
「偶然ね」
「…………」
「…………ねえ苗木君。今日私と一緒に食事をするのが嫌なのかしら?」
「そ、そうじゃなくて!霧切さんと一緒の食事が嫌なわけないじゃない。ましてやクリスマスなんだし。
 気になったのは、普段から一緒に夕食を食べたりしているのに、どうして今日はこんなことするのかなってこと」

「…………今日がクリスマスだからよ」
「へ?」
「…………私のおじいさまはわかるでしょう?」
「…………あー……」
「あのおじいさまが今日恋人と一緒に過ごすのを許すと思う?」
「………………………………」
「ね?……でもね、苗木君。今日あなたは遅くまで残っても仕事を終わらせることができなかった。
 そして帰ることもできない。私は仕方なくあなたを泊めることにした……
 "偶然"一緒の夜を過ごすことになってしまったのよ」
「…………えーっと……通じるの?これ……」
「通じるわけないじゃない」
「え」
「言ったもの勝ちよ。大体、許してくれないのはおじいさまだけだし。
 周りのお手伝いさんが何とかしてくれるはずよ」
「は、ははは……」
「その間に既成事実を作ってしまえばいいわけだし」
「ちょ、ちょっと霧切さん!?」
「あら、普段なかなか泊まっていかない恋人のためにせっかく準備したのだけれど」
「……………………」
「……ここまで言えばわかるわね、苗木君」
「……えっと、はい……」
「よろしい。じゃあ夕飯にしましょう。本当に遅くなってしまったわ」



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