アイドルとミリタリー

…私は今包丁を手にして苗木君の部屋にいる…
…誰かを殺して…この学園から出るため…
…いけない事だって分かってる…でも…この目で確かめたい…
…仲間の無事を…確かめたいから…

舞園「…苗木君…ごめん…今からあなたを裏切る…
でも…もし出れるなら…あなたもいっしょに連れて出るように頼むから…」
そう独り言のようにつぶやいていると部屋の中に一人の女の子が入ってきた
舞園「江ノ島…さん…?」
江ノ島「…ごめん、なんか苗木の部屋とさやかちゃんの部屋が
入れ替わってたっぽい事になってたからさ、気になって…」
舞園「…用が無いなら出てってください…」
江ノ島「…ねぇ、その手に持ってるのって…包丁?」
舞園「!?
あ、あなたには関係ないでしょう!?」
江ノ島「…かもね。
それで誰か殺す気?」
江ノ島さんは半ばからかい半分でそう言った
舞園「…いいかげん帰ってください!!」
江ノ島「…じゃあ帰るわ…もしアンタが誰かを殺そうと思っても
出来なさそうにないし…あたしには分かるもん。」
舞園「な、なんで!?」
江ノ島「…特別に教えてあげる…
…私が軍人だから。」
そういって江ノ島さんはかつらを取った…

舞園「…!?」
江ノ島「…ついでに名前も偽名だよ。
私の名前は戦刃むくろ。
超高校級の軍人だよ。」
舞園「…?…?」
戦刃「…さすがに訳が分からないようだね…
じゃあ、説明するよ…」
そういって江ノ島さんを名乗ってた戦刃さんは勝手に説明をはじめた…
…本物の江ノ島さんは彼女の妹だって言う事…
…彼女と江ノ島さんがみんなの記憶を奪った事…
…そして…外の世界がほとんど崩壊している事を…
舞園「…信じ…られない…」
戦刃「…たしかにそうだろうね…
でも、これが事実なんだよ…」
舞園「…そんなの…信じられません…
それに…それがもし本当だとしても…私は…
仲間が待っているかもしれないから…ここから出たい…」
戦刃「…それが…アンタの希望なんだね…
…絶望に変わらない…希望なんだね…」
舞園「…?」
戦刃「…私…絶望に飽きちゃってね…戦場で幾多の絶望を見てきて…
…人が死ぬ絶望…死んだ人の家族の絶望…仲間が殺される絶望…
…そんなのを見てきたせいで絶望に飽きちゃってね…」
舞園「…戦刃さん…」
戦刃「…だから…アンタみたいに希望を持ってる人がうらやましくて…
…私も…希望がほしいなって…」
舞園「…それなら…どうしてこんな事を…」
戦刃「…妹に見放されたくないから…こんな事をしても妹は…盾子は…
私が一番好きな家族だし…見放されるのが怖くて…私…弱虫だよね…」
戦刃さんはそういって涙を流した…
舞園「…見放されるのが怖い…分かります。その気持ち…
私だって…仲間に見放されるのが怖いですから…
…だからそのために必死で頑張ってるんです。見放されるような仲間に
ならないために…」
戦刃「…さやかちゃん…」

舞園「…だけど…もし仲間が間違った事をしたらその時は私も止めます。
…たとえ見放されても…間違った事は間違った事だって認めさせられない
ままで終わらせたくないから…」
戦刃「…ふふふ…アンタって本当に優しいのね…」
そういって戦刃さんはかつらをかぶった…
戦刃「…ありがとう…決心がついたわ。
…私…妹ともう一度向き合ってみる…
そしてそれが裏目に出て妹に殺されたとしても…悔いは無い。
だって…間違った事は間違った事だって面と向かって言えたんだもの…」
そう言うと江ノ島さんにもどった戦刃さんは部屋から出て行こうとした
舞園「…最後に…一つだけ聞いていいですか…
…なんで…私にこんな重要な事を話したんですか…?」
戦刃「…私にも分からない…でも、なんとなくあなたなら
信頼できそうだったから…」
そう言うと戦刃さんは部屋から出て行った…
そして入れ替わりに桑田君が入ってきた…
桑田君は私を見つけてこう言った
桑田「…舞園…なんで俺を部屋に呼んだんだ?」
舞園「…ごめん…桑田君…」
そう言って私は包丁を振りかざし桑田君に襲い掛かる…
しかし…
(…間違った事は間違った事だって認めさせられないままで
終わらせたくないから…)
その言葉が私の頭の中を巡った…
―――――――――――――――――――――――――――
…そしてその後のことはよく覚えていない…
…分かる事は私のおなかに包丁が突き刺さっている事だけ…
舞園「…うぅ…」
桑田「…なんで…だよ…」
舞園「…なんでって…何で…こんな事をしたのかって…
…外に…出たかったから…みんなの無事を…確かめたかったから…」
桑田「そうじゃねぇ!!なんで俺を殺さなかった!?」
舞園「…へ…?」
桑田「…たしかに俺はお前を殺した…でも、お前だって隙を突けば
俺を殺せたはずだ…それなのになんで俺を殺さなかった…?」
…あぁ…そういうことか…
…私はその事を理解するとにっこり微笑んでこう答えた…
舞園「間違った事だって認めないままで…終わらせたくなかったから…」
…それが…私の最後の言葉になった…
…ありがとう戦刃さん…私…あなたのおかげで間違った事をせずにすんだ…


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