ShintakuYoshimoto2006OptDisk

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@incollection{ShintakuYoshimoto2006OptDiskGlobal,
 title={{光ディスクの標準化による国際競争と国際協調戦略}},
 author={新宅 純二郎 and 善本 哲夫},
 booktitle={[国際競争とグローバル・スタンダード}},
 editor={経済産業省標準化経済性研究会},
 publisher={日本規格協会},
 page={193-229},
 year={2006}
}


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memo

pp.3
2005 年現在の主要規格を CD 系と DVD 系に分けて述べよう。CD 系では CD-DA、 CD-ROM、Video-CD(以上、再生専用)、CD-R、CD-RW(以上、記録型)、DVD 系では DVD-ROM、 DVD-Video、DVD-Audio(以上、再生専用)、DVD-R、DVD-RW、DVD+R、DVD+RW、 DVD-RAM(以上、記録型)などがある。

現在普及している光ディスクの出発点といえる CD 規格(レッド・ブック)は、フィリッ プスとソニーが 1980 年 6 月に漸く合意に達し、日本のデジタル・オーディオ・ディスク懇 談会もこれを承認した。この後、松下電器や日立製作所、東芝、三菱電機・三洋電機など日 本企業がレッド・ブックに参加し、1982年10月に世界で初めてCD Audio(CD-DA)が市 場に導入された。
CD 規格はフィリップス・ソニー連合の成果を他企業が追認する形でコンセンサスが得ら れたわけだが、DVD 規格の場合は違った。規格を主導する数社を中心に、多様な企業が規 格形成に参画した。1995 年に DVD コンソーシアムとして東芝、日立製作所、松下電器、三 菱電機、フィリップス、パイオニア、ソニー、トムソン、タイム・ワーナー、日本ビクター が規格を作成し、その後 1997 年に組織改編が行われ、DVD フォーラムとして 100 社を超え る企業がメンバー会社となり DVD 規格の普及と新しい技術を採用した規格制定作業に力を 注ぐことになった。DVD 規格が成立する以前、SD 規格(東芝・松下電器)と MMCD 規格 (フィリップス・ソニー)の 2 つの規格があり、技術的な問題解決だけでなく、複雑な企業 間関係や駆け引きが水面下で激しく鼓動したが、最終的には両陣営が規格統一のために歩み 寄った結果となった。

pp.4
また、DVD-Video や DVD-ROM といった再生専用の規格はフォーラムに参加する全企業 の合意の上で成立している一方で、記録型の規格では DVD-R/RW、DVD+R/RW、DVD-RAM の 3 つの規格が乱立し、統一されることはなかった。

製品アーキテクチャは「製品の要求機能をどのように展開し、どのような構成部品に分割
し、そこに機能をどのように配分し、それによって必要となる部品間インターフェースをい かに設計・調整するか」の基本設計思想である\cite{TFujimoto2001Architecture}、\cite{TFujimoto200406Monodukuri}。基本的な タイプとして「インテグラル(擦り合わせ)・アーキテクチャ」と「モジュラー(組み合わ せ)・アーキテクチャ」とがある。この製品アーキテクチャのタイプと組織の制度、文化、 組織能力の間には密接な適合関係がある。すなわち、組織設計のありかたと製品アーキテク チャには相性があり、特定の組織がふたつの基本パターンの両方で優位に立つことは難しい。
このようなアーキテクチャと組織の関係を前提にして、我々は、「日本の製造業で、競争優 位をもっているのは『擦り合わせ型アーキテクチャ』を持った製品分野である」という基本認識をもっている。それに対して、「モジュラー・アーキテクチャ」の製品は、参入企業が 多くなるし、またキャッチアップされやすい特徴をもっている。
インテグラル型に強みのある企業は、組織文化、組織構造、報酬などの制度がインフラと なり、連携活動を推進し、その結果としてインテグラル型の組織能力を長年かけて蓄積して きたものと考えられる。このようなコミュニケーションに基づく組織能力の蓄積には時間が かかる。短期間で達成できるものではない。そのため、インテグラル型製品でキャッチアッ プするには、相当な時間を要するものと考えられる。一方、モジュラー型に適した組織の基 本は、完全に各構成部品に分業特化して、個々の利益で動く組織である。そのため、モジュ ラー型での成功は組織の制度設計が適切であれば、比較的容易であり、キャッチアップは速い。

@incollection{Fujimoto2001Architecture,
 title={{アーキテクチャの産業論}},
 author={藤本隆宏},
 booktitle={ビジネス・アーキテクチャ--製品・組織・プロセスの戦略的設計},
 editor={藤本 隆宏 and 青島 矢一 and 武石 彰},
 publisher={有斐閣},
 year={2001}
}

@BOOK{Fujimoto200406Monodukuri,
title={日本のもの造り哲学},
author={藤本 隆宏},
publisher={日本経済新聞社},
year={2004},
month={6},
isbn={9784532311391},
url={http://amazon.co.jp/o/ASIN/453231139X/},
price={¥ 1,680},
totalpages={349},
timestamp={2011.03.31},
}

footnote no.5
モジュラー型に適合させようと組織構造を変えた企業は、技術革新が起きてアーキテクチャがイン
テグラル型にシフトしたときに対応できなくなる。組織戦略とアーキテクチャのこうした関係を捕
らえ、上記のようなインテグラル型アーキテクチャに対応できない現象を\cite{KusunokiChesbrough2001Shift}はモジュラリティの罠と呼んでいる。

@incollection{KusunokiChesbrough2001Shift,
 title={{製品アーキテクチャのダイナミック・シフト バーチャル組織の落とし穴}},
 author={楠木 建 and Chesbrough, H.W},
 booktitle={ビジネス・アーキテクチャ--製品・組織・プロセスの戦略的設計},
 editor={藤本 隆宏 and 青島 矢一 and 武石 彰},
 pages={263--285},
 publisher={有斐閣},
 year={2001}
}



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最終更新:2011年04月06日 19:01