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動き出す闇」(2011/01/26 (水) 21:23:29) の最新版変更点

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*動き出す闇 ◆VbYNTlLnDE 窓が締め切られ、昼だと言うのに薄暗い室内。 その中に置かれたベッドの白いシーツに溶け込むようにうずくまる白い青年がいた。 テラー・ドーパントの力で恐怖という名の感情を植えつけられた魔王、ン・ダグバ・ゼバ。 初めて覚えた感情を全身で、全神経で噛みしめる。 身体が地震のように震え、身体中から雨のように冷や汗を流す。 それでいながら心は真冬よりも凍えている、そんな感覚。 カチカチと何かがぶつかる音が聞こえ、目だけを動かし辺りを伺い音の出所を探し、出所が自らの口元である事を理解する。 聴覚に続き視覚までも恐怖を伝え始める。部屋の片隅の暗闇に何かがいるように思える。 自らの吐く息がすぐ耳元で誰かが囁いているかのように錯覚してしまう。 恐怖 他人に与える事はあっても自分は知る事ができなかった恐怖。 初めての体験に彼は、ン・ダグバ・ゼバは―― 「あは、あはは……っ!」 歓喜した。 背筋が震えゾクゾクする。何千何万の命を奪って得た快感を軽く上回る震え。 くだらない事に怯える滑稽な自分自身すら楽しい。 いつまでも味わっていたいとすら思える感情、恐怖。 だが何事にもやがて終わりは訪れる。 身体の震えは徐々に収まり、妙に高ぶっていた心も次第に落ち着いていく。 ぼやけた視界も鮮明になっていき、幻聴も幻覚も消えうせていく。 ダグバは自らを力強く抱きしめた。 まだ内部に残る僅かな恐怖を逃さないよう、少しでも長く味わえるよう。 しかし手で掬った水のように、恐怖も彼の心から完全に消え去ってしまった。 ゆっくりと起き上がり、気が抜けたようにダグバは動かない。 右の手の平を見つめる。先ほどの震えは幻のように消えうせていた。 どうしうようもない喪失感がダグバを包み、次いで激しい欲望が膨れ上がる。 楽しい 恐怖は楽しい もっと味わいたい もっと震えたい。もっともっと怯えたい いつもいつまでも、今よりももっと上の、さらに上の、もっともっともっと………… すぐ近くで何かがぶつかるような音が何度も聞こえる。 恐らく先ほどの連中がまだ戦闘を続けているのだろう。 なら間に合う、いけばまた恐怖を味わえる。今度はじっくり、長く、しっかりと味わいたい。 恐怖という名の麻薬を求めダグバは部屋を飛び出した。その手の中に黄金色に輝く理想郷を握り締め――   ◆  ◆  ◆ 市街地の開けた一角で4人の男達が対峙していた。 青い王冠と黒いマントを身に付けたドーパントの王、テラー・ドーパント。 全身を青く染めた鋼の面を持つ戦士、ナスカ・ドーパント。 全てを喰らい尽くさんとする紫の大蛇、王蛇。 黒いスーツに赤いラインが映える仮面ライダー、ファイズ。 しばらく様子見とばかりに4人は動かなかったが痺れを切らした王蛇がテラー・ドーパントへと駆け出す。 ――Sword Vent―― 電子音声を合図に虚空から飛ばされたベノサーベルを受け取りそのまま飛び上がる。 「オラァ!」 強引に振り下ろされた剣をテラー・ドーパントは軽々と受け止め、空いた右手で王蛇を殴り飛ばす。 吹き飛ばされかけた王蛇だが地面にベノサーベルを突き刺し即座に体勢を整え再び襲い掛かる。 先程よりも僅かに距離を離した位置から何度もベノサーベルを振るいカウンターを許さない。 対するテラー・ドーパントも木野自身の戦闘能力とテラーフィールドを巧みに操り、王蛇の連続攻撃を完全に捌ききる。 「中々楽しませるじゃねぇか、アァッ!?」 「ふん……っ!」 その戦いに加わわらずファイズは気絶したままの音也の傍へと駆け寄る。 「おい、あいつらがあいつら同士やりあうってんならわざわざ立ち入る必要はねぇだろ。紅背負ってトンズラしようぜ」 「いや……あのメモリはお義父さんの物だ。アレを手にする事ができれば、冴子だって私を認めなおしてくれるはず!」 剣を構えたナスカは戦場へと向かい駆け出していく。 「あ!?あの馬鹿……ちっ」 ファイズは気絶した音也と離れていくナスカを交互に見つめ―― 「仕方ねぇ!」 ナスカを追って駆け出した。 走りながら自らの装備を確かめる。                あいつ (ポインターがねぇ!?エッジはバジンのハンドルだしな……ついてねぇな) それでも残されたファイズショットにミッションメモリー差込み、右腕に装備しナスカに追いついていく。 「覚悟したまえ!」 ナスカが剣を構えるがテラー・ドーパントから放出されたテラーフィールドがその動きを封じる。 怯んだナスカを飛び越えたファイズが右腕を突き出すが紙一重で避けられその身を受け止められてしまい 「ふん!」 王蛇へと投げ飛ばされる。二人はそのまま絡まるようにゴロゴロと転がり、なんとか起き上がった。 「祭りだな、楽しいじゃねぇか!」 「うわっ!て、てめぇ!」 起き上がると共に王蛇がファイズへとベノサーベルを振るい、胸部装甲に傷を付けられる。 「お前、あいつが狙いじゃねぇのかよ!」 「俺は戦えれば誰でもいいんだよ!」 王蛇の狂気を感じつつファイズは追撃を避けきり体勢を整え距離を取る。 一方、動きを封じられたナスカにテラー・ドーパントがゆっくりと近づいていく。 「貴様、覚悟しろだと?ふざけた言葉を……」 「ふざけてなどいない。私は大真面目だ!」 「それがふざけてると言うんだ!」 怒りを顕わにしながら拳をナスカへと打ち付ける。 殴られた衝撃で拘束から抜け出したナスカは剣を構え 「超加速!」 一瞬の超加速でテラー・ドーパントに不意打ちの一撃を与えこちらも距離を取る。 ファイズとナスカ、背中合わせになりながらそれぞれの相手の動きを伺い、隙を見てファイズが小声で話しかける。 「おい、紅の奴を巻き込む訳にはいかねぇ。少しでも離れるぞ」 「仕方が無いか……」 「あいつが気になるって言うなら始末してやるよ」 ――AdVent―― 二人の様子から気絶している音也を気にしている事を悟った王蛇がカードを使用する。 耳鳴りのような音と共に民家の窓から紫色の巨大毒蛇ベノスネイカーが飛び出し、未だ気絶中の音也へと襲い掛かった。 咄嗟に反応できたナスカが超加速を再び使い、ベノスネイカーの前に立ちふさがり斬りつける。 しかし一撃を喰らった程度でベノスネイカーの闘志は消えない。唸り声をあげナスカとの睨み合いが始まる。 王蛇はつまらなそうに声をあげ、ベノバイザーを振り上げファイズを狙う、が。 ファイズは左腕でベノバイザーを受け止め、王蛇の腹部を蹴りこみ奇襲を防ぐ。 よろけた隙を逃さず右腕のファイズショットで強引に殴り飛ばし王蛇を突き放す。 今の一撃は多少は効いたのか、王蛇がしばらくは立ち上がってきそうに無い事を確認すると、 ファイズはテラー・ドーパントに向かうため振り返り、自らの目を疑う。 右腕を押さえうずくまっていたのだ。 「雅人、何故なんだ……雅人ぉぉぉ……」 「どうなってやがんだよ……」 呆然とするファイズとは対照的にナスカは苦戦を強いられていた。 ベノスネイカーの巨体をいかした尻尾の振り抜きを剣で受け止めたと思えば頭上からナスカを飲み込もうと大口が迫る。 反撃を与える暇が無く回避と防御に専念させられる。本当なら飛行能力を活かし上空からエネルギー弾の乱射を行いたいが…… 背後で眠る音也の事を考えるとそれもできない。目の前の壁が無くなった途端ベノスネイカーは音也を狙うだろう。 「私がこんな男の為に戦わなければならないとはな……!」 知り合って間もない、しかも自分とは明らかに価値観の違う音也。 それでも見捨てる事ができないのは何故だろうか、ナスカはふと考える。 思考のせいで一瞬動きが鈍ったのか、いつの間にか右腕に握られていた剣の刃先が溶け始めていた。 驚きつつも剣を放り捨てる。主から離れた剣はぶすぶすと音をあげながら溶けていきその姿を消した。 ナスカが溶かした正体を見極めようと視線を上に向ける。ベノスネイカーの口元から紫色の液体が溢れ、今にも零れそうに…… 危険を感じた時には既に毒液は発射されていた。しかしナスカは慌てない、彼には超加速があるのだから。 ナスカに避けられ、毒液は当然背後にいた音也へと向かう。 「しまった!」 再び超加速を行おうとするが身体が言う事を効かない、制限もあるが超加速は確実にナスカの体力を奪っていたのだ。 見ているしかないのかと諦めかけた時、救いの手が差し伸べられる。 王蛇を退けたファイズだ。いつの間にか握られていたデイバッグを盾に毒液を受け止める。 「乾君か、助かった」 「気にすんな、慣れてる。しかし直接受け止めてたらヤバかったな」 ドロドロとデイバッグが溶けていき、中に仕舞い込まれていた支給品が零れ落ちていく。 用済みとなったデイバッグを放り捨てベノスネイカーに駆け寄りながらファイズフォンへと手を伸ばす。 ――Exceed Charge―― ファイズドライバーから右腕に装備されたファイズショットにエネルギーが送られ赤く発光する。 グランインパクトの準備が整い、拳を振り上げ後は打ち付けるのみという所でファイズは突然吹き飛ばされた。 ファイズを受け止めつつナスカは辺りを見渡しすぐ近くに突き刺さったベノサーベルに気がついた。 「あの野郎、もう回復してやがったか……」 左肩を抑えながら悔しそうにファイズが呟く。その視線の先にはベノサーベルを投げつけた王蛇の姿が。 「そこそこ楽しめたぜ……こいつは礼だ」 ――Final Vent―― 主の命に従いベノスネイカーが王蛇の背後に回る。 ナスカとファイズを狙うその視界の隅に異形が映る。 「おいおい、逃げれると思ってるのか……?」 王蛇が飛び上がり、ベノスネイカーの口から放たれたエネルギーを背中に受け獲物へと飛び込んでいく。 その狙いはナスカでもファイズでも音也でもなく、この場から逃げ出そうとしていたテラー・ドーパント。 奇襲に気がつき咄嗟にテラーフィールドを盾のように展開し王蛇の必殺技を受け止める、が。 「ハッハァ!」 お構いなしに王蛇は連続蹴りを続け、少しずつテラーフィールドを蹴り破っていく。 限界を悟りテラー・ドーパントが逃げ出そうとするが一足先に完全にテラーフィールドを破った王蛇のベノクラッシュが炸裂した。 「俺は、まだ死ねない……」 吹き飛ばされてもすぐに立ち上がれたのは防御が少しでもできたからであろう。テラー・ドーパントは住宅街の中へと逃げていく。 「逃がすかよ……」 蛇のようなしつこさで王蛇はその背中を追い、住宅街へと消えた。   ◆  ◆  ◆ 残されたファイズとナスカは一息吐くと共に変身を解除し腰を落とす。 「まったく、開始早々やんなっちまうぜ。紅の奴は結局起きねぇしよ」 「テラー・ドーパントの力は強大だ、生身で受けてはしばらくは起きないだろう……ゴホッゴホッ」 「おい、大丈夫かよ!?」 心配する巧を霧彦は右手でそれを制す。 「大丈夫、癖なんだよ……」 ナスカに変身する事は霧彦の寿命が削られていく事に他ならない。再び死ぬまでどれだけの猶予があるのか、と霧彦は自らの身体に問いかける。 「お前がそう言うならそれ以上は詮索しないけどよ」 巧が立ち上がり、先ほどベノスネイカーの毒液を受けたデイバッグから零れ落ちた支給品の品々を回収していく。 霧彦も巧を手伝う為に辺りを見回す。どうやらデイバッグは音也の物だったらしく巧や霧彦の知らぬ物がいくつか落ちていた。 そんな中一つだけ見覚えのある物を見つける。先ほどの王蛇が使っていたのと同じ物らしきカードが詰められた箱。 巧は使えるかもしれないと判断し、説明書が無いか辺りを確認する。 「乾君、あいつらがまたやってくるかもしれない。お義父さんのメモリは惜しいが、ここは一度離れた方がいい」 「それもそうだけどよ……これの説明書がないんだ、探すの手伝え」 「大丈夫だ、それなら私が見つけた」 座り込んだままの霧彦の右手にヒラヒラと揺れる紙。巧は早く言えよとぶつぶつ呟きつつ回収し終えた支給品を自らのデイバッグに詰めていく。 「よかった、間に合った……」 静かだが妙に存在感のある声に二人は視線を向ける。 ここから最も早く抜け出した白服の青年がそこにはいた。 走ってきたのか身体を震わせ、遠目でも汗をかいている事がわかり、それでいて妙に笑顔で。 「お前……」 「びっくりしちゃうね、またここにくるだけでこんなにドキドキするなんて。すっごく怖かったんだ、本当に……」 「くそ、探知機を見張っているべきだったか……」 警戒する巧と霧彦、しかしそれを無視するかのように白服の青年ダグバは笑い声をあげる。 「ねぇ、もっと僕を怖がらせて、もっと恐怖を与えてよ。僕がリントにしてあげたようにさ。  いいよ、大丈夫だよ。僕も怖がらせてあげるから……」 ガイアドライバーを取り出し腰に装着し、右手に黄金色に輝くメモリを握り締める。 「僕も、皆も恐怖する、それが――」 ――ユートピア!―― ユートピアメモリを差込白服が錆びた黄金色に包まれていく。 繁栄の無い滅ぶだけの理想郷を目指すユートピア・ドーパントがこの場に誕生した。 即座に巧と霧彦もそれぞれの変身アイテムを取り出し変身を行おうとするが、叶わない。 「何だ?うんともすんとも言わねぇ!?」 「どういうことなんだ、頼むナスカ!」 二人はそれぞれ何度もボタンを押すがアイテム達は答えてくれない。 「いいね、その表情いいよ。でも足りないかな……もっともっと怯えようよ」 どこからか取り出した杖をつきながらゆっくりとユートピア・ドーパントが二人に迫る。 「……仕方が無い、乾君。君が先ほど拾ったカードデッキを私に」 「カードデッキって、これの事か!?」 巧が懐から取り出した赤紫色のそれを強引に奪い取りファイズドライバーに反射させる。 すると霧彦の腰にガイアドライバーとは異なる銀色のベルトが装着され―― 「変身!」 赤紫色のカードデッキをバックルに装填し霧彦の身体に虚像が重なりやがて赤紫色の鎧を形成し、ライアへと変身を遂げる。 「私が時間を稼ぐ、乾君はそこの馬鹿を連れてこの場から逃げるんだ」 「お前一人だけに無茶なんかさせるかよ、これ使えるんだろ?」 巧が取り出した黄色のメモリを見つめライアが寂しそうに首を横に振る。 「それはルナメモリといって君や私には使えない。仮面ライダー君でなければ、な」 「なら、しょうがねぇ……」 「そうだ、君は……何!?」 ライアの横で巧の身体が全身銀色の怪物、ウルフオルフェノクへと変化する。 「君は……」 「あぁ、俺は人間じゃない、オルフェノクって化け物だ。軽蔑したか?」 「……驚きはしたよ、だが、今は君のその力にも頼らせてもらおう」 戦闘体勢を整えた二人の戦士を前にユートピア・ドーパントの心は躍る。 「あぁ、君達はどれだけ僕を怖がらせてくれる?お願いだから、すぐに壊れちゃいやだよ?」 【1日目 午後】 【F-6 市街地】 【乾巧@仮面ライダー555】 【時間軸】原作終了後 【状態】恐怖(小)、疲労(中)、ウルフオルフェノクに変身中、仮面ライダーファイズに2時間変身不可 【装備】なし 【道具】支給品一式、ルナメモリ@仮面ライダーW、ファイズギア+ファイズショット@仮面ライダー555 不明支給品1~2 【思考・状況】 1:打倒大ショッカー 2:仲間を探して協力を呼びかける 3:ユートピア・ドーパントへの対処 【備考】 不明支給品は元々は音也の物を回収したものです 【園咲霧彦@仮面ライダーW】 【時間軸】死の直前 【状態】恐怖(小)、疲労(大)、仮面ライダーライアに変身中、 ナスカ・ドーパントに2時間変身不可 【装備】ライアのデッキ@仮面ライダー龍騎 【道具】支給品一式、首輪探知機、ガイアメモリ(ナスカ)+ガイアドライバー@仮面ライダーW 【思考・状況】 1:打倒大ショッカー 2:今度こそ冴子を説得し、帰還後共に風都を守る 3:ユートピア・ドーパントへの対処 4:テラーメモリを手に入れて冴子に認めなおしてもらいたい 5:人間ではなかった乾巧に若干驚き 【備考】 ※ガイアドライバーを使って変身しているため、メモリの副作用がありません。 【紅音也@仮面ライダーキバ】 【時間軸】原作終盤(少なくとも渡を自分の息子と認識している時期) 【状態】気絶 恐怖(中) 疲労(大) 【装備】イクサナックル(プロトタイプ)@仮面ライダーキバ 【道具】なし 【思考・状況】 0:気絶中… 1:最後まで生き残り、元の世界に帰還する 2:女性を見たらとりあえず口説く 【ン・ダグバ・ゼバ@仮面ライダークウガ】 【時間軸】不明 【状態】恐怖(小)、若干ハイ、ユートピア・ドーパントに変身中。怪人体に1時間40分変身不可 【装備】ガイアメモリ(ユートピア)+ガイアドライバー@仮面ライダーW 【道具】支給品一式 【思考・状況】 1:恐怖をもっと味わいたい。楽しみたい 2:目の前の二人が恐怖をもたらしてくれる事を期待 【備考】 ※ガイアドライバーを使って変身しているため、メモリの副作用がありません。   ◆  ◆  ◆ テラー・ドーパントの変身も既に解けてしまった木野薫は住宅の陰の中へと隠れ潜んでいた。 変身が解けた途端に訪れた途方もない疲労感、そして未だに続く右腕の発作。 王蛇から受けたベノクラッシュの傷が疼き木野は思わずうめき声をあげる。 (なんだ、この疲労感は……こいつの、副作用か?今思えばあのスーツの男はベルトのような物をつけた上に使用していた、な) 震える手でテラーメモリを支え、見つめる。強大な力を持つこのメモリを使いこなす事ができるのだろうか。 アギトの力と共に自分は完全に飲み込まれてしまうのではないか、そんな不安に包まれる。 突然メモリが奪われる。木野が何事かと見上げると目の前には茶髪の青年が立っていた。その表情は陰になって伺う事はできない。 「探したぜぇ、大将……」 「その声、あのアンノウン!?人間だったのか……そのメモリを返せ!う、ぐっ……」 立ち上がりメモリを取り返そうとするがすぐに再び座り込んでしまう。 「おつかれかい?そんなにこいつが大切か……」 右手で玩んでいたテラーメモリを茶髪の青年、浅倉は力の限り握り締める。 木野の制止の言葉を無視して力を込め続け、やがてバキバキと音が鳴る。 「ざぁんねぇんでしたぁ……ハァ……」 粉々になったテラーメモリを浅倉は菓子でも食べるかのように口に入れバキボキと何度か噛み砕いた後、飲み込んだ。 「前菜はこんな所かぁ?」 口から口内裂傷による血を流しながら浅倉は呟く。ここにきて初めて木野は浅倉が笑っている事に気がついた。 その木野の眼前に暗闇が迫り、グシャッという音が聞こえる。浅倉の靴底が木野の顔面にめり込んだ。 赤い糸を引きながら靴が離れ、木野は咳き込みながら両腕を交差させ集中力を高めようとする。 だがそんな自由は許さないとばかりに交差させた両腕を浅倉は蹴り上げる。良い音が鳴った。折れたのかもしれない。 痛みに苦しむ木野うめき声を浅倉は笑顔で堪能する。 しかしそれにも飽きたのか拳を木野の顔面へと打ち込む。 右 左 右 左 何度か繰り返した所で反応が無くなった事に気がつき、つばを吐いて浅倉はその場を後にした。 力に呑み込まれ、過去に縛られた男の亡骸だけがその場に残された。 &color(red){【木野薫@仮面ライダーアギト 死亡】} &color(red){ 残り53人} &color(red){【A-7 市街地】付近に支給品一式と木野薫の撲殺死体が放置されています。} 【1日目 午後】 【F-7 市街地】 【浅倉威@仮面ライダー龍騎】 【時間軸】不明 【状態】疲労(中)、ちょっぴり満足感、仮面ライダー王蛇に2時間変身不可 【装備】カードデッキ(王蛇)@仮面ライダー龍騎 【道具】支給品一式、ランダム支給品1~3(確認済) 【思考・状況】 1:イライラするんだよ…… 2:殴るか殴られるかしてないと落ち着かない 【備考】 ※テラーメモリを美味しく食べました。恐らく副作用はありません |033:[[そして、Xする思考]]|投下順|035:[[仮面ライダーになりたくない男]]| |033:[[そして、Xする思考]]|時系列順|035:[[仮面ライダーになりたくない男]]| |016:[[滂沱]]|[[紅音也]]|038:[[風]]| |016:[[滂沱]]|[[乾巧]]|038:[[風]]| |016:[[滂沱]]|[[園咲霧彦]]|038:[[風]]| |016:[[滂沱]]|[[木野薫]]|&color(red){GAME OVER}| |016:[[滂沱]]|[[ン・ダグバ・ゼバ]]|038:[[風]]| |016:[[滂沱]]|[[浅倉威]]|| ----
*動き出す闇 ◆VbYNTlLnDE 窓が締め切られ、昼だと言うのに薄暗い室内。 その中に置かれたベッドの白いシーツに溶け込むようにうずくまる白い青年がいた。 テラー・ドーパントの力で恐怖という名の感情を植えつけられた魔王、ン・ダグバ・ゼバ。 初めて覚えた感情を全身で、全神経で噛みしめる。 身体が地震のように震え、身体中から雨のように冷や汗を流す。 それでいながら心は真冬よりも凍えている、そんな感覚。 カチカチと何かがぶつかる音が聞こえ、目だけを動かし辺りを伺い音の出所を探し、出所が自らの口元である事を理解する。 聴覚に続き視覚までも恐怖を伝え始める。部屋の片隅の暗闇に何かがいるように思える。 自らの吐く息がすぐ耳元で誰かが囁いているかのように錯覚してしまう。 恐怖 他人に与える事はあっても自分は知る事ができなかった恐怖。 初めての体験に彼は、ン・ダグバ・ゼバは―― 「あは、あはは……っ!」 歓喜した。 背筋が震えゾクゾクする。何千何万の命を奪って得た快感を軽く上回る震え。 くだらない事に怯える滑稽な自分自身すら楽しい。 いつまでも味わっていたいとすら思える感情、恐怖。 だが何事にもやがて終わりは訪れる。 身体の震えは徐々に収まり、妙に高ぶっていた心も次第に落ち着いていく。 ぼやけた視界も鮮明になっていき、幻聴も幻覚も消えうせていく。 ダグバは自らを力強く抱きしめた。 まだ内部に残る僅かな恐怖を逃さないよう、少しでも長く味わえるよう。 しかし手で掬った水のように、恐怖も彼の心から完全に消え去ってしまった。 ゆっくりと起き上がり、気が抜けたようにダグバは動かない。 右の手の平を見つめる。先ほどの震えは幻のように消えうせていた。 どうしうようもない喪失感がダグバを包み、次いで激しい欲望が膨れ上がる。 楽しい 恐怖は楽しい もっと味わいたい もっと震えたい。もっともっと怯えたい いつもいつまでも、今よりももっと上の、さらに上の、もっともっともっと………… すぐ近くで何かがぶつかるような音が何度も聞こえる。 恐らく先ほどの連中がまだ戦闘を続けているのだろう。 なら間に合う、いけばまた恐怖を味わえる。今度はじっくり、長く、しっかりと味わいたい。 恐怖という名の麻薬を求めダグバは部屋を飛び出した。その手の中に黄金色に輝く理想郷を握り締め――   ◆  ◆  ◆ 市街地の開けた一角で4人の男達が対峙していた。 青い王冠と黒いマントを身に付けたドーパントの王、テラー・ドーパント。 全身を青く染めた鋼の面を持つ戦士、ナスカ・ドーパント。 全てを喰らい尽くさんとする紫の大蛇、王蛇。 黒いスーツに赤いラインが映える仮面ライダー、ファイズ。 しばらく様子見とばかりに4人は動かなかったが痺れを切らした王蛇がテラー・ドーパントへと駆け出す。 ――Sword Vent―― 電子音声を合図に虚空から飛ばされたベノサーベルを受け取りそのまま飛び上がる。 「オラァ!」 強引に振り下ろされた剣をテラー・ドーパントは軽々と受け止め、空いた右手で王蛇を殴り飛ばす。 吹き飛ばされかけた王蛇だが地面にベノサーベルを突き刺し即座に体勢を整え再び襲い掛かる。 先程よりも僅かに距離を離した位置から何度もベノサーベルを振るいカウンターを許さない。 対するテラー・ドーパントも木野自身の戦闘能力とテラーフィールドを巧みに操り、王蛇の連続攻撃を完全に捌ききる。 「中々楽しませるじゃねぇか、アァッ!?」 「ふん……っ!」 その戦いに加わわらずファイズは気絶したままの音也の傍へと駆け寄る。 「おい、あいつらがあいつら同士やりあうってんならわざわざ立ち入る必要はねぇだろ。紅背負ってトンズラしようぜ」 「いや……あのメモリはお義父さんの物だ。アレを手にする事ができれば、冴子だって私を認めなおしてくれるはず!」 剣を構えたナスカは戦場へと向かい駆け出していく。 「あ!?あの馬鹿……ちっ」 ファイズは気絶した音也と離れていくナスカを交互に見つめ―― 「仕方ねぇ!」 ナスカを追って駆け出した。 走りながら自らの装備を確かめる。                あいつ (ポインターがねぇ!?エッジはバジンのハンドルだしな……ついてねぇな) それでも残されたファイズショットにミッションメモリー差込み、右腕に装備しナスカに追いついていく。 「覚悟したまえ!」 ナスカが剣を構えるがテラー・ドーパントから放出されたテラーフィールドがその動きを封じる。 怯んだナスカを飛び越えたファイズが右腕を突き出すが紙一重で避けられその身を受け止められてしまい 「ふん!」 王蛇へと投げ飛ばされる。二人はそのまま絡まるようにゴロゴロと転がり、なんとか起き上がった。 「祭りだな、楽しいじゃねぇか!」 「うわっ!て、てめぇ!」 起き上がると共に王蛇がファイズへとベノサーベルを振るい、胸部装甲に傷を付けられる。 「お前、あいつが狙いじゃねぇのかよ!」 「俺は戦えれば誰でもいいんだよ!」 王蛇の狂気を感じつつファイズは追撃を避けきり体勢を整え距離を取る。 一方、動きを封じられたナスカにテラー・ドーパントがゆっくりと近づいていく。 「貴様、覚悟しろだと?ふざけた言葉を……」 「ふざけてなどいない。私は大真面目だ!」 「それがふざけてると言うんだ!」 怒りを顕わにしながら拳をナスカへと打ち付ける。 殴られた衝撃で拘束から抜け出したナスカは剣を構え 「超加速!」 一瞬の超加速でテラー・ドーパントに不意打ちの一撃を与えこちらも距離を取る。 ファイズとナスカ、背中合わせになりながらそれぞれの相手の動きを伺い、隙を見てファイズが小声で話しかける。 「おい、紅の奴を巻き込む訳にはいかねぇ。少しでも離れるぞ」 「仕方が無いか……」 「あいつが気になるって言うなら始末してやるよ」 ――AdVent―― 二人の様子から気絶している音也を気にしている事を悟った王蛇がカードを使用する。 耳鳴りのような音と共に民家の窓から紫色の巨大毒蛇ベノスネイカーが飛び出し、未だ気絶中の音也へと襲い掛かった。 咄嗟に反応できたナスカが超加速を再び使い、ベノスネイカーの前に立ちふさがり斬りつける。 しかし一撃を喰らった程度でベノスネイカーの闘志は消えない。唸り声をあげナスカとの睨み合いが始まる。 王蛇はつまらなそうに声をあげ、ベノバイザーを振り上げファイズを狙う、が。 ファイズは左腕でベノバイザーを受け止め、王蛇の腹部を蹴りこみ奇襲を防ぐ。 よろけた隙を逃さず右腕のファイズショットで強引に殴り飛ばし王蛇を突き放す。 今の一撃は多少は効いたのか、王蛇がしばらくは立ち上がってきそうに無い事を確認すると、 ファイズはテラー・ドーパントに向かうため振り返り、自らの目を疑う。 右腕を押さえうずくまっていたのだ。 「雅人、何故なんだ……雅人ぉぉぉ……」 「どうなってやがんだよ……」 呆然とするファイズとは対照的にナスカは苦戦を強いられていた。 ベノスネイカーの巨体をいかした尻尾の振り抜きを剣で受け止めたと思えば頭上からナスカを飲み込もうと大口が迫る。 反撃を与える暇が無く回避と防御に専念させられる。本当なら飛行能力を活かし上空からエネルギー弾の乱射を行いたいが…… 背後で眠る音也の事を考えるとそれもできない。目の前の壁が無くなった途端ベノスネイカーは音也を狙うだろう。 「私がこんな男の為に戦わなければならないとはな……!」 知り合って間もない、しかも自分とは明らかに価値観の違う音也。 それでも見捨てる事ができないのは何故だろうか、ナスカはふと考える。 思考のせいで一瞬動きが鈍ったのか、いつの間にか右腕に握られていた剣の刃先が溶け始めていた。 驚きつつも剣を放り捨てる。主から離れた剣はぶすぶすと音をあげながら溶けていきその姿を消した。 ナスカが溶かした正体を見極めようと視線を上に向ける。ベノスネイカーの口元から紫色の液体が溢れ、今にも零れそうに…… 危険を感じた時には既に毒液は発射されていた。しかしナスカは慌てない、彼には超加速があるのだから。 ナスカに避けられ、毒液は当然背後にいた音也へと向かう。 「しまった!」 再び超加速を行おうとするが身体が言う事を効かない、制限もあるが超加速は確実にナスカの体力を奪っていたのだ。 見ているしかないのかと諦めかけた時、救いの手が差し伸べられる。 王蛇を退けたファイズだ。いつの間にか握られていたデイバッグを盾に毒液を受け止める。 「乾君か、助かった」 「気にすんな、慣れてる。しかし直接受け止めてたらヤバかったな」 ドロドロとデイバッグが溶けていき、中に仕舞い込まれていた支給品が零れ落ちていく。 用済みとなったデイバッグを放り捨てベノスネイカーに駆け寄りながらファイズフォンへと手を伸ばす。 ――Exceed Charge―― ファイズドライバーから右腕に装備されたファイズショットにエネルギーが送られ赤く発光する。 グランインパクトの準備が整い、拳を振り上げ後は打ち付けるのみという所でファイズは突然吹き飛ばされた。 ファイズを受け止めつつナスカは辺りを見渡しすぐ近くに突き刺さったベノサーベルに気がついた。 「あの野郎、もう回復してやがったか……」 左肩を抑えながら悔しそうにファイズが呟く。その視線の先にはベノサーベルを投げつけた王蛇の姿が。 「そこそこ楽しめたぜ……こいつは礼だ」 ――Final Vent―― 主の命に従いベノスネイカーが王蛇の背後に回る。 ナスカとファイズを狙うその視界の隅に異形が映る。 「おいおい、逃げれると思ってるのか……?」 王蛇が飛び上がり、ベノスネイカーの口から放たれたエネルギーを背中に受け獲物へと飛び込んでいく。 その狙いはナスカでもファイズでも音也でもなく、この場から逃げ出そうとしていたテラー・ドーパント。 奇襲に気がつき咄嗟にテラーフィールドを盾のように展開し王蛇の必殺技を受け止める、が。 「ハッハァ!」 お構いなしに王蛇は連続蹴りを続け、少しずつテラーフィールドを蹴り破っていく。 限界を悟りテラー・ドーパントが逃げ出そうとするが一足先に完全にテラーフィールドを破った王蛇のベノクラッシュが炸裂した。 「俺は、まだ死ねない……」 吹き飛ばされてもすぐに立ち上がれたのは防御が少しでもできたからであろう。テラー・ドーパントは住宅街の中へと逃げていく。 「逃がすかよ……」 蛇のようなしつこさで王蛇はその背中を追い、住宅街へと消えた。   ◆  ◆  ◆ 残されたファイズとナスカは一息吐くと共に変身を解除し腰を落とす。 「まったく、開始早々やんなっちまうぜ。紅の奴は結局起きねぇしよ」 「テラー・ドーパントの力は強大だ、生身で受けてはしばらくは起きないだろう……ゴホッゴホッ」 「おい、大丈夫かよ!?」 心配する巧を霧彦は右手でそれを制す。 「大丈夫、癖なんだよ……」 ナスカに変身する事は霧彦の寿命が削られていく事に他ならない。再び死ぬまでどれだけの猶予があるのか、と霧彦は自らの身体に問いかける。 「お前がそう言うならそれ以上は詮索しないけどよ」 巧が立ち上がり、先ほどベノスネイカーの毒液を受けたデイバッグから零れ落ちた支給品の品々を回収していく。 霧彦も巧を手伝う為に辺りを見回す。どうやらデイバッグは音也の物だったらしく巧や霧彦の知らぬ物がいくつか落ちていた。 そんな中一つだけ見覚えのある物を見つける。先ほどの王蛇が使っていたのと同じ物らしきカードが詰められた箱。 巧は使えるかもしれないと判断し、説明書が無いか辺りを確認する。 「乾君、あいつらがまたやってくるかもしれない。お義父さんのメモリは惜しいが、ここは一度離れた方がいい」 「それもそうだけどよ……これの説明書がないんだ、探すの手伝え」 「大丈夫だ、それなら私が見つけた」 座り込んだままの霧彦の右手にヒラヒラと揺れる紙。巧は早く言えよとぶつぶつ呟きつつ回収し終えた支給品を自らのデイバッグに詰めていく。 「よかった、間に合った……」 静かだが妙に存在感のある声に二人は視線を向ける。 ここから最も早く抜け出した白服の青年がそこにはいた。 走ってきたのか身体を震わせ、遠目でも汗をかいている事がわかり、それでいて妙に笑顔で。 「お前……」 「びっくりしちゃうね、またここにくるだけでこんなにドキドキするなんて。すっごく怖かったんだ、本当に……」 「くそ、探知機を見張っているべきだったか……」 警戒する巧と霧彦、しかしそれを無視するかのように白服の青年ダグバは笑い声をあげる。 「ねぇ、もっと僕を怖がらせて、もっと恐怖を与えてよ。僕がリントにしてあげたようにさ。  いいよ、大丈夫だよ。僕も怖がらせてあげるから……」 ガイアドライバーを取り出し腰に装着し、右手に黄金色に輝くメモリを握り締める。 「僕も、皆も恐怖する、それが――」 ――ユートピア!―― ユートピアメモリを差込白服が錆びた黄金色に包まれていく。 繁栄の無い滅ぶだけの理想郷を目指すユートピア・ドーパントがこの場に誕生した。 即座に巧と霧彦もそれぞれの変身アイテムを取り出し変身を行おうとするが、叶わない。 「何だ?うんともすんとも言わねぇ!?」 「どういうことなんだ、頼むナスカ!」 二人はそれぞれ何度もボタンを押すがアイテム達は答えてくれない。 「いいね、その表情いいよ。でも足りないかな……もっともっと怯えようよ」 どこからか取り出した杖をつきながらゆっくりとユートピア・ドーパントが二人に迫る。 「……仕方が無い、乾君。君が先ほど拾ったカードデッキを私に」 「カードデッキって、これの事か!?」 巧が懐から取り出した赤紫色のそれを強引に奪い取りファイズドライバーに反射させる。 すると霧彦の腰にガイアドライバーとは異なる銀色のベルトが装着され―― 「変身!」 赤紫色のカードデッキをバックルに装填し霧彦の身体に虚像が重なりやがて赤紫色の鎧を形成し、ライアへと変身を遂げる。 「私が時間を稼ぐ、乾君はそこの馬鹿を連れてこの場から逃げるんだ」 「お前一人だけに無茶なんかさせるかよ、これ使えるんだろ?」 巧が取り出した黄色のメモリを見つめライアが寂しそうに首を横に振る。 「それはルナメモリといって君や私には使えない。仮面ライダー君でなければ、な」 「なら、しょうがねぇ……」 「そうだ、君は……何!?」 ライアの横で巧の身体が全身銀色の怪物、ウルフオルフェノクへと変化する。 「君は……」 「あぁ、俺は人間じゃない、オルフェノクって化け物だ。軽蔑したか?」 「……驚きはしたよ、だが、今は君のその力にも頼らせてもらおう」 戦闘体勢を整えた二人の戦士を前にユートピア・ドーパントの心は躍る。 「あぁ、君達はどれだけ僕を怖がらせてくれる?お願いだから、すぐに壊れちゃいやだよ?」 【1日目 午後】 【F-6 市街地】 【乾巧@仮面ライダー555】 【時間軸】原作終了後 【状態】恐怖(小)、疲労(中)、ウルフオルフェノクに変身中、仮面ライダーファイズに2時間変身不可 【装備】なし 【道具】支給品一式、ルナメモリ@仮面ライダーW、ファイズギア+ファイズショット@仮面ライダー555 不明支給品1~2 【思考・状況】 1:打倒大ショッカー 2:仲間を探して協力を呼びかける 3:ユートピア・ドーパントへの対処 【備考】 不明支給品は元々は音也の物を回収したものです 【園咲霧彦@仮面ライダーW】 【時間軸】死の直前 【状態】恐怖(小)、疲労(大)、仮面ライダーライアに変身中、 ナスカ・ドーパントに2時間変身不可 【装備】ライアのデッキ@仮面ライダー龍騎 【道具】支給品一式、首輪探知機、ガイアメモリ(ナスカ)+ガイアドライバー@仮面ライダーW 【思考・状況】 1:打倒大ショッカー 2:今度こそ冴子を説得し、帰還後共に風都を守る 3:ユートピア・ドーパントへの対処 4:テラーメモリを手に入れて冴子に認めなおしてもらいたい 5:人間ではなかった乾巧に若干驚き 【備考】 ※ガイアドライバーを使って変身しているため、メモリの副作用がありません。 【紅音也@仮面ライダーキバ】 【時間軸】原作終盤(少なくとも渡を自分の息子と認識している時期) 【状態】気絶 恐怖(中) 疲労(大) 【装備】イクサナックル(プロトタイプ)@仮面ライダーキバ 【道具】なし 【思考・状況】 0:気絶中… 1:最後まで生き残り、元の世界に帰還する 2:女性を見たらとりあえず口説く 【ン・ダグバ・ゼバ@仮面ライダークウガ】 【時間軸】不明 【状態】恐怖(小)、若干ハイ、ユートピア・ドーパントに変身中。怪人体に1時間40分変身不可 【装備】ガイアメモリ(ユートピア)+ガイアドライバー@仮面ライダーW 【道具】支給品一式 【思考・状況】 1:恐怖をもっと味わいたい。楽しみたい 2:目の前の二人が恐怖をもたらしてくれる事を期待 【備考】 ※ガイアドライバーを使って変身しているため、メモリの副作用がありません。   ◆  ◆  ◆ テラー・ドーパントの変身も既に解けてしまった木野薫は住宅の陰の中へと隠れ潜んでいた。 変身が解けた途端に訪れた途方もない疲労感、そして未だに続く右腕の発作。 王蛇から受けたベノクラッシュの傷が疼き木野は思わずうめき声をあげる。 (なんだ、この疲労感は……こいつの、副作用か?今思えばあのスーツの男はベルトのような物をつけた上に使用していた、な) 震える手でテラーメモリを支え、見つめる。強大な力を持つこのメモリを使いこなす事ができるのだろうか。 アギトの力と共に自分は完全に飲み込まれてしまうのではないか、そんな不安に包まれる。 突然メモリが奪われる。木野が何事かと見上げると目の前には茶髪の青年が立っていた。その表情は陰になって伺う事はできない。 「探したぜぇ、大将……」 「その声、あのアンノウン!?人間だったのか……そのメモリを返せ!う、ぐっ……」 立ち上がりメモリを取り返そうとするがすぐに再び座り込んでしまう。 「おつかれかい?そんなにこいつが大切か……」 右手で玩んでいたテラーメモリを茶髪の青年、浅倉は力の限り握り締める。 木野の制止の言葉を無視して力を込め続け、やがてバキバキと音が鳴る。 「ざぁんねぇんでしたぁ……ハァ……」 粉々になったテラーメモリを浅倉は菓子でも食べるかのように口に入れバキボキと何度か噛み砕いた後、飲み込んだ。 「前菜はこんな所かぁ?」 口から口内裂傷による血を流しながら浅倉は呟く。ここにきて初めて木野は浅倉が笑っている事に気がついた。 その木野の眼前に暗闇が迫り、グシャッという音が聞こえる。浅倉の靴底が木野の顔面にめり込んだ。 赤い糸を引きながら靴が離れ、木野は咳き込みながら両腕を交差させ集中力を高めようとする。 だがそんな自由は許さないとばかりに交差させた両腕を浅倉は蹴り上げる。良い音が鳴った。折れたのかもしれない。 痛みに苦しむ木野うめき声を浅倉は笑顔で堪能する。 しかしそれにも飽きたのか拳を木野の顔面へと打ち込む。 右 左 右 左 何度か繰り返した所で反応が無くなった事に気がつき、つばを吐いて浅倉はその場を後にした。 力に呑み込まれ、過去に縛られた男の亡骸だけがその場に残された。 &color(red){【木野薫@仮面ライダーアギト 死亡】} &color(red){ 残り53人} &color(red){【A-7 市街地】付近に支給品一式と木野薫の撲殺死体が放置されています。} 【1日目 午後】 【F-7 市街地】 【浅倉威@仮面ライダー龍騎】 【時間軸】不明 【状態】疲労(中)、ちょっぴり満足感、仮面ライダー王蛇に2時間変身不可 【装備】カードデッキ(王蛇)@仮面ライダー龍騎 【道具】支給品一式、ランダム支給品1~3(確認済) 【思考・状況】 1:イライラするんだよ…… 2:殴るか殴られるかしてないと落ち着かない 【備考】 ※テラーメモリを美味しく食べました。恐らく副作用はありません |033:[[そして、Xする思考]]|投下順|035:[[仮面ライダーになりたくない男]]| |033:[[そして、Xする思考]]|時系列順|035:[[仮面ライダーになりたくない男]]| |016:[[滂沱]]|[[紅音也]]|038:[[風]]| |016:[[滂沱]]|[[乾巧]]|038:[[風]]| |016:[[滂沱]]|[[園咲霧彦]]|038:[[風]]| |016:[[滂沱]]|[[木野薫]]|&color(red){GAME OVER}| |016:[[滂沱]]|[[ン・ダグバ・ゼバ]]|038:[[風]]| |016:[[滂沱]]|[[浅倉威]]|052:[[時(いま)を越えて…]]| ----

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