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*Round ZERO ~KING AND JOKER ◆LuuKRM2PEg 『ブレイドの世界』における、あらゆる生命体の始祖たる怪人。 永劫の時を経て生きる不死の存在、アンデッド。 地球上で覇権を握るため、己と同属の存在を賭けて五十二体のアンデッドが、それぞれ戦いを繰り広げている。 統制者が管理する、バトルファイトという名目の戦い。 それはまるで、大ショッカーが生き残る世界を選定するこの殺し合いと似ていた。 しかし今は、二つのイレギュラーも存在する。 ジョーカーと言う名の、死神が。 そして、このライダーバトルにはたった一体だけ、アンデッドも参加させられている。 アンデッドの中でも、特に高い力と知恵を兼ね揃えている、十二体の上級アンデッド。 その中でも、王(キング)の称号が与えられた四人。 今ここにいるのは、その一角であるダイアスートのカテゴリーキング。 ギラファノコギリクワガタの始祖である、ギラファアンデッドの仮の姿。 金居の名を持つ男が、身体を休めている。 「……武器は、これだけか」 彼は、自分の支給品を再び見直していた。 この戦いに放り込んだ、忌々しい大ショッカー。 奴らの施しを受けるのは癪だが、今は状況が状況だ。 与えられた装備を把握しなければ、足元を掬われかねない。 デイバッグの中に入っていた、銀色の輝きを放つ一丁の拳銃。 説明書によると、人間が扱う物では世界最高の威力を誇るらしい。 デザートイーグルの名が与えられた、自動拳銃。 仮面ライダーやアンデッドのような怪人相手に効くとは思えないが、無いよりはマシだろう。 特に、力が制限されている今の状況では。 「どうやら、この首輪は力を抑える効果もあるようだな」 自信を縛り付ける首輪に指をつけながら、金居は呟く。 数時間前、戦いを繰り広げた同じ世界の住民と思われる男、桐生豪。 降りかかる火の粉を払うために、アンデッドの力を使って追い払う事に成功する。 だが、問題はそこからだ。 あの時の戦いで、いつもより攻撃の手ごたえが無いのを感じる。 そこで念の為、もう一度本来の姿に戻ろうとした。 しかし、何の変化も起こらない。 どうやら、一度力を発揮すると再び使えるまで、ある程度の時間がかかるようだ。 何故そのような事を。という疑問が芽生えたものの、ある仮説を立てる。 もしや、殺し合いにおけるパワーバランスを取るためではないか。 この会場には、幾つもの世界から参加者が連れて来られている。 その中には、恐らくカテゴリーキングやジョーカーと同等、あるいはそれらを軽く凌駕するような化け物もいるに違いない。 これでは、一方的なワンサイドゲームになってしまう。 そうしないために、隙を生んでいるのではないか。 圧倒的な差を埋めるほどの、首輪の効力。 一見すると魅力的だが、過度な期待も出来ない。 (これは、ここにいる全員に共通する事か……) いくら圧倒的強者の隙を狙えると言っても、それは自分にも言えること。 今だって、力を封じられている隙を狙われて、不意を突かれる可能性がある。 こんな状況で襲撃者が現れたら、一溜まりも無い。 今のところは、そんな気配は感じられないが。 「やれやれ、前途多難だな」 金居は荷物をまとめると、溜息とともに愚痴を漏らす。 しかし、ここでぼやいた所で始まらない。 今やるべき事は、参加者同士の潰し合いと情報収集。 仮に参加者に出くわしても、まずは対話からだ。 利用出来る者なら、利用する。 殺し合いに乗った者なら始末する。 それだけの事。 やがて金居は立ち上がる。 世界を守り、種の絶対なる繁栄を目指して。 仮面ライダーと、それに仇なす怪人達が放り込まれた戦場。 その中では、あまり『当たり』の部類に入るとは呼べないデザートイーグル。 だが、金居に支給されたのはそれだけではない。 一つ目は、大ショッカーに利用された門矢小夜が、幼少の頃より身につけていた物。 地の石がデイバッグの中で、輝きを放っていた。 彼女は預言の大神官、大神官ビシュムに覚醒した際にそれを使って、仮面ライダークウガを己の手中に収める。 全てを破壊する邪悪なる雷神、ライジングアルティメットの力を与えて。 もう一つは『555の世界』を代表する仮面ライダー、ファイズの能力を解放するためのアイテム。 スマートブレイン社が開発した、腕時計型アタッチメント。 仮面ライダーファイズが、超高速に特化した形態であるアクセルフォームに変化するための装備、ファイズアクセル。 三つの支給品は、金居に何をもたらすのか。 【1日目 午後】 【B-5 道路】 【金居@仮面ライダー剣】 【時間軸】第42話終了後 【状態】健康 ギラファアンデッドに三十分変身不可 【装備】デザートイーグル@現実 【道具】支給品一式、地の石@劇場版仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー、ファイズアクセル@仮面ライダー555 【思考・状況】 1:自分の世界の勝利を目指す為、他の世界の参加者同士で潰し合わせる。能動的に戦うつもりはない。 2:他の世界、及び大ショッカーの情報を集める。 3:自分の世界の仮面ライダーは利用出来るなら利用する。アンデッドには遭遇したくない。 【備考】 ※アンデッドが致命傷を受ければ封印(=カード化)されると考えています ※首輪が自身の力に制限をかけていることに気づきました ◆ エリアB-6に建てられた、巨大なホテル。 その一階ロビーに、四つの人影があった。 『電王の世界』を代表する仮面ライダー、電王に変身する野上良太郎。 『555の世界』に存在する企業、スマートブレインを束ねる村上峡児。 『響鬼の世界』で己を鍛えて鬼を目指す少女、天美あきら。 そして、もう一人。 「いや……ここに来て正解ですよ。まさか、野上さん達みたいな人がいるとは」 「僕達も心強いですよ。志村さんみたいな人と出会えるなんて」 良太郎はホテルに現れた人物に、笑顔を向けていた。 先程、殺し合いに乗ると宣言して飛び出した、鳴海亜紀子を葦原涼が追ってから、数時間後の事。 志村純一と名乗る青年が、三人の前に現れたのだ。 そして、互いに情報交換を行う。 ただし、ウラタロスの意志を借りて。 このような状況では、彼のように口の上手い者が前に出るのが、ベストだった。 いくら友好的な態度を見せても、それが仮の姿である可能性もある。 そのような人物に、考えも無しに全ての情報を渡しては、殺される可能性が高い。 だから、言うにしても相手が出すペースに合わせていた。 人の記憶を読み取り、過去を変えようとするイマジンという怪人。 時を越える列車、デンライナーとゼロライナー。 牙王という、危険人物。 精々、それに関する事しか話していない。 同じ世界の住民であるモモタロスやリュウタロス、電王の詳細な能力は、信頼できるまで話さないつもりだ。 「志村さんは、そのグレイブってライダーに変身して、アンデットという化け物と戦っていると」 「そうですね。そして僕の先輩である、剣崎さんと橘チーフもこんな戦いに連れてこられていて……」 「なるほど」 良太郎の身体に潜むウラタロスは、志村の言葉に頷く。 これまでの情報交換で、相手の世界についていくつか把握できた。 まず志村の世界には、アンデッドという不死の化け物が、互いに戦いながら人を襲っているらしい。 その脅威を少しでも防ぐために、ラウズカードというのを使う仮面ライダーが存在する。 自分の世界と似ているが、こちらではどうやら職業と似たような扱いらしい。 そして志村の先輩がこの戦場に、二人も連れてこられている。 剣崎一真と橘朔也。 もしも彼の情報が本当なら、合流を目指したい。 (そして、相川始って奴が世界を破滅させる化け物、ジョーカーって奴ね……) 志村と話している最中に、危険人物の存在を知る。 相川始という男。 表向きは、仮面ライダーと共にアンデッドを封印していた戦士の一人らしい。 しかしその本性は、世界を破滅寸前にまで追い込んだ、ジョーカーという怪物のようだ。 本来は既に封印されていたはずだが、名前が書かれている。 真実かどうかは分からないが、一応警戒だけはしておくべき。 「そういえば志村さん、貴方は確か白い怪物に襲われたんでしたっけ……?」 「ええ、いきなり不意を付かれて……何とか対抗したのですが、逃げられてしまい……申し訳ありません」 志村は暗い表情を浮かべながら、謝罪の言葉を告げる。 彼の話によると、いきなり襲いかかった白い怪物は、雷や嵐を呼び寄せるらしい。 戦闘力はかなりの物だったが、どうにかして追い払った。 そう語る志村に対して、あきらは真摯な瞳を向ける。 「志村さん、気を落としちゃ駄目です。無事だったから、それで充分ですよ」 「……ありがとう、あきらちゃん」 志村が笑うのに合わせて、あきらも柔らかい笑みを浮かべた。 その様子を、U良太郎は横目で見ている。 そうして、彼らの情報交換を終えた。 そして、これからのことも決める。 まず、亜紀子を追った涼が来るまでホテルに待つこと。 それまでは、周りの警戒のみ。 その最中、U良太郎は誰もいない部屋に、あきらを呼びつけた。 別に口説こうというわけではない。 本当はそうしたいが、今はそれよりも大事なことを教えるべきだ。 「あの、どうかしたんですか? 良太郎さん……」 「あきらちゃん。こういう所では、あまり自分のことをペラペラ喋るのは良くないよ?」 「えっ?」 唐突な発言に、あきらは目をパチクリとさせる。 その仕草を見て、U良太郎は愛嬌を感じたが、本能を押さえた。 「あまり、人を信じすぎちゃいけないよ。 いいね?」 「はぁ……わかりました」 U良太郎は釘を刺すが、あきらは納得することができない。 空返事を返すことしか出来なかった。 ◆ (ウラタロス……一体どうしたの? 志村さんと話してから、ちょっと変だよ) (そうや亀の字! お前、何考えとるん?) 良太郎とキンタロスは、意識の中でウラタロスに話しかける。 ホテルに志村が現れてから、様子がどうにもおかしいと感じたため。 (いや……どうにも、あの志村って人が胡散臭いなって思ってね) (胡散臭い? お前がそれを言える立場か?) (ハハッ、そうかもね) 疑問を口にするキンタロスに、ウラタロスは笑いながら返す。 しかし、今はふざけている場合ではない。 (……あの人から、血の臭いがしたんだよ) (血の臭い? でも、志村さんはここに来る途中に白い化け物と戦ったって言ってたよ) (そうだよ。でもね、僕の勘が言ってるんだよ……何か、やばそうってね) 良太郎の言い分は、もっともだった。 むしろ、そういう風に判断するのが普通かもしれない。 しかしそれでも、ウラタロスは志村を完全に信用していなかった。 彼はこれまで、詐欺師として多くの嘘をついてきている。 そして、数え切れないほどの嘘を見破ってきた。 その為か、嘘をつく人間が持つ、独特のオーラを読み取ることが出来るようになる。 先程から話した結果、志村はそれを持っているように見えた。 (……そんなん、亀の字の勘違いやないのか?) (だといいけどね) キンタロスの言葉通りに、出来ることならただの勘違いであって欲しい。 そう願っているが、ここは生き残る世界を選定する戦場。 楽観的に考えることは、出来なかった。 そんな良太郎のデイバッグに、ある武器が眠っている。 『キバの世界』を代表する仮面ライダー、仮面ライダーキバがフォームチェンジをするのに必要な道具。 ドッガフォームの変身に必要な武器、魔鉄槌ドッガハンマー。 そして、本来の持ち主である紅渡も近くのエリアにいる。 一体、どのような運命を導き出すか。 ◆ 「よろしくお願いします、村上さん」 「ええ、こちらこそ」 村上峡児は、ビジネスの取引をするときに浮かべるような笑みを、志村に向けている。 良太郎とあきらが、新しく仲間に引き入れたこの男。 あの二人は信用しているようだが、そんなのは下の下の考えだ。 油断していては、いつ寝首をかかれてもおかしくない。 まあ、精々利用させてもらおう。 (それにしても、オーガ……ですか) 村上の意識は、デイバッグの中に向いていた。 先程から、騒動が続いたせいで確認できなかった支給品。 その一つに『555の世界』の遠くない未来、どこかの国で使われているはずの、帝王のベルトが存在していたのだ。 スマートブレイン社が率いるオルフェノクによって、支配された世界で木場勇治が使用していた地のベルト。 仮面ライダーオーガへの変身を可能とさせる、比類無き力が封印されたオーガギア。 ここにいる村上は本来その存在を知らないが、だからこそ興味を抱かせていた。 だが、オーガギアばかりに目を向けている場合ではない。 このままでは、大ショッカーの言いなりとなって本当に殺し合いに乗らざるを得ない状況が、来ることもあり得る。 別に下の下の存在を葬ることに抵抗はない。 しかし、それはプライドが許さなかった。 今はこの三人と、行動を共にするしかないだろう。 現状を打破するには、駒があまりにも足りない。 (まさか、こんな所で便利な奴らと三人も出会えるとはな……!) 一方で、志村も考えていた。 医者と自称した井坂深紅郎を殺してから、体を休めるためにホテルに入る。 だがそこで、戦いを打倒しようとしている三人の人間と出会った。 そして、可能な限りの情報を渡して、集団に取り入る。 ここにいる全員、最初に出会った園田真理とは違って、何かしらの戦力を持っているようだ。 (どうやら、ここに来て正解だったようだな。さて、精々お前達には頑張って貰わないとな!) 村上には爽やかな笑顔を見せながら、志村は心の中で大笑いをする。 これだけの手駒があるなら、戦闘は任せられる上にいざという時の盾としても便利。 使えなくなったら、葬ればいいだけだ。 オルフェノクを束ねる薔薇と、白の鬼札・ジョーカーは笑う。 その心の中に、闇を潜ませながら。 【1日目 午後】 【B-6 ホテル】 【天美 あきら@仮面ライダー響鬼】 【時間軸】 41話終了後 【状態】全身に軽度の怪我  【装備】鬼笛@仮面ライダー響鬼 【道具】支給品一式、ニビイロヘビ@仮面ライダー響鬼、サソードヤイバー@仮面ライダーカブト、不明支給品(0~1 確認済) 【思考・状況】 0:ホテルの付近で涼を待つ。 1:人を助けるため、自分に出来ることをやる。 2:知り合いと合流する。 3:村上が人を襲うことがあれば、止める。 【野上良太郎@仮面ライダー電王】 【時間軸】第38話終了後 【状態】健康  【装備】デンオウベルト&ライダーパス@仮面ライダー電王 【道具】支給品一式、ドッガハンマー@仮面ライダーキバ 【思考・状況】 1:とりあえず、殺し合いには乗らない。 2:あきら、村上、志村と一緒に行動する。涼が戻ってくるのを待つ。 3:亜樹子が心配。一体どうしたんだろう… 4:モモタロス、リュウタロスを捜す。 5:殺し合いに乗っている人物に警戒 6:電王に変身できなかったのは何故…? 7:剣崎一真、橘朔也との合流を目指したい。相川始を警戒。 【備考】 ※ ハナが劇中で述べていた「イマジンによって破壊された世界」は「ライダーによって破壊された世界」ではないかと考えています。確証はしていません。 ※ キンタロス、ウラタロスが憑依しています。 ※ ウラタロスは志村に警戒を抱いています。 ※ ブレイドの世界の大まかな情報を得ました。 【村上峡児@仮面ライダー555】 【時間軸】不明 少なくとも死亡前 【状態】腹部に痛み バードメモリに溺れ気味 【装備】オーガギア@劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト 【道具】支給品一式、バードメモリ@仮面ライダーW 不明支給品×1(確認済み) 【思考・状況】 1:殺し合いには乗らないが、不要なものは殺す。 2:あきら、良太郎らと行動するが、彼らに情は移していない。 3:亜樹子の逃走や、それを追った涼にはあまり感心が沸かない。 4:志村に若干の警戒 【志村純一@仮面ライダー剣MISSING ACE】 【時間軸】不明 【状態】全身の各所に火傷と凍傷 アルビノジョーカー及びグレイブに十分変身不可 【装備】グレイブバックル@仮面ライダー剣MISSING ACE、オルタナティブ・ゼロのデッキ@仮面ライダー龍騎、パーフェクトゼクター@仮面ライダーカブト 【道具】支給品一式×3(ただし必要なもののみ入れてます)、ZECT-GUN(分離中)@仮面ライダーカブト、トライアクセラー@仮面ライダークウガ 【思考・状況】 1:自分が支配する世界を守る為、剣の世界を勝利へ導く。 2:人前では仮面ライダーグレイブとしての善良な自分を演じる。 3:誰も見て居なければアルビノジョーカーとなって少しずつ参加者を間引いていく。 4:この集団の中に潜み、利用する。 【備考】 ※555の世界の大まかな情報を得ました。 ※電王世界の大まかな情報を得ました。 ※ただし、同じ世界の仲間や電王の具体的な戦闘スタイルは、ウラタロスが意図的に伏せています。 本来の歴史なら、出会うはずが無かった王と死神。 彼らの距離は、確実に縮んでいく。 そして不死の存在達の近くでは、戦いが繰り広げられていた。 もしも、この戦場で出会ってしまったら、一体どうなるのか。 それはまだ、誰にも分からない。 |049:[[メモリと勘違いと呪い]]|投下順|051:[[綺想曲♭もう一人のカブトと音也]]| |049:[[メモリと勘違いと呪い]]|時系列順|051:[[綺想曲♭もう一人のカブトと音也]]| |037:[[敵か味方か?]]|[[金居]]|059:[[Round ZERO ~ WORM INVASIVE]]| |027:[[Iは流れる/朽ち果てる]]|[[志村純一]]|065:[[魔王新生♪ルーツ・オブ・ザ・キング(前編)]]| |033:[[そして、Xする思考]]|[[天美あきら]]|065:[[魔王新生♪ルーツ・オブ・ザ・キング(前編)]]| |033:[[そして、Xする思考]]|[[野上良太郎]]|065:[[魔王新生♪ルーツ・オブ・ザ・キング(前編)]]| |033:[[そして、Xする思考]]|[[村上峡児]]|065:[[魔王新生♪ルーツ・オブ・ザ・キング(前編)]]| ----
*Round ZERO ~KING AND JOKER ◆LuuKRM2PEg 『ブレイドの世界』における、あらゆる生命体の始祖たる怪人。 永劫の時を経て生きる不死の存在、アンデッド。 地球上で覇権を握るため、己と同属の存在を賭けて五十二体のアンデッドが、それぞれ戦いを繰り広げている。 統制者が管理する、バトルファイトという名目の戦い。 それはまるで、大ショッカーが生き残る世界を選定するこの殺し合いと似ていた。 しかし今は、二つのイレギュラーも存在する。 ジョーカーと言う名の、死神が。 そして、このライダーバトルにはたった一体だけ、アンデッドも参加させられている。 アンデッドの中でも、特に高い力と知恵を兼ね揃えている、十二体の上級アンデッド。 その中でも、王(キング)の称号が与えられた四人。 今ここにいるのは、その一角であるダイアスートのカテゴリーキング。 ギラファノコギリクワガタの始祖である、ギラファアンデッドの仮の姿。 金居の名を持つ男が、身体を休めている。 「……武器は、これだけか」 彼は、自分の支給品を再び見直していた。 この戦いに放り込んだ、忌々しい大ショッカー。 奴らの施しを受けるのは癪だが、今は状況が状況だ。 与えられた装備を把握しなければ、足元を掬われかねない。 デイバッグの中に入っていた、銀色の輝きを放つ一丁の拳銃。 説明書によると、人間が扱う物では世界最高の威力を誇るらしい。 デザートイーグルの名が与えられた、自動拳銃。 仮面ライダーやアンデッドのような怪人相手に効くとは思えないが、無いよりはマシだろう。 特に、力が制限されている今の状況では。 「どうやら、この首輪は力を抑える効果もあるようだな」 自信を縛り付ける首輪に指をつけながら、金居は呟く。 数時間前、戦いを繰り広げた同じ世界の住民と思われる男、桐生豪。 降りかかる火の粉を払うために、アンデッドの力を使って追い払う事に成功する。 だが、問題はそこからだ。 あの時の戦いで、いつもより攻撃の手ごたえが無いのを感じる。 そこで念の為、もう一度本来の姿に戻ろうとした。 しかし、何の変化も起こらない。 どうやら、一度力を発揮すると再び使えるまで、ある程度の時間がかかるようだ。 何故そのような事を。という疑問が芽生えたものの、ある仮説を立てる。 もしや、殺し合いにおけるパワーバランスを取るためではないか。 この会場には、幾つもの世界から参加者が連れて来られている。 その中には、恐らくカテゴリーキングやジョーカーと同等、あるいはそれらを軽く凌駕するような化け物もいるに違いない。 これでは、一方的なワンサイドゲームになってしまう。 そうしないために、隙を生んでいるのではないか。 圧倒的な差を埋めるほどの、首輪の効力。 一見すると魅力的だが、過度な期待も出来ない。 (これは、ここにいる全員に共通する事か……) いくら圧倒的強者の隙を狙えると言っても、それは自分にも言えること。 今だって、力を封じられている隙を狙われて、不意を突かれる可能性がある。 こんな状況で襲撃者が現れたら、一溜まりも無い。 今のところは、そんな気配は感じられないが。 「やれやれ、前途多難だな」 金居は荷物をまとめると、溜息とともに愚痴を漏らす。 しかし、ここでぼやいた所で始まらない。 今やるべき事は、参加者同士の潰し合いと情報収集。 仮に参加者に出くわしても、まずは対話からだ。 利用出来る者なら、利用する。 殺し合いに乗った者なら始末する。 それだけの事。 やがて金居は立ち上がる。 世界を守り、種の絶対なる繁栄を目指して。 仮面ライダーと、それに仇なす怪人達が放り込まれた戦場。 その中では、あまり『当たり』の部類に入るとは呼べないデザートイーグル。 だが、金居に支給されたのはそれだけではない。 一つ目は、大ショッカーに利用された門矢小夜が、幼少の頃より身につけていた物。 地の石がデイバッグの中で、輝きを放っていた。 彼女は預言の大神官、大神官ビシュムに覚醒した際にそれを使って、仮面ライダークウガを己の手中に収める。 全てを破壊する邪悪なる雷神、ライジングアルティメットの力を与えて。 もう一つは『555の世界』を代表する仮面ライダー、ファイズの能力を解放するためのアイテム。 スマートブレイン社が開発した、腕時計型アタッチメント。 仮面ライダーファイズが、超高速に特化した形態であるアクセルフォームに変化するための装備、ファイズアクセル。 三つの支給品は、金居に何をもたらすのか。 【1日目 午後】 【B-5 道路】 【金居@仮面ライダー剣】 【時間軸】第42話終了後 【状態】健康 ギラファアンデッドに三十分変身不可 【装備】デザートイーグル@現実 【道具】支給品一式、地の石@劇場版仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー、ファイズアクセル@仮面ライダー555 【思考・状況】 1:自分の世界の勝利を目指す為、他の世界の参加者同士で潰し合わせる。能動的に戦うつもりはない。 2:他の世界、及び大ショッカーの情報を集める。 3:自分の世界の仮面ライダーは利用出来るなら利用する。アンデッドには遭遇したくない。 【備考】 ※アンデッドが致命傷を受ければ封印(=カード化)されると考えています ※首輪が自身の力に制限をかけていることに気づきました ◆ エリアB-6に建てられた、巨大なホテル。 その一階ロビーに、四つの人影があった。 『電王の世界』を代表する仮面ライダー、電王に変身する野上良太郎。 『555の世界』に存在する企業、スマートブレインを束ねる村上峡児。 『響鬼の世界』で己を鍛えて鬼を目指す少女、天美あきら。 そして、もう一人。 「いや……ここに来て正解ですよ。まさか、野上さん達みたいな人がいるとは」 「僕達も心強いですよ。志村さんみたいな人と出会えるなんて」 良太郎はホテルに現れた人物に、笑顔を向けていた。 先程、殺し合いに乗ると宣言して飛び出した、鳴海亜紀子を葦原涼が追ってから、数時間後の事。 志村純一と名乗る青年が、三人の前に現れたのだ。 そして、互いに情報交換を行う。 ただし、ウラタロスの意志を借りて。 このような状況では、彼のように口の上手い者が前に出るのが、ベストだった。 いくら友好的な態度を見せても、それが仮の姿である可能性もある。 そのような人物に、考えも無しに全ての情報を渡しては、殺される可能性が高い。 だから、言うにしても相手が出すペースに合わせていた。 人の記憶を読み取り、過去を変えようとするイマジンという怪人。 時を越える列車、デンライナーとゼロライナー。 牙王という、危険人物。 精々、それに関する事しか話していない。 同じ世界の住民であるモモタロスやリュウタロス、電王の詳細な能力は、信頼できるまで話さないつもりだ。 「志村さんは、そのグレイブってライダーに変身して、アンデットという化け物と戦っていると」 「そうですね。そして僕の先輩である、剣崎さんと橘チーフもこんな戦いに連れてこられていて……」 「なるほど」 良太郎の身体に潜むウラタロスは、志村の言葉に頷く。 これまでの情報交換で、相手の世界についていくつか把握できた。 まず志村の世界には、アンデッドという不死の化け物が、互いに戦いながら人を襲っているらしい。 その脅威を少しでも防ぐために、ラウズカードというのを使う仮面ライダーが存在する。 自分の世界と似ているが、こちらではどうやら職業と似たような扱いらしい。 そして志村の先輩がこの戦場に、二人も連れてこられている。 剣崎一真と橘朔也。 もしも彼の情報が本当なら、合流を目指したい。 (そして、相川始って奴が世界を破滅させる化け物、ジョーカーって奴ね……) 志村と話している最中に、危険人物の存在を知る。 相川始という男。 表向きは、仮面ライダーと共にアンデッドを封印していた戦士の一人らしい。 しかしその本性は、世界を破滅寸前にまで追い込んだ、ジョーカーという怪物のようだ。 本来は既に封印されていたはずだが、名前が書かれている。 真実かどうかは分からないが、一応警戒だけはしておくべき。 「そういえば志村さん、貴方は確か白い怪物に襲われたんでしたっけ……?」 「ええ、いきなり不意を付かれて……何とか対抗したのですが、逃げられてしまい……申し訳ありません」 志村は暗い表情を浮かべながら、謝罪の言葉を告げる。 彼の話によると、いきなり襲いかかった白い怪物は、雷や嵐を呼び寄せるらしい。 戦闘力はかなりの物だったが、どうにかして追い払った。 そう語る志村に対して、あきらは真摯な瞳を向ける。 「志村さん、気を落としちゃ駄目です。無事だったから、それで充分ですよ」 「……ありがとう、あきらちゃん」 志村が笑うのに合わせて、あきらも柔らかい笑みを浮かべた。 その様子を、U良太郎は横目で見ている。 そうして、彼らの情報交換を終えた。 そして、これからのことも決める。 まず、亜紀子を追った涼が来るまでホテルに待つこと。 それまでは、周りの警戒のみ。 その最中、U良太郎は誰もいない部屋に、あきらを呼びつけた。 別に口説こうというわけではない。 本当はそうしたいが、今はそれよりも大事なことを教えるべきだ。 「あの、どうかしたんですか? 良太郎さん……」 「あきらちゃん。こういう所では、あまり自分のことをペラペラ喋るのは良くないよ?」 「えっ?」 唐突な発言に、あきらは目をパチクリとさせる。 その仕草を見て、U良太郎は愛嬌を感じたが、本能を押さえた。 「あまり、人を信じすぎちゃいけないよ。 いいね?」 「はぁ……わかりました」 U良太郎は釘を刺すが、あきらは納得することができない。 空返事を返すことしか出来なかった。 ◆ (ウラタロス……一体どうしたの? 志村さんと話してから、ちょっと変だよ) (そうや亀の字! お前、何考えとるん?) 良太郎とキンタロスは、意識の中でウラタロスに話しかける。 ホテルに志村が現れてから、様子がどうにもおかしいと感じたため。 (いや……どうにも、あの志村って人が胡散臭いなって思ってね) (胡散臭い? お前がそれを言える立場か?) (ハハッ、そうかもね) 疑問を口にするキンタロスに、ウラタロスは笑いながら返す。 しかし、今はふざけている場合ではない。 (……あの人から、血の臭いがしたんだよ) (血の臭い? でも、志村さんはここに来る途中に白い化け物と戦ったって言ってたよ) (そうだよ。でもね、僕の勘が言ってるんだよ……何か、やばそうってね) 良太郎の言い分は、もっともだった。 むしろ、そういう風に判断するのが普通かもしれない。 しかしそれでも、ウラタロスは志村を完全に信用していなかった。 彼はこれまで、詐欺師として多くの嘘をついてきている。 そして、数え切れないほどの嘘を見破ってきた。 その為か、嘘をつく人間が持つ、独特のオーラを読み取ることが出来るようになる。 先程から話した結果、志村はそれを持っているように見えた。 (……そんなん、亀の字の勘違いやないのか?) (だといいけどね) キンタロスの言葉通りに、出来ることならただの勘違いであって欲しい。 そう願っているが、ここは生き残る世界を選定する戦場。 楽観的に考えることは、出来なかった。 そんな良太郎のデイバッグに、ある武器が眠っている。 『キバの世界』を代表する仮面ライダー、仮面ライダーキバがフォームチェンジをするのに必要な道具。 ドッガフォームの変身に必要な武器、魔鉄槌ドッガハンマー。 そして、本来の持ち主である紅渡も近くのエリアにいる。 一体、どのような運命を導き出すか。 ◆ 「よろしくお願いします、村上さん」 「ええ、こちらこそ」 村上峡児は、ビジネスの取引をするときに浮かべるような笑みを、志村に向けている。 良太郎とあきらが、新しく仲間に引き入れたこの男。 あの二人は信用しているようだが、そんなのは下の下の考えだ。 油断していては、いつ寝首をかかれてもおかしくない。 まあ、精々利用させてもらおう。 (それにしても、オーガ……ですか) 村上の意識は、デイバッグの中に向いていた。 先程から、騒動が続いたせいで確認できなかった支給品。 その一つに『555の世界』の遠くない未来、どこかの国で使われているはずの、帝王のベルトが存在していたのだ。 スマートブレイン社が率いるオルフェノクによって、支配された世界で木場勇治が使用していた地のベルト。 仮面ライダーオーガへの変身を可能とさせる、比類無き力が封印されたオーガギア。 ここにいる村上は本来その存在を知らないが、だからこそ興味を抱かせていた。 だが、オーガギアばかりに目を向けている場合ではない。 このままでは、大ショッカーの言いなりとなって本当に殺し合いに乗らざるを得ない状況が、来ることもあり得る。 別に下の下の存在を葬ることに抵抗はない。 しかし、それはプライドが許さなかった。 今はこの三人と、行動を共にするしかないだろう。 現状を打破するには、駒があまりにも足りない。 (まさか、こんな所で便利な奴らと三人も出会えるとはな……!) 一方で、志村も考えていた。 医者と自称した井坂深紅郎を殺してから、体を休めるためにホテルに入る。 だがそこで、戦いを打倒しようとしている三人の人間と出会った。 そして、可能な限りの情報を渡して、集団に取り入る。 ここにいる全員、最初に出会った園田真理とは違って、何かしらの戦力を持っているようだ。 (どうやら、ここに来て正解だったようだな。さて、精々お前達には頑張って貰わないとな!) 村上には爽やかな笑顔を見せながら、志村は心の中で大笑いをする。 これだけの手駒があるなら、戦闘は任せられる上にいざという時の盾としても便利。 使えなくなったら、葬ればいいだけだ。 オルフェノクを束ねる薔薇と、白の鬼札・ジョーカーは笑う。 その心の中に、闇を潜ませながら。 【1日目 午後】 【B-6 ホテル】 【天美 あきら@仮面ライダー響鬼】 【時間軸】 41話終了後 【状態】全身に軽度の怪我  【装備】鬼笛@仮面ライダー響鬼 【道具】支給品一式、ニビイロヘビ@仮面ライダー響鬼、サソードヤイバー@仮面ライダーカブト、不明支給品(0~1 確認済) 【思考・状況】 0:ホテルの付近で涼を待つ。 1:人を助けるため、自分に出来ることをやる。 2:知り合いと合流する。 3:村上が人を襲うことがあれば、止める。 【野上良太郎@仮面ライダー電王】 【時間軸】第38話終了後 【状態】健康  【装備】デンオウベルト&ライダーパス@仮面ライダー電王 【道具】支給品一式、ドッガハンマー@仮面ライダーキバ 【思考・状況】 1:とりあえず、殺し合いには乗らない。 2:あきら、村上、志村と一緒に行動する。涼が戻ってくるのを待つ。 3:亜樹子が心配。一体どうしたんだろう… 4:モモタロス、リュウタロスを捜す。 5:殺し合いに乗っている人物に警戒 6:電王に変身できなかったのは何故…? 7:剣崎一真、橘朔也との合流を目指したい。相川始を警戒。 【備考】 ※ ハナが劇中で述べていた「イマジンによって破壊された世界」は「ライダーによって破壊された世界」ではないかと考えています。確証はしていません。 ※ キンタロス、ウラタロスが憑依しています。 ※ ウラタロスは志村に警戒を抱いています。 ※ ブレイドの世界の大まかな情報を得ました。 【村上峡児@仮面ライダー555】 【時間軸】不明 少なくとも死亡前 【状態】腹部に痛み バードメモリに溺れ気味 【装備】オーガギア@劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト 【道具】支給品一式、バードメモリ@仮面ライダーW 不明支給品×1(確認済み) 【思考・状況】 1:殺し合いには乗らないが、不要なものは殺す。 2:あきら、良太郎らと行動するが、彼らに情は移していない。 3:亜樹子の逃走や、それを追った涼にはあまり感心が沸かない。 4:志村に若干の警戒 【志村純一@仮面ライダー剣MISSING ACE】 【時間軸】不明 【状態】全身の各所に火傷と凍傷 アルビノジョーカー及びグレイブに十分変身不可 【装備】グレイブバックル@仮面ライダー剣MISSING ACE、オルタナティブ・ゼロのデッキ@仮面ライダー龍騎、パーフェクトゼクター@仮面ライダーカブト 【道具】支給品一式×3(ただし必要なもののみ入れてます)、ZECT-GUN(分離中)@仮面ライダーカブト、トライアクセラー@仮面ライダークウガ 【思考・状況】 1:自分が支配する世界を守る為、剣の世界を勝利へ導く。 2:人前では仮面ライダーグレイブとしての善良な自分を演じる。 3:誰も見て居なければアルビノジョーカーとなって少しずつ参加者を間引いていく。 4:この集団の中に潜み、利用する。 【備考】 ※555の世界の大まかな情報を得ました。 ※電王世界の大まかな情報を得ました。 ※ただし、同じ世界の仲間や電王の具体的な戦闘スタイルは、ウラタロスが意図的に伏せています。 本来の歴史なら、出会うはずが無かった王と死神。 彼らの距離は、確実に縮んでいく。 そして不死の存在達の近くでは、戦いが繰り広げられていた。 もしも、この戦場で出会ってしまったら、一体どうなるのか。 それはまだ、誰にも分からない。 |049:[[メモリと勘違いと呪い]]|投下順|051:[[綺想曲♭もう一人のカブトと音也]]| |049:[[メモリと勘違いと呪い]]|時系列順|051:[[綺想曲♭もう一人のカブトと音也]]| |037:[[敵か味方か?]]|[[金居]]|059:[[Round ZERO ~ WORM INVASIVE]]| |027:[[Iは流れる/朽ち果てる]]|[[志村純一]]|065:[[魔皇新生♪ルーツ・オブ・ザ・キング(前編)]]| |033:[[そして、Xする思考]]|[[天美あきら]]|~| |~|[[野上良太郎]]|~| |~|[[村上峡児]]|~| ----

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