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*究極の路線へのチケット ◆7pf62HiyTE  ――其の牙はやがて全ての物を喰い尽くす為だけ存在している――  一台のバイクが走る――  そのバイクはマシンキバー――ファンガイアのキングの証たるキバの鎧を纏った戦士に与えられた『真紅の鉄馬』とも呼ばれているバイクだ。  無論、今現在それは本来の持ち主が騎乗しているわけではない。  だが、その者にそれが支給されたのは偶然ではなく必然だったのかも知れない――  何故なら彼もある意味では『キバ』の『キング』なのだから――  今まで話に出てこなかった事について不思議に思う方も多いだろう。  その理由は至極単純、単純に今まで話に上がらなかったというだけなのだ。  マシンキバーは彼の最初の地点の近くに置かれていた。  無論、確認だけはすぐにしたがすぐにそれを使おうとはしなかった。  近くにいた男性を喰らおうと戦いを仕掛けたからだ。  その際に駆けつけた仮面ライダーや怪人と戦いの後、支給品であったメモリの確認を終えてからマシンキバーの元に戻ったという事だ。  その後は戦いで疲弊した身体を休めつつ戦いの音を聞きつけマシンキバーの性能を確かめつつ激闘の跡地へ移動、  それからアテもなくホテル近くまで移動し、そこで一旦マシンキバーを隠した。  森の中ならともかく平野等では目立つ、目を離した隙に奪われる事は避けたい故である。  その後は既に語られた通りアテもなく歩いていたら戦いの場に遭遇し、戦っている者達を喰らうべく乱入した。  その戦いの後、隠してあったマシンキバーの元へ戻り再びアテのない移動を始めたという事だ――  ――欲しい物は奪う主義――  戦いの後、彼はその跡地にて1つの首輪を見つけていた。  自身同様参加者の首に填められているものだ。無論、それだけでは誰のかは不明――  だが、恐らくは先の戦いで散った者の首輪なのは想像に難くない。  いや、彼はそれが誰の物かおおよそ気付いていた――  それはあの場で戦った白い鎧を身に纏った『王』と自称した男――  その者の首輪なのだろう。  状況証拠は一応存在する。  先の戦い『王』はある参加者に執着していた。詳しい事情に興味は無いが恐らく『王』にとっての『獲物』なのだろう。  さて、彼と『王』が戦っている最中、『獲物』は最初に仕掛けた女が纏っていた鎧を纏って仕掛けてきた。  そして『王』と『獲物』は彼を放置して戦い出す。放置された事に苛立ちつつも介入しようとしたがそれは出来なかった。  彼自身にとっての因縁の相手、小物であり雑魚であるが決して油断のならない存在である特異点野上良太郎とそのイマジン達が現れたのだ。  彼はイマジンが憑依している良太郎が変身した電王と戦った。  その最中、ある者が介入してきたのだ。それはこれまた彼自身にとって因縁のあるゼロノス――  だが、変身者は本来の所有者桜井侑斗ではない。  それでも誰かについては声で判った。『王』が執着していた『獲物』という事が――  その後は電王にも『獲物』にも逃げられいつの間にか最初に仕掛けた相手である女もいなくなり自分だけが残ったというわけだ。  ここで1つ疑問が出てくる。一体『王』は何処に消えたのだろうか?  いつの間にか逃げた? いや、『王』の執着具合から考え『獲物』を放置して逃げる等まず有り得ない。  だとすれば考えられる可能性は1つ――  彼と電王が戦っている間に『獲物』が『王』を仕留めたという事――  その後、『獲物』は彼を倒すべく仕掛けたという事だ。  ――と、長々と推測レベルの話をしたが実の所彼はそこまで考えてはいない。  それは闘争の本能あるいは長年の経験から生じる直感――  そこから『王』が『獲物』に喰われ首輪だけを残して消えたと判断したのだ。  理屈などどうでもよい、彼自身がそう感じたという事だ。  死体が残らなかった事も問題ではない、そもそも自分自身前に倒された時は砂になったわけだからそれと似たものだろう。  彼が感じるのは悔しさ、  『王』の実力は彼自身が戦った中でも最上級、それを知らない所で喰われたのが悔しかったのだ。  上等な獲物は喰われ、それ以外の小物には逃げられてばかり、それ故に満たされない想いを感じていた。  首輪を手に入れた事については特に理由はない。  それで『王』が勝手に喰われた悔しさを慰められる等とは全く思っていない。  只、拾っておこうと思っただけだ。  逃げた電王達が何処に向かったかについてはある程度推測出来る。  近くのホテルに向かえば遭遇出来る可能性は高いだ。  だが、それがわかった所で乗り気にはならなかった。  何時もならば乗り込んでも良かったが今回は事情が少々異なる。  この戦いで変身手段を使い切った為、当面――少なくても2時間は戦えない。  また、仮に1つ程度変身手段が残っていても、そこにいる連中は恐らく小物、そんな小物を喰らうのに変身するのは勿体ないと考えたのだ。  柄にもない考えではある。だが大物と出会った時に変身出来ず喰らえないというのは面白くない。  それ故にこの場ではホテルには向かわず、マシンキバーの元へ戻り移動を始めたという事だ。  ――詰まらぬ物が多すぎる、相応しい獲物を此の手に――  先の戦いから少し経った後、東京タワーからある女性の声が響き渡った。  その範囲は非情に広く、その声を聞いた者達はそれぞれの思惑を胸に東京タワーへと着目し次のリアクションを起こしていた。  彼は知る由も無いが、彼から逃げる事に成功した『獲物』もそれを聞きタワーへと向かっていた。  だが、彼はその声を聞いてはいない。故に東京タワーに何の感慨も湧くことなく平原を直進し自身の定めた目的地へと向かった。  彼が定めしその場所は病院、病院ともなれば良くも悪くも獲物が集う可能性が高いと考えたからだ。  無論、彼に相応しい程の獲物がそうそう都合良くいるとは思えない。それでも彼は其処へと向かった。  マシンキバーの性能は絶大、広いフィールドであっても迅速に移動する事が出来る。  そう時間がかかる事無く病院のすぐ近くの住宅地に到達した。  だが、彼はそこでマシンキバーを止め近くの家に入り冷蔵庫の中身を適当に物色し喰らい始めた。  変身が可能となるまでまだ時間がかかる、病院に向かうとしても変身が可能になってからの方が良い。  故にこの時間を利用して食事しつつ身を休める事にしたのだ。  その最中、先の戦いで『王』を喰らいゼロノスに変身し彼をも喰らおうとした『獲物』の事を考える。  あの時はあっさり逃げ出した事もあり下らぬ雑魚と断じてはいた。  だが果たして『獲物』は下らぬ雑魚だったのであろうか?  確かに『王』に比べて遙かに弱い。しかしそれは本来の姿では無かったからではなかったのか?  前述の通りゼロノスの本来の変身者は侑斗、彼以外の者が扱った所でその力を十二分に発揮出来るわけがない。  侑斗が変身したゼロノスを圧倒している以上、それ以外の者が変身したゼロノスが相手にならないのは当然の理だ。  恐らく、あの『獲物』の本来の姿は『王』に向かっていった時のあの鎧姿なのだろう。  そしてその姿を以て彼に匹敵する程の力を持つ『王』を喰らったという事だ。  その実力は『王』に負けるとも劣らない――過大評価し過ぎだろうがそれでも電王と同等の力を持っていると考えて良い。  電王如き――と侮ってはならない、彼自身が一度電王に喰われている事実がある以上油断は禁物だ。  そう、あの時喰われていたのは彼自身だったのかも知れなかったのだ――  名前は何と言っただろう――確か『王』は紅渡と呼んでいた。  ならば次出会った時こそ逃がしはしない。今度こそ自身の手で紅渡なる獲物を喰らってやろう、彼はそう考えていた。  ――乾いた牙が求める、絶対的な力――  その時だった、何かが止まる音が響いたのだ。  彼は誰か来たのかと思い見てみると装甲車、そしてそこから2人の男が降りるのが見えたのだ。  見た所、何処かで戦ったらしく負傷しているのがわかる。  喰らっても良かったがどうにも気が乗らなかった。  まだ変身出来なかった事もあったが何より今小物を喰っても満たされないと感じていたのだ。  何やら話しているみたいだったがそんな事に興味はない。此方に向かってくるならともかく、そうでないなら手を出す事も無いだろう。  そう考え、建物に戻ろうとした―― 『確かあの未確認生命体はダグバと名乗っていたな?』  その言葉が耳に入り彼は足を止めた。  何故その言葉で足を止めたのか? もしかするとその名前に何かを感じていたのかも知れない。  自身に相応しい獲物である可能性を――  2人の会話を聞いた所、未確認生命体なる相当な実力を持つ連中が3人いて、特に先程2人が戦ったらしいダグバが圧倒的な力を持っているとの事だった。  詳しい事は不明だがそれなりに実力があるらしい2人が全く相手にならなかった事からも強大だという事は理解した。  更にジョーカーこと相川始ならばダグバに対抗しうる力を持つ可能性がある事を聞いた。そして、 『小野寺以外に太刀打ち出来る奴はいない……か』  小野寺と呼ばれる男――2人の会話によると今装甲車の車内で気絶しているらしい奴の名前を聞いた。  詳しい事は不明だが小野寺はダグバと同等の力を持っているらしい。  そして先の戦いにおいてダグバは小野寺の力を引き出す為に他の参加者を喰らったらしく、  そのダグバの目論見通り小野寺はダグバに匹敵する――究極の力を得たクウガとなったとの事だった。  その力を持ってしてもまだ足りなかったらしいが、 『きっと、ダグバはこれからも小野寺を追いつめる為に他の参加者を殺し続けるだろう……今よりも憎しみと怒りに支配された小野寺と戦う為に……』  その言葉が確かならば小野寺は今よりも強くなるという事だろう。  2人は何処か恐れている様だったがその事を聞いた彼は歓喜した。  喰らい甲斐のある獲物が見つかった――  その直後、虎のモンスターが2人に襲いかかったのが見えた。とはいえ、前述と同様の理由からその戦いに介入するつもりは無かった。  とはいえ自分に飛び火しないとも限らない為何時でも動ける様に――  と、突如装甲車が走り出した。2人の会話から小野寺が意識を取り戻し動いたという事だろう。  それを見た瞬間、彼の方針は定まった。  病院に向かった所で都合良く大物に出会えるとは限らない。  目の前の2人を喰らった所で大して満たされない。  ならば、今この場を去っていった大物――究極の獲物を追いかけ喰らうのも一興だろう。  故にすぐさまマシンキバーへと騎乗し走り出した。装甲車を見失わない為に――  ――究極の領域にあるなら、今すぐ奪いに行く――  住宅地を抜けマシンキバーは草原に出る。  遠目に装甲車が道路を走るのが見えた。  進行方向には橋がある、橋を渡り川の向こうの市街地へ向かうのだろう。  何故戦っている2人を放置し去っていったかについてはどうでも良いし興味もない。  変身して戦わなかったのは既に変身して当面は変身出来ない程度の理由だろう。  重要なのは究極の力を持つ獲物が彼の元から去っていく事だ。  そのまま捨て置くつもりはない、故に追跡するのだ。  この数時間彼の渇きは癒されなかった。  喰い甲斐のある獲物になかなか出会えず、出会っても横取りされるか逃げられてばかり、それ故に苛立ちを感じていた。  だがこの地には未だ見ぬ強大な――究極の力を持つ獲物が数多くいる。  さぞかし喰い甲斐のある奴等だろう。  ならばすべき事など簡単だ、今すぐに奪いに行けばよい、逆に喰われた時はそれまでだった程度の話だ。  ダグバ、クウガ、ジョーカー、それに紅渡に電王よ待っていろ、  この牙と力は誰にも止められない。必ず喰らい尽くしてやろう――  今はまだ変身出来ない。それでもベルトとメモリは何時でも使える様にしてある。  今更ながらにデイパックに入っていた妙なブレスレットも着けておいた。もっとも何に使うかまでは知らないが――  視線を感じる――いや、この地に来てからずっと感じているが――  その姿は見えない。だがそれが何であっても構わない、立ち塞がるなら喰らうだけなのだから――  マシンキバーは道路に出てすぐさま橋へと突入した。  前方では装甲車が橋を渡っている最中、見失わぬ様に走り続けた――  その彼をコーカサスオオカブトを模した昆虫コアが見つめていた。  仮面ライダーとワーム、その戦いが繰り広げられたかつての世界とももう1つの可能性ともとれる世界の仮面ライダー、  ブレスを持つ資格者の元へと飛来し装着する事により、ある組織の最強戦士仮面ライダーコーカサスへと変身する力を与えるコーカサスゼクター、  その者はずっと彼を見守っていた――最強、ある意味では究極の力を与える自身に相応しいかを確かめるかの様に――  其の橋と道路はさながら列車の走る路線であった――  其の路線は究極へと続く――  其の列車の次なる停車駅は――  支配か――  死か―― 【1日目 夕方】 【D-4 橋】 【牙王@仮面ライダー電王】 【時間軸】:死亡後 【状態】:疲労(小)、ダメージ(中)、苛立ち、仮面ライダーガオウに10分、ホッパー・ドーパントに20分変身不可。 【装備】:ガオウベルト&マスターパス@仮面ライダー電王、ガイアメモリ(ホッパー) @仮面ライダーW、ライダーブレス(コーカサス)@劇場版仮面ライダーカブト GOD SPEED、マシンキバー@仮面ライダーキバ 【道具】支給品一式、首輪(キング) 【思考・状況】 基本行動方針:全ての参加者を喰らい、最後に大ショッカーも喰う。 1:装甲車(ユウスケ)を追跡する。 2:クウガ(ユウスケ)、ダグバ、ジョーカー(始)、渡、電王を喰らう。 3:変身が解除されたことによる、疑問。 【備考】 ※コーカサスゼクターが牙王を認めているかは現状不明です。 |068:[[愚者の祭典への前奏曲(第三楽章)]]|投下順|070:[[愚者の祭典 狂える蛇の牙]]| |068:[[愚者の祭典への前奏曲(第三楽章)]]|時系列順|070:[[愚者の祭典 狂える蛇の牙]]| |067:[[第二楽章♪次のステージへ]]|[[牙王]]|| ----
*究極の路線へのチケット ◆7pf62HiyTE  ――其の牙はやがて全ての物を喰い尽くす為だけ存在している――  一台のバイクが走る――  そのバイクはマシンキバー――ファンガイアのキングの証たるキバの鎧を纏った戦士に与えられた『真紅の鉄馬』とも呼ばれているバイクだ。  無論、今現在それは本来の持ち主が騎乗しているわけではない。  だが、その者にそれが支給されたのは偶然ではなく必然だったのかも知れない――  何故なら彼もある意味では『キバ』の『キング』なのだから――  今まで話に出てこなかった事について不思議に思う方も多いだろう。  その理由は至極単純、単純に今まで話に上がらなかったというだけなのだ。  マシンキバーは彼の最初の地点の近くに置かれていた。  無論、確認だけはすぐにしたがすぐにそれを使おうとはしなかった。  近くにいた男性を喰らおうと戦いを仕掛けたからだ。  その際に駆けつけた仮面ライダーや怪人と戦いの後、支給品であったメモリの確認を終えてからマシンキバーの元に戻ったという事だ。  その後は戦いで疲弊した身体を休めつつ戦いの音を聞きつけマシンキバーの性能を確かめつつ激闘の跡地へ移動、  それからアテもなくホテル近くまで移動し、そこで一旦マシンキバーを隠した。  森の中ならともかく平野等では目立つ、目を離した隙に奪われる事は避けたい故である。  その後は既に語られた通りアテもなく歩いていたら戦いの場に遭遇し、戦っている者達を喰らうべく乱入した。  その戦いの後、隠してあったマシンキバーの元へ戻り再びアテのない移動を始めたという事だ――  ――欲しい物は奪う主義――  戦いの後、彼はその跡地にて1つの首輪を見つけていた。  自身同様参加者の首に填められているものだ。無論、それだけでは誰のかは不明――  だが、恐らくは先の戦いで散った者の首輪なのは想像に難くない。  いや、彼はそれが誰の物かおおよそ気付いていた――  それはあの場で戦った白い鎧を身に纏った『王』と自称した男――  その者の首輪なのだろう。  状況証拠は一応存在する。  先の戦い『王』はある参加者に執着していた。詳しい事情に興味は無いが恐らく『王』にとっての『獲物』なのだろう。  さて、彼と『王』が戦っている最中、『獲物』は最初に仕掛けた女が纏っていた鎧を纏って仕掛けてきた。  そして『王』と『獲物』は彼を放置して戦い出す。放置された事に苛立ちつつも介入しようとしたがそれは出来なかった。  彼自身にとっての因縁の相手、小物であり雑魚であるが決して油断のならない存在である特異点野上良太郎とそのイマジン達が現れたのだ。  彼はイマジンが憑依している良太郎が変身した電王と戦った。  その最中、ある者が介入してきたのだ。それはこれまた彼自身にとって因縁のあるゼロノス――  だが、変身者は本来の所有者桜井侑斗ではない。  それでも誰かについては声で判った。『王』が執着していた『獲物』という事が――  その後は電王にも『獲物』にも逃げられいつの間にか最初に仕掛けた相手である女もいなくなり自分だけが残ったというわけだ。  ここで1つ疑問が出てくる。一体『王』は何処に消えたのだろうか?  いつの間にか逃げた? いや、『王』の執着具合から考え『獲物』を放置して逃げる等まず有り得ない。  だとすれば考えられる可能性は1つ――  彼と電王が戦っている間に『獲物』が『王』を仕留めたという事――  その後、『獲物』は彼を倒すべく仕掛けたという事だ。  ――と、長々と推測レベルの話をしたが実の所彼はそこまで考えてはいない。  それは闘争の本能あるいは長年の経験から生じる直感――  そこから『王』が『獲物』に喰われ首輪だけを残して消えたと判断したのだ。  理屈などどうでもよい、彼自身がそう感じたという事だ。  死体が残らなかった事も問題ではない、そもそも自分自身前に倒された時は砂になったわけだからそれと似たものだろう。  彼が感じるのは悔しさ、  『王』の実力は彼自身が戦った中でも最上級、それを知らない所で喰われたのが悔しかったのだ。  上等な獲物は喰われ、それ以外の小物には逃げられてばかり、それ故に満たされない想いを感じていた。  首輪を手に入れた事については特に理由はない。  それで『王』が勝手に喰われた悔しさを慰められる等とは全く思っていない。  只、拾っておこうと思っただけだ。  逃げた電王達が何処に向かったかについてはある程度推測出来る。  近くのホテルに向かえば遭遇出来る可能性は高いだ。  だが、それがわかった所で乗り気にはならなかった。  何時もならば乗り込んでも良かったが今回は事情が少々異なる。  この戦いで変身手段を使い切った為、当面――少なくても2時間は戦えない。  また、仮に1つ程度変身手段が残っていても、そこにいる連中は恐らく小物、そんな小物を喰らうのに変身するのは勿体ないと考えたのだ。  柄にもない考えではある。だが大物と出会った時に変身出来ず喰らえないというのは面白くない。  それ故にこの場ではホテルには向かわず、マシンキバーの元へ戻り移動を始めたという事だ。  ――詰まらぬ物が多すぎる、相応しい獲物を此の手に――  先の戦いから少し経った後、東京タワーからある女性の声が響き渡った。  その範囲は非情に広く、その声を聞いた者達はそれぞれの思惑を胸に東京タワーへと着目し次のリアクションを起こしていた。  彼は知る由も無いが、彼から逃げる事に成功した『獲物』もそれを聞きタワーへと向かっていた。  だが、彼はその声を聞いてはいない。故に東京タワーに何の感慨も湧くことなく平原を直進し自身の定めた目的地へと向かった。  彼が定めしその場所は病院、病院ともなれば良くも悪くも獲物が集う可能性が高いと考えたからだ。  無論、彼に相応しい程の獲物がそうそう都合良くいるとは思えない。それでも彼は其処へと向かった。  マシンキバーの性能は絶大、広いフィールドであっても迅速に移動する事が出来る。  そう時間がかかる事無く病院のすぐ近くの住宅地に到達した。  だが、彼はそこでマシンキバーを止め近くの家に入り冷蔵庫の中身を適当に物色し喰らい始めた。  変身が可能となるまでまだ時間がかかる、病院に向かうとしても変身が可能になってからの方が良い。  故にこの時間を利用して食事しつつ身を休める事にしたのだ。  その最中、先の戦いで『王』を喰らいゼロノスに変身し彼をも喰らおうとした『獲物』の事を考える。  あの時はあっさり逃げ出した事もあり下らぬ雑魚と断じてはいた。  だが果たして『獲物』は下らぬ雑魚だったのであろうか?  確かに『王』に比べて遙かに弱い。しかしそれは本来の姿では無かったからではなかったのか?  前述の通りゼロノスの本来の変身者は侑斗、彼以外の者が扱った所でその力を十二分に発揮出来るわけがない。  侑斗が変身したゼロノスを圧倒している以上、それ以外の者が変身したゼロノスが相手にならないのは当然の理だ。  恐らく、あの『獲物』の本来の姿は『王』に向かっていった時のあの鎧姿なのだろう。  そしてその姿を以て彼に匹敵する程の力を持つ『王』を喰らったという事だ。  その実力は『王』に負けるとも劣らない――過大評価し過ぎだろうがそれでも電王と同等の力を持っていると考えて良い。  電王如き――と侮ってはならない、彼自身が一度電王に喰われている事実がある以上油断は禁物だ。  そう、あの時喰われていたのは彼自身だったのかも知れなかったのだ――  名前は何と言っただろう――確か『王』は紅渡と呼んでいた。  ならば次出会った時こそ逃がしはしない。今度こそ自身の手で紅渡なる獲物を喰らってやろう、彼はそう考えていた。  ――乾いた牙が求める、絶対的な力――  その時だった、何かが止まる音が響いたのだ。  彼は誰か来たのかと思い見てみると装甲車、そしてそこから2人の男が降りるのが見えたのだ。  見た所、何処かで戦ったらしく負傷しているのがわかる。  喰らっても良かったがどうにも気が乗らなかった。  まだ変身出来なかった事もあったが何より今小物を喰っても満たされないと感じていたのだ。  何やら話しているみたいだったがそんな事に興味はない。此方に向かってくるならともかく、そうでないなら手を出す事も無いだろう。  そう考え、建物に戻ろうとした―― 『確かあの未確認生命体はダグバと名乗っていたな?』  その言葉が耳に入り彼は足を止めた。  何故その言葉で足を止めたのか? もしかするとその名前に何かを感じていたのかも知れない。  自身に相応しい獲物である可能性を――  2人の会話を聞いた所、未確認生命体なる相当な実力を持つ連中が3人いて、特に先程2人が戦ったらしいダグバが圧倒的な力を持っているとの事だった。  詳しい事は不明だがそれなりに実力があるらしい2人が全く相手にならなかった事からも強大だという事は理解した。  更にジョーカーこと相川始ならばダグバに対抗しうる力を持つ可能性がある事を聞いた。そして、 『小野寺以外に太刀打ち出来る奴はいない……か』  小野寺と呼ばれる男――2人の会話によると今装甲車の車内で気絶しているらしい奴の名前を聞いた。  詳しい事は不明だが小野寺はダグバと同等の力を持っているらしい。  そして先の戦いにおいてダグバは小野寺の力を引き出す為に他の参加者を喰らったらしく、  そのダグバの目論見通り小野寺はダグバに匹敵する――究極の力を得たクウガとなったとの事だった。  その力を持ってしてもまだ足りなかったらしいが、 『きっと、ダグバはこれからも小野寺を追いつめる為に他の参加者を殺し続けるだろう……今よりも憎しみと怒りに支配された小野寺と戦う為に……』  その言葉が確かならば小野寺は今よりも強くなるという事だろう。  2人は何処か恐れている様だったがその事を聞いた彼は歓喜した。  喰らい甲斐のある獲物が見つかった――  その直後、虎のモンスターが2人に襲いかかったのが見えた。とはいえ、前述と同様の理由からその戦いに介入するつもりは無かった。  とはいえ自分に飛び火しないとも限らない為何時でも動ける様に――  と、突如装甲車が走り出した。2人の会話から小野寺が意識を取り戻し動いたという事だろう。  それを見た瞬間、彼の方針は定まった。  病院に向かった所で都合良く大物に出会えるとは限らない。  目の前の2人を喰らった所で大して満たされない。  ならば、今この場を去っていった大物――究極の獲物を追いかけ喰らうのも一興だろう。  故にすぐさまマシンキバーへと騎乗し走り出した。装甲車を見失わない為に――  ――究極の領域にあるなら、今すぐ奪いに行く――  住宅地を抜けマシンキバーは草原に出る。  遠目に装甲車が道路を走るのが見えた。  進行方向には橋がある、橋を渡り川の向こうの市街地へ向かうのだろう。  何故戦っている2人を放置し去っていったかについてはどうでも良いし興味もない。  変身して戦わなかったのは既に変身して当面は変身出来ない程度の理由だろう。  重要なのは究極の力を持つ獲物が彼の元から去っていく事だ。  そのまま捨て置くつもりはない、故に追跡するのだ。  この数時間彼の渇きは癒されなかった。  喰い甲斐のある獲物になかなか出会えず、出会っても横取りされるか逃げられてばかり、それ故に苛立ちを感じていた。  だがこの地には未だ見ぬ強大な――究極の力を持つ獲物が数多くいる。  さぞかし喰い甲斐のある奴等だろう。  ならばすべき事など簡単だ、今すぐに奪いに行けばよい、逆に喰われた時はそれまでだった程度の話だ。  ダグバ、クウガ、ジョーカー、それに紅渡に電王よ待っていろ、  この牙と力は誰にも止められない。必ず喰らい尽くしてやろう――  今はまだ変身出来ない。それでもベルトとメモリは何時でも使える様にしてある。  今更ながらにデイパックに入っていた妙なブレスレットも着けておいた。もっとも何に使うかまでは知らないが――  視線を感じる――いや、この地に来てからずっと感じているが――  その姿は見えない。だがそれが何であっても構わない、立ち塞がるなら喰らうだけなのだから――  マシンキバーは道路に出てすぐさま橋へと突入した。  前方では装甲車が橋を渡っている最中、見失わぬ様に走り続けた――  その彼をコーカサスオオカブトを模した昆虫コアが見つめていた。  仮面ライダーとワーム、その戦いが繰り広げられたかつての世界とももう1つの可能性ともとれる世界の仮面ライダー、  ブレスを持つ資格者の元へと飛来し装着する事により、ある組織の最強戦士仮面ライダーコーカサスへと変身する力を与えるコーカサスゼクター、  その者はずっと彼を見守っていた――最強、ある意味では究極の力を与える自身に相応しいかを確かめるかの様に――  其の橋と道路はさながら列車の走る路線であった――  其の路線は究極へと続く――  其の列車の次なる停車駅は――  支配か――  死か―― 【1日目 夕方】 【D-4 橋】 【牙王@仮面ライダー電王】 【時間軸】:死亡後 【状態】:疲労(小)、ダメージ(中)、苛立ち、仮面ライダーガオウに10分、ホッパー・ドーパントに20分変身不可。 【装備】:ガオウベルト&マスターパス@仮面ライダー電王、ガイアメモリ(ホッパー) @仮面ライダーW、ライダーブレス(コーカサス)@劇場版仮面ライダーカブト GOD SPEED、マシンキバー@仮面ライダーキバ 【道具】支給品一式、首輪(キング) 【思考・状況】 基本行動方針:全ての参加者を喰らい、最後に大ショッカーも喰う。 1:装甲車(ユウスケ)を追跡する。 2:クウガ(ユウスケ)、ダグバ、ジョーカー(始)、渡、電王を喰らう。 3:変身が解除されたことによる、疑問。 【備考】 ※コーカサスゼクターが牙王を認めているかは現状不明です。 |068:[[愚者の祭典への前奏曲(第三楽章)]]|投下順|070:[[愚者の祭典 狂える蛇の牙]]| |068:[[愚者の祭典への前奏曲(第三楽章)]]|時系列順|070:[[愚者の祭典 狂える蛇の牙]]| |067:[[第二楽章♪次のステージへ]]|[[牙王]]|083:[[会食参加希望者達(前編)]]| ----

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