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*Wアクション/二人の不幸重なるとき ◆LQDxlRz1mQ 「あ~もう! 私聞いてない!!」  もはやお決まりとなった台詞とともに、鳴海亜樹子は殺し合いの現場を駆け巡った。  世界の選別をする重要な役割を受けてしまった少女は、自分がどうすればいいかもわからず、ただ戸惑うのみだ。  これまで生きてきた世界が無くなる。仮面ライダーのせいで。  殺さなければ死ぬし、自分の世界が消える。ただの少女に与えられるには、荷が重すぎた。  世界の消滅──それはきっと、誰の記憶にも残らず、ただ最初からその世界が存在しなかったかのように、いつの間にかなくなっているということだと思う。  今まで出会ってきた友達、風都の住民や関わってきた人たちが皆死んでしまう。いなかったことになってしまう。  左翔太郎、フィリップ、照井竜、鳴海壮吉……自分の知っている人たちが命をかけて守ってきた街が、滅んでしまう。  鳴海亜樹子は、それが何より厭だった。 「翔太郎くん、フィリップくん、竜くん、お父さん……私どうすればいいんだろう……」  自分の友達が命がけで守ってきた風都も、地球さえも消えていく。  亜樹子の心は、すぐに自分の世界に揺らいだ。他の世界は彼女にとって知らないものでしかない。  でも、亜樹子にはどうしても守りたい世界があった。  それに、刃野刑事やクイーン、エリザベス……そんな気の良い仲間たちが何も知らないまま消えていくのは、彼女にとって耐え難いものでもあった。 「わかんないよ、私……。翔太郎くんたちが守りたいもの──風都だけなのか、全ての世界なのか……」  仮面ライダーは常に「風都」を守ることにこだわり続けた。  だから、亜樹子には彼らの気持ちがはっきりとはわからなかった。  こういうとき、彼らならどうするか。明確な答えが出てこない。  彼らに協力することは、手を組んで他の参加者を倒すことなのか、それとも戦わずに消えていくことなのか……。  自分の世界の命運と、他人の命を天秤にかけさせられた少女はそのまま泣き崩れる。  自分は仮面ライダーではない。上手な判断なんて下せないし、勇ましく何かと戦うこともできない。  そんな自分に世界の未来を託すなんて、少し酷な話なのではないか。 「そこのお嬢さん」  道路で泣き崩れた亜樹子に、誰かが声をかけた。  亜樹子はそうして声をかけてくれた男の顔を見ようと顔を上げる。  そこにいたのは、青いメッシュの入った髪に、眼鏡をかけた少年──年齢的には亜樹子と同じくらいだろうか──である。  少年はそうした、「いかにも近頃の悪い若者」といった風貌だが、その素顔は爽やかだ。しかし、こうした場にしては嫌に冷静である。 「ほらやっぱり、顔を上げれば綺麗だ。女性は俯いて泣いているより……そう、顔を上げて笑っていたほうが可愛いんだから──ってこんな時にナンパかいボケ!」  一連の口説き文句から一変。自分に突っ込み出した少年。  そういう芸人だろうか。  亜樹子は状況が状況なので、素直に笑えずいるものの、こうしてどんな状況でも自分のペースを崩さずに人を笑わせようとする人間のお笑い魂には痛く関心する。 「恐怖に泣くな、俺の強さに泣かんかい!──って意味わかんないよ、キンちゃん」  きっと彼は、弱っている亜樹子を慰めてくれているのだろう。  なんと良い人たちだろう。でも、今の亜樹子は笑うことができない。腹立たしい、とさえ思ってしまう。  そんな彼に何かしなければ、と亜樹子は心の中を画策する。  彼に何をお返しするべきか。  そう、彼は芸人。こうして目の前でボケてくれるということは、やはりツッコミでお返しするべきだろうか。  それならば、亜樹子の得意分野である。個性的なメンツの多い風都で、亜樹子は普段スリッパを持ち歩いていたるところでツッコミをかましていたくらいだ。  彼のような芸人もきっとそのキレには驚くに違いない。  亜樹子は泣き顔で──しかし小さな元気を振り絞り、手持ちのスリッパで彼の頭をはたいた。 △ ▽  ──で、結局どうなっちゃってるわけ?── ──あの姉ちゃんがなんか知らんが良太郎をしばきおったみたいやな── ──その衝撃のあまり僕たちは追い出されちゃったわけか── (うるさいよ、ウラタロス、キンタロス)  彼──野上良太郎の中には現在、良太郎を含め三人の人格が同居している。  イマジンと呼ばれるものたちが良太郎に憑依しているのだ。  女好きのウラタロスと、関西弁のキンタロス。  本来ならばここに暴れん坊のモモタロスと、無邪気なリュウタロスがいるはずだが、この場では彼らは実体化させられているらしい。  今、良太郎の中には彼らはいないのだ。 「ごめんなさい、折角元気づけてくれたのに叩き倒してしまって」  まさか、普段は痛がられる程度のスリッパアタックが、敵を倒した挙句、相手は地面に頭をぶつけて気絶……そこに追い討ちをかけるかのように彼の体が傾斜を転がっていくとは亜樹子も思いもよらなかった。  亜樹子もよく事件に巻き込まれ、不幸といえば不幸だが、彼にとってはそんなもの比ではないらしい。 「いえ、いいんです……。慣れてますから……」  少年は気が弱そうで、とても人前で芸をやれる人間とは思えない。  ……が、先ほどの芸は本物だった。まるで何人もの人間がいるかのような立ち振る舞い。泣いていてあまり覚えてないが、本当にいくつもの人間が会話しているかのような感覚だった。 ──ねえ、やっぱり不思議そうな顔をしてるよ── ──なんでやろうなぁ~── ──だから! さっきと全然違う人間になったら誰だってびっくりするよ── ──ああ、そうか! なら俺がうまく事情を説明したる!── ──あ、待ったキンちゃん!── 「泣けるで!」 「……え?」  目の前の少年の謎の豹変。彼がそういうことをする人間だというのは知っているが、……唐突すぎないだろうか? 「良太郎くん、一体何ふざけて……」 「ええか、姉ちゃん。実は俺はバリッバリの関西人や。急に気弱になって驚かせてすまな  ──ごめんね、亜樹子ちゃん、君の思ってるとおり……だかはわからないけど、僕って芸人なんだよね。だから普段からこうして練習してるんだよ。こうしてないと気持ちが落ち着かなくってさぁ……」  ウラタロスにしては強引な言い訳だが、こんなに何度も人格を帰ると、挙動不審で怪しい人物とされかねない。  そもそも、亜樹子がまだこの場から逃げないのが奇跡というくらいだ。  ところで、良太郎の中では二人が会話を始めていた。 ──ん? 良太郎、何考えとるんや?── ──いや、もしかしたらハナさんの言ってた、イマジンによって滅ぼされた世界……それってもしかして、『仮面ライダー』のせいで壊れた世界なんじゃ……── ──……確かに辻褄が合わんこともないが── ──とにかく、それについてはモモタロスたちと合流してから話し合おう。それまでは亜樹子さんと一緒に行動しようよ── 【1日目 昼】 【B-5 道路(やや傾斜)】 【鳴海亜樹子@仮面ライダーW】 【時間軸】番組後半 【状態】健康 【装備】ツッコミ用のスリッパ@仮面ライダーW 【道具】支給品一式、不明支給品(0~2) 【思考・状況】 1:風都のために戦うべきか、他の世界を守るべきか。結論が出せない。 2:知り合いと合流する。 3:良太郎のお笑い魂には関心。 【備考】 ※ 良太郎について、職業:芸人、憑依は芸と誤認しています。 【野上良太郎@仮面ライダー電王】 【時間軸】第38話終了後 【状態】頭痛 ウラタロス憑依中 【装備】デンオウベルト&ライダーパス@仮面ライダー電王 【道具】支給品一式、不明支給品 【思考・状況】 1:とりあえず、殺し合いには乗らない。 2:亜樹子と一緒に行動する。 3:モモタロス、リュウタロスを捜す。 【備考】 ※ ハナが劇中で述べていた「イマジンによって破壊された世界」は「ライダーによって破壊された世界」ではないかと考えています。確証はしていません。 ※ キンタロス、ウラタロスが憑依しています。 |003:[[光を背負い]]|投下順|005:[[闇を背負う男と光の名前を持つ女]]| |003:[[光を背負い]]|時系列順|005:[[闇を背負う男と光の名前を持つ女]]| |&color(cyan){GAME START}|[[鳴海亜樹子]]|026:[[止まらないB/もえるホテル]]| |&color(cyan){GAME START}|[[野上良太郎]]|026:[[止まらないB/もえるホテル]]| ----
*Wアクション/二人の不幸重なるとき ◆LQDxlRz1mQ 「あ~もう! 私聞いてない!!」  もはやお決まりとなった台詞とともに、鳴海亜樹子は殺し合いの現場を駆け巡った。  世界の選別をする重要な役割を受けてしまった少女は、自分がどうすればいいかもわからず、ただ戸惑うのみだ。  これまで生きてきた世界が無くなる。仮面ライダーのせいで。  殺さなければ死ぬし、自分の世界が消える。ただの少女に与えられるには、荷が重すぎた。  世界の消滅──それはきっと、誰の記憶にも残らず、ただ最初からその世界が存在しなかったかのように、いつの間にかなくなっているということだと思う。  今まで出会ってきた友達、風都の住民や関わってきた人たちが皆死んでしまう。いなかったことになってしまう。  左翔太郎、フィリップ、照井竜、鳴海壮吉……自分の知っている人たちが命をかけて守ってきた街が、滅んでしまう。  鳴海亜樹子は、それが何より厭だった。 「翔太郎くん、フィリップくん、竜くん、お父さん……私どうすればいいんだろう……」  自分の友達が命がけで守ってきた風都も、地球さえも消えていく。  亜樹子の心は、すぐに自分の世界に揺らいだ。他の世界は彼女にとって知らないものでしかない。  でも、亜樹子にはどうしても守りたい世界があった。  それに、刃野刑事やクイーン、エリザベス……そんな気の良い仲間たちが何も知らないまま消えていくのは、彼女にとって耐え難いものでもあった。 「わかんないよ、私……。翔太郎くんたちが守りたいもの──風都だけなのか、全ての世界なのか……」  仮面ライダーは常に「風都」を守ることにこだわり続けた。  だから、亜樹子には彼らの気持ちがはっきりとはわからなかった。  こういうとき、彼らならどうするか。明確な答えが出てこない。  彼らに協力することは、手を組んで他の参加者を倒すことなのか、それとも戦わずに消えていくことなのか……。  自分の世界の命運と、他人の命を天秤にかけさせられた少女はそのまま泣き崩れる。  自分は仮面ライダーではない。上手な判断なんて下せないし、勇ましく何かと戦うこともできない。  そんな自分に世界の未来を託すなんて、少し酷な話なのではないか。 「そこのお嬢さん」  道路で泣き崩れた亜樹子に、誰かが声をかけた。  亜樹子はそうして声をかけてくれた男の顔を見ようと顔を上げる。  そこにいたのは、青いメッシュの入った髪に、眼鏡をかけた少年──年齢的には亜樹子と同じくらいだろうか──である。  少年はそうした、「いかにも近頃の悪い若者」といった風貌だが、その素顔は爽やかだ。しかし、こうした場にしては嫌に冷静である。 「ほらやっぱり、顔を上げれば綺麗だ。女性は俯いて泣いているより……そう、顔を上げて笑っていたほうが可愛いんだから──ってこんな時にナンパかいボケ!」  一連の口説き文句から一変。自分に突っ込み出した少年。  そういう芸人だろうか。  亜樹子は状況が状況なので、素直に笑えずいるものの、こうしてどんな状況でも自分のペースを崩さずに人を笑わせようとする人間のお笑い魂には痛く関心する。 「恐怖に泣くな、俺の強さに泣かんかい!──って意味わかんないよ、キンちゃん」  きっと彼は、弱っている亜樹子を慰めてくれているのだろう。  なんと良い人たちだろう。でも、今の亜樹子は笑うことができない。腹立たしい、とさえ思ってしまう。  そんな彼に何かしなければ、と亜樹子は心の中を画策する。  彼に何をお返しするべきか。  そう、彼は芸人。こうして目の前でボケてくれるということは、やはりツッコミでお返しするべきだろうか。  それならば、亜樹子の得意分野である。個性的なメンツの多い風都で、亜樹子は普段スリッパを持ち歩いていたるところでツッコミをかましていたくらいだ。  彼のような芸人もきっとそのキレには驚くに違いない。  亜樹子は泣き顔で──しかし小さな元気を振り絞り、手持ちのスリッパで彼の頭をはたいた。 △ ▽  ──で、結局どうなっちゃってるわけ?── ──あの姉ちゃんがなんか知らんが良太郎をしばきおったみたいやな── ──その衝撃のあまり僕たちは追い出されちゃったわけか── (うるさいよ、ウラタロス、キンタロス)  彼──野上良太郎の中には現在、良太郎を含め三人の人格が同居している。  イマジンと呼ばれるものたちが良太郎に憑依しているのだ。  女好きのウラタロスと、関西弁のキンタロス。  本来ならばここに暴れん坊のモモタロスと、無邪気なリュウタロスがいるはずだが、この場では彼らは実体化させられているらしい。  今、良太郎の中には彼らはいないのだ。 「ごめんなさい、折角元気づけてくれたのに叩き倒してしまって」  まさか、普段は痛がられる程度のスリッパアタックが、敵を倒した挙句、相手は地面に頭をぶつけて気絶……そこに追い討ちをかけるかのように彼の体が傾斜を転がっていくとは亜樹子も思いもよらなかった。  亜樹子もよく事件に巻き込まれ、不幸といえば不幸だが、彼にとってはそんなもの比ではないらしい。 「いえ、いいんです……。慣れてますから……」  少年は気が弱そうで、とても人前で芸をやれる人間とは思えない。  ……が、先ほどの芸は本物だった。まるで何人もの人間がいるかのような立ち振る舞い。泣いていてあまり覚えてないが、本当にいくつもの人間が会話しているかのような感覚だった。 ──ねえ、やっぱり不思議そうな顔をしてるよ── ──なんでやろうなぁ~── ──だから! さっきと全然違う人間になったら誰だってびっくりするよ── ──ああ、そうか! なら俺がうまく事情を説明したる!── ──あ、待ったキンちゃん!── 「泣けるで!」 「……え?」  目の前の少年の謎の豹変。彼がそういうことをする人間だというのは知っているが、……唐突すぎないだろうか? 「良太郎くん、一体何ふざけて……」 「ええか、姉ちゃん。実は俺はバリッバリの関西人や。急に気弱になって驚かせてすまな  ──ごめんね、亜樹子ちゃん、君の思ってるとおり……だかはわからないけど、僕って芸人なんだよね。だから普段からこうして練習してるんだよ。こうしてないと気持ちが落ち着かなくってさぁ……」  ウラタロスにしては強引な言い訳だが、こんなに何度も人格を帰ると、挙動不審で怪しい人物とされかねない。  そもそも、亜樹子がまだこの場から逃げないのが奇跡というくらいだ。  ところで、良太郎の中では二人が会話を始めていた。 ──ん? 良太郎、何考えとるんや?── ──いや、もしかしたらハナさんの言ってた、イマジンによって滅ぼされた世界……それってもしかして、『仮面ライダー』のせいで壊れた世界なんじゃ……── ──……確かに辻褄が合わんこともないが── ──とにかく、それについてはモモタロスたちと合流してから話し合おう。それまでは亜樹子さんと一緒に行動しようよ── 【1日目 日中】 【B-5 道路(やや傾斜)】 【鳴海亜樹子@仮面ライダーW】 【時間軸】番組後半 【状態】健康 【装備】ツッコミ用のスリッパ@仮面ライダーW 【道具】支給品一式、不明支給品(0~2) 【思考・状況】 1:風都のために戦うべきか、他の世界を守るべきか。結論が出せない。 2:知り合いと合流する。 3:良太郎のお笑い魂には関心。 【備考】 ※ 良太郎について、職業:芸人、憑依は芸と誤認しています。 【野上良太郎@仮面ライダー電王】 【時間軸】第38話終了後 【状態】頭痛 ウラタロス憑依中 【装備】デンオウベルト&ライダーパス@仮面ライダー電王 【道具】支給品一式、不明支給品 【思考・状況】 1:とりあえず、殺し合いには乗らない。 2:亜樹子と一緒に行動する。 3:モモタロス、リュウタロスを捜す。 【備考】 ※ ハナが劇中で述べていた「イマジンによって破壊された世界」は「ライダーによって破壊された世界」ではないかと考えています。確証はしていません。 ※ キンタロス、ウラタロスが憑依しています。 |003:[[光を背負い]]|投下順|005:[[闇を背負う男と光の名前を持つ女]]| |003:[[光を背負い]]|時系列順|005:[[闇を背負う男と光の名前を持つ女]]| |&color(cyan){GAME START}|[[鳴海亜樹子]]|026:[[止まらないB/もえるホテル]]| |&color(cyan){GAME START}|[[野上良太郎]]|026:[[止まらないB/もえるホテル]]| ----

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