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巡り会う世界 ◆LuuKRM2PEg




上から降り注ぐ太陽の光に、森は照らされていた。
青く広がる空では、白い雲が風で流されている。
微風は涼しく、浴びる者に心地よさを感じさせるかもしれない。
辺りを流れるそれは、木の葉を揺らしていく。
だが、青年はその音を聞いても、何とも思わなかった。
漆黒色のロングコートと赤いシャツ、デニム生地のズボンに身を包む彼、門矢士は歩いている。
その手に、力が失われてしまったライダーカードを持ちながら。

「やれやれ、こんな事になるなんてな」

溜息を吐きながら、士はぼやく。
彼はいつものように、仲間達と共に世界を巡る旅を行っている最中だった。
しかし突然、大ショッカーに知らない内に拉致され、こんな世界に放り込まれる。
そしてホールにいた死神博士は、見覚えのある映像を見せてきた。
様々な世界にいた仮面ライダー達が、怪人と戦う姿。
広大な宇宙に浮かぶ幾つもの銀河。
それらが衝突した結果、崩壊する世界。
無論、そこにいた存在全てもまた、消滅する。
歴史が、町が、人が、怪人が、仮面ライダーが。
何一つとて、残らない。
あの光景には、見覚えがあった。
かつて自分に世界を巡る旅を命じた男、紅渡と出会った際に見せられた物と、よく似ている。

「にしても、大ショッカーは潰した筈だ…………どうなってる?」

無意識の内に、疑問を口にした。
そう、数多の世界に魔の手を伸ばした秘密結社、大ショッカー。
奴らは仲間達と力を合わせて、潰したはず。
それなのに何故、再び結成されたのか。
スーパーショッカーのように新たに立て直したのか。
だがどんな理由にせよ、蘇ったのなら叩き潰せば良いだけ。

「カードの力が全て失われてる……まあ、あいつらの仕業か」

異世界に存在する仮面ライダーの力が込められた、ライダーカード。
ディケイドの物以外、全て灰色に染まっている。
ネガの世界でも起こった災難が、再び襲い掛かるとは。
加えて、ケータッチも手元には無い。
だが、無いなら取り戻せば良いだけだ。

「しかし、アポロガイストや剣崎一真までいるとはな」

デイバッグの中に入っている、参加者の名簿。
その中には、信じられない名前が混ざっていた。
一人は、Xライダーの世界で脅威となった大ショッカーの幹部、アポロガイスト。
幾度と無く立ち向かってきたが、その度に返り討ちにし、最後には叩き潰した。
恐らく大ショッカーが、この殺し合いの為に蘇らせた可能性が高い。
そしてもう一人。
剣崎一真。
自分がかつて訪れたブレイドの世界。
そこを守っていた剣立カズマとは違う、もう一人の仮面ライダーブレイドだ。
ライダー大戦が始まった際、戦いを繰り広げた記憶がある。
その男までもが、連れてこられたとは。
だが、今はそれよりも気にする事態がある。
それは、自分と同じように連れてこられた三人の仲間達だ。

「死ぬなよ、お前ら…………」

仲間の身を案じながら、士は呟く。
光写真館で自分の帰りを待っていた女性、光夏海。
クウガの世界で始めて出会った仲間、小野寺ユウスケ。
財宝を求めて旅に同行するコソ泥、海東大樹。
何だかんだで、頼もしい仲間達だ。
こんな訳の分からない戦いで、犠牲にさせるわけにはいかない。
一人でも欠けてしまっては、残された爺さんが悲しむだろう。
大ショッカーは戦いに勝ち残れば、願いは何でも叶えると言った。
だが、あんな奴らが約束など守るわけが無い。
まずは仲間達との合流を目指し、大ショッカーへの対抗することが先決だ。
そう思う士は、木々の間を進み続ける。






「参りましたね……殺し合いなんて」

『アギトの世界』から連れてこられた、ビジネススーツに身を包んだ青年、北条透は溜息を吐いた。
警視庁捜査一課の警部補であり、本庁きってのエリートと呼ばれた彼は、雑草と土を踏みしめながら歩く。
北条は違和感を覚えながらも、現状を把握した。
まず、自分が今いる場所は、大ショッカーと名乗った集団が用意した殺し合いの場。
この戦いは、六十人もの人間が集められ、それぞれ世界ごとにグループで分けられている。
そして生き残らなければ、自分の生まれた世界は跡形も無く、消滅。
どこまでが本当なのか、疑問だった。
だがこの状況は、夢ではなく紛れも無い現実。
首から伝わる感触が、その証拠だ。
到底信じがたいが、現実逃避はしてはいけない。

「迷惑な話ですよ……私はこんな事で時間を潰している場合ではないのに」

大ショッカーと現状の不満を感じて、北条は愚痴を漏らす。
そもそも自分は、警察上層部からの命を受けて、アギト殲滅作戦を行っているはずだった。
その為に、G3システムを使い、アンノウンを保護する。

しかしその最中に、得体の知れない連中によって、こんな戦いに繰り出されるとは。
しかも名簿を確認してみると、見覚えのある名前がいくつかある。
アギト殲滅作戦のターゲットとなった、津上翔一と葦原涼。
既に亡くなった筈の男、木野薫。
犬猿の仲とも呼べるライバル、小沢澄子。
翔一はともかく、他の三人とは合流したところで、上手く協力できるか。
特に小沢と葦原は、一悶着は避けられない。
だが、背に腹は変えられないだろう。
今だけは、何とか協力関係を持つしかない。

「しかし……『仮面ライダー』とは一体……?」

始まりのホールで、死神博士と名乗った老人の言葉を思い出す。
あそこから推測すると、別々の次元に存在する世界を引き寄せて、融合させてしまう存在らしい。
そして、仮面ライダーと敵対する組織や怪人とやらも、世界が崩壊する因子の一つ。
正直な所、これだけでは上手く概念が断定できない。
それにあの言葉が真実ではない可能性も、充分にある。
自分達を拉致して、殺し合いを強制させるような組織が、生贄に何を教えるのか。
だが何にせよ、情報があまりにも足りない。
大ショッカーについても、世界の崩壊に関しても。
ここは知り合いと一刻も早く合流し、戦場からの脱出を行うべき。
奴らは戦いに勝ち残れば、どんな願いでも叶えると言った。
しかし、そんな餌に釣られる訳が無い。
仮に殺し合いに乗って、生き残ったとしよう。
その後に、大ショッカーが約束を守る保障など、何処にあるのか。
最悪の場合、殺される可能性が高い。
北条が考えを巡らせていた、最中だった。

「おい、お前は『仮面ライダー』って奴か?」

突然、背後から声が聞こえる。
自分にとって、全く覚えの無い声が。
北条は、反射的に振り向く。
その瞬間、彼は金縛りにあったかのように、全身が硬直した。
目の前に立つ壮年の男から、あまりにも凄まじい威圧感が放たれていた為。
見た目は自分より、遥かに年上に見えた。
屈強な体格を、所々から棘が突き出た、鰐の皮みたいな模様の衣装で包んでいる。

「え…………?」
「聞いてるんだよ、お前は『仮面ライダー』なのか? とっとと答えろ」

男の低い声を聞いて、北条は思わず後ずさった。
しかし、こんな場所に連れてこられてから、初めて出会った人間。
だから質問には、答えなければならない。
恐怖を感じながらも、口を開く。

「いえ、私はそのような者ではありませんが——」
「チッ、ハズレかよ」

だが、北条の言葉はあっさりと遮られた。
男は舌打ちをしながら、不満の目線をこちらに向ける。
それを受けて、北条の頬から汗が流れた。
発せられるプレッシャーに、恐怖を感じたため。
本当なら、今すぐにでも逃げ出したかった。
しかし、初対面の人間に対して、それはあまりにも無礼な対応。
そう思った北条は、何とか対話を続けようとした。

「まあ、こんな所に呼ばれたからには、少しは腹の足しにはなるか?」

だが、彼の思いは叶わない。
北条が言葉を紡ごうとした瞬間、男は語った。
その瞬間、腰に奇妙なベルトが現れる。
恐竜の顎を模したような、バックルが装着された。
あまりにも唐突過ぎる出来事に、北条は驚愕を覚える。
一方で男は、バックルの脇に付いたボタンを押した。
すると、パイプオルガンの演奏のような盛大な音が、発せられる。
北条には、何がなんだか分からない。
この男が一体、何をしようとしているのか。
混乱が生じていく中、男は懐に右手を入れる。
その中から、黄金のカードケースを取り出した。

「変身」
『GAOH−FORM』

そして、取り出したそれをバックルの前に翳す。
ベルトから電子音声が響くと同時に、カードケースが分解された。
破片は男の全身に纏わり付き、鎧を生み出す。
金色に輝く胸板、そこから上に伸びた二本の白い角、恐竜の頭を象った両肩の装甲、金と黒の二色で構成された強化スーツ。
金属の破片は最後に、顔面に集中する。
そのまま、恐竜の顔によく似た形を作り、仮面となった。
全ての過程を終えると、全身から真紅の波動を放つ。
こうして男は、変身を完了した。
それは『電王の世界』に存在する神の路線を奪い、全てを喰らおうと企んだ仮面ライダー。
時の列車、デンライナーを奪った狂える牙の王。
男の名は牙王。
またの名を、仮面ライダーガオウ。

「なっ…………!」

目の前から突き刺さる威圧感によって、北条は再び数歩だけ後退してしまう。
二メートルにまで達しそうな巨体に、凄まじいほどのプレッシャー。
この二つから北条は、男が危険人物であると判断した。
正体は全く分からないが、どう考えても殺し合いに乗っている。
アンノウンと同じで、話し合いなど通用する相手ではない。
何とか逃げ出そうとするが、身体が動かなかった。
まるで、蛇に睨まれた蛙のように。

「つまらねえな……」

ガオウは舌打ちをしながら、一歩一歩前に出る。
そして腰に備え付けられた二つのパーツを取り出し、装着した。
一瞬の内に、刃から棘が突き出た剣、ガオウガッシャーへと形を変える。
この時、北条は生きる事を諦めた。
渡されたデイバッグの中には、この状況を打破する物は何も無い。
今更逃げたところで、追いつかれるに決まっている。
ああ、自分の最後はこんなに呆気ないとは。
警察官になって人々を守るために、アンノウンと戦い続けた。
だがその結果が、これとは。
もしも神というのがいるのなら、呪ってやりたい。
そう思いながらも、せめてもの抵抗として北条は下がり続けた。
ガオウは無常にも剣を掲げ、振り下ろそうとする。
その時だった。

「変身!」
『KAMEN RIDE』

突如、二つの声が聞こえる。
人間の肉声と、機械の電子音声。
その二つは、北条とガオウの鼓膜を刺激した。
反射的に、二人は同時に振り向く。
そこには見知らぬ青年が、悠然と佇んでいるのが見えた。
腰には、バックルに赤い石が埋め込まれた、ベルトが巻かれている。
青年、門矢士は両脇に手をつけて、押し込んだ。

『DECADE』

白銀に輝くベルト、ディケイドライバーから音声が再び響く。
直後、バックルから光が放たれ、紋章が浮かび上がった。
続いて、士の周りに九個のエンブレムが出現。
その場所を中心とするように、人型の残像が次々と作られた。
それらは、士の身体に装着される。
すると一瞬で、黒いアーマーに形を変えた。
それに伴い、ディケイドライバーから七つの板が、真紅の輝きを放ちながら吹き出す。
現れたプレートは、頭部の仮面に突き刺さった。
刹那、全身のアーマーにはマゼンタが彩られ、額と両眼から光を放つ。
いつものように、門矢士は変身を果たした。
仮面ライダーディケイドと呼ばれる、戦士へと。
そのまま彼は、動けなくなった北条の前に立った。

「ほう? 少しは喰いがいがありそうだな」

現れたディケイドを見て、ガオウは仮面の下で笑みを浮かべる。
そのまま、ガオウガッシャーの先端を突きつけた。
それに構わず、対するディケイドは脇腹からライドブッカーを手に取る。
取っ手を曲げると、反対から刃が飛び出した。
剣を構えるディケイドは、北条の方に振り向く。

「貴方は、一体」
「あんたは、ここでじっとしてろ」

疑問を遮ると、敵に顔を向けた。
ライドブッカーを構えて、ディケイドは地面を蹴る。
勢いよくガオウに突進すると、剣を振りかぶった。
直後、甲高い金属音が鳴り響く。
それは、ガオウの持つガオウガッシャーと、激突したことによって発生した音。
ガオウもまた、その手に持つ得物を振るったのだ。
互いの刃が激突したことで、火花が飛び散る。
しかし、一瞬で風に流された。
これを合図として、戦いのゴングが響く。
ディケイドとガオウは、互いに後ろへ飛んで距離を取った。
そして素早く、距離を詰める。

「はあああぁぁぁっ!」

凄まじい勢いで、ディケイドはライドブッカーを横薙ぎに振るった。
しかし、ガオウはあっさりと払う。
そのまま、ガオウガッシャーで突きを繰り出した。
標的となったディケイドは、身体を捻って回避する。
その直後に、彼の後ろで佇んでいた木が、空気と共に貫かれた。
ガオウガッシャーを引き抜いた途端、音を立てながら折れていく。
そして地面に倒れて、振動を起こした。
数え切れない程の木の葉が舞い落ちる中、彼らは睨み合う。
視線が交錯する中、今度はガオウから突進を仕掛けた。

「フンッ!」

仮面の下から掛け声と共に、ガオウガッシャーを振るう。
その一撃は、大気を揺らしながら木の葉を次々と両断した。
対するディケイドは、咄嗟の判断でライドブッカーを掲げる。
彼らの得物は、再度激突した。

「ぐっ……!」

しかし、突如ディケイドの両腕に痺れを感じる。
衝撃でライドブッカーを落としそうになるが、何とか堪えた。
刃と刃が擦れ合い、鍔迫り合いが始まる。
だが、ディケイドは押し返すことが出来ない。
ガオウの攻撃が、あまりにも重すぎたのだ。
向こうが少しでも力を込めれば、こちらが一気に崩れる。
本能でディケイドは察すると、バックステップを取って後ろに下がった。
一瞬だけ、ガオウが怯む。
その隙を付いて、ディケイドは突進しながら斬りかかった。
風に揺れる木の葉と共に、ガオウの鎧を切断する。
火花が飛び散ったが、それだけ。
ディケイドは追撃を仕掛けようとする。
だが、それは届かない。

「効かねぇな」

ガオウの持つ剣に、一撃を阻まれる。
その瞬間、お返しとでも言うかのようにディケイドの胸が切り裂かれた。
先程の再現のように、身体が抉られる。
しかし、ガオウはそれだけで終わらない。
畳みかけるかのように、ガオウガッシャーを振るった。
右上から脇腹へ、斬り返すように右肩へ、横薙ぎに胴へ。
まるで血に飢えた猛獣のように、得物を振るっていた。
一見力任せと思われるが、それらは確実にダメージを与えている。
ディケイドは何とか対抗して、ライドブッカーで捌こうとした。
だが、最初の一撃が原因で、思うように動けない。
よって、いくら弾こうとしても意味が無かった。
ガオウが繰り広げる嵐のような連撃によって、次々と傷が刻まれていく。
血漿のように、鎧から火花が噴出し続けた。
数多の衝撃によって、ディケイドは蹌踉めいてしまう。
体勢を崩した隙を、ガオウは見逃さなかった。
彼は右足に、力を込める。
すると、その部分から真紅のオーラが放たれた。

「でえいっ!」

渾身の力を込めて、鋭い前蹴りを繰り出す。
ガオウの足は、ディケイドの腹部にあっさりと沈み込んでいった。
凄まじい衝撃を受けてしまい、彼の身体は宙に浮かんでいく。
受け身を取ることも出来ず、そのまま地面に激突した。
数回ほど転がった後、何とか勢いを止める。
身体の節々に痛みを感じながらも、ディケイドは体勢を立て直した。

「お前、真面目にやってるのか? 全然喰い足りないぞ」

舌打ちしながら、ガオウが近づいてくる。
その姿を見て、ディケイドは危機感を覚えた。
目の前の仮面ライダーは、やはりこの戦いに乗っている。
襲われていた男を助けるために変身したが、逆に自分がピンチになるなんて。
認めたくないが、このままではやられる。
この状況を打破する為の方法は、一つしかない。

(一気に決めてやるか……!)

そう、一刻も早い勝負の決着。
ダラダラと長引かせても、消耗が激しくなるだけ。
この考えに至ったディケイドは、一旦ライドブッカーを元の位置に戻す。
そして、蓋を横に開いた。
彼はケースの中から、一枚のライダーカードを取り出す。
表面にディケイドの紋章が、金色で書かれているカードを。
相手との距離は、幸いにも空いている。
確信したディケイドは、カードをディケイドライバーの上部から挿入した。

『FINAL ATTACK RIDE』

バックルに、黄金色の紋章が浮かび上がる。
それはディケイドの仮面を、象っていた。
聞き慣れた音を耳にした彼は、ディケイドライバーのサイドハンドルを両手で押し込む。

『DE、DE、DE、DECADE』

再び、電子音声が空気を振るわせた。
その瞬間、バックルから放つ輝きが更に強くなり、カードに込められていた力が全身に流れ込む。
するとディケイドの前に、金の輝きを放つ十枚のエネルギーが、ゲートのように現れた。
彼は両足に力を込めて、跳躍する。
動きに合わせるかのように、ゲートも空に浮かんでいった。

「なるほどな」

自身の前に出現した光の門を見て、ガオウは呟く。
敵は、決着をつけようとしているのだ。
その為に、必殺の一撃を繰り出そうとしている。
戦士としての勘から、感じ取ることが出来た。
それならば、上等。
こちらも全力の一撃を使うだけだ。
そう思いながら、ガオウはマスターパスを取り出す。
手からそれを落とすと、バックルと交錯した。


『FULL CHRAGE』

ディケイドライバーのように、ベルトから声が発せられる。
それによって、大量のエネルギーがそこから噴出された。
腰から右肩、そしてガオウガッシャーに伝わっていく。
すると、刃がドリルのように高速回転を始めた。
両手でガオウガッシャーを握り締め、ガオウは空を見上げる。
視界の先からは、光のゲートを通りながら右足を向ける、ディケイドの姿があった。

「はあああぁぁぁぁぁぁっ!」
「フンッ!」

仮面ライダー達の叫びが、森林に響く。
ガオウに目がけてディケイドが放つ必殺の蹴り、ディメンションキック。
ディケイドに目がけてガオウが放つ刃の一撃、タイラントクラッシュ。
上から下を目指した蹴りと、下から上を目指した刃が、徐々に迫る。
そこから一秒の時間もかからずに、激突した。
その瞬間、二つのエネルギーがぶつかったことによって、大爆発が起こる。
轟音と共に、衝撃波が空気を振るわせた。
次々に木が倒れ、木の葉は吹き飛ばされ、雑草に火が燃え移る。

「ぐあああっ!」

そんな中、ディケイドは吹き飛ばされてしまった。
悲鳴と共に、地面に叩きつけられる。
対するガオウは、まるで何事もなかったかのように佇んでいた。
これが示すのはたった一つ。
ディケイドの必殺技、ディメンションキックが通用しなかった事。
何故、こうなったのか。
その答えをディケイドは知っている。
ガオウの度重なる攻撃によって、身体が思うように動かなかったのだ。
戦闘では、受けたダメージが影響を及ぼすことがある。
故に、力を込めようとしても痛みが邪魔をして、威力が出なかったのだ。

「くっ…………!」

しかし、そんな事は関係ない。
例え効かなかったとしても、もう一度使えばいいだけ。
今は、この仮面ライダーを倒す事からだ。
痛みを堪えながら、ディケイドは何とか立ち上がる。
そしてライドブッカーを、構えた。
だが、彼の思いはすぐに裏切られてしまう。

「があっ!?」

突如、右肩に衝撃が走った。
それにより、仮面の下から絶叫を漏らしてしまう。
次の瞬間、ディケイドの全身から、大量の火花が吹き出してきた。
同時に、激痛を感じる。
何が起こったのか察知する前に、彼の体勢は崩れていった。
そのまま、背中から地面に倒れていく。
衝撃によって、ディケイドの鎧が限界を迎えた。
変身が解けてしまい、元の姿に戻る。

(な、何だ…………!?)

視界がぼやける中、士は思考を巡らせた。
そして、周囲を見渡す。
次の瞬間、彼の目は衝撃によって見開かれた。
その理由は、木々の間から新たなる怪人が現れたため。
元は『Xライダーの世界』に存在する組織、GOD機関に所属する怪人だった大ショッカーの大幹部。
銅色の仮面、額に彩られているステンドグラスのような模様、首からかけられた白いマント、黒いスーツ。
幾度となく戦いを繰り広げた宇宙一迷惑な男、スーパーアポロガイストだった。
その手には巨大なマグナム銃が握られている。

「フッフッフ、まさかこんなにも早く貴様と再会できるとはな。ディケイド!」

銃口からは、煙が流れているのが見えた。
どうも、自分はあれで撃たれたらしい。
戦いの隙を付かれるとは、情けないにも程がある。
抵抗しようにも、身体が動かない。
焼かれるような激痛と、倦怠感が身体を支配していた。
それに伴って、眠気が襲いかかる。

(…………こんな所で、終わってたまるか!)

スーパーアポロガイストに、名前も知らない仮面ライダー。
こんな身体で、今の状況を打破できる訳が無い。
破壊者として生きてきた自分は、こんなにも呆気なく破壊されてしまうのか。
いや、あり得ない。
俺達の旅は、こんな事で終わるものではないからだ。
士は何とか足掻こうとするも、身体が言う事を聞かない。
瞼が閉じていき、次第に視界が暗くなる。
彼の意識が闇に沈むのに、時間は必要なかった。






無様に倒れた士を見て、スーパーアポロガイストは充足感を覚える。
今まで自分は、この男に何度も煮え湯を飲まされた。
殺し合いに来て早々、ディケイドが仮面ライダーと戦っている光景を目撃した。
そのシステムから見て、電王の世界から連れて来られたのかもしれない。
必殺技同士の激突後、ディケイドは吹き飛ばされた。
この隙を付いて変身し、アポロショットを使う。
結果、ディケイドは倒れた。

(ククク、無様だなディケイド。 さあ、私がトドメを————)
「おい」

スーパーアポロガイストの歩みは、突然止まる。
その目前に、輝きを放つ刃が現れたため。
振り向いた先では、ガオウがこちらに武器を向けているのが見えた。
邪魔をされた事に怒りを覚え、スーパーアポロガイストは口を開く。

「何だ貴様、私の邪魔をする気か?」
「こっちの台詞だ。俺の獲物を横取りしようとするとは、いい度胸じゃねえか」

しかし、ガオウは質問に答えない。
彼もまた、怒りを覚えていたのだ。
勝負に水を差された事と、獲物を横取りしようとする馬鹿が現れた事。
この二つが、ガオウの逆鱗に触れたのだ。
それに気付いたのか、スーパーアポロガイストは新たなる武器を出現させる。
スーパーガイスカッターの名を持つ、鋼鉄のチャクラムを。

「フン、ならば貴様から始末するのみ!」
「面白い、やってみろよ!」

スーパーアポロガイストとガオウは、怒号を掛け合う。
そのまま、互いに武器を振るって、激突させた。
ガオウが剛剣を振り下ろし、スーパーアポロガイストがそれを受け止める。
狂える牙の王と、宇宙一迷惑な男の戦いが始まった一方で、木の陰から一人の男が現れた。
それは、戦いをずっと見守っていた北条。

(どうやら、今しかありませんね)

彼は、気絶した士の元へ向かう。
そのまま、彼の手とデイバッグを肩にかけて動きだした。
幸いにも、相手は戦いに集中しているようなので、気付かれていない。
バッグ二つと、男一人の身体。
総重量は凄まじいが、動けないほどでもない。
アンノウンと戦う為に、G3ユニットやV−1システムを扱った事があるので、それなりに体力はある。
今は、この場からの撤退が優先だった。
アギトとも、警視庁が作り出したシステムとも違う、謎の鎧。
突然現れた、アンノウンのような怪物。
そして、この殺し合い。
次から次へと謎が増えて、北条の頭は混乱しそうになる。
だが、それらの推理は後。

(まずは、この青年の安全を確保しなければ)

警察官としての正義が、彼を動かしている。
名前も知らないが、自分を助けてくれた。
少なくとも、あの男のような危険人物ではないと思われる。
まずは安全な場所まで避難し、青年の応急処置。
そして情報を聞いた後、地図に書かれていた病院までの移動。
幸運にも、自分のバッグには救急箱が存在している。
それでどこまでいけるか分からないが、やるしかない。
このまま放置していては、いつ死んでもおかしくないだろう。
北条は最後の力を振り絞って、木々の間を駆け抜けた。
その甲斐があってか数分後、森林からの脱出に成功する。
彼らのいく先に何が待つのかは、誰にも分からない。

【1日目 日中】
【C-7 平原】

【門矢士@仮面ライダーディケイド】
【時間軸】MOVIE大戦終了後
【状態】気絶中、重傷、疲労(大)、 ディケイドに二時間変身不可
【装備】ディケイドライバー@仮面ライダーディケイド、ライダーカード一式@仮面ライダーディケイド
【道具】支給品一式、不明支給品×2
【思考・状況】
1:…………(気絶中)
【備考】
※デイバッグの中身は確認しました
※現在、ライダーカードはディケイドの物以外、力を使う事が出来ません。
※該当するライダーと出会い、互いに信頼を得ればカードは力を取り戻します。

【北条透@仮面ライダーアギト】
【時間軸】本編終盤 アギト殲滅作戦決行中
【状態】疲労(小)、士を背負っている
【装備】無し
【道具】支給品一式、救急箱@現実、不明支給品×2
【思考・状況】
1:まずは安全な場所に移動し、青年(士)を手当てする。
2:牙王、アポロガイストを警戒する。(両名とも、名前は知らない)
3:知人と合流し、情報を集める。

【備考】
※デイバッグの中身は確認しました
※その中には、彼にとって戦力になるような物はありません






士と北条の二人が逃走した事に気付かずに、戦士たちは戦いを繰り広げていた。
ガオウガッシャーとスーパーガイスカッターの激突は続き、金属音が響く。
時折、スーパーアポロガイストは、アポロショットの引き金を引いた。
しかし弾丸は、ガオウによって全て弾かれる。
そこから、ガオウガッシャーの刃が振るわれたが、スーパーアポロガイストはあっさりと回避。
哀れにもその結果、木々が次々に砕け散ってしまった。
まさに、一進一退と呼べる戦い。
そんな中、互いに大きく踏み出し、力強く武器を振るった。
激突の瞬間、彼らは密着する。
刃とチャクラムを使った、鍔迫り合いが始まった。
押し合うも、力はほぼ互角。
そんな中、ガオウは仮面の下で笑みを浮かべながら、呟いた。

「終わりだな」
「何?」

刹那、スーパーアポロガイストは気づく。
ガオウが、片手でしか武器を持っていないことを。
その意味を、一瞬で気づいた。


(しまった! 初めからこれが狙いか!)

電王の世界にいる仮面ライダーは、必殺技を使う際にある物を使う。
それは、ライダーパス。
ベルトに翳して、エネルギーをチャージするのに。
そして自分は、至近距離で戦っている。

『FULL CHARGE』

悪い予感は、的中した。
案の定、目の前の仮面ライダーは取り出したパスを、ベルトに近づけている。
それを示す音声が響くと、刃が回転を始めた。
金属が削れるような、鋭い音が聞こえる。
こんなゼロ距離で受けては、いくら自分とて一溜りもない。
そう危惧すると、スーパーアポロガイストは後退した。
しかし、時は既に遅し。
タイラントクラッシュの一撃は、スーパーガイスカッターを砕き、持ち主の身体へ到達した。

「ぐおおぉぉぉっ!?」

悲痛な叫び声が、スーパーアポロガイストから漏れる。
その巨体は、必殺技の衝撃によってあっさりと吹き飛んだ。
そして地面に激突した瞬間、その変身が解かれてしまう。
白いスーツを身に纏った壮年の男性、ガイの姿に戻ってしまった。
彼は自分の姿を見て、驚愕の表情を浮かべる。

(バカな、何故この程度で元の姿に戻る!?)

ここに、ガイの知らない事実があった。
参加者全員を縛り付ける首輪。
その効果は、殺し合いのバランスをとる為、能力を抑える事がある。
スーパーアポロガイストとて、例外ではない。
それに加えて、ガオウの放った必殺の攻撃。
制限されているとはいえ、凄まじい威力を持つことは変わらない。
タイラントクラッシュを至近距離で受けた事で、ガイの変身は解除されたのだ。

「さて、そろそろ喰らわせてもらうか……」

ガオウは、パスを構えながら迫り来る。
それを見て、ガイはスーツのポケットに手を入れた。
その中から『龍騎の世界』に存在していた変身アイテム、シザースのカードデッキを取り出す。
ガイはそれを、すぐ近くの湖に翳した。
この動作によって、彼の腰に銀色のベルト、Vバックルが巻かれる。

「変身ッ!」

数多の仮面ライダーが口にした言葉を、ガイは告げた。
右手で掴んだカードデッキを、横からVバックルに差し込む。
ベルトから光が放たれ、ガイの周りに複数の虚像が現れた。
それは回転しながら、彼の身体に重なっていく。
瞬く間に、ガイは変身を完了した。
蟹を彷彿とさせる仮面、金色の輝きを放つ鎧、左右非対称の大きさを持つ鋏、下半身を守る黒いスーツ。
『龍騎の世界』で戦っていた仮面ライダーの一人、仮面ライダーシザースへと、ガイは姿を変える。
それを見て、ガオウは足を止めた。

「ほう、少しは喰いがいがありそうだな?」

ただの獲物だと思ってた敵が、まだ自分に抗おうとする。
その事実が、ガオウの神経を高ぶらせていた。
ならば、それに応えてやればいい。
ガオウガッシャーを構える一方で、シザースはカードデッキに手を伸ばす。
そこから一枚のカードを引いた。
彼はそのまま、左腕に装着された鋏、シザースバイザーに差し込む。


『ADVENT』

電子音声が、発せられた。
刹那、近くの湖から巨大な影が出現する。
それは、龍騎の世界に存在する、魔物だった。
その世界では、ミラーワールドと呼ばれる、全ての物が反転した異世界が存在する。
ここには、ミラーモンスターの名を持つ人を喰らう怪物が、生息していた。
シザースが呼び出したのは、その一匹。
持ち主のように身体を金色に輝かせるミラーモンスター、ボルキャンサーだった。

「GYAAAAAAAAAA!」

蟹の魔獣は、咆哮を発して空気を揺らす。
そのまま、ボルキャンサーはガオウに突進を仕掛けた。
主に危害を加える敵を、潰す為に。
しかし、それをただ食らうほどガオウはお人よしではない。
ボルキャンサーの巨体を、身体を捻って軽々と避ける。
そのまま横腹に、鋭い蹴りを放った。
微かな悲鳴と共に、ボルキャンサーは吹き飛ぶ。
ガオウはそんな様子に目もくれず、シザースの方に振り向いた。
だが、敵の姿はない。

「チッ、逃がしたか…………」

舌打ちと共に、ガオウは呟く。
その瞬間、水が破裂するような音が聞こえた。
そちらに顔を向けたが、ボルキャンサーも既にいない。
湖を覗き込むが、気配はなかった。
直後、異変が起こる。
身に纏っていたガオウの鎧が、唐突に消えた。
恐竜の仮面ライダーから、元の壮年の男に戻ってしまう。
これは牙王の知らない、首輪の効力による現象。
十分間の時間制限が、訪れたのだ。

「次から次へと、どうなってやがる……?」

牙王の中で、苛立ちが募っていく。
大ショッカーに連れて来られてから、今の現状に期待した。
恐らく、こんな場所なら喰いがいのある奴らが、いくらでもいるはず。
だが、実際はどうだ。
出会った獲物は骨がないどころか、自分から逃げ出すような腰抜け揃い。
それに加えて、解除しようと思ってないのに、変身が終わった。
可能性としては、大ショッカーが何か下らない仕掛けでも、施したのだろう。

「つまらん事を…………」

牙王には、戦いの褒美も世界の崩壊もまるで興味がない。
心の中にあるのは、全てを喰らう事だけ。
それだけの、シンプルな欲望。
参加者を皆殺しにして、最後に大ショッカーも潰す。
ただ一つだけだった。
破壊の欲望に駆られた牙王のデイバッグの中に、あるアイテムが眠っている。
それは『Wの世界』に存在する、ガイアメモリの一つ。
ミュージアムに所属する処刑執行人、イナゴの女が使っていたメモリ。
ホッパー・ドーパントの力が封印されたガイアメモリは、牙王に何をもたらすのか。

【1日目 日中】
【B-7 森】


【牙王@仮面ライダー電王】
【時間軸】:不明。
【状態】:健康、苛立ち、ガオウに二時間変身不可。
【装備】:ガオウベルト&マスターパス@仮面ライダー電王、ガイアメモリ(ホッパー) @仮面ライダーW
【道具】、支給品一式、不明支給品×2(確認済み)
【思考・状況】
1:全ての参加者を喰らい、最後に大ショッカーも喰う。
2:変身が解除されたことによる、疑問。


【備考】
※牙王がどの時間軸からやってきたかは、後続の書き手さんにお任せします。






シザースは、木々の間を全速力で駆け抜けている。
ボルキャンサーを召還した後、彼は戦場からの撤退を選んだ。
先程戦った仮面ライダーが、あまりにも強すぎたため。
ディケイドを易々と打ち破るからには、それなりの力は予想できた。
だが、まさかスーパーガイスカッターを砕くなんて。
戦いで消耗していると思ったが、そんな様子は見られない。
そして、いつもより発揮できない力。
恐らく大ショッカーが、自分に何らかのハンデを架したのかもしれない。
しかし真相の究明は、後だ。
まずは安全な場所までに撤退し、体勢を立て直すべき。

(もう少しでディケイドを始末できたのだが、あの仮面ライダーめ……!)

ガオウに対する苛立ちを覚え、仮面の下で歯軋りをする。
後ろからは、追ってくる気配はない。
それを察すると、彼は変身を解いて元の姿に戻った。
ふと、彼の中で疑問が芽生える。
ディケイドを狙撃した時、いつもより弾丸が発射されるペースが遅い気がした。
その原因は、恐らくこの首輪。
まさか、他にも何か影響が出ているのではないか。

「アポロ、チェンジ!」

ガイは全身に力を込めて、変身を行う。
しかし、何も起こらない。
その事実に驚愕するも、彼は確信した。
この首輪は普段の力だけでなく、変身を阻害する効果も持っている。
だが、それは一時的で時間が経てば、また変身は可能。
理由は、永続的に阻害しては殺し合いが進まないからだ。
だとすれば、変身道具は一つだけでは心許ない。
他のライダーのアイテムも、奪うことを考えに入れるべきだろう。

(そして、これは逆にチャンスでもあるか)

首輪の効果は、何も自分だけではない。
参加者全員にも、届いているはずだ。
この首輪は自分を縛る枷だけではなく、時として武器にもなるだろう。
しかし何にせよ、まずは身体を休めることからだ。
ガイは息を整えながら、そんなことを考える。



【1日目 日中】
【B-6 平原】


【アポロガイスト@仮面ライダーディケイド】
【時間軸】死亡後
【状態】疲労(小)、ダメージ(小)、怪人体及びシザースに二時間変身不可
【装備】シザースのデッキ@仮面ライダー龍騎
【道具】支給品一式、ディスクアニマル(アカネタカ)@仮面ライダー響鬼
【思考・状況】
1:大ショッカーの意思通り、全ての敵を倒し、世界を破壊する。
2:まずは体勢を立て直す。
3:ディケイド、牙王はいずれ始末する。
4:全てのライダーと怪人にとって迷惑な存在となる。
【備考】
※スーパーアポロガイストの状態ですが、能力は抑えられています。
※能力が抑えられていることを、何となく把握しました。


019:near miss 投下順 021:差し伸べる手
019:near miss 時系列順 022:代償
GAME START 門矢士 031:ただの人間
GAME START 北條透 031:ただの人間
GAME START 牙王 047:加速度円舞曲♯王と牙の運命
008:宇宙一迷惑な男 アポロガイスト 043:太陽と天候