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ただの人間◆LQDxlRz1mQ


 遂に、草ではなくアスファルトを踏むときが来た。
 自分でも、よくここまで来たと関心してしまう。
 私こと北條透は、それだけ険しい道を歩んできたのだから。
 私の背負ってきた青年──名は知らないが、彼はきっと仮面ライダーと呼ばれる存在なのだろう。
 大ショッカーなる組織が見せた映像と、彼の変身した姿はそれだけ酷似していた。

「……だというなら、私が保護する対象ではないでしょうに」

 自分でも呆れてしまう。
 仮面ライダーという存在が本当に世界を破壊するというのなら、私は彼を殺す。それだけ危険な存在だというのなら、生かしておけば人類にとってマイナスの存在としかなり得ないのだから。
 だが、彼のした行動は、言うならば──善。
 人間の善の心を信じる私としては、その「善人」という存在は極力保護したい。それに、この青年はアギトのように直接からだを変身させるわけではなく、特殊な器具を使って変身した……いわば、オーバーテクノロジーで作られたG-3システムのような存在だ。
 つまり、変身するのはただの人間。殺すのではなく、器具を破壊すれば済む話だ。

 ──それなら、アギトだけを狙えば良い話じゃないか……?

 私たちを狙った怪人は、アギトのようなタイプであったか。否だ。
 彼もまた、器具を使っての変身。──まあ、彼は決して善人では無かったが。
 アギトのようなタイプならば、仮面ライダーそのものを抹殺する必要がある。一方、器具を使って変身する仮面ライダーならば器具を破壊すれば終る話。
 それをせず、わざわざそれを渡して戦いを誘発するような真似をする必要はあるのだろうか?

「大ショッカー……やはり信用に足る組織では無さそうだ」

 本当に世界の破壊があるというのなら、私も自分の世界のために戦うだろう。
 そういった気持ちを逆手にとって、殺し合いを楽しむような意図が見え隠れしている。
 彼らの真意は世界の選別などではない。おそらく、それを餌にした殺人合戦を楽しむといったところだろう。

「その為に、この施設を借りるとは──いくら温厚な私でも、ブチギレてしまいそうだ」

 ──踏んだアスファルト。
 それが囲っているのは、警察署。私の職場であった。


△ ▽


 私は青年を、ソファに寝せると早速、人が身を守るための道具を探し始めた。
 私は彼と違って、仮面ライダーではない。この身一つで戦うというのは、いくらなんでも心細いだろう。
 ──まあ、デイパックの中に道具は配給されていたが、それは戦いの場で使うものではなかった。

 私の支給品を説明すると、ひとつは青年に応急処置を施した救急箱である。
 包帯、バンドエイド、消毒薬、ガーゼ、湿布……医薬品の類は少なく、道具の多くは傷を治すようなものばかり。
 大ショッカーとやらの義理だろうか。殺す道具で無かったのは、私としては気分が良かった。

 ふたつめは、ラウズアブゾーバーという器具。
 これは、仮面ライダーが使うものらしいが、もしかすれば青年のものかもしれない。私にとっては護身の武器にさえならないようなものだ。
 これと同時に、カードも必要なようだがそれは私には支給されていない。

 みっつめは、ファイズポインターとカイザポインターのセット。
 これもまた仮面ライダーの道具の一つであり、生身でもそれぞれ高性能ライト、双眼鏡として使うことができる。
 ライトは既に必需品として渡されているが、双眼鏡はまあ有難い道具といえる。


 ──だが、こんなものでは自分の身を守れるわけはない。
 これでは双眼鏡で敵が来るのを眺めて逃げるか、味わった傷を治すことしかできないのだ。
 当然だが、私も死にたくない。ましてや、こんなところで何もせず、誰にも知られずに死ぬというのは惜しいものがある。

 そのために、私の把握する限りの『武器のある場所』を片っ端から探していこうと私は歩いていた。

「……やはり、全て無くなっている」

 まるでコソ泥のような行動なので、気分が解せないが、警察のロッカーから銃があるはずの場所を漁っていく。
 厳重に鍵がかかっていたというのに、そこには何もない。監視カメラも起動していないように見える。どうやら、この殺し合いはそういうものらしい。
 この警察署も根本的に場所が違う。私の職場とは、窓からの情景が違うにも関わらず構造や壁の傷さえも同じ。

 これが、この世界における私の警察署なのだ。
 随分と見晴らしの良い場所に、私の警察署はある。そして、そんな世界が殺し合いに使われてたのだ。


 ふと、窓からちらりと映った『それ』に目が行った。
 見たことのあるものだ──あれは、そう。

「Gトレーラー……それに、あのバイクは……」

 トラックの銀と、傍らのバイク。
 私はその二つをよく知っている。それもまた、殺し合いの道具になったというのか。
 ──なんとも虚しい気分になる。
 私も、一度はそれに乗ってアンノウンと戦ったことがあったのだから。

 忘れはしない──憎らしい同僚が戦っていたGトレーラー。
 かつて警察が開発したバイク・トライチェイサー2000。
 その二つが、野に放置されている。
 下を見下げると、その二つの機械が確かに見える。

 その中身が果たして、G-3システムを装備したものなのかはわからない。──先ほどのロッカーのように、空ということもある。
 が、所謂凡人でしかない私は、G-3システムを積んでいるという可能性に賭けようと、その場へ向かっていた。


△ ▽


 ──私の求めていた可能性。
 それは、当たっていたのか間違っていたのか。

 警察署の思い当たる場所に、鍵はなかった。
 Gトレーラーの車体は、鍵無しで開くことを拒んでいた。
 もし、その鍵の在り処を挙げるとするなら──

「小沢さん、か……」

 彼女が持っているという可能性が高いだろう。
 このGトレーラーの全権を握る責任者は彼女だったのだから。
 私は折角、身を守れるだけのものを眼前にしながら、それを得ることができないもどかしさに、なんとかしてGトレーラーを開けようと何度もドアを開ける仕草をとった。
 ……が、駄目だった。

 もう片方。
 トライチェイサー2000は右のグリップが欠品している。──駆動キーでもあるトライアクセラーがないのだから、動くはずもない。
 仮に動いたとして、それをどう使うか。右グリップのないバイクを操縦する技術などあるはずがない。

 私は、一つ溜息をしてから二つの武器に背を向けた。
 ──が、ここで私は思い立つ。
 G3-Xと同系のシステムたちは、どこにあるのか。
 V-1システムやG3システムたちに関わった私は、一応その機密について知っている。

 ──地下だ。


 地下へ向かい、システムを回収すれば私にも勝機ができる。
 Gトレーラーなど使わなくても……。


「その前に……」


 あの青年、そろそろ目覚めた頃だろうか。
 システムが保管されているか確証のない私にとって、今武器と呼べるのは仮面ライダーだけなのだから。
 彼のことが、気にかかって仕方がなかった。


△ ▽


「まだ、目が覚めてはいないようですね……」


 私は門矢士の傷だらけの姿を横目に流した。見てみれば、少し位置がずれているような気もするが、寝相というやつだろう。
 彼の寝るソファを通り過ぎていく。


「落ち着かないな、あんた」


 私は、不意を突かれたように驚いた。
 どうやら、青年はもう、目を覚ましていたらしい。そうした上で私の行動を警戒していたのだろうか。
 まあ、無理もないだろう。我々は世界の存亡をかけて殺しあっていたのだから。


「起きていたんですか」

「ああ、少し前にな」


 青年は上半身を起こし、ソファに座ったような体勢になる。
 少し、傷はふさがってきたのだろうか。まあ、あれから何時間かになるのだから無理もない。
 私は彼と目をあわせる。それが、会話の第一歩だ。


「あんたが助けてくれたのか」

「お互い様ですよ。あなたも私を助けたんですから」

「確かにな、ギブアンドテイクってやつだ」


 ここで謙遜しないほど、態度の大きい男というのも珍しい。
 私より下の世代はこういう性格の者ばかりなのだろうか。
 事実とはいえ、社交辞令というものをわきまえたほうがいい。


「……私にはやるべきことがあるので、しばらくここで待っておいてもらいますが、念のためあなたの名前を聞いておきましょう」


 この男から解放されるためにも、私は適当に理屈をこねた上で名前を聞く。
 こんな男と一緒にいるとストレスで胃に穴が開いてしまいそうだ。
 ……助けてもらった手前、何もいえないのだが。


「門矢士だ、あんたは?」

「北條透。警察ですよ」

「警察か……俺と同じだな」

「は? まさか、あなた警察なんですか!?」


 私も流石に驚きを隠せない。
 警察にしては若く、その上に態度が大きすぎる。
 階級といった面倒臭いシステムのある社会で、こんな男が通用するのか。


「ああ、そうだったこともある。他にも色々やったが……俺の伝説を聞きたいか?」

「冗談として受け取っておきます」


 ──私はこの男が嫌いだ。

 そう、心の中で呟くと、私は警察署の地下へ向かった。


△ ▽

「……世界の破壊、か」

 俺は前にも何度か言ったような単語を呟く。
 仮面ライダーディケイドの存在による世界の破壊は止まったはずだ。
 それがまたしても、大ショッカーの手によって動いてしまったのか。
 どちらにせよ──

「大ショッカーは、俺が潰す!」

 そして、たとえ世界を破壊する存在だとしても、仮面ライダーを倒すというのはもう御免だ。
 かつて、敵になったことがあっても俺たちを支えてくれた戦士たち──仮面ライダー。

 1号、2号、V3、ライダーマン、X、アマゾン、ストロンガー、スカイライダー、スーパー1、ZX、BLACK、BLACK RX、シン、ZO、J。
 クウガ、アギト、龍騎、ファイズ、ブレイド、響鬼、カブト、電王、キバ。

 その名前を、姿をかつて俺は刻み込んだ。
 忘れもしない、世界を守る英雄たち。
 俺が出会ってきたその英雄たちが、世界を破壊する存在だとはもう言わせない。

 そして、誰よりも──


(俺が、仮面ライダーだ!!)


 「北條透」。その名を頭に刻み付けると、俺はディケイドライバーを強く握った。



【1日目 午後】
【E-6 警察署(警視庁)】
※外部にGトレーラーとトライチェイサー2000が並んで配置されています。


【門矢士@仮面ライダーディケイド】
【時間軸】MOVIE大戦終了後
【状態】重傷(軽い応急処置済み)、疲労(大) 警察署のソファに座っています
【装備】ディケイドライバー@仮面ライダーディケイド、ライダーカード一式@仮面ライダーディケイド
【道具】支給品一式、不明支給品×2
【思考・状況】
1:大ショッカーは、俺が潰す!
2:仲間との合流。
3:今はここで北條を待つ。
4:友好的な仮面ライダーと協力する。
【備考】
※デイバッグの中身は確認しました
※現在、ライダーカードはディケイドの物以外、力を使う事が出来ません。
※該当するライダーと出会い、互いに信頼を得ればカードは力を取り戻します。


【北条透@仮面ライダーアギト】
【時間軸】本編終盤 アギト殲滅作戦決行中
【状態】疲労(小)
【装備】無し
【道具】支給品一式、救急箱@現実、ラウズアブゾーバー@仮面ライダー剣、ファイズポインター&カイザポインター@仮面ライダー555
【思考・状況】
1:警視庁の地下で使えそうなものを探す。
2:牙王、アポロガイストを警戒する。(両名とも、名前は知らない)
3:知人と合流し、情報を集める。
4:小沢と合流して、Gトレーラーの鍵を渡してもらう。
5:士は嫌いだが、この場では一緒に行動するのも仕方がない。
【備考】
※Gトレーラーの鍵は小沢が持っていると考えています。

030:Xの可能性/悲しみを背負い 投下順 032:カンタータ・オルビス
030:Xの可能性/悲しみを背負い 時系列順 033:そして、Xする思考
020:巡り会う世界 門矢士 046:Kの名を胸に刻め/闇に消える光
020:巡り会う世界 北條透 046:Kの名を胸に刻め/闇に消える光