強魔(後編)◆LuuKRM2PEg





「しまった!」

照井と麗奈の方を見て、アクセルは狼狽する。
カプリコーンアンデッドが、京介変身体を振り切った事に。
彼はすぐさま、二人の元へ向かおうとする。
しかし、レンゲルがそれを許さなかった。

「フンッ!」
「ハアッ!」
「くっ!」

レンゲルラウザーと、コーカサスビートルアンデッドの持つオーバーオールが、立て続けに迫る。
何度も振るわれる二つの獲物を、アクセルは避けるので精一杯だった。
反撃を繰り出そうとしても、リーチの長さがそれを許さない。

「くそっ……!」

痛む身体を無理矢理起こしながら、照井は麗奈を庇うように立つ。
だが、カプリコーンアンデッドには関係ない。
相手はただの人間。しかも、負傷している。
あっさりと、横薙ぎに吹き飛ばした。

「ぐあっ!」

カプリコーンアンデッドによって、照井の身体は地面に叩き付けられる。
残ったのは、生身を晒す麗奈一人だけ。
アンデッドの殺意は、彼女に向いていた。

「間宮さんっ!」

京介変身体は、パラドキサアンデッドから何とか切り抜けようとする。
しかし、相手はカテゴリーキング。
鬼の中でも、実力の低い彼では勝てる相手ではない。
パラドキサアンデッドに京介変身体は拳を振るう。
だが、呆気なく止められてしまい、逆に投げ飛ばされた。

「い、嫌……!」

怯えた麗奈は、後退ってしまう。
それでもカプリコーンアンデッドは、彼女を目がけて進んだ。
麗奈の中を支配する感情。
恐怖。
殺し合いと言う現状と、目の前の化け物に対して。

(殺される…………! そんなのは、嫌!)

このままでは、殺される。
自分と共にいる男達も、今はこれない。
風間大介も、ここにいない。
自分を守る者は、誰もいない。
ならば、このまま殺されるしかないのか。
そんなのは嫌だ。
殺されたくない。
でも、何も出来ない。
死にたくない。
ならば、どうするべきか。
自分も戦うべきなのか。
どうやって。
答えは簡単だ。

自分がこの手で、目の前の怪物を殺してしまえばいい。

麗奈の中で、その考えが芽生える。
そんな事など知らずに、カプリコーンアンデッドは腕を振るった。
それは、彼女の身体を両断しようと迫る。

「ッ!?」

だが、その腕は届かない。
勢いを、止められてしまった。
カプリコーンアンデッドが叩き潰そうとした、麗奈によって。
腕を振り解こうとするが、全く動かない。
まるで万力で押さえつけられているかのようだった。

「フンッ!」

やがて麗奈は、カプリコーンアンデッドを投げ飛ばす。
その華奢な体格からは想像できない程の、圧倒的な力で。
倒れた異形を、彼女は勢いよく踏みつけた。

「愚かな……」

先程とは一片、永久凍土の如く冷たい表情で告げる。
彼女の瞳からは、圧倒的な威圧感が感じられた。
上級アンデッドの一体である、カプリコーンアンデッドを恐縮させてしまうほどに。
無論、その出来事を疑う者達は他にもいる。
アクセルも、照井も、京介変身体も、レンゲルも、召喚されたアンデッド達も。
麗奈がカプリコーンアンデッドを叩き付けている事実が、信じられなかった。
やがて、彼女は戦場に目を向ける。

「お前達にも聞かせてやろう……」

そして呟いた。

「私のレクイエムを」

死に行く者達への、鎮魂歌。
自分に刃向かった者への、制裁。
麗奈は、自身の顔に右手を添える。
その直後、彼女の身体は音を立てながら、変化を始めた。
不気味な光が麗奈を覆って、異形の骨格となる。
地球に生息するシオマネキの如く、硬質感溢れる装甲。
全身から飛び出す棘。
右腕に装着された、巨大な鋏。
『カブトの世界』に潜むワームを束ねる、圧倒的実力を誇る異形。
ウカワームに、間宮麗奈は姿を変えた。

「何っ……!?」

それは、誰の声かは分からない。
ここにいる全員が、信じられなかった。
ただの人間だと思っていた麗奈が、化け物へと変わった事に。
その直後、ウカワームの身体が唐突に消えた。
ワームが持つ高速移動の特性、クロックアップを使った事によって。
後に残ったのは、風によって舞う砂煙のみ。

「グアッ!」

そして、レンゲルの口から悲鳴が漏れた。
鎌鼬のように動くウカワームの攻撃を、受けた事によって。
続くように、レンゲルが召喚したアンデッド達も宙に吹き飛んだ。
それはまるで、風に舞う木の葉のように。
直後、ウカワームは再びその姿を現す。
レンゲルは仕返ししようと、レンゲルラウザーを振るった。

「小賢しい」

しかし、ウカワームは左手でそれを容易く弾く。
衝撃によって蹌踉めいたレンゲルに、更なる一撃を加えた。
その一撃を受けて、軽々と吹き飛ばされていく。
アンデッド達は、既にカードに戻っていた。
制限による、一分間が過ぎてしまったため。
地面へと倒れたレンゲルを潰そうと、ウカワームは進もうとした。

「うっ!?」

突如、頭に衝撃を感じる。
ウカワームは反射的に、左手で押さえ込んだ。
何処からともなく、声が聞こえる。

『麗奈さん』

『間宮麗奈』の記憶が、鳴り響いた。
自分の正体を知っても尚、愛を向けてきた男の顔。

『俺がそばにいる、ずっとそばにいるから!』

風間大介。
仮面ライダードレイクとなって、かつて自分を葬った人間。
そして、最期を見取った男。
あの男の声が、頭の中で響く。
人間として生きていけるなどと、あの男は言った。
だが自分はワーム。そのような事が、出来るはずがない。
分かっているはずなのに。
心の何処かが、何かがそれを拒む。

「…………くっ!」

やがてウカワームは、その場から走り去った。
何故そうしたのかは、自分でも分からない。
『間宮麗奈』の記憶が、人殺しを拒んだのか。
風間大介の言葉が、人殺しを拒んだのか。
あるいはその両方なのか。
答えは、見つからない。

「待てっ!」
「ガアアァァァァァッ!」

走り行くウカワームを、アクセルは制止しようとする。
しかしそんな彼の前で、レンゲルが杖を振るいながら迫ってきた。
横薙ぎに払われるレンゲルラウザーを、アクセルは紙一重で回避する。
だがレンゲルは、矢継ぎ早に杖を突き出そうとした。

「一条さんっ!」

攻撃を阻むかのように、京介変身体がレンゲルラウザーを掴む。
それを見たレンゲルは、ラウズカードを取り出した。
クラブの4。ラッシュライノセラスのカードを。

『RUSH』

カードをレンゲルラウザーに通した。
音声が発せられる中、レンゲルは京介変身体を振り解く。
そして、レンゲルラウザーを用いて突きを繰り出した。

「うわああぁぁっ!」

怒濤の勢いで、杖が肉体に突き刺さっていく。
カードの力を借りた連続攻撃、ライノセラスラッシュ。
それは京介変身体を吹き飛ばすのに、充分な威力を持っていた。
彼の身体は大地に叩き付けられた途端、変身が解除される。
レンゲルとアンデッド達との戦いで受けたダメージによって、限界を迎えたのだ。
後に残るのは、全裸を晒す桐谷京介のみ。
度重なる負傷によって、彼は気を失ってしまった。

「ボボデギゾバ、ブザサン (この程度か、くだらん)」

侮蔑の言葉を、レンゲルは倒れた少年に投げつける。
果敢に立ち向かったが、所詮はリント。
究極の力を手に入れた、自分の敵ではない。
そのまま、京介の命を奪おうとレンゲルは進む。
しかし、その道をアクセルが阻んだ。

「彼に……手を出すなぁっ!」

咆吼と共に、彼は拳を振るう。
敵に向かって一直線に向かっていく、パンチ。
だが到達する直前に、レンゲルはそれを止めた。
何の苦労もせずに。
そのまま、仮面の下で笑みを浮かべながら、アクセルの拳に圧力をかけた。
赤い戦士の手が、メリメリと音を立てながら軋む。

「ぐ……あっ!」
「レザパシ、バンザジョ(目障り、なんだよ)」

呻き声を漏らすアクセルに、レンゲルは杖をぶつけた。
真紅の身体が弾き飛ばされるが、道路を転がる。
しかし、それでもすぐに立ち上がった。

「まだだ、まだだぁっ!」

再びアクセルは吼える。
ここで倒れるわけにはいかない。
五代はいつも、こんな戦いを乗り越えてきた。
そして今も、殺し合いをしろと言われて、辛い気持ちのはず。
ならば、自分も戦わずにどうする。
ここで倒れたら、誰がみんなを守るのか。
こんな不条理な戦いに巻き込まれた、多くの命。
絶対に守らなければならない。
その強い信念を胸に、アクセルはレンゲルに対峙した。

「はあっ!」

何度目になるか分からない、パンチを放つ。
しかしレンゲルラウザーによって、呆気なく弾かれた。
手に感じる痛みを無視して、今度は蹴りを繰り出す。
レンゲルは、腰を反らしてそれを避けた。
そこから、反撃の一撃を放つ。
レンゲルラウザーの先端は、アクセルに容赦なく突き刺さった。

「があっ!」

血液のように、胸板から火花が飛び散る。
受け身を取る事も出来ずに、背中から地面に倒れた。
直後、京介のように彼も限界を迎えてしまう。
アクセルの装甲を構成する分子は崩れ、一条薫の姿を晒した。
しかし、それでもまだ意識は保っている。
そして幸いにも、アクセルドライバーは吹き飛んでいない。
痛む身体に鞭を打ちながら、一条はメモリのボタンを押した。

『ACCEL』
「変身!」

電子音声を耳にしながら、アクセルドライバーに突き刺す。
だが、何の反応も示さない。

「何!?」

一条は狼狽する。
この戦いに科せられている、参加者全員の変身制限。
一度変身を解いた後は、二時間経過しなければ不可能。
無論、彼がそれを知る由はない。
そんな一条の無様な姿を眺めながら、レンゲルは目前にまで迫った。

「ジャガバ (じゃあな)」

レンゲルラウザーを掲げながら、あっさりと言い放つ。
そのまま、一条の命を奪うために振り下ろそうとした。

「させるかぁっ!」

その直後。
レンゲルの動きは、突如として止まった。
敵の身体に、照井がしがみついたため。
アンデッドの攻撃によって、額からは血が流れていた。
服装も所々が千切れ、至る所から出血している。

「照井さん!?」
「何をしている一条! 彼を連れて早く逃げろ!」

痛々しい姿の照井は、一条と目を合わせながら叫んだ。
そんな彼を振り解こうと、レンゲルは藻掻く。
しかし、照井は耐えた。

「こいつはまだ何か隠し球を持っている可能性がある! このままでは、俺達は全滅だ!」
「ですが、貴方は……!」
「俺に質問をするな! お前は警察官だろう! ならば、命に代えても一般市民を守るのが使命のはずだ!」

一条に対して、必死に言い聞かせる。
照井の言い分は、理解出来た。
自分の後ろには、一般市民の少年が倒れている。
そして、目の前にいるのは既に死んだはずの未確認生命体第3号。
ならば優先すべきは、人の命を守る事。
それが警察の本文であり、使命だ。
それでも、一条は同じ志を持つ人間を、見捨てる事は出来ない。

「しかし!」
「これは命令だ! 一刻も早く、彼を連れてこの場から離れろ! そして――!」

照井は、真っ直ぐな瞳を向ける。
その中には、確固たる信念が宿っていた。
彼はそれを言魂に込めて、大きく叫ぶ。

「警察官として……仮面ライダーとして、このふざけた戦いにゴールを迎えさせろ! 一条薫、行けぇぇぇぇぇぇ!」

そう、警察官が持つ信念。
人々を守る揺るぎない正義。
そして、かつて左翔太郎が自身に告げた、仮面ライダーの意義。
町を泣かす悪魔から、人々を守る事。
それら二つが込められた、照井の叫び。
彼の思いを聞いて、一条は立ち上がった。
すぐさま京介を背負い、三人分のデイバッグを回収する。

「……申し訳ありませんっ!」

照井を一瞥すると、一条は走り出した。
人間一人と、バッグ三つ。
それなり重さだが、動けない事もない。
彼は振り向く事はせずに、無我夢中で走った。
一刻も早くここから離れて、京介を助けるために。

(俺は……何をやっている! 警察官の俺が、人を見捨てるなんて……!)

同じ刑事である照井竜を見捨てた事実が、一条の心を責め付けた。
自分の力が足りなかったせいで、この選択を取ってしまう。
五代ならば、照井の事も救えたはずなのに。
自分は、無力だ。
警察官として、いや人間として最低だ。

(そして……間宮麗奈。まさか、彼女も未確認だったのか!?)

先程、異形の怪物に姿を変えた間宮麗奈。
ただの一般市民と思っていた。
だがその正体は、未確認生命体。もしくは、異世界の怪人。
しかし今は、この究明に時間をかけている場合ではない。
まずは安全な場所まで避難し、京介を介抱する事。
状況の整理は、それからだ。

(俺も……あの人のように『仮面ライダー』として戦わなければいけないのか)

照井が残した言葉。
仮面ライダーとして、この戦いを終わらせる。
彼の世界では、町を守るヒーローと呼ばれているらしい。
しかし、第3号はその力を使って、自分達を襲った。
そして大ショッカーは、仮面ライダーを世界が崩壊する原因と語る。

(『仮面ライダー』とは……一体何なんだ!?)

この単語に関する疑問が、一条の中で広がっていく。
答えを見つける事が出来るのか。
それはまだ、誰にも分からない。


そして、二人は撤退に成功した。



【1日目 夕方】
【D-2 市街地】


【一条薫@仮面ライダークウガ】
【時間軸】第46話 未確認生命体第46号(ゴ・ガドル・バ)撃破後
【状態】疲労(中)、ダメージ(中)、罪悪感、仮面ライダーアクセルに2時間変身不可
【装備】AK-47 カラシニコフ(対オルフェノク用スパイラル弾入り、残り15発)@仮面ライダー555、 アクセルドライバー&アクセルメモリ@仮面ライダーW
【道具】支給品一式×2、名護のボタンコレクション@仮面ライダーキバ、車の鍵@???、照井の不明支給品
【思考・状況】
1:桐谷と共に、安全な場所まで離れる。
2:鍵に合う車を探す。
3:『仮面ライダー』とは一体……?
4:一般人は他世界の人間であっても危害は加えない。
5:五代、桐谷や照井の知り合いと合流したい。
6:未確認への対抗が世界を破壊に導いてしまった……?
7:自身の無力さと、照井を見捨ててしまった事に嫌悪。
【備考】
※ 『仮面ライダー』はグロンギのような存在のことだと誤認しています。
※ 『オルフェノク』は『ある世界の仮面ライダー≒グロンギのような存在』だと思っています。
※ 対オルフェノク用のスパイラル弾はオルフェノクにほぼ効きませんが、有効なものであると勘違いしいています。
※ 『仮面ライダー』の定義が世界ごとによって異なると、推測しています。
※ 麗奈の事を未確認、あるいは異世界の怪人だと推測しています。


【桐矢京介@仮面ライダー響鬼】
【時間軸】最終回後
【状態】疲労(大)、ダメージ(大)、全裸、気絶中
【装備】変身音叉@仮面ライダー響鬼
【道具】支給品一式、不明支給品×0~1、着替えの服(4着分)@現実
【思考・状況】
0:…………(気絶中)
1:人を守る。
2:麗奈を守る。
3:化け物(イマジン)が気になる。
4:一条、照井、麗奈と行動を共にする。
5:響鬼達との合流を目指す。
【備考】
※名簿に書かれた『財津原蔵王丸』の事を、同名の他人だと思っています。
※ 『仮面ライダー』の定義が世界ごとによって異なると、推測しています。







ウカワームは、力無くよろよろと走っている。
行くあてもなく、どこまでも。
自分の中の何かが、叫んでいる。
人を殺したくないと。
これは、自分が擬態した人間の意志。
馬鹿な。何故今更、奴が出てくる。
もうとっくの昔に、消えたはずなのに。

「くっ……」

やがて、膝が地に落ちた。
答えは出てこない。
自分は一体、何がしたいのか。
人間達を何故、殺そうとしないのか。
疑念が広がる中、ウカワームの身体に変化が起こる。
瞬く間に、間宮麗奈の姿へと戻った。

「私は…………」

その直後、彼女の表情から覇気が消える。
間宮麗奈としての意識を、取り戻したため。
やがて、彼女は力無く倒れた。
その精神が、限界を迎えたため。
自らの運命に翻弄されたワームの意識は、闇へと消えた。




C-1エリア。
夕焼けに照らされた道に、二つの人影があった。
一人は、何処にでも見られそうな頼りなさげな雰囲気を放つ青年。
『555の世界』より連れてこられた、仮面ライダーデルタの資格者。
三原修二。
もう一人は、皮膚が紫色に染まった龍を思わせる外見の異形。
『電王の世界』で、時の運行を乱そうとするカイに反旗を翻した、イマジンの一人。
リュウタロス。

「ほらほら修二、遅いよ~!」
「待ってくれって、リュウタ!」

彼らは今、赤みが増した空の元を歩いていた。
互いの仲間を捜すために。
走るリュウタロスを、三原が痛みを我慢して追う形となっていた。
ここで少しでも遅れたら、何をされるか分からない。
そんな思いで、三原は何とか走っている。

「あれ、あそこに誰か倒れてるや」

その最中、リュウタロスは突然足を止めた。
彼に合わせるように、三原も止まる。
そして、彼らは見つけた。
見知らぬ女性が、道端に倒れているのを。
二人はすぐさま、彼女の元に駆けつけた。

「ねえ修二、このお姉ちゃんって知り合い?」
「いや、俺は知らないけど……」

リュウタロスの問いに、三原は首を横に振る。
この女性が、ただの一般人なのか。
それとも、最初の仮面ライダーのように戦いに乗ってるのか。
二人には判断がつかない。

「まあいいや、このお姉ちゃんを助けようよ」
「えっ? でも、もしかしたら……」
「答えは聞いてない」

気絶した女性を見て、リュウタロスはそう提案する。
一方的な決めつけだが、今回は三原も反対しなかった。
いくら彼でも、倒れている人間を助けるくらいの善意を持っている。
そして、もう一つ。

(……まあいっか、上手くいけば休めるかもしれないし)

三原を動かす理由。
それは、休む時間の確保。
危険人物にしてもそうでないにしても、建物の中に行かざるを得ない。
そうすれば、この女性が起きるまで休む事も出来るはずだ。
少し邪な考えを持ちながら、三原は背負う。


彼らは知らない。
自分達の支給品である、ドレイクグリップ。
それがかつて、間宮麗奈と恋に落ちた男の物である事を。
そして、ウカワームを葬った道具である事を。
奇妙な偶然によって巡り会った二つが、どんな運命を導き出すか。



【1日目 夕方】
【C-1】

【三原修二@仮面ライダー555】
【時間軸】初めてデルタに変身する以前
【状態】疲労(中)、筋肉痛
【装備】デルタドライバー、デルタフォン、デルタムーバー@仮面ライダー555
【道具】なし
1:リュウタロス、麗奈(名前を知らない)と共に市街地に向かう。
2:巧、真理、良太郎、モモタロスと合流したい。草加、村上、牙王を警戒。
3:戦いたくないが、とにかくやれるだけのことはやる
4:オルフェノク等の中にも信用出来る者はいるのか?
5:市街地に着いたら、建物に行って麗奈が起きるのを待つ。
【備考】
※リュウタロスに憑依されていても変身カウントは三原自身のものです。
※同一世界の仲間達であっても異なる時間軸から連れて来られている可能性に気付きました。同時に後の時間軸において自分がデルタギアを使っている可能性に気付きました。
※巧がオルフェノクの可能性に気付いたもののある程度信用しています。


【リュウタロス@仮面ライダー電王】
【時間軸】本編終了後
【状態】健康
【装備】リュウボルバー@仮面ライダー電王
【道具】支給品一式、ファイズブラスター@仮面ライダー555、ドレイクグリップ@仮面ライダーカブト
1:三原、麗奈(名前を知らない)と共に市街地へ向かう。
2:良太郎に会いたい
3:大ショッカーは倒す。
【備考】
※人間への憑依は可能ですが対象に拒否されると強制的に追い出されます。
※ドレイクゼクターがリュウタロスを認めているかは現状不明です。


【間宮麗奈@仮面ライダーカブト】
【時間軸】第40話終了後
【状態】気絶中、精神的疲労(大)、人間不信 ワームの記憶喪失、ウカワームに二時間変身不可
【装備】ファンガイアバスター@仮面ライダーキバ
【道具】支給品一式、デンカメンソード@仮面ライダー電王、『長いお別れ』ほかフィリップ・マーロウの小説@仮面ライダーW
【思考・状況】
0:…………(気絶中)
1:とりあえず一条、京介、照井についていく。
2:他人が怖い。
3:殺さなければ殺される……。
4:あの人(影山)は一体……?
【備考】
※ 『仮面ライダー』の定義が世界ごとによって異なると、推測しています。
※ 一時的にウカワームの記憶を取り戻しましたが、再び失いました。
※ ただし、何か強いショックがあれば取り戻すかもしれません。




「ぐあっ!」

照井の身体は、壁に叩き付けられる。
一条と京介を逃がすために押さえつけた、レンゲルによって。
その衝撃で、傷口からの出血がより一層激しくなる。
燃えるような激痛によって、照井の視界が徐々にぼやけてきた。
そんな彼の前に、レンゲルは立つ。

「ジョブロ、ジャラゾギデブセダバ……! (よくも、邪魔をしてくれたな……!)」

仮面の下から、憤怒の視線と言葉をぶつけた。
脆弱なリント如きが、ここまで自分の邪魔をする。
その事実が、レンゲルは溜まらなく屈辱だった。
怒りに任せて、レンゲルラウザーを振るう。

(これが、俺のゴールなのか……)

薄れていく意識の中で、照井は思った。
自分はもう、死ぬ事を。
愛する家族を皆殺しにした、Wのメモリを持つ男への復讐を果たしていないのに。
その為に、シュラウドと名乗る女から力を手に入れたのに。
無念が広がっていく。

(一条、お前は戦え……そして、俺から全てを奪ったあの男を……)

しかしその一方で、妙な充実感が生まれていた。
異世界の刑事である、一条薫。
仮面ライダーの力を持つ少年、桐谷京介。
彼らを逃がせた事。
それが出来ただけでも、穏やかな気分になれた。
何故かは分からない。
警察官としての理念を果たせたからなのか。

(みんな、仇を取れなくてごめん。でも、これでいいんだよな)

やがて照井の瞳は、ゆっくりと閉じられる。
彼が思い浮かべる光景。
それは、幸せに満ちていた頃の日々。
父の雄治を目指して、警察官を目指した自分。
夢を応援してくれた、母と春子。
みんなとの、掛け替えのない思い出。
それが走馬燈のように、照井の中で浮かび上がっていった。

(今から、そっちに逝くよ…………)



瞳が閉じるのと同時に、彼の胸にレンゲルラウザーが容赦なく刺さる。
皮膚を、筋肉を、骨を、臓器を突き破って、背中を貫通した。
痛みを感じる暇も、もはやない。
復讐に身を任せた男、照井竜。
この時が、彼の戦いにおけるゴールだった。








「ゲハハ……ゲハハハハハ……ゲハハハハハハハァッ!」

狂った笑い声をあげながら、レンゲルは武器を振るう。
もう動く事のない、死体となった照井に目がけて。
激情と狂気に任せて、レンゲルラウザーを叩き付けた。
身体の至る部分を、杖で砕く。
その度に、鎧は血肉で汚れていった。
辺りに生臭い匂いが広がるが、そんなのは気に止めない。
弱いリントを嬲れるという、優越感。
ゲゲルのスコアを上げたという、充実感。
それら二つによる、勝利の美酒に酔いしれてる彼にとって。
スパイダーアンデッドとガイアメモリの毒に溺れた彼にとって、無い物に等しかった。

「止めろッ!」

そんな中、レンゲルの耳に男の声が響く。
それに反応して、攻撃を止めて振り向いた。
このエリアに現れた、一組の男女を。
声の主である茶髪の青年、城戸真司。
警察特有の制服に身を包む女性、小沢澄子。
これを意味するのは、ゲゲルのターゲットが増えた事。
そう確信したレンゲルは、笑みを更に強めた。

「遅かった……!」

血にまみれた照井の屍を見て、小沢は愕然とした表情を浮かべる。
自分が間に合わなかった事。
そのせいで、人を死なせてしまった事。
レンゲルと自分自身に対する怒りが、小沢の中で沸き上がっていく。

「何でこんな事をっ……!」

一方で、真司も憤慨していた。
目の前の仮面ライダーは、こんな殺し合いに乗っている事に。
こんな戦いに乗っても、何も得られない。
浅倉威のように、人の命を無意味に奪う仮面ライダーを許すわけにはいかない。
真司と小沢は、デイバッグからカードデッキを取り出した。
足元には、ガラスの破片がいくつも散らばっているため。
彼らはそれに向けるように、カードデッキを構えた。
すると、それぞれの腰に銀色のベルトが巻かれる。

「「変身ッ!」」

二人は叫びながら、カードデッキをVバックルに装着。
刹那、人型の虚像が多数現れ、身体を包み込む。
変身は、一瞬で完了した。
平行して存在する、二つの『龍騎の世界』に存在する仮面ライダー。
龍の紋章が刻まれた仮面、その下で赤い輝きを放つ複眼、炎の如く真紅に彩られたスーツ、それを守る銀色の装甲、左腕に装着された龍の籠手。
『龍騎の世界』を代表する、無双龍ドラグレッダーを従える戦士、仮面ライダー龍騎へと城戸真司は姿を変える。
一方で、小沢も変化を果たした。
青と銀の二色に輝く鎧、その下で守られた黒いスーツ、右手に付けられた鮫の頭部を模した手甲。
本来はもう一つの『龍騎の世界』で、Atashiジャーナルの編集長を殺した鎌田が使用していた、アビスハンマーとアビスラッシャーの二体と契約した仮面ライダー。
仮面ライダーアビスへと、小沢澄子は姿を変えていた。

「キヒヒヒヒヒ……ヒヒヒヒヒハハハハハハッ!」

不気味な笑い声と共に、レンゲルはレンゲルラウザーを構える。
彼の感情は、非常に高ぶっていた。
弱い相手を殺した矢先に、また新たなリントが現れる。
それも二人も。
ならば望み通りに殺してやろう。
そして、逃げたリント達も殺す。
その後は、病院にいるクウガも殺す。
全ての参加者もダグバも、自分が殺す。
そうすれば、自分は並ぶ者のいない最強の存在であると証明出来る。
レンゲルは――ズ・ゴオマ・グは高笑いをしながら、仮面ライダー達に特攻していった。


【1日目 午後】
【E-2 住宅街】


【城戸真司@仮面ライダー龍騎】
【時間軸】劇場版 霧島とお好み焼を食べた後
【状態】健康、罪悪感、仮面ライダー龍騎に変身中
【装備】龍騎のデッキ@仮面ライダー龍騎、
【道具】支給品一式、優衣のてるてる坊主@仮面ライダー龍騎
【思考・状況】
1:目の前の仮面ライダー(レンゲル)を倒す。
2:小沢と一緒に津上翔一に会いに行く
3:ヒビキが心配
4:絶対に戦いを止める
5:蓮、霧島、北岡にアビスのことを伝える
6:大ショッカーは許せない
【備考】
※支給品がトランプだったことを、カードを使って戦う龍騎に対する宛てつけだと認識しました。
※アビスこそが「現われていないライダー」だと誤解しています。
※アギトの世界について認識しました。



【小沢澄子@仮面ライダーアギト】
【時間軸】本編終盤(第46話終了後以降)
【状態】健康、仮面ライダーアビスに変身中
【装備】コルト・パイソン+神経断裂弾@仮面ライダークウガ、アビスのデッキ@仮面ライダーディケイド
【道具】支給品一式、トリガーメモリ@仮面ライダーW、ガルルセイバー(胸像モード)@仮面ライダーキバ
【思考・状況】
0:目の前の敵(レンゲル)を倒す。
1:真司と一緒に津上翔一に会いに行く
2:殺し合いには乗らない
3:打倒大ショッカー
【備考】
※真司の支給品がトランプだったことを、カードを使って戦う龍騎に対する宛てつけだと認識しました。
※龍騎の世界について大まかに把握しました。


【ズ・ゴオマ・グ@仮面ライダークウガ】
【時間軸】第39話「強魔」、ダグバに殺害される前
【状態】疲労(大)、ダメージ(大)、極度の興奮状態、スパイダーアンデッドに精神を支配されている、右足に痛み。仮面ライダーレンゲルに変身中、2時間変身不能(ズ・ゴオマ・グ究極体、アイスエイジ・ドーパント)
【装備】レンゲルバックル@仮面ライダー剣、ラウズカード(クラブA~10、ハート7~K、スペードの7,8,10~K)@仮面ライダー剣
【道具】支給品一式×3、ガイアメモリ(スミロドン)、不明支給品0~1、三原の不明支給品(0~1)
【思考・状況】
基本思考:優勝する。できればダグバは自分が倒す。
1:目の前のリント達を殺す。
2:それが終わったら逃げたリント(一条、桐谷)、病院にいたクウガ(アギト)を殺す。
【備考】
※怪人体には究極体にしかなれず、強化形態の制限時間に準じます。
※ルールブックは粗方読み終わりました。
※ガイアメモリ(アイスエイジ)は破壊されました
※コーカサスビートルアンデッド、パラドキサアンデッド、カプリコーンアンデッドが二時間召喚不可となりました
※レンゲルバックルとガイアメモリの影響により、精神に異常が起こっています
※レンゲルに変身してから、7分の時間が経過しました。



【真司と小沢の共通備考】
※1日目0時、E-4エリアの病院屋上で合流する予定です。


【桐生豪@仮面ライダー剣 死亡】
【照井竜@仮面ライダーW 死亡】
 残り46人

【全体備考】
※桐生豪の遺体はD-1エリアの何処かに放置されています。
※照井竜の遺体はE-2 住宅街に放置されています。

053:強魔(中編) 投下順 054:閃光の刻
053:強魔(中編) 時系列順 055:強敵金カブ(前編)
053:強魔(中編) 津上翔一 062:狂気の果てに(前編)
053:強魔(中編) ズ・ゴオマ・グ 062:狂気の果てに(前編)
053:強魔(中編) 桐生豪 GAME OVER
053:強魔(中編) 城戸真司 062:狂気の果てに(前編)
053:強魔(中編) 小沢澄子 062:狂気の果てに(前編)
053:強魔(中編) 一条薫 075:交錯
053:強魔(中編) 照井竜 GAME OVER
053:強魔(中編) 間宮麗奈 089:肩の荷は未だ降りず
053:強魔(中編) 桐矢京介 075:交錯
053:強魔(中編) 三原修二 089:肩の荷は未だ降りず
053:強魔(中編) リュウタロス 089:肩の荷は未だ降りず



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最終更新:2011年10月31日 11:10