Dを狩るモノたち/共闘(前篇) ◆/kFsAq0Yi2
相川始がハンドルを握るハードボイルダーの上で、紅渡は夜風を浴びていた。
このバトルロワイヤルの主催者である大ショッカー――参加者の一人でありながらその大幹部でもあったアポロガイストを屠った後、二人は新たな獲物を求め移動していた。
まずは直ぐ隣のB-6エリアにあるホテルへと赴いてみたが、人が居た痕跡こそあれど肝心の参加者の姿は見当たらなかった。
だが大して落胆することもなく、二人は次の目的地へと向かった。
現在の目的地は、園崎冴子の生家――渡が初めて殺めた人間、加賀美新の眠る園崎邸だった。
自身を汚した返り血を思い出し、渡は顔を歪める。
できるなら、あの場所にはもう行きたくなかった。だが、いつの間にか倒壊していた東京タワーに父音也が戻っている可能性がある以上、そちらに始を向かわせたくない――何より、自分が父に会うことが許されない気がして、渡自ら屋敷にいるかもしれない参加者を狙おうと始に告げた。
自身の犯した罪の結果を、見せつけられることになるとしても……渡はもう、立ち止まるわけにはいかなかった。とっくにそれができる場所は、通り過ぎてしまったのだから。
ファンガイアの偉大なキングに、後を託されたのだから。
振り切っても振り切っても、直ぐまた迷いに追い付かれる己の甘さを戒めるためにも、渡は最大の敵について思いを巡らせる。
悪魔と呼ばれし世界の破壊者、ディケイド。
奴が居る限り、世界の滅びは避けられない――これは大ショッカーの大幹部から直接得た情報だ。事実だと見て間違いない。
ならば世界を護るために、先代より託されたこの王の名に懸けても悪魔を討つ――
――その決意は揺るがないが、不安もまた確かにあった。
既に故人のはずの父や、絶大な力を誇った先代キング、さらに別々の世界の参加者達を、合計で六十人も拉致し首輪を付け服従させるような大ショッカーをして悪魔と呼ぶほどの存在。果たして自分が始と手を組んだところで、二人だけで奴に勝てるのだろうか?
世界の破壊者を倒すために、それが叶いそうな相手とは素直に話し合って、ディケイドの脅威について他の参加者にも認識させ、可能なら共闘する――その選択肢が渡の中にはあるが、果たして赦されざる罪人である自分にとって、そう都合良く事態は動くだろうか――
「――キング。準備は良いか」
そうハードボイルダーを操縦する始が声を掛けて来る。
渡が思案に沈んでいる間に、ハードボイルダーは園崎邸が見えるところまで来ていた。意識を現実に戻した渡は「はい」と短く、しかしできるだけ力強く応える。
曲がり角に差し掛かり、カーブのために体勢を傾けるため、渡は始を掴む手に力を込めた。
だが次の瞬間響いた轟音とハードボイルダーを襲った衝撃に驚いて、思わず手を滑らせてしまう。
「――今のは何だっ!?」
何とか車体の上に渡の身体が留まり、始が異変に対しハードボイルダーのブレーキを掛けながらそう疑問を漏らす。
音の聞こえた方――園崎邸へと方向を変えなかったため、ちょうど進路の正面となった方へ二人が視線を巡らせると、次の瞬間異様な光景が繰り広げられた。
夜空を彩る満点の星々の一部――そして、その中に浮かぶ巨大な黄金の月の下半分が、突然闇に喰われたのだ。
「な……っ!?」
何が起こったのか――それを認識する前に、星空は再び月と共に輝きを取り戻す。
幻覚? いや、違う。
「――始さん」
「あぁ。行くぞ」
静かに状況を把握した渡の声に、始が頷く。
今の轟音、地を伝って来た衝撃、そして数秒夜空を覆った、より深い闇――
これらはこの先で戦闘を行っている参加者が発生させたものだと、二人には理解できていた。
ようやく見つけた、しかも既に戦闘中の参加者。始末するにしても消耗したところを狙えば容易で、話し合いをするにしても戦闘後の変身制限を狙えば優位に進められるかもしれない。
再びハードボイルダーが走り始め、二人の暗殺者を戦場へと運んで行く――
◆
渡と共に駆け付けた場所を、戦場と呼んでも良いのか始は迷ってしまった。
常人を超えた視力によって、始には当事者達に悟られない程度に離れた場所で何が起こっているのかわかった。
人型を取った禍々しき黄金の闇――そうとしか形容できない仮面ライダーが翳した掌から放つ闇の波動に、赤と黄色の二人の仮面ライダーが呑み込まれて数十メートルの距離を舞う。
何かを赤いライダーに伝えて、黄色の仮面ライダーの方がその仮面ライダーに突撃を仕掛けたが、拳の一撃で大きく吹き飛ばされる。一撃加えられるごとに確実にその命を消耗しながら立ち上がり続ける黄色のライダーの叫びを受けて、赤いライダーが突如その姿を変えたかと思うと超高速移動で掻き消える。
だが――恐ろしいことに金の黒の仮面ライダーは始の視界から完全に消えたそれを察知し、狙い撃っていた。
さらにそれを先読みしていたと思われる黄色のライダーが、掌から放たれた闇の波動にその身を投げ出して赤いライダーを庇ったが、ついに膝を着く。
始にはそれが本当に仮面ライダー同士の戦いだと、最初は認識できなかった。
まるで生身の人間をライダーや怪人が嬲るが如く――前方で繰り広げられる攻防には、それだけの戦力差が存在していた。
もはや戦いなどではなく、一方的な蹂躙、虐殺行為と呼ぶに相応しい光景が、始達の前では繰り広げられていた。
恐ろしいのは、黄色のライダーの動きから一方的に蹂躙されている彼が決して弱い存在ではないということが見受けられることだ。その実力は始の変身したカリスと比べても遜色ない。ならそれをこうも易々と圧倒するあの暴虐の化身は、どれほどの力を秘めているのか――
「まさか……あれが、ディケイド?」
そう、隣で渡が呟くのが聞こえた。
確かにあの戦闘力、悪魔と称するに何も不足はなかった。始の本来の姿でも、まだ届かないことが容易に読み取れるほどの、圧倒的な力。
あの大ショッカーが悪魔と評するだけはあるように見える。
だが、本当にあれがディケイドなのか?
その始の疑問は、驚愕と共に晴れることになる。
「――ライジングアルティメットよ、奴を始末しろ!」
その叫びが響いたのは、突如として金の黒のライダーの変身が解除された直後だった。
声のした方――ライジングアルティメットというライダーの変身が解け、強過ぎるその存在感に覆い隠されていた、比較しなければ十分強大な気配の方を見た始は、そこに仇敵の姿を見た。
「――カテゴリーキング……!」
ライジングアルティメットへの変身の解けた男に敵対者の排除を命じたのは、クワガタ型の黄金の怪人――ダイヤのカテゴリーキング、ギラファアンデッドだった。
「知っている相手なんですか?」
「ああ、敵だ」
手短な始の返答に、渡は視線を厳しくすると静かに金色の怪人を見据えた。
カテゴリーキング、奴との戦いで――始は、栗原晋を巻き込み、死亡させてしまった。
それがきっかけで栗原親子の元へと住むことになり、剣崎とも出会えた。
だがあれがなければ、栗原親子の悲劇はなかった以上、始にとっては拭い難い過去――『相川始』となる前の、闘争に狂う獣だった時期を象徴するような敵であることに変わりはなかった。
「――そう言えば、始さんの世界がどんなものか聞いていませんでしたが……どう言った敵なんですか?」
何気ないような渡の問いに、始は自分でも声が不機嫌になることを抑え切れなかった。
「人類の敵だ。それがどうした?」
「いえ……あの男の人が、あの怪人に操られているように見えたから……そういう能力を持っているのですか?」
確かに、まるで生気を感じさせないままガイアメモリで赤いドーパントに変身した男は、ギラファアンデッドに操られているように見受けられた。
アンデッドの中にはダイヤのカテゴリージャック、伊坂ことピーコックアンデッドや、レンゲルの装着者を操るクローバーのカテゴリーエース、スパイダーアンデッドなど他者の心を操る能力を持った輩もいる。
「……いや。知らないな」
だがギラファアンデッドにそんな特殊能力があるといった様子は、少なくとも元の世界では見受けられなかった。言葉による煽動を行っていた奴にそんな能力があるなら、その性格上積極的に洗脳を活用して来ると考えられたからだ。
しかし渡の言うように、あのドーパントに変身したライジングアルティメットという男は、ギラファアンデッドの支配下に置かれているように見受けられる。
とはいえこうして二人の仮面ライダーと戦っていたということは、その支配は誰にでも有効というわけではなさそうか。
赤いドーパントは先程の仮面ライダーほどではないが、その姿を超加速で掻き消すと、敵の仮面ライダーのベルトから何かのガジェットを毟り取った。
すると、仮面の中から現れた長身の男の全身から、灰が零れ始めた。
いったい何が起こっているのか――理解できない事態の連続に二人が戸惑っていると、灰と化し崩れて行く男が右の人差し指で天を指し示し、接近していたギラファアンデッドに告げた。
「おばあちゃんが言っていた。散り際に微笑まぬ者は、生まれ変われないってな」
(生まれ変わる――か)
不死者たるアンデッドの始には、理解できない思想だ。
だが、剣崎一真は――笑って死ぬことができただろか?
栗原晋は、最期まで家族を心配し、微笑まぬことなく死んでいった。きっと剣崎も、皆を心配し、護れなかった己の無力を悔やみながら逝ったのではないか。
生まれ変わるということが喜ばしいことなら、最後まで自分より他者を優先する者達がそれに恵まれないというのは、随分酷いことを言う物だ――始は微かに苛立ちを覚える。
だが、灰となり崩れ行く男は、最期にもう一つ、言葉を遺した。
「――そしてこの地には、この俺に並ぶような奴らが、仮面ライダー達がいる。だから、何も心配せずに逝けるということだ」
「――っ!」
その言葉に、渡が鋭く息を呑むのが聞こえた。
始はすぐにそちらに声を掛けるべきだったが――彼自身もまた、意識を彼方に飛ばしていた。
剣崎が死に際に、笑っていたのかはわからない。
だが彼は――ひょっとしたら、この男が仮面ライダー達に託したように、自分にも託して逝ったのではないか。
剣崎の願いは、自分達の世界を護るために――他の世界の者達を、犠牲にするなどということでは、断じてない。
彼は世界を滅ぼすジョーカーであるこの自分を、それでも人々を護っているからと、信じているような男なのだから。
例え世界存亡の危機に陥ってでも、救われるべき者達全てを救うために非情な運命と戦い続ける――それが剣崎一真、それが仮面ライダーだ。
自分がその託された願いに反していることに、『相川始』というジョーカーに芽生えた心は、痛みを覚えていた。
――だが、それでも。
唯一の友を裏切ることになっても。
栗原親子が生きて行く自分の世界を護る、それが『相川始』の揺るぎない真実の想いでもあった。
(俺は剣崎とは、違う道を行く……そう決めたはずだ)
全身が灰化した男が完全に崩壊し、灰の山となったのを見て、始は渡へと声を掛けた。
「どうした? 揺らいだか、キング」
「いえ――僕には……迷う理由がありません。僕は――仮面ライダーでは、ありませんから」
そう渡が小さく首を振るのを見て、何故自分の胸に痛みが走るのか、始にはわからなかった。
ただ、渡が引き返せない道へと進むように、彼の悲壮な覚悟を後押しする言葉を選ぶ。
「そうだな。おまえは仮面ライダーではなく――ファンガイアのキングだからな」
「えぇ。僕に託されたのは、仮面ライダーの心ではありません……ファンガイアの王の、その使命です」
渡の瞳に冷徹な輝きが戻るのを見て、始は灰の山からベルトを回収する眼鏡の男性――ギラファアンデッドが化身した金居へと、視線を戻す。
「行くぞ。あの黒いライダーの力は驚異的だが、制限された今なら関係ない」
始がそう、ハートのAを取り出し、歩を前に進めようとした時だ。渡が制止の声を掛けて来た。
「待ってください。始さんは、あの男のことを知っているんですよね?」
「……敵だと何度も言ったはずだ」
「それでもです。何の目的で行動しているのかわかれば、どう接触するべきなのかは変わります」
渡の言いたいことがわかった始は、内心舌打ちする。
カテゴリーキングを――金居を、可能なら利用するべきだと言っているのだ。
そして始には、それが――始自身の思惑を無視すれば、充分可能なことだと理解できている。
アンデッドである金居が、自身の種が生きる世界を守るために、この殺し合いで優勝するつもりだというのは明白だ。そのために、まず同じ世界の住人である始が共闘を申し入れれば――本来は敵同士である自分をこちらの隙を突いて封印しようとするかもしれないが、世界保全のために当面は休戦するだろう。
ましてや、それが存在し続けるだけで全ての世界を滅ぼすディケイドのことを伝えれば、それの打倒を目的とする渡とも十分共闘を選択肢に入れて来る、そういう類の相手と見て間違いない。
だが、他のアンデッドと手を組むということに、始の中には大きな拒絶があった。
「奴の目的は――人類の根絶だろうな」
「その理由を聞いているんです。はぐらかさないでください」
自分に向けられた渡の眼光が強くなったのを感じながら、始は思考を巡らせる。
この自分の対応が悪手だったことぐらい、言った直後には既に始も理解している。
金居の能力を把握できるほどに彼のことを知っていながら、そのスタンスを知らないと言い張るのは無理がある。それも、はぐらかそうとしたせいで渡の警戒心を煽る結果になってしまっている。
嘘の情報を与えたところで、恐らく金居に接触した際に確認を取るはずだ。金居とあの男がその力を使い果たしていると仮定しても、豊富な変身手段を持つ渡がもしも自分に不信感を抱いて金居に味方すれば、一気に三対一に持ち込まれてしまう。
それでも勝てるのなら、元々は殺し合いに乗った奴らを狙うつもりだったのだから最悪の場合、渡という手札を捨てることになっても構わない。
だが金居の戦闘力をよく知る始からすれば、本来の姿でなくとも奴が渡と力を合わせてしまえばジョーカーとなったところで確実に勝利できる、という確信は持てなかった。こんなところで返り討ちとなっては、剣崎と道を違えてまで殺し合いに乗った意味がなくなる。
それでも、元来アンデッド同士は決して手を取り合わない敵であり、また特殊な状況下においても――人間とは違っていても、人間へと近づこうとする『相川始』にとって、『アンデッド』の仲間となるという行為は、忌避するジョーカーとしての自分に近づく気がして、損得などといった理屈を超えた嫌悪があったのだ。
「――あなたも、ある意味では僕と同じだと言いましたね」
悩み続ける始に対し、一時間ほどの前の会話を指して、渡がそう告げて来た。
「僕は、あなたにも守りたいものがある――だから、何としてでも勝ち残るために、この僕と利用し合うことにした、そういう考えだと思っています」
渡の言葉は半分正解、半分は不正解だ。それと同時に、渡という殺戮者の矛先をある程度、仮面ライダー達から遠ざけるべく誘導するという目的も始にはある。
だがそこに金居を加えれば、そのような誘導がどこまで効くのかまるで予想できない。
「元の世界での確執もあるでしょう。ですが僕は、王として世界を救うために――利用できるものは、全て利用するつもりです。でも、始さんの世界を想う気持ちは、僕と同じではないということですか?」
(――安い挑発だな)
自分は世界のために、ここまで泥を被る覚悟があるが、貴様はどうだ――異界の魔族の若き王が問うているのは、つまりはそういうこと。
自分は渡とは違う。本当は心など持たず、世界を喰らうためだけに存在する悪魔だった。
だが――
――始さん!
――始!
脳裏に蘇る声の内、一つは失われてもうない。
彼らのおかげで、『相川始』はここにいる。決して得るはずがなかった心を胸にして、守りたい、愛する人々のために戦うために。
――そう、『相川始』が在るのは、全ては彼らのおかげ……
(安い挑発だが……それを言わせる覚悟は、そうでもないか)
渡が静かにジャコーダーを握り締めていることを、始は見て取る。
不信感が芽生え始めている。元から利用し合う間柄なのだ、自らにとって不利益になるのなら、敵として排除するのは当然の選択。このままではコンビ解消は避けられない。
そしてそれは、始にとっても望むところではなかった。
「――わかった。話してやる。俺の世界と、奴についての情報を、な」
金居に気づかれぬよう距離を取りながら、始は手短に自身の世界のことを渡に説明した。
自分が――ジョーカーがどのような存在であるのかは伏せたまま、自身もアンデッドの一体だとだけ教えて。
その上で、金居は非常に頭の回る厄介な相手だが、自らの利益を決して見失わない者――恐らくは世界を救うために、ディケイド討伐にも協力するだろうことを伝えた。
「それなら……手を組むよう、申し出ましょう」
「良いのか? 俺と奴は本来敵同士とはいえ、同じ世界の参加者……おまえが不利になるぞ?」
「あなたも、彼も――最後は全員、倒せなければならない相手です。それに王である以上、僕は敵が強大になることに臆して、世界にとって不利益となる行動を取るわけには行きません」
あの戦闘を見た後でそれを言い切る渡に、始は好きにしろとだけ答える。
その覚悟に始も決心させられたのだ、文句など言えようはずもない。
思えば最初から、世界を存続させることに対し胸に秘めた覚悟は、平和になった後の世界に自分がいなくても良いという渡の方が強かった。渡を利用するために後戻りできない覚悟をさせようとしていたが、自分にそんなことをする資格などなかったのかもしれない。
「――だが、あのライジングアルティメットとやらはどうする? あれで俺達もまとめて葬られるかもしれないぞ?」
「彼自身にあれを操る能力がないのなら――おそらく、それを可能にする支給品があるはずです。戦うにせよ、一時休戦が叶うにせよ――それを奪えば良いだけの話です」
「なるほどな。だが、その時はさすがに早い者勝ちにさせて貰うぞ?」
始としても、ライジングアルティメットを従えた金居や渡に攻撃されては一巻の終わりだ。
だが逆にあれを手中に収めることができれば、少なくとも自分が知る限りの参加者に遅れを取るなどということはなくなる。
そして、渡が金居を始末ではなく利用することに拘った理由も恐らくはそれだろう。
ライジングアルティメットを見て、渡はディケイドかと疑った。
さすがの彼も、悪魔と呼ばれるまだ見ぬ敵を恐れているのだろう。それに対抗するために、あの強大無比な力を危険だと消すのではなく、手中にしたいと考えているのだ。
始の確認に渡は頷き、再び立ち上がった。
「行きましょう――僕達の願いを叶えるためにも」
そう言って渡は立ち上がる。
甘いところはある。迷いもある。それでも彼が、自分の世界を想う気持ちと覚悟は本物だろう。
全ての罪を背負って、世界を救った後は消えようとしているこの王のように――
『相川始』もまた、愛する者の生きる世界のために、その心さえ犠牲にする覚悟を固めつつあった。
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最終更新:2011年11月22日 14:38