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闇を齎す王の剣(5) ◆o.ZQsrFREM






 ――Spade Two Three Four Five Six――

 ――Straight Flush――

 周囲の時を止めた空間の中、五枚のギルドラウズカードをキングラウザーへと挿入した仮面ライダーブレイドキングフォームは、金と銀の二刀を構えていた。
 不死鳥の両翼のように広がった左右の剣が、それぞれ稲妻と光子をその刀身へ宿らせる。そうして練り込まれたほんの微量が漏れただけで、夜景を白く染めるほどのエネルギーの束が、瞬く間に大小の双剣へと注がれて行く。

「はぁあああああああああああああああああっ!」

 叫びと共に交差させた剣を、炎を纏った宿敵へとブレイドは繰り出した。
 輝きを迸らせる刃がクウガの身体を貫く寸前――時は再び動き出す。

(――あれ?)

 切っ先から解放された眩い光と膨大な稲光に視界が塗り潰される中、ブレイドの仮面の奥でダグバはそう疑念を感じていた。

 手応えが――薄い?

 そんな思考を浮かべた瞬間、光は闇によって侵食された。
 閃光の壁を突き破って現れた仮面ライダークウガアルティメットフォーム――凄まじき戦士は人外の叫びを放ちながら、ブレイドに上空から拳を振り降ろしていた。
 大気を裂く音を上げ、発生した飛行機雲を白い軌跡としながら、漆黒の塊が黄金の鎧を砕こうと刹那に距離を詰めて行く。直撃の寸前、拳の先端に届く光が歪んだのは、音速を超えた一撃によって圧縮された空気が衝撃波を生んだからに他ならない。

 そんな一撃さえも、当然のようにキングフォームの装甲は弾き返すが――激突によって胸部装甲、ハイグレイドシンボルの上部に遂に拳大の窪みが生じ、さらにそれほどの変形を起こした打撃の重さに押し切られる形で、到頭ブレイドの膝が折れた。

 面を上げたブレイドの赤い眼に映ったのは、こちらの放った大技に対して無傷に等しいクウガの姿。

 本来の自分自身と等しい存在の、その圧倒的な感覚能力は理解している。既に時間停止がどこのアンデッドクレストの輝きを合図に始まるのか、この生物兵器は理解していると見て間違いない。それがわかっていれば、合図を確認するや否や発動までの刹那のタイムラグで回避の体勢に移行し――時が動き始めてから、既に自身に迫っている凶刃にもある程度なら対応してみせるだろうということは、ダグバには十分予想できていた。

 それでも、おかしい。それをダグバはわかっているからこそ、本当に刃が届くギリギリのタイミング――如何に究極のクウガといえどかわすことができない状態から、時が動き出すよう心掛けていると言うのに。いくらあのクウガが回避に全力を傾けているとは言え、こうも表面を撫でる程度の成果しか得られないというのは――

 そこでブレイドは、クウガの背後で静かに消えて行く、超自然発火の炎に気づいた。

 先程から、時を止める寸前にクウガが自身を対象に発生していた、究極の劫火――その意図する物に気付いて、やっとブレイドは軽過ぎる手応えに得心が行った。

 クウガはそのプラズマ炎の放つ超高温で、空気の屈折率を変化させていたのだ。
 陽炎や蜃気楼と言った、空気のレンズによって引き起こされる錯覚の現象――クウガはそれに近い物を強引に発生させて、ブレイドに間合いを誤認させていたということだろう。

 無論、手元が狂うとしてもそれは一寸にも満たないだろう。だがそれはアルティメットフォームとキングフォームの戦いにおいて、生死を分かつほどに重要な距離の差だった。その一寸未満の誤差があれば、クウガは致命傷を避けることができるのだから。

 それを理解した時には、ブレイドは膝を着いたままでマッハの効果を発動させていた。

 まずは背にした重力制御装置を用いて飛翔する。本来は素早い飛行はできないが、封印されていたアンデッドの力の恩恵を受けて、音速で飛び立つことができた。

 凄まじき戦士以上の移動速度でまずはこのまま距離を取り、次のタイムまでのクウガの拳に晒される時間を削る――そう思考した時点でブレイドは、キングラウザーを握る右腕が動かないことに気付いた。

 そうして――左手一本でこちらの右腕を拘束し、ブレイバックルに右足を掛けたクウガが、いつの間にか己の身体の上に乗っていたということに、ブレイドはやっと気がついた。

 キングラウザーで切りつけようとしたが、右腕は完全に力負けして動かない。究極の力で踏みつけられたブレイバックルは、キングフォームになった影響で強化されて居なければとっくにダグバの身体から脱落していただろう。

 単純な膂力に加え、瞬発力と反応速度は、やはりクウガの方が上――そう認識するよりも先に、クウガにしがみ付かれたままブレイドは音速飛行を開始する。

 クウガに取りつかれたまま、ブレイドは奇跡的に未だ倒壊を免れていたビルへ飛び込む。コンクリ壁も鉄骨も一瞬で破砕し通過したが、止まらず地を掠めながら次は小さな家屋へとその身を砲弾として突入させ、ブレイドは音速機動でクウガを振り落とそうとする。

 だが激突したそれらは全てクウガとは比較にならないほどに、そしてその力を一切消耗させることもできないほどに、脆い。コンクリ舗装された街路に衝撃波の爪痕を残し、次々と陶器を砕くように民家を破壊しビルを崩落させながらも、クウガは身じろぎ一つせずにブレイドにしがみ付いていた。自由に動く左のブレイラウザーを叩きつけても、何の効果も得ていないブレイラウザーでは、アルティメットフォームには掠り傷しか与えられない。

 しかしブレイドにしがみ付いた体勢からでは、クウガもまともに反撃できまい――そうブレイドは考えていたが、力任せに二人分の身体の向きを反転させて、再び上側になったクウガの振り被った拳が発光していることに気付き、その甘い思考を破棄した。

 まるで小さな恒星をその掌の中に握り込んだかのように、拳を透かして放射されていた眩い光から危険を感じ取ったブレイドが、メタルの効果を発動させたと同時。

 憤怒の鉄槌として、クウガの拳がブレイドの仮面に叩き込まれた。

 直撃の瞬間、そこから生まれた爆発の炎が、産声を伝える役目ごと空気を消し去って、廃墟の夜空に咲き誇る――

 倒壊中だった何棟かのビルはその残骸が地に届く前に爆光に照らされ、その凄絶な威力に今度こそ塵も残さず消し去られていた。

 それだけでは終わらず、急激な気圧の変化に荒れ狂った大気を、さらなる圧力で四方に吹き散らす。それによって生まれた風は音すら置き去りにして、大地を蹂躙して行く。
 その風を追い、やがては飲み込み、時には内側から吹き散らされながらも、爆炎が地上を舐め、形ある物全てを喰らい尽くさんとする。

 暴虐の限りを尽くしながらなおも膨張を続け、世界を煌々と朱に染め上げる火の球こそ、今は亡き光夏海が夢に見た終焉の炎――ライダー大戦の最終局面、世界の破壊者と究極の闇を齎す者が激突した末に顕現した、世界を滅する究極の災禍――それを産み落とした、片割れたる一撃だった。

 ……とはいえ所詮それは夢の景色ということか、または首輪の制限か――現実の爆発の規模は、E-2エリア一つを埋め尽くすこともなく収まっていた。だがそれでもその暴力的な破壊の腕、多彩な姿を持つそれの内、ほんの一つにでも触れられた物質の悉くは、その在り処を無へと連れ去られていた。

 灰燼へと帰した万物が暴風に煽られ何処へ消え行く中、万物に含まれなかった例外――超常たる一つは、巨大な擂鉢状に抉られた大地のさらに奥深くへと突き刺さっていた。

 硬質化したまま身動き一つせず、黄金の甲冑を無数の塵灰や砂礫により汚したブレイド。その仮面は、メタルによって硬化した上からなお大きく陥没していた。
 だが、額が拉げて右の角がへし折れていても、その仮面を貫通する穴はなく。本命ではない――たかだか拳が纏ったエネルギーの余波に過ぎない爆発の炎などで、今更その鎧が損傷を受け付けるはずもない。内側にいるダグバが被ったダメージも、拳の威力のあまりに額を割って血を噴き出したぐらいで、未だ戦闘続行可能だった。

 とはいえメタルで防御力を上げていなければ、今の一撃で終わっていたかもしれない。

(――今のはとっても、とっても怖かったっ!)

 震えが来るほどの快感に――実際クウガの拳を受けたことで未だ視界が揺れていたわけだが、ダグバは朱に染め上げられた天を見上げ、仮面の下で笑っていた。いつもの無機質な笑顔とは違う、生き生きとした笑顔を浮かべるダグバの身体を、またも灼熱が襲う。

 同時、耳に刺さったのは、徐々に距離を詰めて来る憎悪の咆哮。

 己の繰り出した一撃の反動で打ち上げられ、さらに自らの放った衝撃に圧されて天高く投げ出されていたクウガが、高々度からの落下の勢いをも従えた拳をブレイド目掛け全力で振り下ろそうとしていた。

 そのことを確認したダグバは戸惑うこともなく、至極冷静にマグネットを発動する。

 強力な電磁力で生じた斥力は、ブレイドを覆っていたプラズマ炎を吹き散らした。磁場の影響を受け易いプラズマだけでなく、宙にあった凄まじき戦士の身体をも吹き飛ばす。
 効果が現れたその瞬間にマグネットをメタルともども解除し、ブレイドは身を起こす。
 一方、踏み締めるべき大地もなしにマグネットの影響を受けたクウガは、ブレイドとは見当違いの地点に投げ出されていた。だがクレーター壁面との激突の瞬間に、無様に打ち付けられることなく側面を蹴って跳躍し、再びブレイドへと迫って来ていた。

 大きく陥没した額と、それと比べれば小さいといえ変形した胸部の装甲――既に多大なダメージの蓄積されたそこを何度も狙われては、さすがのキングフォームの装甲も屈するだろうが、ダグバは後数秒の間、既に可能なタイムの発動をする意思はなかった。

 闘技場と化したクレーターの中で、ブレイラウザーを腰に戻し、両手で構えた黄金の剣を揮ってクウガの持続的な接近を抑止しながら、その鎧を纏うダグバはやはり笑っていた。

(――嗚呼、やっぱり凄いよ、もう一人のクウガ!)

 無敵だと思ったこの鎧を身に纏い、さらに普段は楽しむために敢えて不利になるような選択をする自分がその余裕を捨てて戦って、なおここまで追い詰められているのだ。それを成し得た眼前の好敵手との全力を尽くした命の奪い合いに、ダグバの全身、その細胞の一つ一つが歓喜に震える。

(今この時こそが、ユートピアだ!)

 キングラウザーの一閃を掻い潜り、クウガの拳がブレイドの額に突き刺さる。冑を無視して直接殴られているかのような衝撃に、ダグバの脳がまた震える。

 ――同時に、六度目の時間停止が発動する。

 最初の一秒を直前の殴打に対する回復に消費してしまったが、ブレイドはまたプラズマ炎を纏ったクウガの左側に移動しながら、再びライトニングスラッシュを発動させていた。
 ストレートフラッシュでないのは、先程のようにかわされた場合、一気にカードを消耗した時の保険がないからだが――

「今度は僕の番だよ」

 笑いながら、ブレイドは稲妻の剣を横薙ぎにする。
 その切っ先がクウガを引き裂く前に――時が動き出す前に――ブレイドの左足から二つの輝きが漏れる。

 時が動き始めた瞬間、クウガはやはり、突然生じた斬撃にも即座に反応していた。
 そして超自然発火の炎が作り出した可視光の屈折は、その超反応を織り込んだブレイドの手元を狂わせる――
 だが、微かとはいえ間合いを狂わされていることがわかっているなら、またその分修正してしまえば良いだけの話だ。

 マグネットの引力でクウガの回避行動を遅らせ、さらにマッハで加速したことでクウガの防御を掻い潜った結果――キングラウザーの切っ先が、その脇腹に深々と突き刺さった。

 耳を劈くような、クウガの絶叫が戦場に響き渡る。
 それを至上の音楽としながら、ダグバは敵の血液を超高圧電流で蒸発させる斬撃を振り抜く。

 生体鎧である外皮に、強化された強靭な筋肉、さらにその奥の骨格ごと、それらに守護されていた臓器を裂かれ、胴体を左側から約四分の一の深さまで刃に蹂躙されたクウガの身体が力を失くし、大剣が駆け抜けたのに合わせて宙を舞った。

 先程と違い、地面に叩きつけられた瞬間に跳ね上がり、襲い掛かって来るということもなかった。クウガはその身を痙攣させながら、何とか、といった様子で立ち上がった。

 位置から考えて、人間や並のグロンギなら生命に関わる器官に損傷を受けたのだろう。それでもクウガは死なずに再生を始めるが、その活力を奪う一撃だったのは間違いない。

 狂気に侵されながらも、戦う術を忘れてはいないクウガは痛んだ身体を過度に酷使して自ら潰すのではなく、回復に専念しブレイドの次手に対処しようとしているようだった。

 だがブレイドの誇る能力を相手に、待ちの一手など愚の骨頂。戦う以外の意義のない、今のクウガにそれがわからぬはずはない。
 それでもなお逃走という選択肢がないのは、その身を突き動かす衝動か――ブレイドの装甲を擦り抜けて、直接肌に突き刺さる憎悪と殺気に、そうダグバは考える。

 そうしてまた、歓喜した。

 つまりクウガは、ダグバを斃すためだけにあの姿になった――ダグバと戦うためだけに。ダグバを笑顔にしてくれるためだけに。そんな風に返してくれたなら、弱い命をわざわざ潰した甲斐もあったというもの。

 今のクウガの世界には、ダグバしかおらず。
 ダグバの世界にもまた、クウガしかいなかった。

 まるで恋心のように燃え上がる喜びをダグバが噛み締めていると、再びクウガが動いた。

 完全に傷口が塞がったわけではないが、その深さはもう元の十分の一程か。これだけの時間を消費すれば、回復は十分だということだろう。
 だがそれは、ブレイドの能力使用の条件を満たすためのインターバルも同じこと。

 七度目――最初にコンボで使用したのも含めると、都合八度目のタイムを使用する。

 またも炎を被った――わざわざ傷の回復を遅れさせてまで、既に破られた防御を纏った凄まじき戦士の時が止まり、再び左脇へとブレイドが移動する。
 先と同じコンボを発動し、さらにその上から二つのラウズカードの効果を重ねがけして、時間の拘束を取り払う。

 だが動き出したクウガの動きは、ブレイドの予想をまたも越えていた。

 クウガはマグネットの引力を己の力に束ねて、ブレイドへと踏み込んで来たのだ。
 結果としてまたもブレイドの間合いは狂い、超音速の斬撃に未だ塞がらぬ傷口を抉られながら、クウガの拳がブレイドの胸部装甲の損傷を捉える。

 変形し強度の下がった装甲から突き刺さった衝撃に、ブレイドが鎧ごと吹き飛ばされる。
 対するクウガも、塞がりかけた創痍を裂かれたそのダメージに再び膝を着いていた。

 それでも両の足を大地に突き立てたクウガに応じるように、クレーターの外にまで殴り飛ばされていたブレイドも立ち上がる。

 かわせないから、今度は威力を相殺しに来たということか。事実として、振り抜く前に拳によって突き飛ばされたため、クウガに与えた傷は思っていたよりもずっと浅い。
 だが――それもわかってしまえば、対処することは簡単だ。

 穴の中からから跳び出で、咆哮しながら自身に迫る狂戦士に対し、剣を構え応じた王の狂笑は、仮面の下に隠れていたというのに――もしもその場に居合わせた者がいれば、誰だろうと容易にその笑顔を読み取れたことだろう。

 それほどまでにこの場所は、狂気と憎悪と、そして歓喜で塗れていた。

 ――これが魔王の、理想郷。



 後方で、未だ戦闘の続く音が聞こえる。
 レンゲルバックルに宿ったクローバーのカテゴリーエース……スパイダーアンデッドの意思は、事ここに至ってようやく自身の置かれた境遇を正しく理解し始めていた。

 思い起こされるのは、絢爛とした黄金の重装の、鎧騎士の姿――ブレイドが突如として変貌した、あの悪魔の如き存在だった。

 あれからは、あの忌むべき死神と同じ匂いの――そしてより強大な力を感じ取れた。

 事実、最強のライダーシステムであるレンゲルの性能を、スパイダーアンデッドの支配を受けないことに目を瞑れば理想的なまでに引き出してくれたあの牙王――それと互角に戦っていたクウガを鎧袖一触するという、絶望的なほどの力を黄金のブレイドは発揮した。

 奴がスペード以外のラウズカードに興味を持たなかったので、異世界の仮面ライダー達が奴の気を惹いてくれている間にカードを回収し、レンゲルバックルは無事逃走することができたが――その後解放された眩い光の気配は、いよいよスパイダーアンデッドの肝を潰していた。

 あれには――レンゲルだけの力では、勝てない。
 最強のはずだった、レンゲルの力すら大きく上回った黄金のブレイド。それが異世界の住人の手に渡ったというだけでも重大な脅威だというのに――恐るべきことに、さらに奴と同等の力を感じさせる存在が現れたのだ。

 数分を経た今も、背後で続く激突の音がその証拠。その何者かは、凄まじいほどの憎悪で以って、あのブレイドと激突しているのだ。その激烈な闘気の余波をちりちりと感じる。

 先程、廃墟の一部を消滅させたあの爆発も、その戦闘の一部――その強大に過ぎる攻撃の後も、両者共に健在でなお、戦っているのだ。

 片方がここで潰れてくれるなら、まだ良い。相討ちとなって両者纏めて消えれば最高だ。

 だがそう都合良くは行かないだろうと、スパイダーアンデッドは考えていた。

 どちらか、下手をすれば両方とも――この後も、自分達の世界の敵として現れるだろう。
 この地に召喚された他のライダーもアンデッドも、このままでは残らず殺し尽くされる。奴らはあのジョーカーすらも超えた力を誇っているのだから。

 そうして牙王からようやく学んだことだが――この戦いでは、スパイダーアンデッドがどう立ち回ろうと関係なく、代表たる参加者が全て敗退すれば、その世界が滅びてしまう――ジョーカーの優勝を許してしまったのと、同じように。

 世界が消えて全ての生命が死に絶えれば、その集合意思たる統制者も消える。それからのバックアップで永遠の命を獲得したアンデッドである自身も、それで滅んでしまう。
 種の生存競争どころではない――世界の生存競争の重みを、ようやくこの自惚れの強いスパイダーアンデッドも理解した。

 今は、業腹だが同じ世界の参加者を援護するのが最優先だ。

 この地においては、変身手段の数は勝敗を左右する重要なファクターとなり得る。ただのアンデッドだろうと自分と合流すればそれは大きな戦力強化に繋がる。ギャレンなどの他の仮面ライダーならさらにラウズカードを有効活用してくれるだろう。――それこそ、あのジョーカーと組むという選択肢すらもあり得る。

 無理に彼らの装備になる必要もない。小沢澄子のように、異世界の適当な宿主を見繕い、そいつを操っても良い。それで同郷の参加者と共闘することはもちろん、操った異世界の参加者を彼らの盾にするなど捨て駒にしても、自分達の世界の勝利に近づくはずだ。
 そうして何とかして、あの化け物達に対抗する手段を得なければならない。正面からではとても勝てる理由は見つからないが、戦いとは何も、正面から殴り合うだけではないのだから――

 まずは何としても、同じ世界の参加者と合流する。もしもその道中で自身の宿主となるような、異世界の参加者を発見できればなお良いだろう。これまでの己と他のライダーやアンデッドとの関係を鑑みるに、あるいは警戒されるかもしれないが、今は屈辱だが奴らに使い潰されるぐらいの気持ちでいなければ――そうスパイダーアンデッドは認識して、夜の中を飛んでいた。



 ――ところで、何故レンゲルバックルは元来た道を戻らなかったのだろうか?

 確かに一度通った道には、他に参加者がいなかった――だがそれも過去の話であり、今は違うかもしれない。
 もちろん、結局は今も誰もいないかも知れないわけだが――レンゲルバックルがその道を選ばなかったのは、もっと明確な別の理由がある。

 真実を言えば、その道にはある参加者がいたからこそ、レンゲルバックルは――自らも気づかぬ無意識の内に、その道を避けていたのだ。

 ――蜘蛛の進路を変えさせたのは、蛇の放った毒の瘴気。

 恐怖という名の、呪いの効力だった。



 ――Straight Flush――

 時の止まった世界で、再びそのコンボが発動した。

 先の二回と同じく、炎を纏ったクウガの回避を許さぬようにマグネットによる吸い寄せと、マッハによる加速を受けた光輝と稲妻の剣は、凄まじき戦士を目指して突き進む。

 超音速の刃が届く寸前で、再び時は動き出す。

 クウガはやはり、時間停止から突然目の前に出現した、ブレイドの攻撃に反応していた――だがその動きは先程よりも、ほんの僅かに拙い。

 元が、突撃の最中に無理矢理制動を掛け、それから反応してくる物だったのだから。

 そのまま正面に現れたブレイドに対しては、制動に掛けた力を解除して再び正面に進む必要があった分、クウガのリアクションが遅れていた。
 それでも正面から迫る斬撃の勢いを殺そうと、クウガの拳がブレイドの頭部に伸びるが――生憎今度は、多少減殺したからと言って無事で済むような、甘い攻撃ではなかった。

 確かにクウガの拳は、後出しでありながら刃がその身に刺さると同時に、狙った場所へと到達していた。ブレイドの頭部を跳ね上げさせるが、しかし既にその身に到達していた、膨大なエネルギーを秘めた金と銀の二条の閃きは、その程度で獲物の肉体を破壊することを止めはしなかったのだ。

 稲妻を纏った銀の軌跡は、クウガの右肩口から脇腹へと走り抜け――

 輝ける黄金の大剣は、左胸から身体の中心に向けて、究極の闇を齎す者の身体を斜めに長く引き裂いていた。

 その瞬間、クウガの口から迸ったのは怨嗟の咆哮ではなく――もはや声にもならない、苦痛を訴える悲鳴だった。

 ――殺った、という会心の手応えに、脳を揺らしながらダグバは唇を歪める。
 拳との激突で宙を舞ったブレイドは、背部の簡易重力制御能力で軽やかに着地した。

 対するクウガは、立ったまま、夜天を仰いで両膝を折る。

 その肉体に刻まれた裂傷は、深く――その奥行きの半分近くに至るまで、クウガの体内は刃によって破壊されていた。

 クウガが消耗に耐え切れずに、その身体を前に倒した。とうとう両手を着いた凄まじき戦士は憔悴し切り、先程までの猛威をもはや感じさせはしない。
 さすがの凄まじき戦士も、身体の内側まで破壊されては再生が追い付かないか。キングラウザーで切られて薄皮一枚程度しか裂かれない時点で、本来それで十分なのだろうが。
 だが――

(あんなに痛そうなのでも、僕達はまだ死なないんだね――もう一人のクウガ)

 ダグバと等しい存在に至ったクウガは、胸元を奥まで破壊されながらも、なお生存していた。腰に埋め込まれた霊石の働きによって、あろうことかそんな傷すらも修復しようとしている。自分自身も彼と同じだとは言え、その度し難い生命力にダグバは呆れと感心が綯交ぜになった心境だった。これで制限されていると言うのだからいよいよ笑い話だ。

(石を壊さなきゃ死なないのかな? でもあれって、簡単には壊せないし……確かクウガに殺された皆は、先に痛めつけられたから石が割れたんだよね?)

 まさか殺し合いを強いられている自分達が、不滅の存在でもあるまいし。
 さすがに弱り切っているようだし、もうちょっと痛めつけてやれば多分死ぬだろう。
 もちろん、クウガにはもっと抵抗して欲しいのだが――この理想郷を、自身が少しでも長く楽しむために。

 肩を震わせて息をするクウガの元まで、ブレイラウザーを腰に戻しながら悠然と歩いて辿り着いたブレイドは、そんなことを考えながらキングラウザーを振り被った。
 脳天へと叩き落とされた大剣を、クウガは肘の突起で何とか捌こうとする。だが、弱り切ったクウガは完全には受け流せず、左腕を切り裂かれ鮮血に染めることになった。

「――十秒、経ったね」

 先程まであんなに長く感じた時間が、今はこんなに短い。

 弱り果てた宿敵を見下ろしたブレイドは、逸らされたキングラウザーを地に刺したまま、左手でクウガの四本角を掴んだ。
 意に添わず面を上げさせられたクウガが威嚇するように咆え、黄金の甲冑が超自然発火の炎に包まれるのに構わず、ブレイドは既に力を取り戻した右腕の獅子の紋章を輝かせた。

 ビートの力を得た拳がクウガの胸、塞がり掛けていた傷口の、その内側に突き刺さる。

「――ッ!」

 悲鳴も漏らせず、クウガが吹き飛んで行く。先程までいくつか残っていた瓦礫や家屋は、もう全て戦いの巻き添えで壊してしまったために、その身体を受け止める物は何もない。
 宿敵の血が糸を引く五指を開いて、ブレイドは再びキングラウザーを抜き取った。

 再生していた胸の内部を、もう一度簡単に潰しておいたが、多分死んでいないだろう。とはいえ、今のクウガに俊敏な動きなど望みようもない。
 それならもう、時を止めてチマチマその命を削って行く必要などない。

 最大火力を以ってして、一気に消し去ってしまおう。

「さっきのは……綺麗だったなぁ」

 そう、無邪気に。自らが解き放った煌めきを思い出して、ブレイドは呟く。

 もう一度、あれが見たい。

 今度はもっと力を込めて――もっと、輝かせてみよう。

 クウガとの戦いの中で、何となく直観した。最初のロイヤルストレートフラッシュを放った時点では、ダグバはまだキングフォームの力には馴染んでいなかったということに。

 本当のロイヤルストレートフラッシュの輝きは、もっと力強く、美しいものだと。

 その本当の光景を、見てみたい。

 そう思ったブレイドは、五つのギルドラウズカードを手に取った。

 ――Spade Ten Jack Queen King Ace――

 カードをキングラウザーにラウズするたび、その名を読み上げる声が聞こえる。
 覚えのある組み合わせの電子音を耳にしてか、数十メートル先に転がっていたクウガもその身を起こしたが――もう、遅い。

 ――Royal Straight Flush――

 コンボ成立の知らせの直後、ブレイドとクウガの間に、使用したのと同じ絵柄を描いた巨大な光のカードの束が五枚、展開される。
 重醒剣キングラウザーの刀身に光子が充填され、合わせるかのようにクウガも、なおも覚束ない足取りのままで――あの極大の爆発を起こした光を拳に宿す。

「……ァ……ア……アアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

 肺が修復されたのか、クウガがそう吠えた。

「――ウェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェイッ!!」

 対抗するように、ブレイドも気合の声を張り上げて――
 光を湛えたその切っ先を、再び振り降ろした。



 キングラウザーの先端から解放された、光の粒子は――百数十秒前に放たれた光を遥かに上回る輝きを放ちながら、より密度を、さらにその太さを大きくしながら、金色をした五つのゲートを潜り抜けた。

 ゲートを超えるたびに、膨大な光量をなおも増しながら迫る光の奔流に対し――クウガはブレイドが剣を振り降ろすと同時、その拳を繰り出していた。

 より多量に、さらに濃密になりながら、なお膨張し加速し続ける光子の群れへと、紅蓮の炎の形を取って拳から放たれたエネルギーは、その牙を突き立てる。

 最初にこれと同じものが放たれていれば、アビスの決死の抵抗などお構いなしに彼女が背にしたキバごと、射線上の一切を消し去っていただろう金色の必滅の光と、数十秒前に余波だけでエリア一つを灼き尽くした赤色の究極の炎が、遂に正面から激突した。

 超絶のエネルギー同士が、互いに鬩ぎ合い、抱擁し合い、相克し合う。その輝きは地上に太陽を顕現させたに等しく、文字通り手を伸ばせば届く距離でその争いに巻き込まれたクウガの纏う生体鎧の表層が、荒れ狂う猛威によって引き剥がされて行く。
 その攻防には、身代わりにできるものを失った大地が直接巻き込まれることになった。無数の亀裂を走らせながら震撼し、さらには天さえもが白く染まりながら悲鳴を迸らせた。
 光の圧力にクウガの足が大地を削りながら後退しつつも、あくまでクウガの前で留まる炎に対して、押し負けた閃光の一部が、光条となって散乱する。四方八方へ規則性もなく散乱し、縛る物など何もないとばかりに駆けて行く。その内のいくつかはクウガを掠め、またいくつかは大河に直撃し、水蒸気の巨大な白壁を屹立させた。

 だが、そうして何割かを逸らせても――その炎のために燃やす力が、クウガにはもう、ほとんど残っていなかったからか。減衰しながらもなお黄金の輝きは、相対する紅蓮の焔を己の色に染め上げて行った。
 永遠にも感じられた数瞬の拮抗が、やがて何の合図もなく崩れ出すと――クウガの前に広がっていた炎は光に取り込まれ、瞬く間に消え去った。
 そして守護を失った凄まじき戦士の、夜より暗いその漆黒の姿が――膨大な光の中へと呑み込まれ、失せて行く。

 究極の闇を討ち祓った光の猛威は、なおも止まらず。
 クウガの背にしていた、北の大地へと――その光は走って去って行った。

 究極の闇を齎す者と言っても、不死不滅の存在ではない。
 常に不死者がその一身で受けることで、結果的に周囲の被害を抑えていた暴虐の光を、止めることが叶うものはそこにはなく。



 光が拡散し切るまで、射線上の全てを消し去りながら、その輝きは会場を縦断して行く。



 ……第三者の目線に立てば、今回の勝敗を分けた大きな要因はクウガとブレイドの誇るそれぞれの能力への、制限の差によるものだと把握できるだろう。

 クウガは一撃必殺の超自然発火を、キングフォームが相手ではほとんど意味の成さない状態にまで制限されていた。さらに制限なのか、またはそもそも異世界にしか存在しない物質にモーフィングパワーが作用しないからかは不明だが――相手の武器を奪うという、通常フォームの頃から愛用している能力さえも使用できず、無手での戦いを強いられた。
 対して、ブレイドに架されたのは、他のBOARD製仮面ライダーと同様の制限だった。完全に無制限というわけではなく、また最強のロイヤルストレートフラッシュとタイムを同時使用ができないとは言っても――時間停止という恐るべき能力を、一度の戦闘で幾度となく使用できたのだから。他の者との戦いではともかく、ことクウガとブレイドの戦いにおいては、その制限の差は勝敗を分かつのに十分なほど大きな働きをしていた。

 首輪がなければ、あるいは制限の形が違っていれば、両者の激突の結果は違う物だったのかもしれないが――全ての失せた戦場に一人立つブレイドは、そんなことには特に想いを馳せることなく。ところどころ変形し、痛んだ甲冑をなお金色に煌めかせながら、最大の一撃の余韻として長く深い息を吐いていた。

 かしゃん、と。キングラウザーの切っ先が、荒れ果てた地肌に落ちる。

「やっぱり、綺麗だったなぁ……」

 抉れた大地の、その始端に剣を突き刺して、ブレイドはそう惚けた声を漏らした。
 その脳裏に描かれている光景は、目の前の荒れ果てた大地ではなく――その傷を刻んだ、莫大な光の束の、その輝きだった。

「……君もそう思うでしょ? もう一人のクウガ」

 数秒前の出来事への郷愁から帰還したブレイドの視線の先に在ったのは――その身を赤に染めて、仰向けに倒れたクウガの姿だった。

 その身を染める黒ずんだ赤は、マイティフォームの炎を思わせる色ではなく……身体の前面が消し飛んだ結果、溢れ出た血液だった。簡単には壊せないとダグバさえ思ったその黒く染まったアマダムにも蜘蛛の巣状に光芒を漏らす亀裂を走らせ、力なく震えるクウガは息とも声とも知れぬ物を微かに口から漏らすだけだった。
 それでも傷ついたアマダムは宿主を死なせまいと、その肉体の修復を開始していた。

 ――とはいえ、あのままロイヤルストレートフラッシュが直撃していれば、間違いなく究極のクウガとはいえ絶命していただろう。

 クウガが命を拾ったのは、二つのエネルギーの激突に巻き込まれた大地が、クウガより先に消し飛んでいたからだ。結果として足場を失ったクウガは、意図せずその身を沈めたことでロイヤルストレートフラッシュの直撃を逃れ、掠めた程度で命を繋いでいたのだ。
 だがよりにもよってアマダムに直撃を受けて損傷させ、弱り切ってしまったこのクウガに先程までの関心を抱いていないということをダグバは自覚した。

 そんなことより――

「……もう一回、あれが見たいな」

 究極の闇をも祓う、あの荘厳な光をもう一度。
 次の行動を決めたブレイドは、腰からブレイラウザーを抜刀し、大地に突き刺していたキングラウザーを引き抜いた。

 ――Straight Flush――

 その左右の腕と両足から、キングラウザーへと金の光が伸び――ギルドラウズカードを使用したわけでもないのに、それらを読み上げるまでもなく、コンボ成立の知らせが死の大地に響く。それは装着者と十三体のアンデッドの融合が進んだ証だが、ダグバはそんなことは知らない。ただできると思ったら、できたというだけだ。

「だから――まだこれじゃ、死なないでね」

 もう単独でカードを使用する必要は、一切見当たらない。大技でゴリ押せば次に繋がる。

 もはやクウガは、絶対者を脅かす敵ではなく、潰されるのを待つ弱い命でしかない。
 別にダグバを楽しませてくれる者は、このクウガを殺してもまだいるだろう。究極の闇には至ってはいないものの、元はこのクウガよりもずっと強かったダグバの世界のクウガ。ガドルを殺した強き戦士。このキングフォームのような存在が、他にもまだいる可能性は高い。

 だからもう、十分楽しんだこのクウガにトドメを刺すことを勿体ないとは思わない。

 それでも、他よりはいっぱいこの力を試せる。そうして色々試した後に、わざわざあの光で消す価値はある――そう思って振り被った双剣の重みが、突如として消え失せた。

 何事かと見渡した身体は、あの重厚な鎧ではなく――いつもの白い服に覆われていた。

「何……で?」

 おかしい。まだ、後三分は変身が続くはずだったのに――
 そう考えたところで、ダグバは脆弱なリントの姿に戻った自身を射抜く、暗黒色の視線に気づいた。

 瀕死のクウガがそれでも顔を起こし、ダグバを見ていたのだ。

 ――ダグバは上位形態に架される、変身時間の短縮を知らなかった。

 加えて、タイムによって時間停止された間クウガの変身時間の消費は止まっていたが、ブレイドの変身時間は他の時を止めた間も経過していたのだ。そもそもの話、彼よりも後から変身したクウガよりずっと早く変身が解けるのは、自然な結末だと言えた。

「あっ――」

 憎悪に黒く濁った瞳に射抜かれて、身体の奥から怖気が走る。

 殺される。クウガの全身から放たれる殺意の放射に、ダグバはそう確信する。

 まだダグバの真の姿に戻るには、後数分の時間が必要だ。どんなに死にかけていようと、今のクウガは究極の闇を齎す者で、ダグバは脆いリントの姿だ。今更抵抗しても、それは何の意味も持たない。クウガは息をするように容易く、ダグバを殺してのけるだろう。

(あぁ……嗚呼! 怖いっ!)

 全身の汗腺が開いて、アスファルトの気化する悪臭が漂うほどに熱せられていた夜風が、急に極寒の地に立ったかのように身体を冷やし始める。がくがくと背筋が震え、恐怖の色にダグバの心が塗り潰される。

 天井知らずに昂ぶって行く感情。いつまでもその興奮を味わっていたいという、ダグバの意思とは無関係に――

 魔王の意識は、唐突に闇へと消えた。



 だがダグバはまだ、死んではいなかった。

 凄まじき戦士すら上回った、キングフォームの絶大な力の反動――それによる強制的な昏睡状態へと、ダグバは陥っていたのだ。

 ただでさえその力を発揮するのに、装着者の体力を奪うキングフォームの力――しかも今回の場合、事情が少々特殊だった。

 言うまでもないが、正規装着者である剣崎一真に比べてダグバの融合係数は低い。本来のダグバの融合係数ではカテゴリーキング一体としか融合できないのだが、実際には十三体と同時融合してみせたのは、大ショッカーによって手を加えられていたのが理由である。

 しかしながら、本来遥か上の融合係数を持つ剣崎さえ超えた融合速度を見せたのには、変身中にいくつかの要因によってダグバの融合係数が底上げされて行ったからだ。

 一つは剣崎とは違い、ダグバには融合を拒否する意志がまるでなかったということ。

 また一つは剣崎を大きく超えた、ダグバの持つ闘争本能――特に宿敵との死闘は、彼のそれを強く刺激し、アンデッドとの融合を促進していたということ。

 さらに、剣崎と違ってアンデッドクレストから何度もその力を解放していたということ。

 そして最後に――この地には、キングフォームと共振する死神が二人、いたということ。

 これらの要因によって本来以上に融合係数を底上げしたために、キングフォームは通常より多くの体力を装着者から奪い取り。
 剣崎より遥かに高い身体能力を持つダグバの意識をも、深い闇へと誘っていたのだ。

 そして眠りに就いた魔王が、融合を加速させるほどに剥き出しにした闘争本能は。

 今頃、眠れる死神達の本性を、呼び覚まさせていることだろう。




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