Kamen Rider: Battride War(3)   ◆.ji0E9MT9g



「志村さん、嘘だろう……?兄さん!」

最早、声に出さずにはいられなかった。
そうだ、戦いの最中目を離せなかったのも、こうして重大極まりない戦いを放置してまで彼のところに来たのも、結局は一つの理由だけ。
彼が兄である、海東純一と同じ顔を、同じ声をしていたから、それだけに他ならない。

戦いの結果として己の判断で第二のフォーティーンになることを宣言し、自分を含むかつての仲間たちと袂を分かった兄、純一。
自身の世界を通りすがる瞬間に、その仲を修復できなかった事が心残りになってしまっていたのか。
そんな甘っちょろい感覚を持つ自分が、確かに存在することを自覚しながら、ディエンドはG4のデイパックからグレイブバックルを拾い上げる。

「・・・・・・すまないね、志村さん。僕は泥棒だからさ、あの世で存分に恨んでくれたまえよ」

どこか寂しげに告げながら、バックルをデイパックに仕舞い込む。
志村には悪いが、自分にとってこれは兄の物にしか思えない。
逆に言えばこのバックルを持っていれば、自分が兄とともに戦っていると、そう錯覚できるような気がしたのだ。

そんな新たな思いを抱くと同時、振り返ったディエンドの目に飛び込んできたのは、秋山蓮の命の炎が消える、まさにその瞬間。
それに向かって駆けだしながら、同時に彼は懐からタッチパネルのようなアイテムを取り出した。
まさにそれは一か八かのとっておきの切り札。

しかし今のディエンドには、それが失敗に終わるビジョンが、どうしても抱けなかった。
だって今の自分には、兄がついていてくれるような気がしたから。
そんな思いを抱きながら、ディエンドはその手に持つ端末に、一枚のカードを滑り込ませたのだった。




「ハァァァァッッ!」

雄叫びと共に、弾幕の中を潜り抜け駆けるはバーコードの意匠を全身に刻んだマゼンタカラーの戦士、ディケイド。
対するは緑のスーツに重厚な鎧を纏った戦士、ゾルダ。
彼らの距離は最早本来のゾルダの間合いではない、中距離。

そろそろこのギガランチャーの名を持つ大砲をかなぐり捨ててでもジャコーダーやアクセルブレードといった中、近距離用の攻撃手段に切り替えるべきか、と考えるが早いか、ディケイドが蛇行をやめ、その足を自分に向け真っ直ぐに加速する。
仲間を気遣ったあまりの捨て身の戦法か、それとも何か策があるのか、そのどちらにせよ最早武器を取り換えている暇はないと、ギガランチャーのトリガーを引く。

――KAMEN RIDE……
――BLADE!

これで仕留められるなら、とそんな思いを抱く暇もなく、ギガランチャーの弾丸が発生させたその爆炎の中から、青い仮面ライダーに姿を変えたディケイドが飛び出してくる。
全く持って奇妙な技を、と舌打ちしながら、最早自爆の危険性すら生じ利用価値のなくなった巨砲を手放す。
しかしまだ少し距離はある、ブレイドという名前からするなら、剣を使うのだろうその姿に対応すべくデイパックからアクセルブレードを取り出そうとして。

「やらせるかよ」

――ATACK RIDE……
――MACH!

突如その身を加速したディケイドにそれを阻まれる。
何とか一撃を胸のアーマー部分で受けることでダメージを軽減するが、アクセルブレードはもちろんデイパックには最早手を伸ばせないだろうことは明白だった。
素早く腰のギガバイザーをその手に取りながら、ゾルダは心からの憎悪を隠そうともせず目前の悪魔に向ける。

「ようやく会えましたね、ディケイド」
「その声……、ったく一真がああだったから違うかと思ったが、お前はどうやらあまり変わらないらしい」
「……何の話をしているかさっぱりですが、あなたの使命は、この場で破壊されすべての世界を破滅から救うこと。今からその使命を王である僕の手で果たしてあげましょう」
「ふっ、そういうことなら、悪いが間に合ってる」

瞬間、場には張りつめた空気が流れる。
この近距離では、不用意に動いた方が相手から手痛い反撃を受ける。
双方ともに歴戦の勇士である両者はそれを理解しているからこそ無駄に動くことはしない。

その状態がどれほど続いたのか。
――先に動いたのは、ディケイドだった。
ヤァと掛け声を発しながらの斬撃はゾルダを下から切り上げるものだったが、その程度はお見通しといわんばかりに上半身を仰け反ったゾルダに容易くかわされる。

と同時ギガバイザーが火を吹くが、ほぼ反射的な攻撃なうえやはり相対するディケイドに比べ慣れないゾルダの鎧。
予想通りの攻撃だと言わんばかりにライドブッカーのホルダー部分で弾丸を二発受け止め、お返しといわんばかりに、放たれたのは二発の弾丸。
剣戟でしか攻撃できないとばかり考えていたゾルダはまるでハトが鉄砲を食らったように驚き、受け身すらとれぬままその体を吹き飛ばされた。

ディケイドの持つ専用武器、ライドブッカー。
その特徴は剣と銃、そしてカードホルダーの形態を自由に使い分けられることにある。
ディケイドは基本的に他のライダーに変身した際、アタックライドを使用しそのライダーの専用武器を使用しない場合でも、そのライダーの戦闘スタイル――ブレイドならソードモード、といった具合に――に忠実にライドブッカーを使用する。

それがそのライダーに対する敬意からくるものなのかはともかく、あくまでそれが他のライダーに変身しているディケイドである以上、ディケイドの専用武器たるライドブッカーの各形態を自由に使用できない理由はない。
ゆえにこの状況では、ブレイドという、名前からして――というか元の世界では実際そうなのだが――剣しか使わなそうなライダーが銃を使うという奇策で以てゾルダへの攻撃に成功したわけである。

だが、ゾルダとてただでやられるほど身体も精神も脆くはない。
空いた距離を好機とばかりにすかさずデッキに手を伸ばしカードをドロー、そのまま手に持つギガバイザーに装填する。

――SHOOT VENT

瞬間、ゾルダの肩にはおおよそ不釣り合いなほど巨大な二門の砲台が装着される。
その砲台の名はギガキャノン。
ゾルダの持つ二枚目の必殺の威力を持つカードである。

今度は逆に息をのんだディケイドに対し、ゾルダは砲弾を発射、と同時に彼が仲間たちに流れ弾がいかないように位置どっていることに気づくが、しかしどうでもいい。
先程のようにライジングアルティメットに自身の弾丸が当たりその行動を抑制することがない分自分にもメリットがあると思い直し、その力を思う存分解き放つ。

(チッ、野郎、考えてた以上に俺の知ってる〝奴″に近いぜ。音也や一真がああだったってのに一番厄介な奴が殆ど変らないとはな……)

対するディケイドも、自身の周辺を舞う爆炎を避けながら敵への思いを強くする。
自身へ旅の始まりを告げた、紅渡。
聞いた話では、自分が破壊者として一旦の仕事を終えた際、海東や夏海の前に現れディケイドに物語は無いとのたまったらしい。

使うだけ使っておいて本人には礼も何もなしかと苛立ちが募っていた中で、この場における音也や一真の、自分の知る彼らとの相違に一抹の希望を抱いた途端に、これだ。
破壊者としての自分を知っているだけでなくあのライダー大戦の世界のそのままの声で喋り方で自分に戦いを吹っかけてきた。
本当に自分の知る彼と別人なのかとため息を漏らすが、しかし考えていても何も始まりはしない。

音也への借りもあるしな、と自分を納得させると同時ホルダーと化したライドブッカーから一枚のカードを取り出し、そのままドライバーに装填した。

――KAMEN RIDE……

「早速力を借りるぜ」

――HIBIKI!

心の中で呟いた名前を復唱するかのようにドライバーが、けたたましく9つの世界の一つに存在する戦士の名を告げる。
それに応えるかのように炎に包まれたディケイドの体は、しかしそれを払いのけた瞬間にその姿を紫に塗り替えて。
刹那そこに現れたのは、マジョーラカラーが鈍く輝く戦士、響鬼だった。

その変身を確認するまでもなく、彼は続いてもう一枚のカードをブッカ―より取り出し、バックルに読み込ませる。

――ATACK RIDE……
――ONGEKIBOU REKKA!

電子音声が告げると同時、彼は背中に取り付けられた専用のホルスターから響鬼の専用武器、音撃棒烈火を取り出す。
その先端に炎が灯っているのを確認するまでもなく、まるで元々自分の技だったかのように扱いながら、掛け声と共にそれをゾルダの弾丸にぶつける。
二門の銃口から発射された巨大な弾丸は、同じく二本の音撃棒から放たれた炎弾により相殺、辺り一帯に爆風と硝煙を撒き散らした。

「くっ、小癪な……」

そして、ディケイドの目的がこの濃い煙幕であるということなど、ゾルダにとっては明白。
煙幕が晴れる前にギガキャノンを乱射する手も思いつくが、しかし爆音で知らぬ間に懐に忍び寄られる可能性を考え、相手の動きを待つことにする。
あるいはこのまま逃げられる可能性も考慮するが、自分に向けられる敵意は変わらず、どうやらあちらも逃げる気がないようであった。

(それならそれでいい……、どこからでも来いディケイド。どんな卑怯な手を使われても僕は必ずお前を破壊する)

右手にギガバイザー、肩にはギガキャノン、まさに要塞の異名が相応しいほどに武装されたゾルダはゆっくりと、硝煙が晴れるのを待って――。

――……DE・DE・DE・DECADE!

(――来るッ!)

構えるが早いか電子音声を言い終えるが早いか、刹那の後にはゾルダの目前にまで伸び、何重にも重なった巨大なライダーカードを目視する。
既にライジングアルティメットに対して放ったエネルギー弾を見ていたゾルダは、彼にとっては無傷のそれも、今の自分にとっては十分に致命傷たり得ることを十分に把握していた。

(ですが、これで終わりです)

恐らくはエネルギー弾の放たれるより早く、発射準備の完了していたギガキャノンから砲弾を放つ。
逆にカードを突き抜けていったゾルダの一撃は確かな手ごたえを以て爆発を発生させ、今度こそ悪魔への勝利をゾルダは確信する、が。

――FINAL ATACK RIDE……
――DE・DE・DE・DECADE!

「なっ――!」
「ハァァァァァァッッ!!」

先程と同じ電子音声を響かせながらディケイドはその巨大なライダーカードすら煙幕に隠して既に自分の懐に忍び込んでいた。
先程あたったのは一体……?あれは罠だったのか?
多くの疑問を抱えながら本能で急所である胸を庇ったゾルダを気にも留めずに、ディケイドはその剣にマゼンタの光を灯して。

的確にその緑のデッキを、打ち砕いたのだった。




さて、ディケイドがなぜこの攻撃に成功したのか、お察しの方もいるとは思うが解説しよう。
彼はアタックライド音撃棒烈火の効果を発動すると同時に発生した爆音に紛れ、アタックライドイリュージョンを使用。
制限により一体一体に出来ることが限られていると困ると最低限必要な一体の分身だけを生み出し、ファイナルアタックライドを使用させる。

ゾルダもその存在を知るディメンションブラストを使用することでギガキャノンの砲弾を発射させ、一層煙幕を濃くすることに成功する。
後は自分自身がもう一度ファイナルアタックライドを使用し、ディメンションスラッシュを発動。敵の死角からデッキを破壊することに重点を置いた攻撃を放つ。
それによって確実に敵の戦力を削ぐという一連の流れが彼の作戦であった。

少し前までの心の荒むようなライダー破壊の旅のおかげで身についてしまった小汚い手だが、しかしそれも自分の技なのだと、士は自分を納得させる。
強力なイリュージョンを今の今まで使わなかったのは制限を恐れたのかそれとも破壊者であった自分を一瞬でも早く忘れようとしたのか――。
その答えは、きっと士本人にしかわからないのだろう。




「ぐあッ……!」

ディメンションスラッシュによって生じた爆炎と共に後方の大木に背中を思い切り打ちつけた渡は、そのまま重力に逆らいきれず地に伏した。
全身に残る激痛と同時に今自分が何をされたのか一切わからないことによって、目の前の存在が今まで戦ってきたファンガイアとは格の違う存在であると再認識する。
やはりこいつは優先して破壊しなければとその憎悪を一層強める中で、その悪魔が目前にまで歩み寄ってきているのに気づく。

「大体わかった。・・・・・・どうやら厄介なことに、お前は俺の知る〝紅渡″じゃないらしいな」
「どういう……ことです?」

その気だるげな声に確かな嫌悪感を抱きつつも、紅渡という名を否定することすら忘れて――傷の回復を待つまでの時間稼ぎという建前で――渡は忌むべき破壊者に疑問をぶつける。

「いや、俺を知ってる〝紅渡″ならこの程度の攻撃、簡単に対策出来るだろうからな」

先程のディケイドの、複数のカードを用いた攻撃。
その答えは彼の能力を知る者には実に簡単、しかし知らぬ者には難解。
この策を使うことで〝この渡″が自分の知る紅渡かどうか確かめる……というところまで士が考えていたかは定かではないが、しかしこの攻撃に全く予想外だったという反応を目の前の〝紅渡″が見せたことで彼は事情を大体察する。

それは、『どうやら目の前の〝紅渡″は自分のあった音也の息子であり、正真正銘自分の知るあのいけ好かない紅渡とは別世界の同一人物どまり』だということだった。
色々面倒なことになったな、とため息をつくディケイドの前で、真剣に困惑した表情を見せるのは渡である。

「あなたの言う〝紅渡″とは一体……誰のことですか」
「さあな。ともかく、お前が殺し合いに乗っている以上音也への貸しの分くらいは〝お説教″してやらないとな」
「父さんに会ったんですか!?」

ディケイドの答えになっていない答えを追及するより早く、渡にとって聞き捨てならない名前が飛び出す。
ああ、と一瞬の間をあけて回答したディケイドに対し、渡は思う。
何故、よりによってこいつが、と。

「あいつには一発殴られたからな、その分お前には俺が――」

――すでに、目の前の男の声など耳に入ってはいなかった。
破壊者であるこの男と、父が会い、恐らくは戦ったのだ。
父が無事破壊から免れたのか、この男に聞いても碌な答えは返って来るまい。

なれば自分の役目は――ああ、もうわかりきっている――ただ一つ。
もう大事な人を殺されないように、今ここでこの男を殺すだけ。

「――世界の破壊者、ディケイド」
「あ?」

既に誰も聞いていない話を阻まれて少し苛立った様子のディケイドだったが、しかし渡の様子が先程までより一層圧迫感の強いものになっているのを見て思わず構えなおす。
目の前の渡は生身だ、変身している士が負ける道理はないが、しかし本能が告げている。
この男は、自分の知る〝渡″と同等、もしかすればあるいはそれよりも、強大な存在であると。

「お前に、王の判決を言い渡す」

背筋が凍える。
らしくはないとわかっていても、認めざるを得ない。
これは、この迫力はまさしく――。

「――死だ」

――王の資格。
その答えに行きつくが早いか、渡は冷たく言い放った言葉を実践せんとポケットに手を伸ばす。
しかし、さすがにそれをただ見ているわけにはいかない。

ディケイドもライドブッカーをブラストモードに切り替え変身を防ごうとするが。

「サガーク」

小さくつぶやいた渡――否、キング――の声に応じてその僕たる蛇を象ったようなモンスターが彼のデイパックから飛び出し、ディケイドの弾丸を弾き飛ばした。
無論、ディケイドの能力を以てすれば使役される小型モンスター程度難無く突破出来るだろう。
だがそれより早くキングの行動は、すでに完了していた。

――WEATHER!

野太い男の声が、気象の記憶を持つそのメモリの名を叫ぶ。
同時にキングの肉体は突如発生した竜巻によって覆われ――。
次の瞬間にはすべての変異が完了していた。

現れ出でたのは白を基調としつつ腰に金色の龍を模したベルトを巻く、まさに気象の記憶を司るに相応しい迫力を誇る怪人、ウェザードーパント。
しかしディケイドにはそれに見とれる時間すら与えられない。
ウェザーが軽くその指を天に掲げたかと思えば、瞬間ディケイドの頭上には暗雲が立ち込める。

余りに不自然なそれを目の前の怪人が発生させたのは明白――とそこまで考えるより早く、ディケイドは横に飛び退く。
直観での行動だったが一瞬の後にディケイドのいた地点から眩い閃光が発生したことでそれが正しかったことを実感する。
今まで立ち向かった敵の誰も持ちえなかった気象のコントロールという反則じみた能力にディケイドは身震いし、だがと思い直す。

(そういや涼の奴が言ってたっけな、ダグバってのも天候を操れたらしいって……)

と、ふと場違いな考えが湧くも、しかしすぐにそれをかき消す。
どうにもダグバの話を聞いてから事あるごとにそれについての事が頭をよぎる自分がいる。
どちらにせよ後々相手どらねばならない相手だが、今はそれより大事なことが――。

――閃光。
渡の覚悟と怒りによりウェザーとの親和性がより高まっているのか、その雷撃はますます鋭さと威力を増し。
ディケイドは段々とその止むことのない雷撃を躱せなくなってきていた。

いずれ躱しきれなくなるのがわかっているのなら……とディケイドは未だにその手を天に翳し続けるウェザーに向け一か八かの攻撃を仕掛け――。

「――かかりましたね」
「何っ、ぐあッ!?」

不意にその手を下したウェザーの不敵な宣言に驚く暇もなく、ディケイドの視界が揺らぐ。
その原因を探るより早く、自身の背面に強い衝撃を受け、彼は呻き声をあげた。
揺らぐ視界、続く衝撃、そのどれもが殺意のこもった彼の意識を刈り取りかねない強力なものだったが、ディケイドはすんでのところで踏みとどまる。

やっとのことでそれから解放され、激しい頭痛に悩まされながらディケイドがその目にしたのは、ウェザーが金色の鞭のような武器をその腰に取り付けるところ。
まさかジャコーダー以外にウェザーそのものにも鞭状の近距離戦をも可能にするツールがついていたとは。
自分の能力の多彩さを棚に上げてウェザーを批判するディケイドだが、しかしそんな軽口すら叩けないほど自分の身体が悲鳴を上げているのは火を見るより明らかなことであった。

動かなければ、このままでは、やられる。
最早変身を保てているのが奇跡と言う他ない状況を押して、彼は全身に力を込めるが、ガドルとの戦いの傷が開いたのか、身体は依然いうことを聞かない。

「――終わりです、ディケイド」

――そしてついに、その時は訪れる。
その強靭な脚力で以て否応なしに仰向けにされたディケイドを踏みつけながら、ウェザーはそのデイパックより巨大な大剣を取り出す。
これが振り下ろされれば、間違いなくこの身は尽きるだろう。

(クソッ、俺の旅は、こんなところで終わるっていうのか……?)

最早録にその拘束を振りほどく力すらないディケイドは、ふとそんな事を考える。
目の前の若き王は、その余りある憎しみで以て自分を確実に亡き者にせんとその手に持つ大剣に自身の雷撃の能力を付加している。
この一撃から逃れる手段は……もう、残されていない。

今度こそ、本当にもう駄目かと、そう思いかけた、その瞬間。

「――ラァッ!」
「なっ!?」

その場の誰も予期しなかった騎士(ライダー)が、駆け付けた。
ディケイドを倒す一点のみに集中を振り切ったウェザーはその一撃に巨体を揺るがし。
まるでディケイドを守らんかとするように、騎士はウェザーの前に立ちふさがる。

「悪ィな門矢、遅くなった」

最早、言うまでもあるまい、その騎士とは――。

「……巧」

数分前ライジングアルティメットに吹き飛ばされ戦いをリタイアしたはずのファイズ、その人であった。

【乾巧 復帰】
【ライダー大戦 残り人数13人】

110:Kamen Rider:Battride War(2) 投下順 110:Kamen Rider:Battride War(4)
時系列順
五代雄介
葦原涼
秋山蓮
乾巧
村上峡児
橘朔也
相川始
金居
志村純一
日高仁志
矢車想
乃木怜治
野上良太郎
紅渡
門矢士
海東大樹
フィリップ
鳴海亜樹子




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最終更新:2018年12月17日 19:12