ステージ・オブ・キング(3) ◆.ji0E9MT9g






数分前。
ギャレンたちとの戦いを無事勝利で収めたキングは、その視線の先にオーガとディケイドの間に取り入る良太郎の姿を見た。
キングは、良太郎が嫌いだった。

正義の味方というだけで彼はすべからく嫌いではあったが、特に彼は戦いをしようとせず面白そうな状況をつまらない言葉で白けさせる。
東京タワー崩壊の時もそうだし、キングが第二回放送後この会場に送り込まれるその時まで、放送を受けて正義の味方を名乗る連中が無力に打ちひしがれる姿を目に焼き付けていたときもそう。
折角病院で志村純一と村上の本気のバトルが見られると思ったのに、それを弱いだけの彼が妨げてしまった。

ルールを理解せず戦っている口先だけの正義の味方はブレイド、剣崎一真を始めとして早期に退場する違いないと確信していたのに、彼は運がいいだけでここまで生きている。
だからそんな良太郎の存在は極めて腹立たしいものでしかなかった。
だが彼の幸運もここまで。

ディケイドにちょっかいを出すために選んだ病院だったが、予想通り良太郎もここにいた。
一番の目的はディケイドへの不信を煽った為に起こる仲間割れだったが、こうして良太郎も殺害出来るならそれに越したことはない。
ただそれだけの好みの問題で、キングは一切の躊躇なく良太郎の腹を貫いたのだった。

「――さっさとかかってこい。お望み通りお前をこの場で破壊してやる」

怒りに打ち震えた声で、ディケイドがベルデに向け宣戦布告する。
だが対するベルデは一向にそのヘラヘラとした笑いを繰り返すのみで、真面目に取り合おうとはしなかった。

「うーん、でも僕大概満足しちゃったしなぁ。
それにこんだけ玩具をいっぱい手に入れたのにここで雑に使っちゃうのも面白くないじゃん?」

「まさか逃げられるとでもお思いですか?
先ほどは不意を突かれましたがこの状況でそう易々と見逃すとでも?」

「いやぁそうなると思うよ?だってさ……やれ!」

そうしてベルデが合図をすると同時。
周囲に散乱したガラス片から、二つの影が飛び出してくる。
一つはベルデの契約モンスター、バイオグリーザ、そしてもう一体は……東京タワーでの戦いの結果、野良モンスターとなり今の今までその姿を見せなかった金色のミラーモンスター、ボルキャンサーだった。

「何ッ!?」

「こいつ、近くを彷徨いてる癖に全然出てこないから、僕の契約モンスターにミラーワールドでちょっかい出させて無理矢理引っ張り出してきたんだ。
お腹すいてて後がない分凶暴になってるから、気をつけてね?」

「チッ、厄介な奴出してきやがって。
村上!こいつは俺が相手する、お前はキングをーー!」

そこまで言って、ディケイドは絶句する。
それも当然。
既に周囲に迫りつつある、数多のミサイルやビームの群れを視認したからだ。

ベルデは素早くその射程範囲内から飛び退くのに成功するが、強固な鎧を持つオーガはともかく、今なお倒れ伏す良太郎を前にして、ディケイドに撤退の手段は残されていなかった。

――KAMEN RIDE……BLADE!

何とか掴み取った一枚のカードを装填すると同時発生したオリハルコンエレメントが、彼らに対する攻撃を幾分か防ぐ。
だが、あくまで幾分だ。
その壁の真後ろにいるディケイドと良太郎はともかく、更に後方でまともな防御態勢を取ることも出来なかったオーガの鎧はその爆発の嵐に蹂躙され、遂に村上の姿を晒した。

そして数瞬の後、視覚外から放たれた弾丸の雨が止む頃に、本来の変身機能を果たす事なく跡形もなく霧散していたオリハルコンエレメントを見て、ディケイドは何度目かの戦慄を覚える。
しかしそんな時間も長くは与えられない。
瞬間、最早聞き慣れた笑い声がゆっくりと近づいてくるのを、二人は耳にした為。

「ハハハッ、僕が引っ張り出したのがボルキャンサーだけな訳ないでしょ。
あいつ……マグナギガはデッキを壊した君を目の敵にしてるんだ、放置してたら大変なことになっちゃうよ?」

「クソッ……!」

見れば、先の攻撃を幾らか食らったというのに、ボルキャンサーは既に瓦礫の中から這い出ていた。
同時、彼が向かった先に生身のフィリップを庇い橘が立ちはだかったのを見て、ディケイドは彼らを放置しキングを叩くのが不可能であると再確認する。
であれば自分はどちらへ向かうべきか、と思考を巡らせるより早く、村上はデイパックから次のベルトを取り出していた。

「変身ッ!」

勢いよく叫んだ村上の身体が今度は黄色のフォトンストリームに包まれていく。
夜の闇に紫の双眼を輝かせた仮面ライダー、カイザは変身の完了に何ら感慨を持つこともなく、すぐさまボルキャンサーへと向かっていく。
大方首輪解除について有力な二人を見殺しには出来ないし今ここで借りを作っておけば後々に優位に立てるといったところだろうが、今はそれでもいい。

先の攻撃は何とか凌ぎ切れたが、次があれば良太郎の身体が危うい。
そうなるより早くマグナギガを叩くために、彼はライドブッカーより新しい力を取り出していた。

――FORM RIDE……DEN-O!GUN!

けたたましい変身音と共に形成されたオーラアーマーが、ディケイドの身体を包み込む。
変形の完了を示すように放射された熱気を受けてライドブッカーをガンモードに変形させたディケイドは、そのまま一直線に敵に向かっていった。

「フッ……、まぁ精々頑張ってよ?ディケイド。僕は待ってるからさ。
――取ってこい」

突然に声音を低くし自身の横に控える契約モンスターに指示を飛ばしたキング。
多くを語らない主にしかし忠実に、バイオグリーザは倒れ伏す良太郎のデイパックをその長い舌で絡め取り主へと投げ渡した。
それをぞんざいに受け取りながら、キングは使用制限を終えたゾーンメモリを起動し、その場を後にした。




「ハアァァァァ!!!」

まさしく固定砲台、いや全身兵器の名が相応しい怪人マグナギガが放つミサイルやビームを避け、或いは撃墜しながら、ディケイドは駆ける。
マグナギガは、その攻撃力のみを見れば最強のミラーモンスターと言って過言ではない。
だがもしも弱点があるとすれば、それは単身では移動もままならず同時大技を使用するには長いクールタイムを必要とするところだろうか。

もしまた先ほどの攻撃が病院へ向かえば、今度こそ生身の橘やフィリップ、そして今なお苦しんでいるだろう良太郎は跡形もなく消し飛んでしまう。
それだけは、絶対に避けなければいけないことだった。

「GUOOOOOO……!」

そんな中、急速に距離を狭めつつあるディケイドに脅威を感じたか、マグナギガはその身からチャージを終えたミサイルを発射する。
先ほどの全力に比べれば明らかに規模は小さいものの、それでも直撃すればディケイドと言えど敗北は免れないだろう。

「待ってたぜ……そいつをな!」

だが対するディケイド電王はそれに対し不敵な笑みを浮かべブッカーより一枚のカードを取り出した。

――FINAL ATACK RIDE……DE・DE・DE・DEN-O!

その身に刻一刻と迫るミサイル群に対し、今度は一切臆さずディケイド電王はガンモードのブッカーを構える。
その銃口に高まっていく紫のオーラエナジーが臨界点を迎えるのと同時、彼はトリガーを引き絞った。
それにより放たれた紫のエネルギーの塊が実体を持ったミサイル群と接触し周囲に爆炎と轟音を振りまく中、ディケイドはその姿をソードフォームへと戻しながらもう一度カードをドライバーに装填した。

ーーFINAL ATACK RIDE……DE・DE・DE・DEN-O

再度鳴り響いた電子音声が止むより早く、今度はソードモードに変形したブッカーの刃先のみが硝煙を超えマグナギガへと向かっていった。
右から左へ、左から右へ。
確かな手応えと共に剣を振り抜いたディケイド電王は、止めと言わんばかりに思い切りその腕を大きく上に上げた。

「ヤアァァァァ!!!」

そしてそれを振り下ろしきった時、一瞬の沈黙の後、マグナギガは巨大な爆発と共に消滅する。
主を失った哀れな獣の最後を見届けて、ディケイドはーー変身制限故その鎧を霧散させながらーー病院へと踵を返していた。




――お腹と腕が、痛い。
それが、良太郎が今の状況について最もはっきり認識していることだった。
何故自分がこうして地に伏しているのかも、今の自分が熱いと感じているのか寒いと感じているのかも、全て曖昧に感じられたからだ。

ただもう一つだけ何か良太郎に分かっていることがあるとするならば。
それは、今話さなくてはもう彼らと話す機会は失われてしまうだろうということだけだった。

(……ごめんね、ウラタロス、キンタロス。
僕のせいで、こんなことになっちゃって……君たちまで)

(まぁ、まだやりたいこと全部なくなったわけじゃないけどさ。
良太郎の運からすれば、そこらへんの石に躓いて死んじゃう、なんて死に方じゃない分、マシだと思っておくか)

(ウラタロス……)

(お前が謝ることあらへんで、良太郎。
俺の命はお前に拾われたあん時、ほんまは終わってたもんや。
お前と一緒に戦えたその時間の分だけ、俺にとっちゃ出来すぎた幸運だったんや、未練なんて何もないで)

(キンタロス……。
二人とも、ありがとう)

脳内で二人のイマジンへ謝罪を述べるが、それを受けた彼らは恨み節の一つもなく自分と運命を共にする覚悟を決めていた。
だから、良太郎はもう謝らない。
そんな時間の分だけ今まで一緒に戦い笑い合ってきた時間を感謝する方が、今の自分には大事だったから。

「――りしろ!おい、良太郎、しっかりしろ!」

不意に、自分に向かって大声で叫ぶ男を視認して、良太郎は脳内での会話から浮上した。
微妙に焦点の合わない虚ろな目で何とか見上げれば、そこにいたのは自身を守り先ほどは自分が守った士だった。
彼に対しても、色々と言いたいことがある。

勿論恨み節などではない。
感謝と、そしてこれからの彼に対する激励の言葉だ。
だが、それを満足に伝えるだけの力は、既に彼には残されていなかった。

だからせめて……自分に限りない力をくれたこれを、彼に託そう。
それを彼がどう判断するかは、自分には分からないけれど。

「士……これ……」

「お前、これは……」

「君に、持ってて欲しいんだ。
僕の大事な思い出……だから」

良太郎が未だに怪我のない左腕で震えながら懐から取り出したのは、先ほど士が彼に譲渡した懐中時計であった。
キングはバイオグリーザを用いて彼のデイパックを奪いこそしたが、彼がこうして片身離さず持っていたそれについては、別段奪うこともしなかったのだ。
良太郎の腕から両手でしっかりとそれを受け取った士は、その裏に書かれている文字盤を見る。

『過去が希望をくれる』

先ほどまでは単純な格言として受け流せていたはずのそれを見て、何か込み上げてくる思いが溢れるのは、何故だろう。
思わず言葉につまる士に対し、良太郎はゆっくりと口を開いた。

「忘れないで、士。例えどんな過去でも、必要だったって分かる日が来るはずだから……。
だから……だから……」

「……良太郎?」

士の呼びかけに、良太郎は答えない。
いやそれどころかもう二度と、彼が目を開くことはなかった。

「なんでだ……どうしてこうなるーー!」

悲痛な士の叫びは、しかし誰にも届きはしない。
思い切り拳を叩きつけ全てを破壊し尽くしたい衝動がこの胸を襲うが、しかしその振り上げた拳はすぐに止まった。
その手に握られた懐中時計を、彼に壊すことは出来なかったから。

やり場のない怒りをただ悶々と抱えた彼にはしかし、もう選択肢は残されていなかった。




――EXCEED CHARGE

ファイズに比べ幾分かくぐもった電子音声と共に、先ほどまで自分たちを捕食しようとしていたカニのような怪人に三角錐のポインターが放たれる。
それに向け突如現れた村上の変身したカイザが足を揃え飛び込めば、理性を失った獣は一瞬にしてその形を保つことが出来なくなり崩壊した。

「すまない、村上……助かった」

「いえ、別に構いませんよ、私にはまだファイズのベルトを含め二つ力がある」

言葉とは裏腹に、カイザの変身を解いた村上の顔は穏やかなものではなかった。
全くこんな雑魚を相手に貴重な変身アイテムを一つ無駄に使わされたのかと思うと溜息は止まらない。
だが今は首輪解除班の二人に貸しを作れただけでよしとするべきだと、村上はそれを無理矢理に押さえ込んだ。

「キングは逃げた……か」

「えぇ、全く。
まさかここまで戦力を彼に明け渡す形になるとまでは予想していませんでしたがね……」

村上は、橘を見下しつつあからさまな皮肉を吐く。
グレイブ、ナイト、オルタナティブ・ゼロ……志村を倒し手に入れた全ての戦利品に加えて、良太郎の持っていたデイパック、そして彼の命までも奪われた。
サソードはそのままキングを資格者に選ぶか不明ではあるものの、ありとあらゆる世界、参加者の事情に精通している上に口のうまい彼をこうして無傷で放流してしまったのは、あまりにも危険だった。

それを分かった上で……今この場でなさなければいけない会話は他に山ほどあると分かった上で、橘はもう自身の抱いたやりきれなさを抑えきることが出来なかった。

「まるで、自分には非がないような言い方だな、村上。
元はといえばお前が門矢をあんな状況で攻撃しなければこんな事には……!」

「……本当にそうですか?」

だが、そんな橘の怒りに対しても、村上は極めて冷静に返す。
それに対し思わず掴みかかろうとしかけた橘をしかし、村上はゆっくりと上げた手で制止を呼びかけ窘める。

「門矢さんが決して盤石の信頼をおけるような存在でないことは、キングと名乗った青年の話を聞いて貴方も懸念していたはず。
それにあなた方がキチンとキングに対処出来ていれば、野上さんも含めた三人で彼に対処出来たはず。
その責任までも私に押しつけようというのは、あまり賢い行動とは言えませんね」

「それはーーッ!」

一切の動揺を見せず放たれたその言葉に、橘は二の句を継げない。
あの時、冷静に士については保留し、良太郎も含め三人でキングと戦っていれば、もしかしたら別の結果もあり得たかもしれない。
そんなことを思うが、全てはもう、終わったことだった。

「――む?」

「どうした、何かーー」

ふと、村上が呟く。
それに対し疑問を投げかけるより早く走り出した彼に一瞬の躊躇の後橘も追随する。
彼が向かった先は病院の外、先ほど支給品を集めたGトレーラーとそして……。

「トライチェイサーが……ない」

横に並んで止めておいたはずのトライチェイサー2000が、消えていた。
一瞬、キングの犯行かと疑った橘に対し、村上はすぐそこに落ちていた紙を拾い上げる。

「見てください。
『首輪を取り返すためにキングを追う。バイクは借りておく』……だそうですよ。
門矢さんも、随分と勝手な真似をしてくれる」

苛立ちと共にそう吐き捨てた村上の顔は、怒りに燃えている。
だがそれに対し言い返し士を擁護するだけの精神的余裕は、既に橘からも消えてしまっていた。


【二日目 黎明】
【E-5 病院跡地】

【橘朔也@仮面ライダー剣】
【時間軸】第42話終了後
【状態】ダメージ(大)、疲労(大)、精神疲労(大)、仮面ライダーギャレンに1時間50分変身不可、仲間の死に対しての罪悪感、自分の不甲斐なさへの怒り、クウガとダグバ及びに大ショッカーに対する恐怖(緩和)、仲間である仮面ライダーへの信頼、士への拭いきれない不信感
【装備】ギャレンバックル@仮面ライダー剣、ラウズカード(ダイヤA~6、9、J、K、クラブJ~K、アルビノジョーカー)@仮面ライダー剣、ラウズアブゾーバー@仮面ライダー剣、ザビーブレス@仮面ライダーカブト
【道具】支給品一式×4、ディスクアニマル(アカネタカ)@仮面ライダー響鬼、変身音叉・音角@仮面ライダー響鬼、栗原家族の写真@仮面ライダー剣
【思考・状況】
0:仮面ライダーとして、人々を護る。
1:門矢……お前はどうして……。
2:乾に託された夢を果たす。
3:首輪の種類は一体幾つあるんだ……。
4:信頼できる仲間と共にみんなを守る。
5:小野寺が心配。
6:キング(@仮面ライダー剣)、(殺し合いに乗っていたら)相川始は自分が封印する。
7:出来るなら、始を信じたい。
8:剣崎……許してくれ……。
9:首輪の解体も進めていきたい。
【備考】
※『Wの世界万能説』が誤解であると気づきました。
※参戦時期のズレに気づきました。
※ザビーゼクターに認められました。
※首輪には種類が存在することを知りました。




【フィリップ@仮面ライダーW】
【時間軸】原作第44話及び劇場版(A to Z)以降
【状態】ダメージ(大)、疲労(大)、仮面ライダーグレイブに1時間50分変身不可、照井、亜樹子、病院組の仲間達の死による悲しみ
【装備】ガイアドライバー@仮面ライダーW、ファングメモリ@仮面ライダーW、ロストドライバー+(T2サイクロン+T2エターナル)@仮面ライダーW
【道具】支給品一式×2、ダブルドライバー+ガイアメモリ(サイクロン+ヒート+ルナ)@仮面ライダーW、メモリガジェットセット(バットショット+バットメモリ、スパイダーショック+スパイダーメモリ@仮面ライダーW)、ツッコミ用のスリッパ@仮面ライダーW、エクストリームメモリ@仮面ライダーW、首輪の考案について纏めたファイル、工具箱@現実 、首輪解析機@オリジナル 、霧彦のスカーフ@仮面ライダーW、イービルテイル@仮面ライダーW
【思考・状況】
0:(気絶中)
1:大ショッカーは信用しない。
2:巧に託された夢を果たす。
3:友好的な人物と出会い、情報を集めたい。
4:首輪の解除は、状況が落ち着いてもっと情報と人数が揃ってから取りかかる。
5:首輪をそろそろ分解してみるか。
【備考】
※バットショットにアルビノジョーカーの鮮明な画像を保存しています。
※鳴海亜樹子と惹かれ合っているタブーメモリに変身を拒否されました。
※T2サイクロンと惹かれあっています。ドーパントに変身しても毒素の影響はありません。
※病院にあった首輪解析機をエクストリームメモリのガイアスペース内に収納しています。




【村上峡児@仮面ライダー555】
【時間軸】不明 少なくとも死亡前
【状態】ダメージ(小)、疲労(中)、仮面ライダーオーガに1時間50分変身不可、仮面ライダーカイザに1時間55分変身不可
【装備】オーガギア@劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト、ファイズギア(ドライバー+ポインター+ショット+エッジ+アクセル)@仮面ライダー555、カイザギア(ドライバー+ブレイガン+ショット+ポインター)@仮面ライダー555
【道具】支給品一式
【思考・状況】
基本行動方針:殺し合いには乗らないが、不要なものは殺す。
1:門矢さん……貴方は……。
2:乾さん、あなたの思いは無駄にはしませんよ……。
3:首輪の解除に関してフィリップたちが明らかな遅延行為を見せた場合は容赦しない。
4:デルタギアを手に入れ王を守る三本のベルトを揃えてみるのも悪くない。
5:次にキング@仮面ライダー剣と出会った時は倒す。
【備考】
※変身制限について把握しました。
※冴子から、ガイアメモリと『Wの世界』の人物に関する情報を得ました。
※ただし、ガイアメモリの毒性に関しては伏せられており、ミュージアムは『人類の繁栄のために動く組織』と嘘を流されていましたが、フィリップからの情報で誤解に気付きました。
※オーガギアは、村上にとっても満足の行く性能でした。
※今後この場で使えない、と判断した人材であっても殺害をするかどうかは不明です。




友が愛用するバイク……と同型のそれを駆りながら、士はただひたすらに西を目指しアクセルを振り絞っていた。
こんな殺し合いの為だけに作られた中身のない世界でもこうしてバイクに乗って風を肩で切る感覚だけは普段と変わらないのは、何という皮肉だろう。
だがそんな些細なことにさえ苛つき火照ってしまう今の身体を冷ますには、この深夜のドライブは相応しいようにも、士には感じられた。

「むむぅ~、プハッ、やっと出られたわ~」

「……キバーラか」

取り留めもない思考を続けながら無心でバイクを駆っていた士の耳に、突如として甲高い女の声が響く。
だがそれが自身のデイパックから出てきた蝙蝠もどきの声であることは、最早確認しなくても分かることだった。

「士、あんた分かってるんでしょうね?
幾らキングを倒す為なんて言っても、あんな置き手紙だけでバイクまで取っていったら彼らの心象がよくないって事くらい」

「……あぁ」

キバーラの言葉を聞いて、士は思わず溜息をついた。
こいつは、昔からこんな説教臭い言い回しをする奴だっただろうか。
どことなく、彼女を使い変身していた自分の旅の仲間による影響を感じて、士は人知れず歯がみした。

「それに、キングが行った先にあてはあるわけ?
当てずっぽうに走るだけじゃ、時間を無駄にするだけよ?」

「あぁ、あるさ。あいつは見ての通り他人を扇動してそいつらが争う様を見るのが大好きなクソ野郎だ。
なら人が多く集まってる場所に優先的に行くはず。西側の病院に向かう可能性は、決して低くない」

士の考えは、単純だった。
キングの狙いが誰かへの不信を煽りそれで同士討ちをさせるものだというなら、人は多い方がいい。
今回も跡地とは言え病院に来たのだから、次もまたそちらに向かう可能性は低くなかった。

とは言え彼には首輪は関係ない。
禁止エリアであるE-4を通り抜けD-3,D-4にかかる橋を抜けられる分だけ、G-2,G-3にかかる橋を抜けなければならない自分とで優位の差はあるが。
……本当は橋を渡る必要すらなく主催陣営の特権として持ち込んだアイテムによって瞬時に移動することが出来るのだが、それはともかく。

少なくとも急がなければまたキングの魔の手にかかる参加者が増えてしまうと、士は考えていた。

「……ねぇ、士。あなたがなんで、仲間に何も言わずこうして飛び出してきたのか、当ててあげましょうか」

だがキバーラは、努めて穏やかに、士を責める気など一切持っていないという様子で話しかける。
正直なところ煩わしいとすら感じるが、今そんなことを言っても彼女は引き下がらないだろうことも、士には分かっていた。

「勿論、キングを追うのに一刻の猶予もないから、なんて理由じゃない。
それにあなたが仲間だと思った皆が破壊者としての貴方に牙を剥くことでもない。
だって、その位もう貴方は慣れちゃったものね」

「……お前の話はいつも回り道が多すぎる。
さっさと結論を言え」

士の苛立ったような口調に、キバーラは一瞬言葉を詰まらせ……しかし、再び口を開いた。

「――自分がいるせいで、周りの誰かが不幸になる気がするから……、でしょう?」

「……」

士は、何も言わなかった。
間違いだとも、合っているとも、怒りをぶつけることも、開き直ることも。
しかしそれさえ予想通りだと言わんばかりに、キバーラはそのまま言葉を紡ぐ。

「先の病院での戦いも、キングの来訪も、自分が呼んだものだった、自分がいなければあそこまでややこしいことにはならなかった。
だから、貴方は怖いんでしょう。これ以上自分が誰かと一緒にいることで、その人が巻き添えになるのが」

「……」

士は相も変わらず運転に集中しキバーラに口を利くことはなかったが……それなりに長い間共に旅をしてきたキバーラには、分かる。
これは士が、本当に痛いところを突かれた時特有の沈黙なのだと。

「それに一真、ヒビキ、雄介、巧、そして良太郎……貴方に9つの仮面ライダーの力を託した男達が、その後すぐに、まるでそれで全ての使命を終えたかのように死んでいく。
だから貴方は村上の言葉に本気で言い返せなかった。
……自分が力を取り戻す代わりに五代雄介が死んだっていうのは、ある意味正しいと思ってーー」

「……話は終わりか?ならさっさとまたデイパックに戻ってろ。
これ以上話すならデコピンするぞ」

ヘルメット越しでも分かる、あからさまに嫌な表情で、士は言う。
それに従いデイパックへと渋々戻りながら、しかし最後に彼女は一つだけ言わなくてはいけないことを思い出した。

「ねぇ、士?確かにこの場での9つの世界を代表する仮面ライダーが貴方と出会ってから死んだ数が多いのは否定できないかもしれないわ。
でもね、天道総司……仮面ライダーカブトは貴方と会う前に死んでるの。だから貴方が責任を感じる必要はーー」

「……よっぽど俺のデコピンが食らいたいらしいな」

そう言って片手だけ離しグググと力を込めた士の指を見て、ヒッ、と演技めいた声をあげてキバーラはすぐさまデイパックへと舞い戻った。
それを受け再度両手でハンドルを握りながら……しかし士は今のキバーラの言葉を再度反芻していた。

(天道総司、仮面ライダーカブトは死んだ、か。
だが、果たして本当にそうか……?)

巧の遺言を、思い出す。
黒いカブトに変身する男に、天道の夢を伝えてくれという彼の言葉。
もしそれが一真を喪ったあの時に戦った彼なのだとすれば、一体どういう風の吹き回しなのだろう。

巧が騙されていた、という可能性も拭いきれないが……見た目が同じで事情をよく把握しているはずの天道本人と出会ってもなお彼に騙されているというのは些か考えにくい。
であれば、或いは天道、そして巧が信じるに値すると感じるほどに、あの黒いカブトは改心していてーー。

(――やめた。直接会って確かめないことには、どれだけ考えても仕方ない)

そこで、答えの出ない問いについて考えるのをやめた。
今自分にとって大事なのは、その天道に擬態したワームとやらが改心しているのかどうか、カブトを継いでいるのかどうかなどということではない。
彼が自分の預かった天道、そして巧からの夢を託すに相応しい存在なのか、どうかというだけなのだから。

剣崎を殺した落とし前についてはその確認が済んでからでいいと、士はそこで思考をやめた。

(――それにしてもホント、あんたは分かりにくいようで分かりやすいわよね、士)

デイパックの中、元々夜型故一切眠気を感じぬままにぼんやりと思考を繰り広げるのはキバーラだ。
狭くて暗いこのデイパックの中は、この長い夜を過ごすには少々退屈である。
だから彼女にはただひたすらに、取り留めのない考えを浮かべ続ける以外に、することがなかった。

(仲間が自分のせいで死ぬかもしれないから仲間から離れて自分だけで物事完結しようとするなんて、ホント不器用なんだから)

そして思考にずっと浮かび続けるのは、このバイクの運転手、門矢士のことだ。
彼は元々傲慢なようでその実ナイーブな一面があるのを、キバーラは知っている。
夏美が死んだと聞いたときも、海東の変わり果てた死体を見たときも、そして五代をその手にかけた時も。

全ての時に彼が自棄になりかけ、そしてその度何とかして立ち上がってきたのを、彼女は誰よりも近くで見ていたのだ。
自分を破壊者だと自嘲するくせに、そうなりたくないという気持ちが人一倍強い彼を、どこか危なっかしく、そして支えられたらと思う自分を、自覚しながら。

(ホント、あんたも男の趣味が悪いわね夏美。
まぁ、私も……あんまり人のこと言えないかもしれないけどね)

そこまで思考を繰り広げて、彼女はもうそれ以上思考を続けているのも気怠くなって目を閉じた。
新しくデイパックに加わった、懐中時計の刻む確かな時を感じながら。


【二日目 黎明】
【F-4 道路】

【門矢士@仮面ライダーディケイド】
【時間軸】MOVIE大戦終了後
【状態】ダメージ(中)、疲労(中)、決意、仮面ライダーディケイドに1時間45分変身不可
【装備】ディケイドライバー@仮面ライダーディケイド、ライダーカード一式@仮面ライダーディケイド、ディエンドライバー+ライダーカード(G3、王蛇、サイガ、歌舞鬼、コーカサス)+ディエンド用ケータッチ@仮面ライダーディケイド、トライチェイサー2000@仮面ライダークウガ
【道具】支給品一式×2、ケータッチ@仮面ライダーディケイド、キバーラ@仮面ライダーディケイド、 桜井の懐中時計@仮面ライダー電王 首輪探知機@オリジナル
【思考・状況】
基本行動方針:大ショッカーは、俺が潰す!
0:どんな状況だろうと、自分の信じる仮面ライダーとして戦う。
1:キングを探すため、西側の病院を目指す。
2:巧に託された夢を果たす。
3:友好的な仮面ライダーと協力する。
4:ユウスケを見つけたらとっちめる。
5:ダグバへの強い関心。
6:音也への借りがあるので、紅渡を元に戻す。
7:仲間との合流。
8:涼、ヒビキへの感謝。
9:黒いカブトに天道の夢を伝えるかどうかは……?
【備考】
※現在、ライダーカードはディケイド、クウガ、ファイズ、ブレイド、響鬼、電王の力を使う事が出来ます。
※該当するライダーと出会い、互いに信頼を得ればカードは力を取り戻します。
※参戦時期のズレに気づきました。
※仮面ライダーキバーラへの変身は光夏海以外には出来ないようです。
※巧の遺した黒いカブトという存在に剣崎を殺した相手を同一と考えているかどうかは後続の書き手さんにお任せします。




「あーあ、今回は本当に楽しかったなぁ。
電王……口先だけの正義の味方だって殺せたし」

ゾーンの力によるワープを終えて、その姿を人の身に戻しながらキングは笑う。
自分の口で誰かを焚き付けその隙をついて弱いのに粋がっている正義の味方気取りを殺す。
自分がこの殺し合いでやりたかったプレイングそのもの通りに事を運べたといっても、過言ではないだろう。

「それに、こんなに玩具がたくさん手に入ったしね」

言って、彼はその手に持ったデイパックを一瞥する。
ゼクターが現れないところを見るとどうやらサソードの資格は認められなかったらしいが、まぁ別にいいだろう。
ナイトやオルタナティブのデッキだけでも、十二分に面白いことは出来るはずだ。

唯一難点を上げるとすれば、放送から大分経ってしまった今、もう自分が把握している場所にずっといる参加者は少なくなってしまったことくらいだろうか。
しかしまぁ、問題はない。
彼の脳裏にはまだたくさん、遊びたい相手とそのプランが明確に思い浮かんでいるのだから。

「それじゃあ……さぁて、これからどうしようかな?」

そしてキングは、視界の先に映る白亜の建物を見て、一際邪悪な笑みを浮かべた。

【二日目 黎明】
【D-1 市街地】

【キング@仮面ライダー剣】
【時間軸】本編34話終了より後
【状態】疲労(小)、ダメージ(小)、ゾーンメモリの能力1時間50分使用不可
【装備】破壊剣オールオーバー@仮面ライダー剣、ベルデのデッキ@仮面ライダー龍騎、T2ゾーンメモリ@仮面ライダーW、ナイトのデッキ+サバイブ(疾風)@仮面ライダー龍騎、グレイブバックル@仮面ライダー剣、オルタナティブ・ゼロのデッキ@仮面ライダー龍騎、
【道具】デンオウベルト&ライダーパス@仮面ライダー電王、サソードヤイバー@仮面ライダーカブトカッシスワーム・クリペウスとの対決用の持ち込み支給品@不明、五代、海東の首輪
【思考・状況】
基本行動方針:面白おかしくバトルロワイアルを楽しみ、世界を壊す。
0:さて……次は誰と遊ぼうかな……?
1:このデスゲームを楽しんだ末、全ての世界をメチャクチャにする。
2:カッシスワームの復活を警戒……まぁホントに復活してたら会ったとき倒せばいいや。
【備考】
※参加者ではないため、首輪はしていません。そのため制限が架されておらず、基本的には封印されない限り活動可能です。
※カッシスワームが復活した場合に備え、彼との対決も想定していたようですが、詳細は後続の書き手さんにお任せします。
※ソリッドシールドが破壊されました。再生できるかは後続の書き手さんにお任せします。
※T2ゾーンメモリは会場内どこでも飛べますが、マキシマムドライブでの使用などの場合も含め2時間に一度しか能力を使用できません。
※この会場内の情報は第二回放送とその直後までのものしか知りません。彼の性格上面白くなりそうなこと優先で細かいことを覚えていない可能性もあります。
※名護、一条ペアが彼のいる場所を“これから通る”のか“もう通った”のかは後続の書き手さんにお任せします。


【全体備考】
首輪についての内部構造について理解を深めました。
以下はその内容の羅列です。

  • 爆薬は魔石ゲブロン@仮面ライダークウガを用いている。
  • それにより爆発が対処しきれない分はライフエナジー@仮面ライダーキバで補っている。
  • なお、ライフエナジーを原動力に利用している関係上、首輪装着者が死亡した後は首輪は爆発しない。

【野上良太郎@仮面ライダー電王 死亡確認】
【残り18人】




126:ステージ・オブ・キング(2) 時系列順 128:忘られぬmelody!
投下順 127:What a wonderful worms
門矢士 130:居場所~place~
村上峡児 131:飛び込んでく嵐の中(1)
野上良太郎 GAME OVER
橘朔也 131:飛び込んでく嵐の中(1)
フィリップ
キング 129:レクイエムD.C.僕がまだ知らない僕(1)



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最終更新:2018年10月05日 00:25