蘇るM/信頼◆v8zfG6NkJs



D―8エリア。
この殺し合いの場に設けられた一つの建物であり、園崎若菜らの家、園崎鄭。
ここでは五人の戦士が身を休めていた。
そしてその中の一人であるフィリップは部屋の中央でこの場に連れてこられるまでの事を思い出していた。

△▽

『左翔太郎はもう使い物にならない、これからはあなたたち二人でWになりなさい』


オールドドーパントとの戦いで老人と化してしまった翔太郎を戦力外とし彼女、シュラウドは僕たち二人にそう言い放った。


『あなた、まだそんなことを…』


怒りのような、呆れたような感情で自分は言う。


『フィリップのパートナーは左以外有り得ない』


照井竜がそう続ける。


『それでは究極のWになれない』


その瞬間僕は自分の耳を疑った。


『究極のW?』


思わずそう聞き返す。


『サイクロンアクセルエクストリーム、そのパワーの源は強い憎しみ』


そう告げて彼女は立ち去った。
だが自分たちも憎しみの力が必要となる究極のWになる気は起きず…。


『見ておけシュラウド、俺はWではなく、仮面ライダー…アクセルだ!』


――トライアル!マキシマムドライブ!――

△▽

そうしてメモリは破壊され、翔太郎も元の姿に戻ることができた。
今も翔太郎以外の人間とWになる気は毛頭ないが、こんな戦場だ、もしかしたらということもありうる。

(いや、翔太郎も頑張っているはずだ、僕が諦めてどうする)

そうだ、あの時も自分たちは戻れたじゃないかいつもの平和な鳴海探偵事務所に。
しかしあの時、安心し安堵の言葉をもらした瞬間、ここに連れてこられたということである。
自分は何としてもあの事務所に帰らなければならない。
無論そのために人の命を奪うようなことはしない。
大ショッカーを倒し、皆で無事元の世界に帰るのだ。

そう強い決意を心に抱いた瞬間肩を叩かれた。


「フィリップ君、何か考え事?」

五代さんだ、その顔にあふれる笑顔は先程まであんなに激しい戦いをしていた者の物とは思えないほど輝いていた。

「えぇ、まぁ、それより五代さんの怪我の方は大丈夫なんですか?」
「うん、1,2時間寝たからね、もうぴんっぴんだよ」

陽気な動作を交えながら五代さんが言う。
だがフィリップは知っていた、あの戦いの傷が1,2時間休んだ程度で治らないことを。
そしてフィリップは知らなかった、五代雄介という人間の体内にはアマダムという古代のアイテムが埋めこまれていて、常人をはるかに超える回復力を誇ることを。
そんな時、他の部屋に何かないかと探しに行っていた海東さんと草加さんが帰ってきた。

「お疲れ様です、何か使えそうなものありました?」
「いいや、こんな広いお屋敷回って使えそうなものはこれだけさ」

ドンという音とともにテーブルに置かれるのは大きな救急箱。
その大きさからするとかなりいろんなものが入っていそうだ。

「よかった、これであの人治療できますね」

五代の言うあの人とは先程の戦いで倒れていた名も知らぬ青年である。
立ち上がろうとする五代に対し、

「雄介は休んでいて、僕が行ってきます」
「ありがとう、フィリップ君」

そう答え自分が立ちあがった。
『彼』は今自分たちがいる部屋とは違う部屋のベッドで寝かせられている。
そしてキィという音を立てながらドアを開き、中に入った。
そのままベッドに近づき毛布を剥ぐと突然頬を殴られた。

「おい、貴様は何者だ、デッキは…北岡はどうした」

起きていたのか、そう思う暇もなく彼は疑問をぶつけてきた。
デッキというものが何なのかはよく分からなかったが北岡というのは一緒にいた人間のことだろう。
それならば知っている、最も最悪の結果としてだが。
同伴者の死を聞いて彼がどんな反応を示すかは分からない、しかし言わなかったところで何か事が前進するわけでもない。

「デッキ…っていうのが何なのか分からないけど北岡は人物名だよね、だったら知ってるよ」
「…死んだか」
「彼は死…え?」



「まぁ、どっちが死んでも可笑しくなかったしな、それよりデッキはどうした」

そう淡々と答えるその男にフィリップは思わず身構える。
同伴者が死んだと知らされたのにここまで冷静にいられるというのは一種危ない人なのかとも思ってしまう。
しかしその時騒ぎを聞きつけてきたであろう草加さんがそこに立っていた。

「デッキっていうのはこれのことかなぁ?」

そう言う彼の手の内に収められているのは恐らく数枚のカードが入ったカードデッキ。

「それだ、早く返せ」
「駄目だ、君が信用に足る人物だと分かるまではこれは返せない、それとも俺たちと戦うかい?」

そう言いながら草加は挑戦的な眼差しで『彼』、秋山蓮を見ていた。
秋山からしても確かに自分がその立場ならそうしただろう。
デッキがない今、秋山はほぼ無力な人間だ。
無理に急いで返り討ちにあうのは目に見えていた。
故に彼がとった行動は。

「無理に戦う気はない」

状況は不利の為、戦う気は起きなかった。
しかし、全く持って戦う気がないわけはない、何としても自分の世界を優勝に導くため、今は演技を続ける。
隙を見出し、デッキを取り返せば、自分にも勝機がある。
そのためにも今は我慢だ。
この考えが今自分のデッキを持っている草加雅人と同じものとは彼はまだ知らない。

「そう、それはよかった、それより君の名前は何なのか聞いてもいいかな?」
「秋山…蓮」
「そうですか、それじゃ秋山さん向こうに僕の仲間がいるのでそちらに移動しましょうか」

言いながらフィリップはドアを開き移動した。
その背中を見ながら草加はデイパックの中の自分の支給品を確認する。
カイザドライバーについているのはブレイガンとカイザショット、中にカイザの武器の一つであるカイザポインターが入っていなかったが恐らく大ショッカーが仕組んだのだろうと考え別段気にしていない。
だが今はそれを特筆するべきではない。
彼が気にしているのはカイザドライバーとは違う白いドライバー。
白、といっても彼の知っているデルタドライバーではない。

(これは何だ?スマートブレイン製のベルトは三つしかなかったんじゃ?)

彼の知らない『555の世界』で彼、草加雅人を葬ったサイガのベルト、それが彼に支給されたものだった。
しかし、そんなことこの草加雅人は知らない。
だが、己の力になるならば細かいことは考えずその力を利用させてもらうだけ、『555の世界』を、真理を救うために。

(待っていてくれ真理、今に君を救うから)

歪んだ考えのまま、草加雅人は行く。
他世界の人間を殺すための演技を続けるために。



「やぁこんにちは秋山君、歓迎するよ」

そう言い、大袈裟な動作で新しい仲間である彼、秋山蓮を迎え入れながら海東は思考していた。
先程の戦いのときに感じた一種の違和感。
この屋敷に来てから自分の持っているカードを確かめていると、なんとカメンライドのカードがディエンドの物しかなかったのだ。
それにアタックライドのカードもイリュージョン、インビジブルの物がなく明らかに不足していた。
さっきの戦いを見ても分かる通りカメンライド、及びインビジブルのカードがなければ彼、仮面ライダーディエンドの能力はほとんど失われたと考えていい。

(まぁでもここに来て少し取り戻せたからよしとするか)

そう、先程秋山をベッドに運ぶ際一瞬彼を触る機会があった。
その瞬間彼は磨き抜かれた盗みのテクニックで誰にも気付かれることなく秋山のデイパックから数枚のカードを抜きとった。
しかし安心してほしい、彼が盗んだのは元々自分の物であるライダーカードである。

(どうやら、キバの世界のライダーのカードセットみたいだね)

そう、彼が取り戻したのはキバの世界のライダー達の力が込められたカードだったのだ。
サガ、イクサ、レイの3枚。
これだけあれば次の戦闘時には手数には困らないだろう。
そんなことを考えつつ支給品を頂戴したことも知らせずに笑顔で秋山を迎える世界の大泥棒、海東大樹の姿がそこにあった。


「それじゃ、秋山さんも起きたことですし、この屋敷から離れましょうか」

フィリップは少し暗くなり始めた空を見ながらそう言った。
確かにここにいれば雨や寒さを凌げるがそこを敵に襲われれば外よりも対応が鈍くなる。
しかし、そんな時だった。

「ごめんね、どうもこのお屋敷は怪しい気がするんだ、僕はまだここで探検ごっこでもさせてもらおうかな」

そう言いながら部屋を出ていく海東さんの言葉にフィリップは何かを感じた。
言い知れない感覚、もしかしたら海東さんの言う怪しい気というのがもし園崎来人に関することであるならば、そう思った瞬間彼は海東を追いかけていた。
人が自分以外に二人という状況は草加にとってうってつけの状況だったが、五代雄介という人間の力の大きさからして、真正面から当たっても敗北するのが落ちだろう。
それならば先程の戦い以上の激しい戦いで傷ついた時まで待って、その時に殺せばいい、そう考え、草加は思考をやめた。
そして部屋には五代と草加と秋山だけが残り部屋には沈黙が続いた。

【1日目 夕方】
【D―8 園崎邸】

【五代雄介@仮面ライダークウガ】
【時間軸】第46話終了後
【状態】健康
【装備】アマダム@仮面ライダークウガ
【道具】支給品一式、不明支給品1~3
【思考・状況】
0:フィリップ君たちを待つ。
1:人々の笑顔を守る。
2:みんなと共に行動する。
3:一条さんと合流したい。
4:仮面ライダーとは何だろう?
【備考】
※支給品はまだ確認していません


【草加雅人@仮面ライダー555】
【時間軸】原作中盤以降
【状態】健康、
【装備】カイザドライバー@仮面ライダー555、カイザブレイガン@仮面ライダー555、カイザショット@仮面ライダー555、サイガドライバー@劇場版 仮面ライダー555パラダイスロスト、ナイトのデッキ@仮面ライダー龍騎
【道具】支給品一式、首輪(北岡)、不明支給品1
【思考・状況】
1:真理の居る世界を守る為に、555の世界を優勝させる。
2:勝ち残る為にも今は演技を続けるが、隙があれば異世界の参加者は殺す。
3:真理を殺した奴を見付け出し、この手で殺す。
4:出来る限り、戦いは他の奴に任せる。
5:蓮を警戒。
【備考】
※オルフェノクの記号が強いため、カイザ及びサイガに変身できるようです。

【秋山蓮@仮面ライダー龍騎】
【時間軸】第34話終了後
【状態】疲労(中)、ダメージ(中)
【装備】無し
【道具】支給品一式
【思考・状況】
1:デッキを返してもらうため今は演技をする。
2:自分の世界のために他世界の人間を倒す。
3:協力できるなら、同じ世界の人間と協力したい。
4:同じ世界の人間を捜す(城戸優先)。浅倉とは会いたくない。
5:協力者と決着をつけるのは元の世界に帰ってから。
【備考】
※ サバイブのカードは没収されています(蓮は気づいていない)。


「ここだ、やっぱりこの屋敷、危ない感じがするね」

隠し扉を開け、エレベーターが自分たちの前に姿を現す。
正直言って恐ろしかったが、ここまで来て後戻りはできないと覚悟を決め、エレベーターに乗り込む。
一つしかないボタンを押し、エレベータはそのまま地下に止まった。
そこには、暗い洞窟が広がっていた。
そして、その洞窟の中央にある緑色の井戸のようなものを見た瞬間、フィリップの脳裏に一つのビジョンが蘇ってきた。

――12年前、幼い自分が足を滑らせあの井戸に落ち死んだこと――
――その後自分は地球に選ばれ生き返ったこと――
――そして園崎来人としての全ての記憶――

「僕は、僕は死んでたんだ…」

それらすべてを思い出した時、彼は両膝を地面に落とし、泣き続けた。
海東はそれをずっと見つめていた。
彼が泣きやむまでずっと。
しかし、自分の驚くべき真実を知ってしまったフィリップが立ち直るのは、また別の話。

【海東大樹@仮面ライダーディケイド】
【時間軸】最終話終了後
【状態】疲労(中)、ダメージ(中)
【装備】ディエンドライバー@仮面ライダーディケイド、カメンライドカードセット(キバ)@仮面ライダーディケイド
【道具】支給品一式、不明支給品1~3(確認済み)
【思考・状況】
0:お宝を守る。
1:殺し合いに乗った奴の邪魔をする。
2:五代雄介、草加雅人、フィリップ、秋山蓮と共に行動
3:五代雄介の知り合いと合流
4:知らない世界はまだあるようだ
5:蓮を警戒
【備考】
※クウガの世界が別にあることを知りました。
※カメンライドカードセットの中身はカメンライドレイ、イクサ、サガ(全てディエンド用)です。

【フィリップ@仮面ライダーW】
【時間軸】本編第44話終了後
【状態】健康 、深い悲しみ
【装備】無し
【道具】支給品一式、ファングメモリ@仮面ライダーW、バットショット@仮面ライダーW、ダブルドライバー+ガイアメモリ(サイクロン)@仮面ライダーW
【思考・状況】
1:僕は死んでたんだ…。
2:翔太郎以外とWになることは考えたくない。
3:大ショッカーは信用しない。
4:出来ればここに居る皆と情報を交換したい。
5:草加雅人は完全に信用しない方が良い。
6:真理を殺したのは白い化け物。
【備考】
※支給品の最後の一つはダブルドライバーでした。
※バットショットにアルビノジョーカーの鮮明な画像を保存しています。

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最終更新:2018年06月14日 01:08