武田の歌姫調査

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「もし幸っせー近くにあーてもー♪」 技術の進歩はめざましい。画面の向こうと繋がっているかのようなこの音質。 酷いな。 技量もだが、まるで歌詞を無視した明るい歌い方。 なぜこの曲をこの子に歌わせているのだろう。 まぁ、大体察しは付くのだが。確かに面白い趣向ではある。 「蒼い鳥」……いや、如月千早を知らぬ者は今や殆どいない。 いよいよ、僕の城に招待しなくてはならない頃合だろうな。 いきなり会う前に人柄も確認しておきたいのだが、 彼女はあまり他人を近付けないらしく、欲しい情報が出てこない。 何か方法はないものか。 例えば彼女が気を許していて、彼女の情報を教えてくれそうな存在。 と、そんなに都合良くはいかな…… 「千早さん。私の歌、どうでしたか?」 「ええ、とても可愛…コホン、素敵だったと思うわ、高槻さん」 ……都合良くいくかも知れないな。 「プロデューサー、見ててくれましたか?」 「ああ。やよい、今日は良かったぞ」 「うっうー、ハイターッチ!いぇい!」 「俺はこれから次の打ち合わせだ、先に帰ってるか?」 「うーん、ウチに電話してから決めます」 「そうか」 「メール入れておきますね」 「"お母さんがウチに帰ってるそうです。私は建物の中にいておきます"……送信」 どこで時間を潰そうかな?適当にぶらついてみよう。 「うー、えっと」 やっぱりテレビ局の中って複雑……。道、間違るところだった。 「おや!?おやおや!?」 「はわっ」 「高槻やよいちゃんじゃないですか。おっはようございます」 最近よく見る芸人のEさんだっ! 「お、おはようございまーす!」 「おっと出ました!ガルウィング!撮った?ねぇ撮った?」 がる……?カメラさん苦笑いしてる。 「ところで今暇かな?」 「えっと、今は人を待ってるんです」 「あっらー、今からお仕事?」 「そういう訳でもないんですけど」 「じゃ、ちょっといいかな?」 「うーん……」 「時間はかからないから。ね?」 これってチャンスなのかも?けど……ううう、困りました。 「おや?君は……」 「へっ?私、ですか?」 「あっ、武田蒼一!?」 「仕事中?」 「いえ、何でしょう?」 「なーに、梅こぶ茶のストックがなくなってね。」 「お茶……ですか?なら私、いい所知ってるかも!」 「ほう……?君たち、彼女をお借りしても良いかな?」 「は、はい」 あっ、あっと言う間に行っちゃった。 「あの、私……」 「とりあえず、その辺に座ろうか」 「聞いたことのない店名だ」 「"あなば"らしいです。同じ事務所の子がお茶が趣味で」 「その子の名前は?」 「萩原雪歩さんです」 ……ハズレ、か。 「あっ、そうだ。私、765プロの高槻やよいですっ!」 「知っているよ」 「えっ、ホントですか?ありがとうございます!」 「………」 「………武田、さん?」 「ん?」 「失礼かもですけど、どういうお仕事を?さっきの人たち、驚いてましたけど」 テレビに顔を出し始めたのは最近だし、知らなくとも無理はない、か。 「僕は音楽プロデューサーだ。色々な音楽活動に携わっている」 「よくわからないけど、何だか凄そうですー!」 「よくわからないのに凄いのかい?」 「うちのプロデューサーも凄い人なんですけど、大物って呼ばれたりは……」 「君の事務所で凄いと言えば、まず如月くんじゃないのかい?」 「千早さんですか?」 「あの年齢であの実力、まさに歌姫だ」 「そうですね、いつも歌とか音楽のこと考えてるみたいです」 やはりそうか。 「一人でいる事が多い?」 「前はそんな感じでしたけど…最近は明るくなりました」 「というと?」 「歌ってる時も難しそうな顔が、楽しそうになったって言うか」 「ふむ。確かに近頃彼女の歌は変わった」 「理由は分かりませんけど……私、ホッとしました」 「?」 「もしかしたら歌うの楽しくないのかな、って思ってたから」 「……なるほど」 「やっぱり歌はみんな一緒に楽しまなきゃ損ですよねっ」 「!……そうだね、僕も同意見かな」 「えへへ」 「質問ばかりですまなかったね。これを。僕のメールアドレスだ」 「えっ?」 「君に少し興味が湧いた。今日のお礼もしたいしね」 「あ、でも、プロデューサーに聞いてみなくっちゃ……」 「返事を期待しているよ。じゃあ僕はこれで」 「あ、はい。さよーなら!」 「最後に聞きたい。君は如月くんをどう思う?」 「私は……」 高槻やよい、か……意外な掘り出し物かも知れないな。 「そうですか。高槻さんが、そんな事を……」 「周囲に愛されているようだね」 「……からかってます?」 「そう見抜いてもらえたのは久しぶりだ」 「もう……」 「で、この話、受けてくれるのかい?」 「こんなに光栄なお話、蹴れるはずかありません」 「では……」 「オールド・ホイッスルへの出演依頼、お受けいたします」 完

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