アイマス小噺

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P「っというわけで、君たちのデビューが決まった」 春香「えっ!」 千早「えっ!?」 P「何で聞き返すんだよ?」 俺はにやけてしまう。 P「だから、天海春香さんと如月千早さんのデビューが決まりました」 春香「えっ!」 千早「えっ!?」 P「…ケンカ売ってんのか?」 鼻から笑いがこぼれてしまう。 春香「だ、だって、わたしまだアイドル候補生で、歌も下手ですし、それにリボンですよ!?」 千早「天海さん、動揺し過ぎよ」 如月さんは天海さんを制す。 うんうん、如月さんは大人だな。 千早「わたしも天海さんに同意します。わたしの歌もまだ練習余地が残っていますし、それにまだ胸も成長していません!」 P「とりあえず落ち着こうか二人とも。やっぱり落ち着こうか二人とも」 俺は社長から来た書類を彼女たちに渡す。 P「まぁ、社長からの話で、来月に一組デビューさせなさいっつーことだ。で、」 春香「で?」 P「デビューさせたいアイドル候補生のうち、天海さんと如月さんを俺はプッシュした。で、」 千早「で?」 P「社長がいいよーって言ってくださったので、デビューが決まった」 春香・千早「いやいやいや!」 P「もうシンクロスタートか?」 春香「全然説明になってませんよ!?」 千早「何故わたしたちが!?」 P「う~ん、天海さんは明るくて歌に元気があるからかな。如月さんは、」 貧乳だから! P「言うまでもなく歌が上手いからだよ」 千早「少し考えたのが引っ掛かりますが…」 春香「なぜユニットなんですか?」 P「それは…」 なんとなく。 P「理由はあるが、まだ言えないんだ…」 春香「そんな…」 P「まぁまぁ、後で言うよ」 何か思い付いたら。 P「とりあえず、来月デビューしますので、ユニット名考えといてください。候補が無ければ、こちらで考えた物の中から選んで頂きます。 で、新曲のリリースが再来月頭だから、歌詞と振り付け覚えてくださいね。レコーディングは来月真ん中ぐらいにあります。後、デビューするに当たっての書類がわんさかあるから、とりあえずこれはお家の方に…」 春香「ちょ、ちょっとちょっと、ま、待ってください! 一辺に言われても頭が…」 P「とりあえず書類にサインだけよろしく! ではまた明日! 8時! ここに集合!」 ~待合室~ 千早「な、なんという強引なプロデューサー…」 春香「デビューは嬉しいんだけどね…」 ソファでぐだーっとするわたしたちに、小鳥さんが近付いて来た。 小鳥「あ、お二人さんおめでとうです」 春香「あ、音無さん」 小鳥「小鳥、でいいわよ。デビューするのに浮かない顔ねぇ」 千早「いや、ちょっと…」 春香「プロデューサーさんって、今日初めてお話ししたんですけど、あ、顔は前から知ってたんですけどね、その、どんな感じの人なんですか?」 小鳥「どんな感じの人って…。天海さんは何が聞きたいのかな?」 春香「あ、春香でいいですよ。あはは…」 千早「何か、少しぶっきらぼうのような感じがします」 小鳥「……(それはあなたでは? いやいや、)確かに、プロデューサーさんは適当な人に見えるかも知れないわ。でもね、彼の行動は一つ一つが深い考えに基づいているの。彼のすごい所はそれを微塵も感じさせない所なのよ。如月さんもいつか分かるわ」 千早 「…間が気になりますが、そういうものですか…」 小鳥「えぇ…」 春香「はぁ~、小鳥さんってすごいですねぇ」 小鳥「そう? あ、ありがとう」 千早「あ、千早でいいです!」 小鳥「え?」 千早「その、如月さんとかじゃなくて、千早で…」 小鳥「うん。千早ちゃんっ」 春香「小鳥さん、ありがとうございますー」 小鳥「うん。頑張って~」 小鳥さんを見送ったわたしたちは、また天井を見上げた。 春香「とりあえずユニット名考えなきゃ…」 千早「うん…」 一方プロデューサーは、仕事中にも関わらず、事務室の机でゲームをしていた。 P「(あ~、眠い…。あ! くそっ! 後ろから撃ちやがって! 卑怯だぞ!)」 と、プロデューサーの携帯が振動する。 P「ん? …小鳥さん?」 携帯の画面には、メールが写っていた。 「"今晩何かおごれピヨ(*`Θ´*)!"」 P「ん? …何で?」 ~翌日~ 春香「書類です」 千早「……」 P「あい、ありがとう」 春香「……」 千早「……」 P「ん。確かに頂きました。っていうか何? その目つきは…」 春香「いや…、その…」 千早「プロデューサー、お酒臭いです」 P「あぁー、昨日は小鳥さんと飲んでたもんで…。ごめん」 千早「飲むのは構いませんが、次の日に臭いを残すのは社会人としておかしくはありませんか?」 P「うっ…。おかしいとは思う。でも!」 プロデューサーはいきなり立ち上がった。 春香と千早は怒られるのかと思い、少し体に力が入る。 が、プロデューサーはそのまま出口に行き、ドアを開けた。 ドアの向こうでは、小鳥さんがソファに寝っ転がって、いびきをかいていた。 春香・千早「あ…」 プロデューサーはドアを閉め、またイスに腰掛ける。 P「小鳥さんよりはマシだと思うよ…」 千早・春香「(駄目だこの事務所…)」 P「お酒の臭いはごめんね。滅多にお酒を飲むことはないんだ」 春香「あ、そうなんですか」 P「うん。お酒もタバコも実は嫌いで…、あ、タバコは吸ったことないけどね。麻薬や覚醒剤もしたことないよ」 千早・春香「(誰も聞いてないのに…)」 P「とりあえず小鳥さんと飲みに行くのはやめるよ…」 腰を叩くプロデューサー。 P「あ、ユニット名決めた?」 春香「えっ!?」 千早「昨日の今日ですよ!?」 P「うん。社長に言わなきゃならないのはどうでもいいとして、営業ってか根回ししとかなきゃいけないからねぇ」 春香「根回し…」 P「今日中に決まると有り難いんだけどなぁ」 千早「今日中…」 P「とりあえず俺が考えたのは『だらっ娘2010』って感じかな」 春香「だらっ娘…」 千早「2010…」 春香「それって、来年は2011とかに変わるんですか?」 P「うん。なんなら2009にしてもいいけど」 千早「いや、っというかそのワンクール流したらOKっていうアニメ業界みたいな名前の付け方どうにかならないんですか」 P「如月さん変に詳しいなぁ…。どうかな? それでいい?」 春香「あぁ、」 千早「いいですよ」 P「ほんと!?」 春香「なんて言うわけないじゃないですか!?」 千早「ふざけるのもいい加減にしてください!!」 P「えぇっ!? 何そのコンビネーション!?」 この人、顔とスタイルはなかなかなのに、センス悪過ぎなんじゃなかろうかと、二人は思った。 P「じゃあ、何がいい?」 春香「って言っても、何も考えて来てませんし…。ねぇ如月さん」 千早「……あ、」 P「まぁいいや。また考えよー」 千早「あの、」 春香「そうですね」 千早「あの!」 千早はテーブルを叩く。 P・春香「うぉうっ!?」 千早「あ、ごめんなさい。あの…」 P「何?」 千早「ユニット名の件ですが…」 春香「…?」 千早「あの…、その…、A.I.E.Nってのは…、その、どうでしょうか?」 春香「如月さん…」 P「如月さん…。ごめん、それ何て読むの?」 春香「いやいやいやいやいやいや」 千早「エイエンです! 永遠!」 P「永遠? 何でまた?」 千早「その、」 P「イニシャルとか?」 春香「それだとイサラギ・アハヤとナマミ・エルカになっちゃいますが」 千早「永遠に歌い続けたいからです…」 P「それなら『永遠に歌い続けたい』ってユニット名でいいんじゃないかな?」 春香「いやいやいやいやいやいや」 千早「初めのAは、常に一番で有り続けようって意味で、その…」 P「初めのAは麻美のAじゃないの?」 春香「いやいやいやいやいやいや」 千早「…だ、駄目ですか?」 P「いいんじゃないの?」 春香「いやいやいやいやいやいやって、え?」 P「何でもいいよ。天海さんと如月さんが好きなユニット名なら」 何でもいいよはないだろと、二人は思った。 千早「え、天海さんは…?」 春香「え、わたし?」 春香は、にっと笑った。 春香「いいと思うよ。…いや、それがいいよ! 二人で一番になって、永遠に歌い続けましょう!」 千早「えぇ…!」 P「二人はこの先に降り注ぐ地獄の日々を、まだ知る由は無かった…」 春香「勝手にナレーションしないでください!」 千早「早く営業行ってください!」 P「えっ!? ハブられてる!?」 P「とりあえず、作戦会議だ」 春香・千早「はい」 P「有名になるには、テレビ出演して、CD売り上げを伸ばして、コンサートをやるってのがあるが、ぶっちゃけ地道過ぎて面倒くさい」 春香・千早「ぶっちゃけ過ぎです」 P「で、社長からはアイドルアルティメイトというのはどうかと言われた」 春香「アイドル」 千早「アルティメイト?」 P「あぁ。まぁアイドル決定戦みたいな感じだ。例えるならM-1みたいなもんかな。地区予選で勝って、全国大会に出たら有名になれたも同然だ。敗者復活戦が無いのはM-1とは違うがな」 千早「なら甲子園に例えれば良いのでは…」 春香「何故漫才…」 P「とにかく、それで勝てばいい」 千早・春香「はい!」 P「優勝は無理だから、何としても全国大会には出てくれ。そしたら全国のお茶の間に君たちの漫才が流れるし」 春香「歌っ! 歌ですっ!」 千早「なぜ優勝が無理だと決めつけるんですか?」 P「それはうちの事務所に金がないからだ!」 春香「え?」 千早「は?」 P「金を払えば払うほど優勝するんだ。だが、うちは金が無いからな…」 春香「いやいやいや」 千早「そんな、賄賂で決まるのですか?」 P「当たり前じゃないか。芸能界をなんだと思ってるんだ?」 春香「え…」 千早「そんな…」 P「いいか。うちの事務所は金がない。で、社長も賄賂を渡すのではなく、アイドルは正々堂々、ボーカルとダンスとビジュアルで勝負するべきだと思ってる。 だから、アイドルアルティメイトに賄賂は払わない。なので、優勝は無理だけど、全国大会には頑張って出場してねってわけだ」 春香・千早「いやいやいやいやいやいや」 P「では、とりあえず君たちはレッスンを受けたまえ。わたしは根回しに行ってくるのでね。ほっほっほっ」 春香「……」 千早「……」 レッスンが終わり、シャワーを浴びている春香と千早。 春香「芸能界がそんなにドロドロしたものだなんて、考えもしなかったね…」 千早「そうね」 春香「でも、だからこそ勝ちたいよね」 千早「そうね」 春香「アイドルデビューか…。夢みたいに思ってたけど、もう現実なんだよね…」 千早「そうね」 春香「絶対頑張ろうね! 如月さん!」 千早「そうね」 春香「あ、そうだ…。せっかくユニットを組むんだし、呼び方が如月さんじゃ、ちょっと無愛想だよね…」 千早「そうね」 春香「ほんとっ!? じゃあ、千早ちゃん…て呼んでもいいかな?」 千早「そうね」 春香「ありがとっ! わたしも春香って呼んでねっ!」 千早「そうね」 と、春香が自分のボディソープが無いことに気付く。 春香「あ、千早ちゃん、えへへ…。ボディソープ取ってもらってもいいかな?」 千早「そうね」 春香「あ、あれ…? 千早ちゃん?」 頭から浴びていたシャワーを止め、千早の方に振り返る春香。 春香「千早ちゃん…。なんでシャワー浴びないでこっち見てるの? 鼻血出てるよ? 大丈夫?」 千早「……」 春香「…千早ちゃん?」 千早「…そうね」 春香「いやいや、千早ちゃん?」 千早の方に近付く春香。 千早「ブシュッ!」 春香「きゃぁあっ!」 大量の鼻血を噴出する千早。 春香「きゅ、救急車! 救急車! 千早ちゃん!? 千早ちゃん!?」 翌日、またまたレッスンを頑張る春香たちをよそに、営業活動に打ち込むプロデューサーであった。 P「……」 小鳥「プロデューサーさん、鼻くそほじって飛ばさないでください」 P「……」 小鳥「…鼻くそほじらない!」 P「はいはい~……」 小鳥「何してるんですか?」 P「メール送ってます」 小鳥「何の?」 P「A.I.E.Nに仕事くださいってメール」 小鳥「永遠に仕事を? 何ですかその都合のいい話」 P「いや、ユニット名です…」 小鳥「へ~。永遠って言うんですか」 P「エーアイイーエヌです」 小鳥「へ~。由来は?」 P「…何だったかな。確かわっほわっほ言ってた気が…」 小鳥「プロデューサーさん、そっちお花入ってるよ」 P「んくっんくっ」 小鳥「すごいんだよー」 (トラックが通る音) (カメラズームアップ) P「ちゅっ!」 小鳥「はいっ! はいっ!」 P「うふふー」 小鳥「来たらどうすんの!? もし本当に麻ちゃんのチュー来たらどうすんの」 P「口? 口はいややぁ~。わたしそういうのは守りたいタイプなの~」 小鳥「全然守られてなかったよね~」 P「いきなり何なんですか!?」 小鳥「気にしない気にしない」 P「ったく。ところで小鳥さんは何してるんですか?」 小鳥「スレを見てます」 P「スレ?」 小鳥「ゲホンゲホン、いえ、仕事ですよ」 P「そうですか」 小鳥「何ですか?」 P「また嘘言ってるなぁと思って」 小鳥「プロデューサーさんたまにいじわるですね…」 P「そっかなぁ。毎日いじわるしようと思ってるんですが…、送信と」 小鳥「何ですか?」 P「いや、だから仕事くださいメールです」 小鳥「外に行きゃいいのに…」 P「今時飛び込みで話聞いてくれる会社なんか無いですよ。アポ取らないと…」 小鳥「ですよね」 P「小鳥さんコロコロ意見変えますよね」 小鳥「さ、仕事仕事…」 P「で、何の話で?」 千早「天海さんの件です」 P「うん」 千早「単刀を直輸入に言います。彼女は歌が下手すぎます」 P「単刀直入ね。そっか、そんなにズコーか」 千早「かなり下手です。足が引っ張られて迷惑です」 P「う~ん。天海さんには言ったの?」 千早「いえ、いきなり歌が下手と言うのは可哀想かと思いまして…」 P「…分かった。俺が遠回しに言ってみるよ」 千早「ありがとうございます」 ガチャッ。 春香「あ、ここにいたー。プロデューサーと千早ちゃん二人きりで何してるんですかぁ?」 P「あ、天海さん」 春香「春香でいいですよっ」 P「じゃ、春香」 春香「はいっ!」 P「あんた歌下手すぎて救いようがないからどうにかして欲しいんだって」 春香「え…」 P「って、千早がめっちゃ文句言ってた」 春香「…え?」 千早「こんちくしょー!!」 P「とりあえず練習するしかないと思うんだ」 春香「は、はい…。ぐすっ。ひっく…」 P「春香、泣くな…」 春香「ぷろじゅーしゃーしゃん…」 P「泣いても水分が減るだけで、水道代がもったいないぞ」 春香「え? は…はい…。ぐすっ」 P「ほら、如月さんもあぁして謝ってるじゃないか…」 千早「ごめんなさい天海さん(プロデューサーのせいだろが…)」 P「さ、3人で、もう一度頑張ろう! 泣いても笑っても来月デビューなんだからな」 春香「は…はい!」 P「じゃ、俺は帰るわ。もう定時だし」 春香・千早「え?」 P「じゃね」 春香「あ…」 バタン。 千早「え?」 春香「何で…」 千早「…帰るの?」 春香・千早「……」 千早「わたし、あの人がよく分からないわ…」 春香「あははっ」 千早「ど、どうしたの天海さん?」 春香「いや、プロデューサーさんさ、わたしがすっごく真面目に考えてるのに、すごくさっぱりしてるんだなぁと思って」 千早「あれはザックリでしょ。もしくはバッサリ…」 春香「バッサリ・エリオットって呼ぼうか」 千早「何それ?」 笑いあう二人。 春香「千早ちゃん、千早ちゃん」 千早「?」 春香「わたしのことさ、春香って呼んでって言ったじゃん」 千早「そ、そうだったかしら?」 春香「んもうっ。春香って呼んでください。如月さん」 千早「え、えぇ。…春香」 春香「…千早ちゃん」 千早「は、春香……ちゃん?」 春香「ぶっ。呼び捨てでいいよ…」 千早「そ、そうね…」 赤くなる千早。 千早「…春香」 春香「…千早ちゃん」 一方プロデューサーは、急いで帰っていた。 P「今日はゲームの発売日だからな…。アイドルに構っている暇はないんだ…」 だが、あまりに急いでおり、左右を見ずに道路を横断しようとしたため、車に轢かれた。

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