無題235

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アイドル事務所の仕事はアイドル達に関するものだけではない 故に、所属アイドルが休みであろうともPや事務員の仕事は続く 小鳥「…熱いわね~」 P「今春香達は楽しい夏休みを送ってるんでしょうね…」 小鳥「ほんとにね~」 P「まあ休日出勤は良いんですけどよ。けど問題は…」 そういってPが見上げた上には P「ウンともスンとも言わないクーラー」 小鳥「そろそろ危ないとは思ってたんですけどね~」 P「社長がお金ケチって修理に出さないからかえって出費がかさむんですよね」 社長「ケチとはなんだね、ケチとは。清貧と言いたまえ、清貧と」 小鳥「ああ、そう言えば社長、コピー室のコピー機が壊れまして…    業者のヒトに見てもらったら、もう寿命だから新しいの買うようにって    込み込みで130万円だそうです」 社長「パソコンにつてるプリンタがあるだろう。あれで一枚ずつコピーすればいい」 P「ついでに社長、シュレッダーも3日前からいかれてますが」 社長「ハサミで切るか手で破けばいいだろう。」 P「アイドルの個人情報の危機だ…」 小鳥「これじゃあ清貧というよりも赤貧ね」 そして二人にとってようやく待ちわびた昼休みのこと Pと小鳥は喫茶店の木陰のテラスで涼みながら二人でアイスコーヒーを飲んでいた 小鳥「そう言えば去年も似たようなことがありましたね」 P「ああ、仮眠室(通称ねぐら)の空調ですね」 去年の今頃765プロは仮眠室のクーラーを買い変えたのだが ちょうど業者が休みに入ってしまって調整してくれず いたずらに指紋をつけるだけの日々が続いたのだ というのも、納品がお盆休み直前まで社長が買うのを渋ったからだ 小鳥「そもそも今日出勤してきたのだって元はと言えば」 P「社長のせいですよね」 社長の手違いで、一昨日来るはずだった諸々の備品や部品の配送が遅れたのだ おかげで大幅に予定を短縮し、急ピッチで作業が進められているのだ 小鳥「まあ社長のミスは兎も角として、機器類を入れるための設備投資予算が足りないってのは分かりますけどね」 P「予算か…どうせ俺がやってる仕事なんて300円くらいの価値しかないんだろうな」 ???「価値どころか仕事なんてしてないじゃないか。アイドルが育たなくて」 P「ああ誰かと思えば…」 小鳥「黒井社長じゃないですか」 いつの間にかP達の座っている机の横には 日焼けしていてもいなくても真っ黒な黒井社長が立っていた P「この熱い中、社長自ら営業回りですか?」 黒井「フン、馬鹿を言いたまえよ。局のお偉いさんと食事だよ    先方がうちの四条君のファンでね是非一緒にとおっしゃられてね    まあ君達オンボロプロのアイドルなど局の人間に顔も覚えられて…」 P「小鳥さん、せっかくなんでパフェも食べますか。俺も口直しに何か甘いものでも」 小鳥「あら良いんですか?じゃあ遠慮なく」 黒井「人の話を聞け!!大体聞く所によると君達の事務所のアイドルは    夏休みにも関わらず仕事がロクに無いそうじゃないか」 P「はぁ…まあ貧乏暇無しというやつで」 小鳥「ホントですよねー(棒)お金持ちのプロダクションが羨ましいですわー(棒)」 黒井「それが昼間っからパフェを食べてる人間の言うセリフか!!フン、まあいい    そうやって余裕ぶっていられるのも今の内だ いずれ貴様ら765プロの連中を    この芸能界から叩きd…」 P「ここの代金、こっそり経費で落としときましょうぜ」 小鳥「でもばれたらまた律子ちゃんに怒られますよ~?    この間なんてPさん危うく腎臓を…」 黒井「…コイツライツカツブス」 黒井社長の背中を、パフェを食べながら二人は見送った P「何かいつ会っても無駄に尊大な人ですよね」 ???「あの…」 小鳥「あの人は昔からそうですよ。少なくとも私の原液時代からは」 ???「あの…もし」 P「すると、小鳥さんはもう体液されてるってことですよね」 小鳥「その言い方止めてください。というか何でしょう、この凄いイヤな誤植されてるような感覚は」 貴音「あの~…」 P「おやおやこれはこれは」 小鳥「人呼んで“961プロの貴重な良心”こと四条貴音さんじゃないですか」 貴音「そのような呼ばれ方をしたのは初めてですが…」 P「でもまあ意外と事実だしね。今日は社長のお付き合い?」 貴音「ええ。貴方様はお食事中でしたか?お邪魔をしてしまったようで…」 P「気にしなくてもいいよ。どうせ昼休みも長めに取るつもりだし」 小鳥「休日出勤なんだからこれくらいしてもいいですよね」 貴音「それよりも、先程の黒井殿の態度、申し訳ありませんでした」 P「ん?別に君が謝ることないよ。」 小鳥「765プロに1年以上いる人なら、あの人のあしらい方も大体分かってますしね。」 貴音「はあ…しかし。そうだ良ければこれを」 P「これは?」 小鳥「汚職事件?ってだから一体どんな変換を(ry」 P「これって有名な蕎麦屋さんの食事券だよね?」 貴音「知人から譲って頂いたものなのですが、私は行けませんので、よろしければどうぞ    では御機嫌よう。」 再び時間は変わってその日のオフ 二人は天ぷら蕎麦を啜っていた 小鳥「蕎麦を食べてる場合じゃありませんよ」 P「やっぱり冷たいのが良かったですね」 小鳥「こんなことしていたら貧乏が板に着いたかまぼこになってしまいますよ」 P「確かに…黒井社長の挽肉…基、皮肉は兎も角、もう貧乏故の辛酸を舐めるのは沢山ですよね」 小鳥「こうなったら最後の手段…更衣室にカメラを仕掛けてアイドルの娘達の生着替え写真を(ry」 P「やめておきましょう。犯罪は割に合いませんよ」 小鳥「じゃあ善良な市民に打つ手は無いと言うの?」 P「サマー○ャンボ宝くじでも当たれば話は別ですが」 小鳥「寧ろ宝くじを買う為の資金をカンパしてもらわなきゃいけない状況ですもんね」 P「大体今だって、俺達傍から見れば、女子高生に晩飯たかってる大人ですよ」 小鳥「まあ良いじゃないですか、好意は受け取っておくものですよ」 P「でも黒井社長の態度は気にしなくていいって言ってるのに  あの娘いつも俺達の事気にかけてくれてますよね。なんででしょう?」 小鳥「俺“達”ですか。そういう所だけは、高木社長の教え子だって分かりますよ、貴方は」 P「はい?」 小鳥「何でもないです。この後どうします?久しぶりに飲んで帰りますか?」 P「別にいいですけど、どうしたんですか?」 小鳥「何がですか?」 P「小鳥さんが俺を飲みに誘うの時は大抵、合コンの次の日とか友達の結婚式の次の日とかじゃないですか」 小鳥「人の色恋沙汰に当てられると、お酒を飲みたくなる年頃なんですよ」 P「また誰か同期の人が結婚でもしたんですか?」 小鳥「いいえ、女の子の気持ちに鈍い男の人と、若さ故に不器用な女の子の恋心に嫉妬しちゃいましてねー(棒)」 今日も夜は更け、否が応にも朝は来る でも夜は大人の時間。今くらい彼を独占したって罰は当たらないだろう 目の前の一見冴えない、でもよく知ればこれほど頼れる、優しい人も居ないと思える 彼を思う娘は果たして何人いるのだろうか 同僚故の付き合いと距離感を利用している卑怯な自分 でもこれくらいは役特として許してもらおう 少なくとも この夜が明けるまでは

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