無題356

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765プロに関わる人間は皆大抵知っているが 765プロは非常に貧乏である そのため所属しているプロデューサー達は 一日の内その殆どを本業とは別の仕事をして過ごしている事が多い その日、とある用事で別のプロダクションを訪れていた二人のPを待ち受けていたのは ある意味拷問とも呼べる仕打ちであった  と言っても、別に弱小であることを理由に苛められたとかいうわけではない まず立派な建物 入口の自動ドア 笑顔で迎えてくれる受付嬢 広いエントランス 当然エレベーターも完備 事務室だけでビルの一階を丸々使い 最新のパソコンが一人一台用意されたデスク ピカピカの機材 おまけに福利厚生も充実 ○○P「違う…うちとは何もかもが違いすぎる…」 △△P「急いでここを出た方がいいな…これ以上ここにいたら765プロでやっていけなくなる」 こうして二人は用事を済ませ、命からがら逃げ帰ってきたのである ○○P「何て恐ろしい場所なんだ…あれならまだ真夜中に墓場に一人で行く方が幾分マシだ…」 △△P「いいか○○、このことはくれぐれも内密にするんだ。特に小鳥さんにはな…」 ○○P「ああ…あの人のことだ、間違いなく僻みだすからな」 小鳥「誰が何を僻むんですか?」 ○○P・△△P「!?」 小鳥「いや“!?”じゃなくて」 ○○P・△△P「!!?」 小鳥「吐かないと今月分お二人が申請した分の経費、落としませんからね」 ○○P・△△P「!!!?」 二人は見てきた事を小鳥に喋った 小鳥「なんですって~!!たった5階で(765プロは驚きの2階である)エレベーター!?(765プロの入ってるビルにだってエレベーターはあるが、壊れていて使えない)    うちなんて重いコピー用紙とか資材を階段で運ぶのよ!?パソコンだっていまだに2000だし!!おのれブルジョワめ~!!」 ○○P「まあまあそう言わず小鳥さん。お昼ご飯でも奢りますよ」 △△P「さっき出かけた先で美味しそうな店をみつけましてね」 小鳥「残ってる仕事終わらせてくるわ」 ○○P・△△P「(ほっ…)」 二人はえげつない脅しに屈した振りをして、実は一番重要な事を隠し通した しかし運命とは大概にして残酷なものである 昼休み、食事を終えて事務所に帰る3人の前にスーツ姿の女性が通りかかった 「あら先程の」 ○○P・△△P「!?」 小鳥「お二人とも、こちらはどちら様?」 「初めまして私、◆◆プロで秘書をしております。先程はどうも」 ○○P・△△P「ああ…ああ…」 春香「おはようございまーす…ってあれ?」 小鳥「シクシク…」 ○○P「何も泣く事はないでしょう」 春香「プロデューサーさん」 ○○P「ああ春香、おはよう」 春香「小鳥さん、どうしたんですか」 小鳥「◆◆プロにね…秘書が居たの…」 春香「…え?」 ○○P「ほら、うちには秘書っていないから…」 春香「それでいじわるされたんですか?」 小鳥「ううん…優しくしてもらった。ケーキもくれたし」 ここ最近の積み重なった大量の仕事とバーゲン巡りで疲れていたピヨちゃんは 美人秘書の優しさに触れて、羨ましいを通り越して何だか悲しくなってしまったのだ 小鳥「どうしてうちには秘書がいないんですか!?」 ○○P「どうしてと言われても」 △△P「ただ伝統的に居ないんですとしか」 ○○P「そもそもそういう予算もありませんしね」 △△P「小鳥さんにはつい秘書的な仕事を頼んでしまって、申し訳ないとは思ってるんですが…」 小鳥「それはまあ良いんですけど、やっぱり秘書は…無理なんですね…」 ○○P「こうなると思ったから小鳥さんにだけは話したくなかったんだよな」 △△P「でもまあ小鳥さんの気持ちも分かるよな」 ピヨちゃんの手前、宥める側に回った二人ではあるが 実際の所、彼らとて現状に大差があるわけではない 二人も社長の秘書のような仕事をしているからだ 大体、考えてみればそもそも◆◆プロに言ったのだって社長のウッカリの尻拭いのためだったのだ ……………………回想始め…………………… ○○P「はい…はい…申し訳ありません。高木は只今取り込み中でして…。はい、伝えておきますので…。     …社長、雑誌の編集の人から催促です、もう5回目ですよ」 高木社長「おお、そうかね。仕方が無い、ボチボチ書くか………しかし……」 △△P「どうかしたんですか?」 高木社長「…テーマと枚数が分からん。原稿依頼の紙が無い。」 ○○P「捜したんですか?」 高木社長「捜す労力が惜しい。◆◆プロの社長にも依頼が行ってるはずだ。      スマンがちょっと行ってコピーを貰ってきてくれんかね」 ○○P・△△P「ああ…ああ…」 ……………………回想終わり…………………… 次の日、二人は事務所近くの図書館にいた 社長の原稿用の資料を借りに来たのだ ○○P「アイドル達が売れるようになるまでの辛抱とは言え、この扱いは余りに酷いのではないだろうか」 △△P「まあ確かに秘書のいる事務所が羨ましくないと言えば嘘になる」 ○○P「社長のような人にこそ秘書が必要なんだよな」 「あらこの間の」 駐車場でつかの間の休憩を味わっていた二人の前を、昨日の秘書が通りかかった ○○P「これはどうも」 「お仕事ですか?」 ○○P「ええ…社長のおつかいですよ」 「おたくの事務所は秘書が休みなんですの?」 △△P「765プロには秘書はいないんです。今までも、そしてこれからも」 「あら?へんですね…うちの社長が以前見たと言っておりましたが…」 ○○P・△△P「!!?」 小鳥「え!?うちの事務所に」 律子「秘書がいた!?」 小鳥・律子「「今何処にいるんですか!?」」 △△P「落ち着け律子…らしくもない」 律子「あ…スミマセン」 ○○P「大体秘書がいることを隠し通せる筈が無い。仮にこの話が真実だとして     おそらく何年も前の話じゃないだろうか…」 小鳥「昔の話…」 律子「でも前例があったなら、必ずしも不可能というわけではありませんよね?」 △△P「まあ確かに実際問題、最大にしてほぼ唯一の壁は費用の問題だけではあるが…」 小鳥「この際伊織ちゃんに頼んで一人秘書を回してもらえないかしら」 伊織「無理言わないでよ」 真「でもお客さんが来たときとか、時々僕達もおつかいに行ってるよね。僕は別に構わないけど…」 千早「社長に頼んでみてはどうでしょう?」 △△P「まあ頼む分にはタダだからな。望み薄とはいえ、やってみる価値はあるかもしれん」 ○○P「でも社長は今日の昼から出張だぜ?」 小鳥「いえ、これは逆に好都合ですよ。社長が居ない間に私達で意見を固めてしまえば…」 皆夢を見たかったのかもしれない しかしながら、“うちの事務所に美人秘書が来てくれたら”という想像は アイドル達やプロデューサーとその他(ピヨちゃんのこと)の生活とお肌に張りと潤いを与えた △△P「ゴメン律子、お客さんだ。お茶頼める?」 例え仕事中来客にジャマされても 律子「了解です」 美人秘書が来てくれるまでの辛抱だと思えば(それほどは)辛くない ○○P「小鳥さん、これ醤油?ソース?」 △△P「小鳥さん、次の株主総会の資料どこです?」 律子「小鳥さん、お茶代持ってきましたよ」 小鳥(こういう面倒な仕事も秘書がやってくれるのよね…)↑さて間違っているのはどれか 小鳥「サービス残業(しかも徹夜)で疲れてるときでも、美人秘書がコーヒーを淹れてくれたりして    『大変ですね』と一言声を掛けてくれたら疲れも吹き飛ぶと思うのよ」 春香「そうですよね。プリンを作ってくれたり…」 亜美「宿題教えてくれたりとか?」 これまで秘書というものに縁が無かったせいか、どうも皆認識を誤っているようである ○○P・△△P「(それじゃまるでお母さんだよ…)」 ○○P「そもそも秘書っていうのは社長の秘書なんだよな」 そう、二人がしていることこそ秘書の仕事であろう ○○P「飛行機の搭乗券は持ちましたか?」 高木社長「うむ。持った」 △△P「12時10分の飛行機なので、10時59分発のJRに乗って下さい」 高木社長「うむ、分かっている」 ○○P「パソコンOK、資料OK」 高木社長「では行って来るぞ。留守を頼む」 △△P「はい」 ○○P・△△P「ふぅ…(やれやれやっと行ったか)」 ↑ この間僅か15分である ↓ 高木社長「ああ○○君かね、●●駅前に居るんだが、切符を間違えて持ってきてしまってね      何処かに空港行きのがあると思うから持ってきてくれたまえ」 ○○P「…車のキーはどこだったかな…ハァ…」 渋滞を潜りぬけ、ようやく戻ってきた後、二人のPは喫茶店で昼食を取っていた △△P「お疲れ」 ○○P「…ああ」 △△P「ところで秘書の話なんだが、社長は居たこと無いと言ってたよな」 ○○P「まあ高木社長は兎も角、◆◆プロの社長が嘘をつく理由は無いな」 △△P「だろ?おかしいよな。…っておいアレって」 ○○P「ん?おいおいマジか。噂をすればなんとやらだな」 ……………………………………………………… ◆◆プロ社長「秘書は二人いた。美人と呼べなくもないが一人はお茶を出すのが遅く        もう一人は皿を片づけるのが早すぎた…」 ○○P「失礼ですが、本当に秘書でしたか?」 ◆◆プロ社長「皿を下げた方はあるいはアイドルの娘か…その候補生だったかもしれんが        もう一人のほうは、あの落ち着き、事務所の事を知り尽くした様子        あれは秘書以外の何者でもない」 △△P「…それはひょっとして」 ○○P「緑色の事務員服を着ていて」 △△P「ショートカットの髪型で」 ○○P「インカムを付けた人でしょうか?」 ◆◆プロ社長「そのとおり!!」 そう、皿を下げるのが早い秘書とは律子のことで 律子「私も忙しいんですよ。大体残ってるエビのしっぽを食べるなんて思いませんよ」 △△P「それはまあ良いんだけど、エビって…一体何をお出ししたの律っちゃん…」 そしてお茶を出すのが遅い秘書とはピヨちゃんのことであったのだ←(年齢的にも絶対そうだと思われた。余計なお世話) 小鳥「私だって自分の仕事しながらなんですから多めに見て下さいよ」 ○○P「お茶くらい来てすぐにお出しして下さいよ…ましてや相手は社長さんなんですから」 律子「じゃあ結局秘書は無理なんですね…」 △△P「ゴメンな律子」 高木社長「なぁに気にすることはない。どうせ予算はなかったんだ」 ○○P「もう戻られたんですか」 △△P「あれだけドタバタして出かけられたんですから、もう少しゆっくりしてきて頂いてもよかったのに」 高木社長「そうだ!!当番制で秘書をすればタダじゃないか」 ○○P・△△P「ああ…ああ…」 その後、765プロでは社長の提案により当番制での秘書が試験的に導入された 小鳥「どうして私が10人分以上のプリンを作らなきゃならないんですか!    余計に忙しくなったじゃないですか」 765プロが秘書を雇える程の会社に成長するのはもう少し後の話である      ≪Fin≫

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