第2話 きかいの国  ~スーパーヒーロー真ちゃん?~


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 ミヤーシャの残していった鏡。
そこへ、その中に広がっている空間へ、ウサギとやよいのふたりは飛び込んで行きます。
中には通路が広がっていて、その先には次の世界のものらしき光が、ほのかに輝いていました。

「鏡の国は全部で9つに分かれているんです、おそらくはミヤーシャみたいなボスがそれぞれに…」
「みんなやっつけないといけないんだ…」
そんな話をしながら、長い通路を歩いていきます。

 やよいとウサギが鏡の中の通路を抜けると、そこは一面灰色の床で埋め尽くされた世界。
ところどころにロボットが歩き回っていました。
「ここは?」
「機械の国ですね… ここも女王の手によって作り変えられてるようです」
見ると、ただの床だと思っていた、そのところどころにはベルトコンベアが流れています。上に乗ると
あっという間に流されて下に落ちてしまうことでしょう。
「とりあえず気をつけて進みましょう、ロボット達はそんなに反応も良くないはずですし」
「うん」

 しばらく進むと、いくつかの浮島が見えてきました。先のほうにはたくさんのロボット達が。
「ここからシャボン玉でロボットを追い払いましょう、床の切れ目を越えて攻撃はしてきませんから」
やよいが次々と浮島のロボット達を吹き飛ばしていきます。しかし、その向こうからも次から次へと…
キリがありません。
「うっうー、これじゃぁ先に進めません~」
疲れてしまったやよいはその場にしゃがみこんでしまいました、すると…

「…その声は、やよい?」
聞き覚えのある声がしました。
「真さん?」
声の方を見ると、別の浮島にロボットとは違う姿が見えました。ちょうどロボット達の中に髪の短い子が
混ざっていて、ロボットたちと戦っている様子でした。
「やよい、助けてあげましょう」
「うん!」
さっきのようにシャボン玉を大きくして、そしてジャンプと同時に発射!
シャボン玉はまっすぐに飛んでいき…

 スパパパパーーン!

次から次へとロボット達を吹き飛ばしていきました。やよいはそれと同時に向こう側へ。
何体かロボットは残りましたが、それは真さんが、
「ぱーんち!」
かっこよくパンチで攻撃して壊してしまいました。

 あらためて3人は集まって挨拶をします。
「でも私はやよいしか呼んでないはずなのに、どうして男の子が?」
ウサギの言葉に、
「ボクは女の子だよっ!」
真さんはそういってウサギに不満をぶつけました。髪が短くてパンチでロボットを壊してしまう…
確かに男の子に見えても不思議は無いのでしょうが、ちょっと失礼ですよね。
「…コホン。それで、真、頼りになりそうですし、一緒に戦ってもらえたら、と…」

「つまり、この向こうに悪い奴がいて、それをやっつけないと帰れない、ってこと?」
「はい…」
やよいは真さんに事情を説明しました。
「うん、分かった。一緒に頑張ろう!」
「ありがとうございます」
こうして心強い仲間が来てくれました、やよいたちは無事に機械の国を抜け出せるでしょうか?

「シャボン玉ー!」
やよいが大きなシャボン玉で次々とロボット達を吹き飛ばし、
「うりゃー!」
真さんは次々と他のロボット達を壊していきます。
「でも懐かしいなぁ、こういうロボットたち」
「懐かしい、ですか?」
やよいがそう真さんに尋ねました。
「うん、小さい頃人形が欲しくてさ、お父さんにおねだりしたんだ」
「でも買ってきてくれるのはこういうロボットとか戦隊ヒーローとかばっかりで、ううう…」
真さんはそう言って涙目になってしまいました…。
「はわっ、でも今の真さんはかっこいいですし、それにそれに…」
必死にやよいが慰めます。なんとか背中を押して、ようやく真さんも先に進んでくれました。
真さんってそういう育てられ方をしてたんですね…。

 長いこと歩いて、ようやく次の世界への入り口があると思われる場所まで来ました。
「…!」
みんなの前にいたのは、今までの何十倍もあるかのような大きなロボット。
足が無いのに、ふわふわと地面から少し浮かんでこちらを見ています。
「アールメイコンか… 足は無くなってしまったのですね」
ウサギが言いました。
「あれで動けるの?」
「ええ、彼を見てると思うんですよ、ロボットにとって、足なんて飾りなんだな、って…」
そうやよいたちに言いながら、ウサギが歩いていって声をかけました。
「やぁ、アールメイコン。この辺に鏡があったはずなんだけど」
「…」
返事はありません。
代わりに両方の腕が上がったかと思うと、握った手のひらがくるくると動き、そして…
その握ったげんこつが、やよいたちに向かって飛んできました!
「危ない!」
真さんがやよいを抱えて横っ飛び。そのすぐ上を大きなげんこつが通り過ぎていきました。
やよいの髪の毛が風で大きく揺らされ、そしてビュン! と、大きな音が聞こえました。
げんこつはそのまま飛んでいき、しばらくするとアールメイコンのもとに戻って来ます。
「ロケットパンチ!?」
真さんが言いました。
「…どうやらこれも女王の仕業…」
「やっつけるしかないの?」
「いえ、多分操られているのでしょう、何とかして止めることが出来れば…」
「分かった!」
やよいが前に進み出てきます。
シャボン玉を大きくしながら動き回り、アールメイコンの体を狙います。
そしてめいっぱい大きくなったところで、シャボン玉はアールメイコンめがけて飛んで行きました。
しかし…

 それを待っていたかのように、アールメイコンはやよいに向かって突撃してきました。
飛んできたシャボン玉を簡単に体で弾き、そしてその先にいるやよいに向かって…
「…!」
体当たり!
「はわぁっ!?」
鈍い音と共に、やよいの体が床を転がって、真さんたちの後ろまで。
「やよい!」
床の切れ目ぎりぎりで止まり、どうにか落ちずには済みましたが…
「シャボン玉が効いてない…」

 そうです、体に魔法のシャボン玉が当たっているのに、アールメイコンは普通に動いているのです。
いったいどうしたら…

 と、その時。
「…そうだ、頭!」
真さんがそう言いました。
「え!?」
「こういうロボットっていうのは、たいてい頭が弱点なんだ、お父さんが言ってた記憶がある」
「なるほど… じゃぁ、なんとかして頭にシャボン玉を…」
「うん!」
やよいはそう返事をしながら、アールメイコンの頭を見上げます。
でも大きな体に邪魔されて、このままでは頭には当てられそうもありません。
「ボクも手伝う!」
真さんも前に出てきて、アールメイコンと向かい合います。

 迫ってくるアールメイコンからやよいはなるべく距離を取って、チャンスを待ちます。
「やよい、パンチが来る!」
真さんは走り回るやよいにアドバイスを。それを聞きながらやよいは飛んでくるパンチを避けます。

 一方の真さんはというと、アールメイコンの方を向きながら、じりじりと距離を縮めていきます。
アールメイコンの腕が上がったところで、

 「そこだぁぁぁ!」

 真さんは飛んできたパンチをジャンプで避け、そのままげんこつの上に飛び乗って…

 「てぇぇぇぇいい!」

 そこからアールメイコンの方にジャンプし、その体勢からくるっと空中で一回転。
そして、アールメイコンの胸に見事な飛び蹴りを当てました!
「…!」
アールメイコンの体が大きく後ろに揺らぎます。
「すごいです真さん!」
「うん、やよい、シャボン玉を!」
低くなったアールメイコンの頭に、やよいは大きなシャボン玉をぶつけます。
頭を中心に、虹色の光がアールメイコンの体をきらきらと包み込んでいきました。
すると…

 アールメイコンの動きがピタリと止まりました。と思うと…

 バターーーーン!

…と、そのまま仰向けに倒れてしまいました。
地震かと思うような地響きがしばらく続いた後、周りはぴったりと静かになっていきました…。

「やっつけたの?」
「ええ、もう大丈夫でしょう、あとは何とか話を聞ければ…」
「しっかりして!」
「…ここはどこでショウカ?」
アールメイコンの声が聞こえます、でももう襲ってくることは無いようです。
「はっ、私はいったいナニヲ…」

 ウサギが状況を説明すると、
「そうデスカ、私は操られてたのデスネ」
そう言って申し訳無さそうにします。
「良かった…」
「ところでアールメイコン、鏡はこの辺に無かったかい?」
「それはこれのことデショウカ」
胸の格納庫らしきところから、ポロリと鏡が出てきました。ミヤーシャが持っていたのと同じものです。
「女王に持っているように言われてイマシタ」
「じゃぁこれでまた次の世界に行けるわけだね」
やよいが鏡を手に取ります。幸い割れたりひびが入ってるようなこともありません。

「あ、やよい、そういえば…」
「真さん?」
「ボクの他にも一緒にここに来た子達がいるみたいなんだ、何とか助けてあげよう」
「他にも…?」
多分みんなやよいの仲間達なのでしょう。真さんと一緒に来た、ということは…
「次の世界にも誰かいるってことですね!」
「そうですか… じゃぁ真はこの鏡から帰ってください。後は私たちに任せて」
何故か複雑な表情をしつつ、ウサギは鏡に入っていく真さんを見送りました。
「うん… ふたりとも頑張って!」
やよいと真さんはお互いこぶしを合わせて、そしてお別れをしました。

 こうしてやよいはまた次の世界へ。
今度はどんなところ、そして誰がいるのでしょうか。