とある舞台裏 00X


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とある、大規模なライブが出来る場所。
そして、今日はその最終日。
会場には"THE iDOLM@STER"がBGMとして響いている。
「今日で最後だな。
 最後だから、余計に気を引き締めていこう。
 じゃあ、始めるぞ」
765プロ主催のライブ。
総勢十一人のアイドルたちが共演するというファンにはたまらないライブだ。
全アイドルがBランク以上であることもあり、全六回の公演が販売初日で全日程、全席売り切れを起こしていた。
開演十分前。
アイドルと、一人のプロデューサーが円陣を組む。
いつからか、大きなイベントやライブでは、当たり前になった儀式。
「アイドルとは!」
と、自分が言う。
「華麗であること」
と、真。
「美しくあること」
と、あずさ。
「明るくあること」
と、春香。
「元気であること」
と、亜美、真美、やよい。
「楽しくあること」
と、美希。
「大きな夢であること」
と、律子。
「小悪魔であること」
と、伊織。
「かわいらしくあること」
と、雪歩。
「歌で人を楽しませること」
と、千早。
「We are!」
『THE iDOLM@STER!』
アイドル達と、プロデューサーが一斉に床を踏み鳴らす。
いつもどおりに儀式を済ませ、
「舞台(おもて)」と「舞台裏(うら)」の境界線で、一人ずつに声をかけていく。
これも、さっきの儀式同様、通例になったことの一つ。
最初に舞台に上がるのは、律子だ。
「今日もMCを頼りしてるぞ」
「任せてください」
律子が出て行く。
「にひひ、伊織ちゃんの魅力を存分に見せつけてやるんだから」
「ピクシー顔負けな、かわいさを頼むな」
伊織が、バ、バカと一言残し、出て行く。
『兄(c)、行ってくるねー』
「おう、律子の言うことをちゃんと聞くんだぞ」
『わかってるよー』
亜美と真美が、飛び出していく。


「あぅ~」
「やよい、楽しく、な?」
「あっ、はい。うっう・・・・・・」
どうやら、緊張しているようだ。
「ほら」
と、俺は、手を掲げる。
「あっ、はい。
 ハイ、タァーチ」
やよいは、緊張が解けたようで、行ってきますと言い残し、出て行く。
「あふぅ、美希眠いの」
「おいおい、さっきまで寝てて、怒られたばっかだろ」
「眠たいものは眠たいの、あふぅ」
「しっかり頑張ってきたら、一番おいしいと言われている
 おにぎり屋のおにぎりを上げようと思ったんだがなぁ」
おにぎりという言葉に反応してか、美希が急にしゃっきりする。
「約束だからね!終わったら食べさせてよね!」
「あ、あぁ、わかった」
小さくガッツポーズをして、出て行く。
「もしかしたら、失敗してしまうかも・・・・・・。
 今すぐ、穴を掘って埋まりますぅ」
「大丈夫だよ。
 雪歩は失敗しない。
 それに、みんな一緒だ。
 助け合って、今までやってきただろ」
「そうですけど・・・・・・」
「みんなを信じて、自分を信じるんだ。
 俺が、一回でも間違ったこと言ったことあるか?」
「ないです。
 何か、元気が沸いてきました」
「その意気だ、しっかりな」
「はい」
少しぎこちない動きで、出て行く。
「あらあら、雪歩ちゃん、大丈夫かしら~」
「そんなときこそ、あずささんの出番ですよ。
 みんなに、微笑んで、和ませるんですよ」
「私に出来るかしら~」
「あずささんなら、出来ますって」
「プロデューサーさんが言うのですから、間違いないですね。
 信じて、行ってきますね。
 あらあら、みんな、楽しそうね。
 私も混ぜて~」
いつもどおりのマイペースさで、出て行く。
「プロデューサー、行ってきます!」
「真、いっちょ、やっとくか」
「はい!」
いつもの挨拶、拳と拳を軽く当て合う。
「菊地真、いっきーます!」
颯爽と、出て行く。

「千早が、望んだ理想の舞台だ。
 やれるか?」
「今さら何を言っているんですか。
 いつもどおり、歌うだけです」
「そうか、いや、そうだな」
「はい」
「蒼い鳥は、どこまでも飛べそうだな」
「はい。
 こんなに良い仲間がいますから。
 もう、一人ではありませんし」
「最高の歌を届けて来てくれ」
こくりとうなずき、出て行く。
「あわわ、ずっと転ばないで来れたけど、今日転んだらどうしよう」
顔をうつむかせ、春香がやってくる。
「じゃあ、転んでやると思ったらどうだ。
 そしたら、あーあ転んじゃったと思えるし、
 ちょっぴりドジな所も、春香の持ち味だろ?」
「ひ、ひどいです、プロデューサーさん。
 でも、少し元気になりました。
 いろんなアイドルがいたっていいですもんね。
 転んじゃうアイドルがいたって・・・・・・」
春香は、ぎゅっと手を握る。
「あと、笑顔を絶やさないようにな。
 春香の本当の持ち味の明るさが、さっきなかったぞ」
「えっ、嘘」
春香は、小さな驚きとともに、手を口元に持っていく。
「ウ・ソ」
「プ、プロデューサーさん!」
「ははは。
 ほら、春香の歌う箇所に差し掛かってるぞ」
「あっ、じゃあ、行ってきますね」
「あぁ」
最後の春香が出て行き、舞台裏からとりどりの華やかさが消え失せる。
ずるずると、壁にもたれながら、俺は座り込む。
「さすがに、ちょっと、キツイな・・・・・・」
「当然でしょ、本当に」
呆れ顔で、小鳥さんが言った。
「すみません・・・・・・」
「とりあえず、みんなには適当にごまかしておくから。
 あなたは、ホテルに戻りなさい」
「でも・・・・・・」
「聞き分けなさい!
 今のあなたの姿を見て、みんなが動揺して、舞台が台無しになったらどうするつもり!」
「っ!」
「今日くらいは、お姉さんにまかせなさい」
さっきの厳しい口調から、一転し、優しく諭すように言った。
「すみません、あとお願いします」
会場を後にし、おれは、ホテルに引き上げていった。


目が覚める。
時計を見てみると、夜の十時を指していた。
「だいぶ楽になったな。
 んっ?」
上布団に、重みを感じ、重さの主を見る。
春香だった。
舞台衣装のまま、眠っている。
「おい、春香。
 起きろ、こんな所で寝ている場合じゃないぞ」
「う、う~ん」
春香が目を覚まし、顔を上げる。
そして、
「プ、プロデューサーさんのバカーーーー!」
大音響で、言い放つ。
「な、何を・・・・・・」
すると、ホテルの廊下がバタバタと騒がしくなり、
自室のドアが、勢いより開き、765プロ所属アイドルが全員集まる。
「ちょ、なんだ、一体!
 みんな、舞台衣装のままじゃないか!」
「先に何か言うことはないですか」
と、律子。
「ライブは成功したのか?」
律子の平手打ちが頬に当たる。
「痛てぇ」
「何で、言ってくれなかったんですか!」
と、千早。
「小鳥さんから聞きましたよ。
 高熱なのに、無理して来てたって」
と真。
「あんた、バカでしょ」
と、伊織。
「うっう~、あんまり無茶しちゃダメですぅ」
と、やよい。
「兄(c)は罰として、みんなからビンタの刑だー」
と、亜美が言い、
「ビンタ!ビンタ!」
と、真美がはやし立てる。
「いやいや、亜美、真美!
 バカなことを、おふっ!」
言葉を最後まで言い終わろうとした途中に、
物理的衝撃によって、遮られる。

「春香!
 本当に、ぐおっ!」
次々と、右頬にビンタが叩き込まれていく。
全員にされ終わった頃には、俺の右頬が幾分か、膨れ上がっていた。
「私達、アイドルだけでTHE IDOLM@STERって言われてますが、
 プロデューサーあってのTHE IDOLM@STERということを忘れないでください」
と、千早。
「すまない」
「いえ・・・・・・」
まじまじと顔を見て会話をしていたが、気まずくなり、千早から顔をそらす。
「あの~」
と、雪歩。
「いいところ、申し訳ないんですけど」
と、美希。
「千早ちゃんのプロデューサーじゃないんですよ~」
と、あずさ。
「千早、抜け抜けと協定を破るつもり?」
と、伊織。
「そ、そんなつもりはないわ」
と、千早が否定する。
「きょう・・・て・・・い?」
「あんたには、関係ないことよ!
 寝てなさい」
と、伊織に言われる。
「さぁ、みんなも部屋に戻りなさい。
 あとは、私が・・・・・・」
と、突如沸いてでる小鳥さん。
『小鳥は少し黙ってて!』
と、アイドル全員に言われ、引きずられていった。

END ~とある舞台裏 00X~