無題7-139


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パソコンに向かって一人の男性が作業をしている。
よほど集中しているのか身じろぎもしない。
やがて一段楽したのか男性──天海春香のプロデューサーは大きな欠伸をした。

「ふぁ……」
「あら? 随分お疲れみたいですね」
「ああ小鳥さん。そうか……もうこんな時間か。ちょっと根を詰め過ぎたみたいです」
「仕事熱心なのは良いですけど、自分の体も気遣ってくださいね。春香ちゃん心配しますから」
「そうですね。すいませんがちょっと仮眠室使います」


数十分後。よたよたとおぼつかない足取りで春香が出勤して来る。
「おはよ~ございます……」
普段から三半規管の働きに疑問を持たれるというのに、
更に輪をかけてあやしげな動きに思わず如月千早のプロデューサーが声をかけた。
「どうした? 随分元気が無いようだが」
「最近スケジュールが詰まってて……ちょっと寝不足気味です」
「次の仕事まで少し時間がある。仮眠室で一眠りして来い」
「そ~させてもらいます……」

照明が落とされ暗闇となった仮眠室に入り、
皺にならないようブラウスを脱いで、インナーのタンクトップ一枚で布団の中に潜り込む。
何故だか布団の中は適度に暖められていたが、
眠気で朦朧とした春香の頭脳はその温もりの発生源など疑問に思う事も無く
その意識を手放した。


「あら? 今春香ちゃんの声が聞こえたような気がしたんだけど」
「春香なら寝不足っぽかったんで仮眠室に行かせましたが」
「仮眠室? だって今あそこには……まあいいか。なんだか面白くなりそうだし」


目覚まし代わりにセットした携帯のアラームが鳴っている。
(あー……起きなきゃ……)
何をするでもなく適当に動かした手が何かに触れる。
(あれ……?)
予想外の感触に意識が急速に覚醒する。
薄暗い闇に慣れた目が『それ』を認識する。
ほんの数cm先、息がかかる程の距離にプロデューサーの顔があった。
既に目は開かれ、こちらが起きたのを確認したのかいつも通りの優しげな微笑を浮かべて
「やあ。おはよう春香」
なんて気楽に挨拶をしてくるが、春香本人はそれどころではない。

(えーとここにプロデューサーさんがいるって事はつまり今の今まで一緒の布団で寝てたわけで
なんだか新婚さんみたいないやいや違う違う今考えなきゃいけないのは
向こうが先に目を覚ましてるって事でそれはつまりバッチリ私の寝顔も見られた訳で
私はプロデューサーさんの寝顔なんか見た事無いのになんだか不公平だと思うんだけど
じゃなくて私今結構薄着なんだけどっていうかああもうどうしたらああああああ)

「………………だ」
「だ?」
「だぎぇぇぇぇぇっっっっ!!!!」


「あーこーなるのねー」
「しかし春香の奴、アイドルなんだからもう少し可愛げのある声を出しゃあいいのに」
「お二人とも言いたい事はそれだけですか」
9393しながら千早も出社してきた。
765プロは今日も平和である。