Sacrifice


※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

「彼女こそ…私のエリスなのだろうか…」


Sacrifice, Sacrifice, ah... Sacrifice, Sacrifice, ah...

無邪気な笑顔が 愛らしい妹は
神に愛されたから 生まれつき幸福(しあわせ)だった

一人では何も 出来ない可愛い天使
誰からも愛される 彼女が妬ましかった

器量の悪い私を 憐れみないでよ…

「──惨めな思いにさせる、妹(あの子)なんて死んじゃえば良いのに…」

Sacrifice, Sacrifice, ah... Sacrifice, Sacrifice, ah...

あくる日妹は 高熱を出して寝込んだ
ごめんなさい神様 あの願いは嘘なんです

懺悔が届いたのか やがて熱は下がった
けれど今度は母が 病の淵に倒れた

母が今際の時に遺した言葉は…

「──妹(あの子)は他人とは違うから、お姉ちゃん(あなた)が助けてあげてね…」

Sacrifice, Sacrifice, ah... Sacrifice, Sacrifice, ah...

母が亡くなって 暮らしにも変化が訪れ
生きる為に私は 朝な夕な働いた

村の男達は 優しくしてくれたけど
村の女達は 次第に冷たくなっていった

貧しい暮らしだったけど 温もりがあった…
「──肩を寄せ合い生きてた、それなりに幸福(しあわせ)だった…」

それなのにどうして…こんな残酷な仕打ちを…教えて神様!
妹(あの子)が授かった子は 主が遣わし給うた 神の御子ではないのでしょうか?

──妹が子供を身篭もっていることが発覚した夜
村の男達は互いに顔を見合わせ口を噤んだ
重い静寂を引き裂いたのは耳を疑うような派手な打音
仕立屋の若女将が妹の頬を張り飛ばした音…

泥棒猫…可哀想な子だと…世話を焼いて…恩知らず…

──断片的な記憶…断罪的な罵声…
嗚呼…この女(ひと)は何を喚いているんだろう? 気持ち悪い
ぐらりと世界が揺れ 私は弾け飛ぶように若女将に掴みかかっていた…

緋く染まった視界 苦い土と錆びの味 頭上を飛び交う口論 神父様の怒声

純潔の…悪魔の契り…災いの種…マリア様の…誰もガブリエルを…火炙りだ

「嗚呼…悪魔とはお前達のことだ!」

──そして…妹は最後に「ありがとう」と言った…

心無い言葉 心無い仕打ちが どれ程あの娘を傷付けただろう
それでも全てを…優しい娘だから…全てを赦すのでしょうね…

「でも、私は絶対赦さないからね…」

「この世は所詮、楽園の代用品でしかないのなら、罪深きモノは全て、等しく灰に帰るが良い!」

──裸足の娘 凍りつくような微笑を浮かべ
揺らめく焔 その闇の向こうに『仮面の男』を見ていた──

.