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「はぁ・・・やっぱり落ち着くな・・・」
「・・・あ、あの」

先輩達の卒業式が間近になってきたある日、澪先輩から「大事なことがあるから家に来てくれないか?」と、こうして先輩の家にやってきたのだけど・・・。

「こうしてるとやっぱり心が安らぐ・・・」
「・・・あのっ」

ええっと・・・澪先輩の家に来て、そして自室までやってきて。澪先輩がベッドに座って、「大事なことって何ですか?」と私が言いながら近づいたら、こうして膝の上に乗せられて、後ろからぎゅーっと抱きしめられて。

いや、勿論こうして澪先輩から抱きしめられるのは嫌などころかむしろ嬉しいし、私を抱きしめてすっごく幸せそうな顔をしてる澪先輩を見てるとこっちも何だか幸せになってくる。
けど少々いきなりすぎて、頭が軽く混乱してる。

「あ、あのっ・・・澪先輩っ?」
「ん?・・・ああ、ごめん。部屋まで来たら何だか我慢出来なくてさ。思わず梓を抱きしめてた」

澪先輩は私と二人きりになると結構大胆な行動やら発言をさらっとしたり、言ったりする時があるので何とも戸惑ってしまう。
私にはその心のまま素直に接してくる、という事を考えれば嬉しいことだけど。

「今日はさ、親が外に泊まりで家に私以外は誰もいないんだ。明日は卒業式前の最後の休みだし・・・今日は梓とずっと一緒にいたいと思って呼んだんだ」
「そ、それは嬉しいですけど・・・大事なことってそのことですか?」

そう言うと、先輩の私を抱きしめる腕に力がこもった。

「大事だよ。卒業したらこうして一緒にいる時間もしばらくはあまり無いからさ」
「っ、それは・・・」
「卒業したら、大学に入る準備で色々と忙しくなるし入ったら入ったで大学生活に慣れるまでは梓になかなか会えなくなるから・・・卒業してなかなか会えなくても大丈夫なように、その前に、今まで以上に梓と強い絆を作っておきたいんだ」
「澪先輩・・・あっ」



どさりとベッドに押し倒される。
澪先輩は先程までの幸せそうな表情とは違い、何かを恐れているような余裕の無い表情をしていた。

――卒業したからといって、もう会えなくなるわけではない。それは私も澪先輩も十分に承知している。
それでも・・・しばらく会えない間、傍にいれない間、きっと辛い。そうして会えない内にお互いの仲が冷え切ってしまう事を先輩は恐れている。それは私も少なからず感じていた不安だ。
そんなことにならない為に今この時間、深く心を通わせておければと。

――離れていても、お互いがいつもすぐ近くに感じられるように。

「せん、ぱい」
「今なら止められるけど・・・いいかな?」

こんな状況にまで持ってきて、こんな顔を見せて、そんなことを言うなんて澪先輩はずるい。
けど私は嫌なんかじゃないし何より、

「・・・はい。澪先輩なら、私は大歓迎です」

にこりと、微笑みながら頷くことが出来た。

「・・・梓っ!」
「せんぱっ・・・んうっ」
「んっ・・んちゅっ」
「ふぁっ・・・んっ」

私の言葉を契機に、澪先輩が私に覆い被さる。唇と唇が重なる。
口内に柔らかでありながらも熱い舌が入ってきて、私の舌と激しく絡み合う。

「梓、愛してるっ・・・んんっ」
「わたしもっ・・んっ・・・ですっ・・・んちゅっ」

私もまた澪先輩に満たされたくて、次第に理性が焼き切れていく――




「くー・・・」
「澪先輩・・・?」

あれから――何度もお互いがお互いを求めて、何度も体を重ねて――そうしてお互いに息を切らせて、どちらからともなく静かに布団に横になっていて。

「・・・もう、終わったらすぐ眠っちゃうなんて勝手すぎますよ、澪先輩」

部屋をそっと眺めるとお互いの衣服が辺りに散らばっていて何とも節操が無かった、と恥ずかしく感じる。
先程まで行っていた事を冷静になって思い返すとそれこそ顔から火が出そうだったけど・・・そんな中で、横で眠っている澪先輩は私の手をしっかりと握って離そうとしないのが何だか凄く嬉しかった。

横から澪先輩の寝言が静かに、だがはっきりと聞こえてくる。

「わたしたちは・・・はなれてても・・・いっしょだ・・あずさ・・・すー」
「澪先輩・・・」

こちらも疲れが出てきたようで、目蓋が重くなる。体は休養を欲しているが心は今までになく何かに満ち溢れている。
澪先輩と肉体的な繋がりだけでなく、何か強い精神的な繋がりを得たような・・・そんな気がして。

「私も・・・離れてても、心はいつも澪先輩の傍にいますから・・・ね」

澪先輩が傍にいる事を感じながら、私もまた眠りに落ちる。

そうして、離れていても澪先輩がすぐ近くでいつも私を守ってくれているように感じられるようになるのは先輩達が卒業してからもう少し、先の話――

(FIN)