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 修了式も終わって、3月中旬、平日の朝9時。

 軽音部の部室――もとい、音楽準備室には私、ひとり。

「はぁ……」
 ここに来てから幾度もため息をつき、準備室から見える運動場を見る。
 さすがに新年度までは運動部も活動をしてないのか、運動場も閑散としてる。

 誰もいない運動場を見ててもおもしろくないから、今度は部屋の中に視線を移す。
 部室の中は、唯先輩や律先輩が置いていったものが残っている。そんな中、ある人が忘れていった人形を見た瞬間――
「――先輩」
 自然に涙がこぼれた。


 信頼? 尊敬? 
 ううん、違う。これは「好き」という感情。

 最初は尊敬だった、と思う。
 先輩は、何事にもひたむきに努力して、それで結果をちゃんと出している。
 自分にもそういうところがあったから、私と先輩を重ねて見ていたんだと思う。最初は。

 でも、いつの間にか尊敬の域を超えていた。
 そして、その想いは日に日に膨れあがっていくばかり。

 迷った。迷って、迷って、散々迷って……大切な人に想いを伝えられずに卒業式も終わっちゃって、3月の中旬。

 答えを出せない自分を責めたけど、それで何かが変わるワケじゃないのは分かってる。

 軽音部の空気を、雰囲気を壊しちゃう?
 仲良しな2人の関係も壊しちゃう?
 同じパートの先輩と仲が悪くなっちゃう?

 そんな不安が胸の中をいつも駆け巡ってた。
 だから、この想いを自分の胸の奥底に押さえ込んたんだ。

 何より――。

 この想いが受けいられなかったら、私はどうなってしまうんだろ?
 すごく、先輩のことが好き、だから。

 ――――――

 私物持ち帰りの期限が、今日。さわ子先生にどやさr……えーと、さわ子先生に" 私 が "きつく注意されたので、唯先輩や律先輩が荷物を取りに来るようにお願いした。ついでにムギ先輩も、澪先輩も来る。来てもらうようにお願いしたんだけど。

 今日逃したら、きっと、ううん、絶対に後悔する。
 今日、伝えよう。伝えて、ダメだったらそこですっぱり諦めよう!

 そう、決心を固めたつもりだったんだけど――振り出しに戻ってる。

 と。扉を開く音がした。はっとして時計を見ると、もう10時になっていた。約束の時間。

「おはよう、梓ちゃん」
「お、おは、おはようございます!」

 ムギ先輩が一番のり。
 あんまりにも突然だから言葉に詰まっちゃった。涙の跡をぬぐい、精一杯元気な振りをする。
 大丈夫、いつもの私。
「……梓ちゃん、どうしたの? 泣いてるの?」
 元気な振りも、ムギ先輩にはお見通しみたい。
「えっと、ムギ先輩、相談したいことがあるんですけど――」
 少し悩んだけど、素直に相談しちゃおう。ムギ先輩なら大丈夫。

  :
  :
  :

「わたしはね、女の子が女の子を好きになっちゃいけないとは思わない。好きっていう気持ちが大切だと思うの」
「同性愛者って、一般的には日陰者みたいに思うかもしれないけど、コソコソする必要はないわ。あんまり大ぴらにするのもどうかとは思うけど」
「もし、それで逃げてく友人がいたら、その人はその程度ってことよ」
「振られても、――そんな顔しないで! もし振られたとしてよ。絶対に自暴自棄になっちゃだめ」

 そして、

「澪ちゃんにも気があるみたいよ?」

 という意味深な言葉をもらった。
 ただ、私は背中を押してもらう人が欲しかっただけなのかも。

「先輩、ありがとうございます!」
「梓ちゃん! がんばってね!!」
「はい!」

 心の中のもやが、すっきりとなくなった。
 今日は、今日こそは私の気持ちを伝えよう。

「あ、そうだ。落ち着かせるためにお茶飲む?」
「でもティーカップは……」
「10個は残しておいたのよ。これは置いていくから、使ってあげてね」
「あ、ありがとうございます」
 貴重なティーカップまで……わざわざありがとうございます。

 ―――

 ムギ先輩のお茶でまったりしてると、

「ちーっす!!!!」「おはよう」
 ばたん! と激しい音を立てて扉が開き、二つの人影が入ってきた。
「澪先輩! おはようございます。律先輩、もうちょっと静かに入ってこれませんか」
「かったいこと言うなよぉ!」
 的を射ない答えで頭痛が痛い。肩をばんばん叩かれてるし。

「梓、久しぶり。元気にしてた?」
 澪先輩が私に話しかけてくれた!
「はい!」
「いつもの事ながらこの扱いの差は……」
「ごめんな遅刻して。バカ律が――」
「へぇー? そんなこと言うんだ。言っちゃうぞー?」
 なにか隠し事を知っているかのような言い方に、
「ごめんなさい律様それだけは言わないでください」
 珍しく、澪先輩が一瞬で折れた。不思議。

 唯先輩と憂(憂も来てくれた!)は11時ぐらいに来た。唯先輩がなかなか起きなくて大変だったみたい。
 私物をまとめて、部屋を掃除して、終わった後にお茶を飲んで、たわいもない話をして。

 お昼を回っておなかが空いたので、近くのバーガーショップでお昼ご飯を食べて、分かれることになった。
 いつも通りもたもたしてる唯先輩は……いつもなら同じパートの私が面倒を見るけど、今日は憂もいる、とりあえずほっといて、先に片付けて外で待ってる澪先輩の元に行った。

 今日こそは。
 私の姿を見つけた澪先輩がこっちを向き――

「梓」「澪先輩」
 あ゙。被った。

「あ、ああああ梓から」
「い、いいいえ澪先輩から」

「じゃあ……今日、私のうちに来ないかって言おうとしたんだけど」
「あ、私も澪先輩のおうちに行きたいなぁーって思ってたんですけど」

「「……あはは」」
 二人して小さく笑った。言いたいことは同じだったんだ。でも、なんで? みんなじゃなくて、私だけ?
「じゃあ、この後澪先輩の家に――」
「あっずにゃーん!!」
 抱きつかれた。荷物が痛い!
「人が話してるときに抱きつかないでください!! っていうかせめて荷物を置いてください! 痛いです!!」
「そんなこといわないでよー」
 スリスリしないでください! 人目があるんです!!!
 澪先輩は「あーいつもの光景だなー」といったような遠い目をしていたけど、その中にちょっと憂いがあったような気がする……。

 しばらく抱きつかれたけど、満足したみたい。

「じゃあねー!! あずにゃーん!! また会いに行くよ-!」
「唯先輩、一人暮らし気をつけてくださいね」
「ありがとー!」
「じゃあ、また4月に!」
「またね、憂」
 『あずにゃんがデレたー』とか聞こえる。別にデレてはないと思うんだけど……。

「ごめん今日ちょっと用事あるんだ。ちょっと楽器店に」
 律先輩が楽器店? スティックへし折ったとか?
「あ、じゃあ私もいく」
 ムギ先輩も楽器店に。
「そうか。またな律。ムギも」
「律先輩、ムギ先輩おつかれさまです」
 ぺこりと頭を下げる。ムギ先輩、本当にありがとうございます。
(がんばってね)
 という声が聞こえたような気がした。


 澪先輩と並んで歩く。二人っきりで。
 とても久しぶりで、胸がどきどきする。ただ、一緒に歩いているだけなのに。

 澪先輩もどこかそわそわしている。2年間、ずっと見てきたから分かる。
 律先輩には及ばないだろうけど、澪先輩の事を見てきたから。

「「…………」」
 会話がない……。
 ぐぬぬ。

 なんか話題……あ、一つ聞きたいことあった。
「澪先輩」
「………」
「? 澪先輩?」
「……え? ごめん、なんだ?」
 ぼーっとしてたみたい。
「先輩って、大学生になって一人暮らしするんですか?」
「するよ。今月末には引っ越し」
「引っ越し、しちゃうんですね」
「だから、今日にこk――はっ。なんでもないなんでも!!」
「?」
 何か言いかけたような気がしたけど……。
 顔を真っ赤にしてる澪先輩……かわいいなぁ。

 ずっと、そばにいて、先輩を見つめていたい。

「洗濯機と冷蔵庫は知り合いからもらえることになったけど、調理道具とか、いろいろ準備する物が多くて大変なんだ」
「自炊とか大変そうですね」
「そうなんだよ。でもさ、唯が一人暮らしする思うと、いろいろ悩んでいたのがどうでも良くなっちゃってさ」
 そう言って笑う。
「唯先輩、朝起きれなそうですよね」
「そうそう」
 憂も、新学期始まってからしばらくは荒れそう……とも思いつつ。修学旅行ですらあんな状況だったもん。

 澪先輩の家に行くまで、他愛もない話をした。
 こんな時間がいつまでも続けば良いのに。

  :
  :
  :

 いつの間にか先輩の家に着いてた。
「ママただいまー」
「お、お邪魔します!」
「お帰り澪ちゃん。あら、お友達?」
「初めまして。中野梓といいます。いつも澪先輩にはお世話になってます」
 ぺこり。
「梓ちゃんね。こちらこそ澪がお世話になっております」
「ママ!」
 お世話になってるのは私だけど、ね。
「あ、そうだ。澪ちゃん、梓ちゃん、何か飲み物欲しい? 甘い物もあるし」
「私持ってくよ。梓、上でちょっと待ってて」
「はい」
 お言葉に甘えて、二階で待つことにした。

 で、二階にきたは良いけど……どこが先輩の部屋? うーん……。
 あ、「MIO」って書いてあるプレートあった。ここかな?

「失礼しまーす……」
 いざ澪先輩の部屋に入ったら、膝が笑ってクッションの上に崩れ落ちちゃった。机に体をぶつけなかったのが不思議なぐらい。
 心臓がバクバクしてて、部屋の中を見る余裕なんてこれっぽちもない。

 でも、ここまで来たんだ。
 しっかりしなくちゃ。
 私の想いを伝えなきゃ!

「やって……やるです!」

 自分の頬をパチンと両手で叩いて、活を入れる。



「おまたせ」
 澪先輩が戻ってきた。両手でお盆を持ちながら。
「あ、持ちますよ」
「大丈夫。座ってて」
 って言って、両手がふさがってるのに器用にドアを閉める。先輩が足を使ってドアを閉めてる! 意外。

 机にお盆を置いて、澪先輩も畳に座った。向かい合って。

「あ、あの……!」
「梓」

「は、はい!」
 突然名前を呼ばれてちょっとびっくりした。

「今から話すことは、私ではない誰かの話だからな」
「え?」
「私ではない、誰かの高校生活の話」
 突拍子もないこといわれて戸惑ったけど、澪先輩は続けて語り出した。


――とある高校に入学した一人の女の子がいました。

 その子は、とても人見知りで、恥ずかしがり屋でした。
 目立つことが嫌いで、極力目立たないようにして高校生活を送ろうと決心していました。

 文芸部に入って、放課後は詩を書いていようと思っていました。
 ですが、親友に無理矢理軽音部に入れさせられ、ベースをやることになってしまいました。

 さらに文化祭ではボーカルもやって、とても恥ずかしかったけれど、みんなのおかげで無事に終わることが出来ました。
 なんだかんだ言って、その女の子はとても楽しい日々を送っていました。

――2年に上がり、その子には後輩が出来ました。同じパートではないけど、バンドの仲間が増えてとてもうれしかったようです。

 小さな女のコでした。
 でも、小さな女のコのギターは、バンドのみんなを驚かせるほど上手だったのです。
 「私も負けないように、がんばって練習しよう!」
 そう、心に決めた日でした。

――かわいい後輩でした。
 その女の子は、人見知りで恥ずかしがり屋を隠すため『格好良い人』を演じているだけなのに、尊敬されるような人柄ではないのに、後輩の小さな女のコは慕ってくれたのです。
 精一杯、先輩らしくしなくちゃ。

 せめて、みんなと打ち解けるまでは。
 打ち解けたあとは――。

――もちろん、みんなとはすぐに打ち解ける事が出来ました。みんな優しいから。心があたたかいから。
「私の役割はここまで。みんなと打ち解けたから」

 そう、思っていたのだけど。
 モヤモヤとした気持ちを持っていたのです。

 もっと、“私”を見てほしい。もっと、一緒に話したい。

――3年生になりました。
 小さな女のコも2年生に上がってきました。
 この頃から極力、小さな女のコとは関わらないようにしました。
 何故か分からないけど、胸が苦しくなってしまうのです。

 話したい。でも――。

 何故か、

 胸の中、奥底がちくりと痛んで。

――恥ずかしがり屋な女の子は、大学受験を控えていました。
 部活のみんなと一緒の大学に入るため、一生懸命勉強しました。
 でも、モヤモヤが取れなくて、勉強に差し支えてしまう。

 だから、人見知りな女の子は、自分に一つ約束をしました。

『大学受験が終わったら、小さな女のコに、私の全てを伝えよう』と。

――無事、大学に合格して、卒業式も迎えました。
 でも、私は想いを伝えられずにいました。

 卒業式が終わって、私は、気づいてしまった。
 私は、小さな女のコに何を残せたの?
 先輩後輩という関係だけ?

 もっと、何か残してあげたかったのに。

 そんな私を好きになってくれるのか?

 それでも、自分の想いを伝えたい。

 一緒にもっと話をしたいんだ。
 一緒に買いもの行きたいんだ。
 一緒に甘いもの食べたいんだ。

 一緒に――。
 ずっと 一緒に いたいんだ


 梓、私は――梓の事が大好き。誰よりも、この世界で一番、梓のことが。

 頼りない先輩だったかもしれないけど、こんな私でも良ければ――。


「澪先輩!!!」
「!」
「なんでそんなに自分を卑下するんですか!」
 思わず立ち上がって、声を荒げた。自分でもびっくりするぐらい。
「私だって、澪先輩のことが大好きです! ずっと一緒にいたいです!」

「……えっ?」
 もう、止まらない。

「入ったばっかりの私を支えてくれたのは澪先輩じゃないですか! 今でも感謝してます!
 澪先輩がいなかったら、私、たぶん辞めてました。

 夏の合宿のときだって、初めての学祭のときだって、いつも見てくれていたのは知ってます!

 澪先輩と付き合い始めて、部活の空気が悪くなったりしたらと思うと怖かったし、唯先輩と仲が悪くなったり、澪先輩と律先輩の仲が悪くなっちゃったりしたらって思って。

 でも、一番怖かったのは……澪先輩に嫌われちゃうと思うと、私……私……!」

 涙が止まらなくて、視界がぼやけて、澪先輩の表情もうっすらとしか分からない。
 でも、澪先輩が私を見てくれていることだけは分かる。

「あ……ずさ……」
「だから、そんなこと言わないでください…。

 澪先輩はあこがれの先輩で――一番好きな人です!」

 伝えられた。
 澪先輩へ、私の想いを。澪先輩が勇気を出して告白してくれた、その答えを。

 ……目を開いたら、声を上げて泣き出してしまいそう。

「!」
 今にも声を上げて泣き出しそうな私を、力強く抱きしめてくれた。
 澪先輩に出会ってから、初めて。
「初めて、だね」
「はい……っ」

 暖かい。

 夢……じゃない。澪先輩から伝わる暖かさは。
 夢じゃないんだ。
 いろいろごちゃ混ぜになった感情が一気に吹き出して、澪先輩の胸の中で自分でも恥ずかしいぐらい泣きじゃくった。
 たぶん、卒業式のときよりも。

 いいもん。

 澪先輩になら見せられる。

 これも、私なんだから。


 私が泣き止むと、澪先輩が私の顔をのぞき込んで、
「梓、ひどい顔してるぞ」
 なんて言われちゃった。
 でも、恥ずかしくはない。だって、
「澪先輩だって、相当ひどい顔してますよ」
 先輩の顔にも、涙の跡が何本もあったから。

「梓、目を閉じて」
「はい」
 素直に目を閉じた。この後、澪先輩が何をするのかは分かってるから。
 私の首に、澪先輩のあったかい腕が回されて――


 初めてのキスは――とっても、あまかった。

「私たち、似たもの同士ですね」
「え?」
 澪先輩がきょとんとしている。
「まじめで、変なところで意地張って、見栄張って、気を遣ったけどなんかずれてたり、自分に素直になれなかったり」
「恥ずかしがり屋で、人と積極的に関われなくて、だろ?」
「私、澪先輩ほどの恥ずかしがりじゃないですよ?」
「言うようになったな」
 澪先輩が笑いながら私のおでこを小突いた。
 こんなスキンシップ受けたのも初めてだから、いま、この時間が夢なんじゃないかな、とまで思えてくるけど――。

 絶対に夢じゃない。

「梓」
「はい」
「絶対に梓のこと離さないからな」
「私も、澪先輩と一緒にいますから。絶対に離れませんから」

 今度は、私から澪先輩の唇を奪いに、ね。

―――

 おまけ。

 ママに『今日は先輩の家にお泊まりする』って伝えて、澪先輩のお家にお泊まりすることに。

 あの後、制服から澪先輩のお下がりのパジャマに着替えて(ちょっと大きかったけど、ピンク色のかわいいパジャマ)、夕飯時になるまでずっと澪先輩と話し続けた。

 あ、澪先輩の胸はやっぱり大きかったです。福眼!

「澪ちゃーん、梓ちゃーん、ご飯よー」
「はーい」

「梓、いこ」
 澪先輩がすぐに立ち上がって、右手を出してくれた。
「はい!」
 その手をつかみ、立ち上がる。

 居間に行くと、澪先輩のママがご飯を用意して待っていてくれた。
「パパは?」
「今日仕事で遅くなるって」
「そうなの」
 ふと先輩の横顔を見たら、ちょっとしゅんとしてた。パパのことも大切に思っているみたい。
「あ、梓ちゃんはそこ座ってね。あ、そのパジャマ、まだ取ってあったのね」
「はい」
「かわいかったから捨てられなかったんだよ」
 澪先輩らしいなぁ。
 と、それ以上に気になることがあったみたい。というか、私も気になった。
「? せき……はん? ママどうかしたの?」
 澪先輩も言ったとおり、ご飯が赤飯だった。
 赤飯? 祝い事でもあったのかな?
「見ちゃった(テヘッ」
「………?」
 澪先輩はしばらく意味が分からなそうに(私も意味がわかんなかったけど)はてなマークを頭の上に掲げてたけど、突然立ち上がって声を上げた。
「何を!?」
「梓ちゃんが泣いてる声が聞こえたからね、ケンカでもしたのかと思ってそーっと覗いてみたら、抱き合っちゃって、その上キ――」
「まままままママ!? みみみみみみみてたの!?」
「澪ちゃんにもついに彼女が出来たのね。ママうれしい♪」
「彼女って、いいの!? 女の子だよ!?」
 澪先輩もそこは気にしてるみたいだけど、澪先輩のママは上手をいった。
「いいのよ澪ちゃんが幸せなら。あ、あとパパには言わないから♪」
 真っ赤になって撃沈する先輩……。
「ふつつか者の娘ですが、よろしくお願いします」
「あ、え、こちらこそ……」

 ――そうして、澪先輩のママ公認の恋人になりました。

 ――完。

 でもあれを見られたのは恥ずかしいです。




 おまけ2
※ 告白後あたりと思ってください。

 ふと身長の話で盛り上がっていたり。

「私も澪先輩みたいに、身長が高くて綺麗な大人の女性になりたいなぁ」
 私がボソっと呟いたのを、澪先輩はちゃんと聞いていた。
「梓、私だって梓みたいに、背が小さくてかわいい子になりたかったんだぞ」
 やっぱり背が小さい方がかわいく見えるだろ? と付け加えた。そういうものかなぁ。
「でも――、今はそうは思わない」
「?」
「だって、梓をこうやって――包んであげられるから」
 座ったまんま抱き寄せられた。
「!」
 この人は! 歯の浮くような言葉でもナチュラルに言うし、行動に移しちゃう!
 いつもの恥ずかしがってあたふたする澪先輩とは大違いで、こっちがあたふたしちゃう。
 たぶん私の顔は真っ赤になってると思う。たぶん。

「私も今改心しました。澪先輩のためにこの体型維持します!」
「あ……いや、幼女体型が良いって言うわけじゃ」
「いま幼女体型とか言いましたね! つるぺたとかまな板とか言いたいんですね!?」
 ちょっと反撃してみる。かっこいい澪先輩も好きだけど、あたふたしてる澪先輩もかわいくて好き。
「そういうことじゃなくて……うーん、そうだ」
 抱き寄せられた上、そのまま押し倒された。
「み、澪先輩!?」
 澪先輩、積極的すぎる。
「こうやって、横になったときにちょうどいいだろ? ――梓? あーずーさー?」
 のぼせた。澪先輩の胸の中で、私は――
「にゃ、にゃあ……」
 鳴くことしか出来なかった……