行列

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mioazu

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おっかしいなあ。どうしたんだろう、澪先輩。
昨日までは、冬休みでもちゃんと朝から部室に来てたのに。
どうして今日に限って姿を見せないんだろ。
メールにもぜんっぜん返信来ないし。

そろそろ10時か。いっそのこと、こっちから電話してみようかな……。

そう思った時だった。握りしめていた携帯がぶるっと震えたのは。

『あ、梓。ごめん、悪いけど今日はそっちにいけない。みんなにもそう伝えて』
「それはいいですけど、どうしたんですか。もしや病気とか」
『いや、そういうんじゃないんだけど……。実は今、東京にいるんだ』
「と……東京!? な、なんでそんなところにっ」
『昨日、律からすっごい極秘情報を教えてもらってさ』
「律先輩から……ですか?」

 うわあ、なんかそれ、めちゃくちゃイヤーな予感が。

『レフティモデルの超特価即売会をやるっていうんで、今その行列待ち。何万人いるんだろって感じでさー』

 すっかり声が裏返ってるよ澪先輩。よっぽど楽しみなんだなあ。でもそんなうまい話、あるわけない。

「なんですか、それ。ちなみに場所は。東京のどこら辺ですか」
『ええっと。と、東京……ビッグサイト?』

 え、あれ、ちょっと待って……。あわてて日付を確認する。今日は29日だから……げっ、コミケの初日じゃん!!

「先輩、今すぐ引き返してください。それウソですから。律先輩にダマされてますからっ」
『え、何? よく聞こえない。悪いけど列が動き出したみたいだから。後でかけ直す。じゃ』
「ちょ、ちょっと待ってください。澪先輩、澪先輩ーっ!!」

 その後いくら電話をかけ直しても、澪先輩が電話に出る気配はなかった。



 あーあ、鉄拳制裁くらいですめばいいんだけどな、律先輩……。

 (おしまい)
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