小ネタ 無題40

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mioazu

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 朝4時。新聞配達でかけずり回るカブのエンジン音が、夜闇に響く。そんな時間帯。
 昼夜逆転廃人どもが寝ようかと思い始めているだろう時間に、彼女は目を覚ました。

「………」
 のっそりと身体を起こし、無言で携帯を開き、時間を確認する。
 もちろん目覚まし時計は使っていない。使ったら親にバレるからだ。

 布団から少々身体を出した少女は、朝の冷え込みに身体を震わせた。一回布団に戻ろうとする仕草を見せたが、勇気を出して布団から抜け出し、準備を始める。
 本当は、朝ご飯を食べたり、シャワーを浴びたかったり、髪をしっかり梳いたりといろいろと遣りたいことはあるけれども、今日は必ず成し遂げなければならないミッションがある。

 普段着――といっても、かなりの防寒装備を施す――に着替える。
 タイツを二重に穿き、ジャージを穿き、ウィンドブレーカーを穿いた。正直、ダサいと彼女も思っていたがあの寒さに耐えきれる服は、手持ちでこれぐらいしかない。
 上は、まさに『もこもこ!』といった感じの羽毛ジャケットを羽織り、装備完了。もちろんマフラーも忘れない。

 ゴムを手に取り、いつものように髪を縛ろうとしたが、ツインテールにしたら会場で身バレするかもしれない! と思い、後ろで軽くまとめるにとどめる。杞憂かもしれないが、用心するに越したことはない。

 身だしなみを整えたら、机の上にあらかじめ用意しておいた物を一つ一つ確認しながら取り上げる。

 ホッカイロ数個、携帯、サイフ。
 サイフをあけ、千円札十枚ほど、500円玉も十枚ほど、チャージ済みのSuikaが有ることを確認し、ジャケットのポケットに突っ込む。

 そして、一番大切な「東館マップ」を手に取った。
 どこで何を買うかぐらい、完 璧 に頭に入っているが、念のためである。

 よし。

 昨日のうちに準備しておいたリュックサックを背負い、猫のようにそろーりと部屋を出て、親に気づかれないように家を出た。

 近隣の駅に向かう途中、彼女――
 梓は、自分に気合いを入れた。

「澪先輩モノの同人誌……絶対手に入れるです! おー!」

 夜闇の空に拳をあげた。
 それに答えるかのように、カブのエンジン音が住宅街に響いた。

 拳をおろして、
「澪先輩と私の百合もの……ウヘヘヘ」
 妄想でにやけた。
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