プレゼントには、赤いリボンを巻いて

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mioazu

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 台風のような誕生日会だった。

 ……いや、竜巻か。
 台風ならば、中心である私は『台風の目』になっているはずだから静かなはずだ、と比較的どうでもいいことを考える。
 唯・憂・律・ムギ・和・純・さわ子先生(なぜいる!)……そして、愛しの梓の8人で私の誕生日を祝ってくれた。

 お誕生会の内容については省略する。あんまり思い出したくないと言えば思い出してくない。
 楽しかったけどね。

 みんなが私に贈ってくれた手紙を、鍵付きの引き出しにそっと仕舞い、とりあえずは――
「片付けるか……」
 ある程度は片付けてくれたけど、至る所に散らばっているゴミとかを拾う作業に入る。

 ――と、帰ったはずのムギが戻ってきた。結構大きめの箱を抱えて。
「澪ちゃん、私からプレゼント」
「その大きな箱……は、なに?」
 誕生日プレゼントにしては大きすぎないかな。
「開けてみてからのお楽しみよ?」
 よいしょ、と箱を床に置く。割れ物を扱うかのように、丁寧に扱っている。
「なんだか分からないけど、プレゼントありがとう、ムギ」
「いえいえ。……今夜は熱い夜になりそうね……」
「?」
 なんかよく分からない言葉を残して、ムギは帰ってしまった。




 ホント、中身なんだろう?
「部屋を片付けてから開けようかな」
 気にはなるけど、先に部屋をきれいにしなきゃ。
 と、独り言を漏らしたら箱がちょっとだけ揺れたような気がする。
 ……気のせいだよね。気のせいだ。きっと疲れているんだ。
 そう思い込むことにした。だって、箱が何もしないで揺れるなんて怖いじゃん。

「………」
 いや、先に開けよう。気になって片付けが出来ない。

 とりあえず、箱を良く観察する。
 箱は管楽器のケースみたいに、ロックが二つある細長い箱だった。
 旅行用のキャリーバックって言ったほうが一般的か。

 カチャリ。
 二カ所ロックを外して、とりあえず深呼吸。
 中に入っている物を想像することにする。

 律の仕業だとして――こんな大きなびっくり箱はないだろう。次。
 さわ子先生の仕業だとして――こんなに衣装etcを詰め込むことはないだろう。次。
 平沢姉妹のプレゼント――かわいいぬいぐるみがいっぱい入ってそうだけど、これは大きすぎる気がする。次。
 梓からのプレゼント――毎日が大切なプレゼントです。これ以上もらったらバチが当たっちゃう。次。
 ムギからのプレゼント――想 像 が つ き ま せ ん 。

 ……あれやこれやと考えてもしょうがない。素直に開ける。




 覚悟を決めて、ふたを開ける。
 二割ぐらい開けた。なんか人の肌見たいのが見えた。人形?
 半分ぐらい開けた。手入れが行き届いている綺麗な黒髪が見えた。黒髪の人形?

 六割ぐらい開けた。いやちょっと待って。ふたを一気に開ける。

「んっ……澪先輩」
 中の人形――いや、中に隠れていた人は、生まれたままの姿に、赤いリボンを巻いて恥ずかしそうにしている梓だった。

 その姿をまじまじと見てしまって、私の中にとある感情が火山の噴火のごとく吹き上がった。
 おい。梓、どうしてくれるんだ。
「澪先輩! 私がお誕生日プレゼントです!」
 顔を真っ赤にして、自分自身がプレゼントと高らかに宣言した。
 それはどうでもいい。

「梓――どうしてくれるんだ」
「え……」
 梓が困惑の声を上げるが、お構いなしに(ほぼ)生まれたままの姿の梓をお嬢様だっこで持ち上げる。

「えっ? えっ?」
 布団の上に降ろす。
「そんな姿ってことは、私を誘ってるんだよな? もう――止められないからな」
「澪先輩になら……あっ///」
 梓が身をよじる。
 しかし、リボンで拘束に近い状態になってる梓は、あまり身動きが取れなそうだった。
 好都合。

「み、澪先輩……やさしくお願いします///」
 私の瞳に宿る光に気づいたのだろう。でも、もう止められない。
 プレゼント、頂きます――!
 今夜は寝かせないぞ、梓。
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