キスの味

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mioazu

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今日は部室に澪先輩と私だけ。

唯先輩達は、クラスの用事で遅くなるらしい。

澪先輩は、新しい歌詞を書いている。

邪魔しちゃ悪いなと、私は一人ギターを弾く。

不意に、澪が梓に問いかける。

澪「梓、キスした事ある?」

梓「えええっ」

突然の質問に梓はびっくりした。

梓「し、した事無いです」

ふるふると首を横に振る。

澪は続ける。

澪「参考に、と思ってミュージシャンの歌詞とか見てるんだけどさ」

澪「例えば宇多田ヒカルのFirst Loveの歌詞: 最後のキスはタバコのflavorがした」

澪「これってキスは煙草の風味がしたって事だよな?」

梓「そうだと思います」

澪「普段煙草吸う人は煙草の味、じゃあ吸わない人はどんな味なんだろ?」

梓「どうなんでしょうね?」

…………

しばしの沈黙。

澪「梓」

梓「な、何ですか?」

澪「キス、してみようか」

急に澪が、顔を近づける。

梓「えっ、そ、そんな、何で私なんですか?」

澪「梓だから…」

私だからって、どういう意味?

その言葉に梓は動揺を隠せず狼狽えてると

澪「駄目?」

梓「す、少しだけなら」

澪はコクンと頷くとそっと顔を近づける。

二人の鼓動は高鳴る。

梓「んっ…」

触れるか触れないかのキス。

梓「ど、どうでした?」

澪「んー、短すぎて良く分かんない」

梓「そうですか」

澪「もう一回良い?」

梓「はっはい、どうぞ」

梓は頷く。

澪「じゃあ今度はもっと長く…」

そう言うと澪は、左腕で梓を抱き寄せ、右腕で頭を抱え込んだ。

梓(えっ?)

そして二人の唇が、密着する。

澪の唇は柔らかく、甘美な感触。

梓はそれに酔いしれてしまう。

澪(でもこれじゃ、味って分からないな)

澪は一端、唇を離すと

澪「梓ちょっと口開けて」

梓「ふぇ?」

既に緩みきっていた梓の口の中に、澪の舌が差し入れられた。

そして、澪は梓の舌に自分の舌を絡め合わせる。

「ん…くちゅ……ちゅぷっ…」

「ちゅ……ん…ちゅふ……ちゅむ…ん」

二人のキスの音が静かな部室に響き渡る



律「遅くなってスマン!」

律の声に慌てて二人は離れる。

律「何やってんだ二人とも?」

梓「にゃっ、にゃんでも無いでしゅ」

すっかり緩んだ口元のため、梓はカミカミで応える。

唯「あずにゃん目が潤んでるよ?」

澪「あ、梓に目薬差してたんだよ。一人じゃ差せないって言うから」

苦しい答えをする澪。

紬「へー、随分仲が良いのね」

うっとりとした目線で二人を見つめるムギ。

澪「お、お茶にしよう、な?」

梓「そ、そうですね」

澪が梓に小声で話しかける。

澪「後で続きしよう、良い詩が書けそうだ」

梓は真っ赤な顔でこくりと頷いた。



お終い
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