「あ~ずにゃん!」
「うわぁ!やめてください、唯先輩!」
「うわぁ!やめてください、唯先輩!」
部室の扉を開けて入ってきた梓に、さっそく抱きつく唯・・・私の恋人に、そう簡単に抱きつかないでくれるかな?
私なんて、恥ずかしいやら、なんやらで、抱きつく勇気もないのに・・・
「澪先輩?」
「えっ?」
「どうしたんですか?元気ないですね・・・」
「えっ?」
「どうしたんですか?元気ないですね・・・」
心配そうな梓の顔。
「ごめん、なんでもないよ」
ニコリといつもの笑顔で、言うと
「・・・わかりました。でも、何かあったなら、何でも言ってくださいね」
不安な顔を残しながら、梓はそう言ってくれた。・・・梓は優しいな、ごめん、本当たいしたことじゃないんだよ。
ニコリといつもの笑顔で、言うと
「・・・わかりました。でも、何かあったなら、何でも言ってくださいね」
不安な顔を残しながら、梓はそう言ってくれた。・・・梓は優しいな、ごめん、本当たいしたことじゃないんだよ。
- ただ、君を思い切り抱きしめて、君をもっともっと近くで感じたいだけなんだ・・・・
◇
「・・・それで、私に相談してきたと・・・」
なぜだか、律が頭を抱えながらため息を吐いている。・・・こっちはめちゃくちゃ悩んでるのに・・・
「・・・うん、どうやったら梓を抱きしめらるかな?」
「そんなもん、梓に近付いて、そのまま抱きしめればいいだろ!」
「それができたら、苦労してないよ!」
「知るか!恋人なら、抱きしめてあげることなんて簡単だろ!?」
「私にとっては、全然簡単じゃない!」
「そんなもん、梓に近付いて、そのまま抱きしめればいいだろ!」
「それができたら、苦労してないよ!」
「知るか!恋人なら、抱きしめてあげることなんて簡単だろ!?」
「私にとっては、全然簡単じゃない!」
そんな言い合いがしばらく続く。長すぎて、お互いに息が切れていた。
「・・・はぁ・・はぁ・・くっ、このヘタレめ・・・」
『ヘタレ』その言葉が胸を刺す。その通りだから、何も言えない・・・
「いいかげん、自分に素直になったらどうだ?」
「え?」
「恥ずかしがらなくてもいいじゃないか。澪は梓が好きなんだろう?」
「え?」
「恥ずかしがらなくてもいいじゃないか。澪は梓が好きなんだろう?」
『好き』 直球な言葉に顔に熱が集まるの感じた。
「・・・うん、好きだよ」
ちっちゃくて、可愛くて、真面目なあの子。いつからだろう?すごく、すごく好きになってた。
「・・・なら、その気持ちのまま、思いっきり抱き締めればいい」
- この、気持ちのまま・・・そっか、そうだよな。私は梓のこと大好きなんだ。だから、抱きしめたい。ただ、それだけなんだ!
「ありがとう、律!さっそく抱きしめてくる!」
「ええ?!こんな時間に?!」
「ええ?!こんな時間に?!」
律のそんな言葉は気にしないで、私は律の部屋を飛び出した。外を出るともう夕方で、もう暗くなりかけていた。
◇
ピンポーン・・・
「こんな時間に誰だろう?」
時計を見ると、6時半。私は玄関に向かった。
がちゃり 扉をあけるといたのは澪先輩。大好きな人のいきなりの訪問で、私はすごく驚いてしまう。
「み、澪先輩?!どうした・・・?!」
『どうしたんですか?』そう続けたかった言葉は途中で切れてしまう。なぜなら、澪先輩に抱きしめられているから。そう理解したとたん、私の顔は真っ赤に染まる。
「み、みおせんぱい?!」
「好きだよ、梓。大好き」
「好きだよ、梓。大好き」
聞こえてきた言葉に、私の胸がひときわ大きく跳ねる。澪先輩から、ずっと聞きたかった言葉。私が告白して付き合うことになって、だけど、一度も聞いたことがなかった『好き』という言葉。不安だった・・・もしかして、無理して付き合ってくれてるんじゃないかって・・・
だけど、今の言葉でわかった。澪先輩は、本当に私を好きでいてくれている。そう思ったとたん、私の瞳から涙があふれる・・・
「み、澪先輩・・・う、ぐすっ・・・」
「あ、あずさ?泣いてるのか?ご、ごめん、いきなり抱きついて嫌だったかな?!」
そう言って離れようとする澪先輩に思い切り抱きつく。離れないでください、離れちゃいやですよ・・・
「あ、あずさ?泣いてるのか?ご、ごめん、いきなり抱きついて嫌だったかな?!」
そう言って離れようとする澪先輩に思い切り抱きつく。離れないでください、離れちゃいやですよ・・・
「・・・違いますよ、嬉しいんです・・・私も大好きですよ、澪先輩・・・」
「・・・梓・・・私も大好きだよ」
「・・・梓・・・私も大好きだよ」
そう言って、やさしく抱きしめてくれる澪先輩。澪先輩は大きいから、私は澪先輩の腕のなかにすっぽりと収まってしまう。・・・すごく、安心する・・・そうやってしばらく、私達は抱きしめあっていた。
おわり