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「あ~ずにゃん!」
「うわぁ!やめてください、唯先輩!」

部室の扉を開けて入ってきた梓に、さっそく抱きつく唯・・・私の恋人に、そう簡単に抱きつかないでくれるかな?

私なんて、恥ずかしいやら、なんやらで、抱きつく勇気もないのに・・・

「澪先輩?」
「えっ?」
「どうしたんですか?元気ないですね・・・」

心配そうな梓の顔。

「ごめん、なんでもないよ」
ニコリといつもの笑顔で、言うと
「・・・わかりました。でも、何かあったなら、何でも言ってくださいね」
不安な顔を残しながら、梓はそう言ってくれた。・・・梓は優しいな、ごめん、本当たいしたことじゃないんだよ。

      • ただ、君を思い切り抱きしめて、君をもっともっと近くで感じたいだけなんだ・・・・






「・・・それで、私に相談してきたと・・・」

なぜだか、律が頭を抱えながらため息を吐いている。・・・こっちはめちゃくちゃ悩んでるのに・・・

「・・・うん、どうやったら梓を抱きしめらるかな?」
「そんなもん、梓に近付いて、そのまま抱きしめればいいだろ!」
「それができたら、苦労してないよ!」
「知るか!恋人なら、抱きしめてあげることなんて簡単だろ!?」
「私にとっては、全然簡単じゃない!」

そんな言い合いがしばらく続く。長すぎて、お互いに息が切れていた。

「・・・はぁ・・はぁ・・くっ、このヘタレめ・・・」

『ヘタレ』その言葉が胸を刺す。その通りだから、何も言えない・・・

「いいかげん、自分に素直になったらどうだ?」
「え?」
「恥ずかしがらなくてもいいじゃないか。澪は梓が好きなんだろう?」

『好き』 直球な言葉に顔に熱が集まるの感じた。

「・・・うん、好きだよ」

ちっちゃくて、可愛くて、真面目なあの子。いつからだろう?すごく、すごく好きになってた。

「・・・なら、その気持ちのまま、思いっきり抱き締めればいい」

      • この、気持ちのまま・・・そっか、そうだよな。私は梓のこと大好きなんだ。だから、抱きしめたい。ただ、それだけなんだ!

「ありがとう、律!さっそく抱きしめてくる!」
「ええ?!こんな時間に?!」

律のそんな言葉は気にしないで、私は律の部屋を飛び出した。外を出るともう夕方で、もう暗くなりかけていた。






ピンポーン・・・


「こんな時間に誰だろう?」

時計を見ると、6時半。私は玄関に向かった。

がちゃり 扉をあけるといたのは澪先輩。大好きな人のいきなりの訪問で、私はすごく驚いてしまう。

「み、澪先輩?!どうした・・・?!」

『どうしたんですか?』そう続けたかった言葉は途中で切れてしまう。なぜなら、澪先輩に抱きしめられているから。そう理解したとたん、私の顔は真っ赤に染まる。

「み、みおせんぱい?!」
「好きだよ、梓。大好き」

聞こえてきた言葉に、私の胸がひときわ大きく跳ねる。澪先輩から、ずっと聞きたかった言葉。私が告白して付き合うことになって、だけど、一度も聞いたことがなかった『好き』という言葉。不安だった・・・もしかして、無理して付き合ってくれてるんじゃないかって・・・

だけど、今の言葉でわかった。澪先輩は、本当に私を好きでいてくれている。そう思ったとたん、私の瞳から涙があふれる・・・


「み、澪先輩・・・う、ぐすっ・・・」
「あ、あずさ?泣いてるのか?ご、ごめん、いきなり抱きついて嫌だったかな?!」
そう言って離れようとする澪先輩に思い切り抱きつく。離れないでください、離れちゃいやですよ・・・

「・・・違いますよ、嬉しいんです・・・私も大好きですよ、澪先輩・・・」
「・・・梓・・・私も大好きだよ」

そう言って、やさしく抱きしめてくれる澪先輩。澪先輩は大きいから、私は澪先輩の腕のなかにすっぽりと収まってしまう。・・・すごく、安心する・・・そうやってしばらく、私達は抱きしめあっていた。

おわり