※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

「澪せんぱーい!」
「お、来たな」
「待ちましたか?」
「いや、私もちょうど今来たところだよ。
 じゃ行こっか?」

 4月1日、時刻は現在ちょうど午前9時。
 今は私達以外に人の姿は見えない近くの公園を待ち合わせにして、今日は澪先輩とデート。
 もう朝方からドキドキとわくわくが止まらないでいる。

「あ、先輩」
「梓?」

 と、歩きだす先輩に、私はこんな言葉を口にした。

「私、澪先輩のこと本当は嫌いですっ」
「……え?」

 もちろんこれは真っ赤なウソで、あわあわあたふたとする澪先輩が見れればいいな、と。
 その後は謝ってから、どこかカフェにでも行ってお詫びに何か一品おごろうって、そう思っていた。

 しかし先輩は一瞬目を見開いた後、すぐに柔らかな笑みを浮かべ、

「でも私は梓のこと、好きだよ?」
「えっ、え……?」

 ぎゅっと抱きしめられた。
 な、なんだろう、私が嫌いと言って澪先輩は好きと言ってて……じゃあ逆に先輩は私のこと本当は嫌い?

 しかし先輩はそんなひねくれた私の考えとは裏腹に、

「今日はエイプリルフールだっけ? ……でも私はウソをつくのが苦手で、ついてもすぐにボロが出るからさ。
 だから今日はもし梓が何かウソを言っても、私は正直な想いだけを表そうって決めてるんだ」
「―――――」

 一瞬、目の前が真っ白になる。
 その言葉になんだか、一緒にお風呂に入ったわけでもないのに先輩に頭を綺麗に洗われたような――そんな気がした。

「ごめんな、ユーモアのかけらも無くって」
「そっ……そんなことないです!」

 ハッとして、それから強烈な自己嫌悪が沸いてきた。
 先輩は本当にまっすぐなのに私ったら……。

「ごめんなさい、私ウソとはいえひどいこと言って……」
「ううん、気にしてないよ。
 それに私は梓の本当の気持ち、よく知ってるから」




 そう言いながら先輩はよしよし、と抱きしめながら私の頭をなでてくれた。
 そのまっすぐな優しさに鼻の奥がつんと熱くなってきて、なんだか泣きたくなっちゃいます……。

「じゃあ梓の本当の気持ち、言ってほしいな」
「ええっ!?」
「ちゃんと言わないと、今日の夜はたっぷり猫可愛がりしちゃうぞ?」

 そ、それはそれで実に魅力的なお誘いですけど……。
 けど、澪先輩のまっすぐな心に私もまっすぐ答えたかったので。

「私……澪先輩のこと本当は誰よりも、大好きですっ」
「ありがとっ、私も大好きだよ、梓」

 ――好きな人には、素直にありのままの好意を伝えられる……。
 こんなひねくれた私でも澪先輩には素直な心で。
 いつも、ありのままの好意を伝えられるようになりたい――。










「じゃあ今日の夜、楽しみにしてて。
 梓のこと、たっぷり可愛いがるからさ」
「わっ、私、正直に言いましたよー!?」

(FIN)