「うーん……」
カーテンの隙間からもれだす朝の陽射し、ぼんやりと明るい自分の部屋の様子にゆっくりと目を開ける。
今日からいよいよ新学期を迎え、私もついに三年生。
早く起きなきゃ、と目蓋をこすりつつも4月上旬の朝方はまだまだ寒くって。
布団のあったかい心地よさから出られずについもう5分だけ……と布団の中でもぞもぞと体を丸くする。
布団のあったかい心地よさから出られずについもう5分だけ……と布団の中でもぞもぞと体を丸くする。
「んー……」
このままじゃ5分どころか30分近くは二度寝しちゃって、その結果慌ただしく朝の準備をして登校時間ぎりぎりに学校に到着することになるのは目に見えてるのに……。
そう思いながら意識が薄れていく直前、
そう思いながら意識が薄れていく直前、
~♪~♪
枕元の近くに置いてある携帯から着信音――設定音からしてメールではなく電話――が鳴り響いた。
「んんー……」
こんな朝からいったい誰……ふざけたいたずら電話だったら怒鳴りつけてやるんだからっ。
「……もしもし?」
「おはよう、梓」
「――――え?」
「おはよう、梓」
「――――え?」
声を聞いた瞬間、頭の中が真っ白になった。
携帯から聞こえてくるのは優しくて、綺麗で、何より大好きな人の声。
携帯から聞こえてくるのは優しくて、綺麗で、何より大好きな人の声。
「みっ、澪先輩!?」
ばっと布団から跳ね起きて、半ば無意識にベッドの上に正座する。
うわあっ、今明らかに不機嫌な声で話しちゃってた……澪先輩に対して失礼にも程があるよう……。
うわあっ、今明らかに不機嫌な声で話しちゃってた……澪先輩に対して失礼にも程があるよう……。
「お、おはっ、おはようございますっ」
「ふふっ、おはよう」
「ふふっ、おはよう」
起きたばかりで、上手く動かない頭を何とか働かせながら挨拶を返す。
「ど、どうしたんですか? こんな朝早くに」
「今日から桜高、学校が始まる日だからさ。
梓、ちゃんと起きれてるかなって」
「今日から桜高、学校が始まる日だからさ。
梓、ちゃんと起きれてるかなって」
卒業したのに、桜高の始業式の日を知ってるだけでなく私のことを心配してくれて……すごく嬉しいですけど、
「だ、大丈夫ですっ。今日から三年生ですし」
「それにしては寝起きでお世辞にも機嫌の良くなさそうな声が聞こえたけど?」
「う……」
「それにしては寝起きでお世辞にも機嫌の良くなさそうな声が聞こえたけど?」
「う……」
まさか澪先輩がこんな朝に電話をかけてくるとは思ってなかったので、嬉しい不意打ちにも程がありますよ……。
そう思っていると、先輩から驚きの提案が。
「それでさ。もし梓がよければ今年いっぱい、学校がある日は梓にモーニングコールをしようかなって思ってるんだけど、どうかな」
「ええっ!?」
「ええっ!?」
そ、それはつまり、学校がある日は朝、澪先輩が電話して起こしてくれるということ?
「……ごめん、やっぱり迷惑かな?」
「そっ、そんなことないです! 毎朝澪先輩に起こしてもらえるなんてむしろ嬉しくて……その、よろしければっ」
「そっか、よかった。私も朝に梓の声が聞きたかったから嬉しいよ」
「そっ、そんなことないです! 毎朝澪先輩に起こしてもらえるなんてむしろ嬉しくて……その、よろしければっ」
「そっか、よかった。私も朝に梓の声が聞きたかったから嬉しいよ」
どっちかというと寝ぼすけな私にとって、澪先輩に起こしていただけるならどんなにまどろんだ意識でもすぐに覚醒しちゃいますし、何より朝を迎えるのが待ち遠しくって早寝早起きになっちゃいます。
「梓」
「は、はい」
「は、はい」
急に真剣な声で名前を呼ばれ、思わず背筋を伸ばす。
すると、
すると、
「私はどんなに離れていても……いつも梓のこと、愛してるよ」
「――――」
「――――」
その言葉に、携帯で話していて先輩は目の前にはいないのに。
優しく、ぎゅっと先輩が抱きしめてくれているような温もりを感じた。
優しく、ぎゅっと先輩が抱きしめてくれているような温もりを感じた。
「わ、私も……」
「ん、なに?」
「私もどんなに離れていても……いつも澪先輩のこと、大好きです!」
「ん、なに?」
「私もどんなに離れていても……いつも澪先輩のこと、大好きです!」
電話越しに先輩が伝えてくれる好意に、私自身もありったけの好意で返す。
「ありがとう! 大変だと思うけど、お互いにこれから頑張ろうな!」
「はいっ!」
「はいっ!」
――離れていても、澪先輩の想いが私を守ってくれる。
あたたかくて、優しい想いをいつも感じられる。
あたたかくて、優しい想いをいつも感じられる。
うん、ならきっと大丈夫。
多少の寂しさも澪先輩の想いを感じて、強さと優しさに変わっていける。
多少の寂しさも澪先輩の想いを感じて、強さと優しさに変わっていける。
昨日を大事にしながら、今をより大事に。
その先にいつかの懐かしい明日が待っていると信じて、私も頑張ろう――!
その先にいつかの懐かしい明日が待っていると信じて、私も頑張ろう――!
(FIN)