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あれ、ここはどこだ。

寝ぼけまなこで辺りを見回す。どうやら列車のボックスシートらしい。
車窓の外はすでに夕闇が広がり始めていた。
そしてすぐ傍に、心配そうに私のことをのぞき込む梓の顔があった。

照れ隠しにあわてて腕時計を見ると、なんともう6時近い。
いったい何時間乗っていたのだろう。

「なんで起こしてくれなかったんだっ」
「だって……澪先輩の寝顔があんまり可愛くて……」

しゅんとする梓の姿を見て肩の力が抜ける。ほんとに、しょうがない奴だなあ。
せっかく気分転換に時々出かける日本海の景色が見たいって言うから、こうやって出かけてきたのに。
この時間じゃもう家に戻るしかなさそうだ。

「きっと昨晩の疲れが残ってたんですよ、先輩。すいません。なんだか私、少しはしゃぎすぎちゃって」

落胆が顔に浮かんでいたのだろうか。フォローするように梓が口を開く。

「じゃあ今夜はもう少しマイルドに「それはダメです」

ひょっとして今ならというわずかな期待は、梓の極上の笑顔できれいさっぱり吹き飛ばされた。
そしてもちろん私には、それを拒否する権利も資格も持ち合わせてはいない。
もとはといえば私の方から誘ったのだから。
先輩であるはずの、この私が。

それにしても……また今夜も、その……攻められるのか……あうううう。

 (おしまい)