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「もう梓のバカバカ・・・」

私はポツリと呟いた。
最近梓、全然私にかまってくれない。

なんか悔しい。
私が梓を守ってあげる、甘えさせてあげる。
それが今までの私達だったから。
これじゃ、私の方が寂しがりやの子供。

「澪先輩、お茶の準備出来ましたよ。」
「うん・・・」

梓は、優しくてみんなに気遣いもできる。
でも恋愛に関しては疎いんだよな・・・って私が言えた事じゃなけど。
梓から告白してきたときも
「澪先輩、私が好きだって全然気づいてなかったんですか!?」
「まさか両思いとは思いもしなかった・・・」
「澪先輩の鈍感」
なんて会話したっけ。

「澪ちゃん、なんか今日テンション低いね~、どうしたの?」
唯の声でハッとなり顔を上げる。
「え!?そんなこと全然無いって。」
ムギも心配そうに、顔を覗き込んでくる。
「ホント大丈夫?」
「うん、ありがとっ。なんか試験勉強で疲れちゃっただけ」
私は無理やり笑顔を作った。
律「澪、もしかしてあの日、ゲフッ!!」
澪「違う!」
律に突っ込みを入れる。
梓はジッっとこっちを見ている。
私は梓にも、微笑みかけた。
なのに梓は何か言いたそうな顔をして、目を逸らしてしまった。
胸の奥がギュッっと締め付けられた。

大好き。大好きなのに、不安になる。
ううん、大好きだから・・・不安。
どうして梓は、最近ずっと私のこと真っ直ぐ見てくれないんだろう。




「梓・・・・」
つい呼んでしまう愛しい人の名前。
梓とのいろんな事を思い出してるうちに眠気が襲ってきた。
そう言えば、最近梓との事が気がかりで睡眠不足だったからなぁ・・・
部室のソファーでついウトウトしてしまう。


どれくらいの時間がたったのだろう。
ハッと目が覚めると、目の前に暖かい壁があった。

「梓?」
すぐに分かった。私梓に抱きしめられてる。

「澪先輩、私恥ずかしいです。」
「へ!?」
「ずっと澪先輩、寝言で私の名前呼んでました・・・」
「あ…いや、それは///」
「・・・・・・」

会話が途切れる。
「梓、私のこと嫌いか?」
私はストレートに聞いてみた。
「・・・何でそんなこと聞くんですか・・・?」
「最近梓私のこと避けてない?」

「だって、澪先輩・・・ずっと律先輩と一緒にいる。さっきだって嬉しそうに律先輩に突っ込んで。
 澪先輩は私よりも律先輩の事・・・」
「え!?だって家も近いし同じクラスなんだから当たり前だろ?」
「それに私が突っ込まなかったら突っ込み不在で律が一人で空回りしちゃうだろ?」
「もしかしてそんな事で嫉妬してたのか?」
梓は私から体を離した。
私と梓はビックリした表情でお互い顔を見合わせて、大笑いした。

そうだった、梓も私も恋愛に鈍感だったんだ。
似たもの同士だったんだ。お互い拗ねてただけ。

「もう遅いし帰ろっか」




「手、繋いでも良いかな?」
 通り過ぎる人影が見えなくなった所で、澪はポツリと切り出す。
「駄目です。私ずっと我慢してたんですから、こっちが先」
 言うや否や、梓はぎゅっと澪に抱きつく。
「もう、ずっと堪えてたんですからね。 早く澪先輩に抱きつきたくて」
「うふふ」
 いきなりのハグにちょっぴり照れながら、澪は嬉しそうに梓の頭を撫でる。
そして、この後に来るキスを心待ちにしていた。けれど、梓は動かない。不思議に思った澪が梓を見ると、
梓は穏やかな笑顔で切り出してきた。
「このまま帰るのもつまらないし、ちょっと散歩していきません?」
 そう言って梓は澪の返事も待たずに手を握ってくる。少し拍子抜けしてしまった澪であったが、
「うん、良いよ」
 すぐにコクリと頷き、梓に連れられるがままに歩き出した。
 薄暗い街を、梓と歩く。

 梓は公園の方へ向かっているのだろうか?二人きりで歩く道は、静かであった。
 悪戯っぽい笑みを浮かべる梓。その笑顔が妙に眩しくて、澪は次第に胸を高鳴らせてしまう。
「今日はありがとうございました」
「えっ?」
 不意に梓が告げた感謝の言葉に、澪はキョトンとしてしまう。
「何か私の一方的な勘違いで・・・それを澪先輩の方から切り出してくれて」
「うふふ、もう良いんだよ」
 しみじみと語る梓に、思わず澪はしがみつくように梓の腕に抱き付く。梓が喜んでくれた。




 互いに見つめ合い、そしてくすくすと笑う。
 そして、ようやく公園に辿り着く。
「時間も遅いから何か貸し切りみたいですね 部室でバカ騒ぎするのも良いですけど、たまにはこんな静かな所も良いですよね」

 そして、梓は澪の肩に手を掛け小さく背伸びをした。

 そっと梓の顔が近付き、唇が重なる。
 今にも気絶しそうなくらい、澪はドキドキしていた。でもそれは梓も同じで・・・

 やがて梓が顔を引くと、澪はクスリと笑ってしまった。
 梓はすっかり赤くなりながら頬を膨らませる。
「・・・梓」
 そう呟くと澪は今度は自分から梓に唇を合わせにいった。

 何度でも足りない。
 もっともっと、梓とキスしたい・・・

「もう、澪先輩ってば・・・」
 負けじと梓も何回もキスの雨を降らせる。
 それはどこかくすぐすったいようなキス。けれど、とてもとても温かいキス・・・

「大好きだよ、梓・・・」

じっと目を見て梓に伝える。心を込めて。

「澪先輩・・・なんか照れます・・・」
「大好き。ずっと一緒にいたい。もう離れたくない。」

「私も大好きです澪先輩……」
 そして梓は、ゆっくりと澪の胸に飛び込んでいった・・・



終わり