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 12月31日、午後11時30分頃――。

「澪先輩」
「うん、行こう、梓」
「はい!」

 顔をつきあわせてとっても小さな声で言葉を交わして、こっそり立ち上がった。

―――――

 今年も年越しを祝おうとみんなで唯の家で集まっている。
 憂ちゃんが作ってくれた美味しいご飯を食べながら、いろいろお話をしていた。

 何より、梓と一緒にいられることがうれしくて。

 10時を回ると、みんな目がうつろになり出して11時を回る頃にはみんな寝ていた。
 梓と私だけ起きてる。

 というのも。
「澪先輩、二人だけで初詣行きません? 日が昇ったらみんなで行くでしょうし」
「そうだね。……そうだ。みんなが寝静まったら行こう。年開けちゃうかもしれないけど」
「はい!」
「がんばって起きてないとね」
 といったような約束を二人だけでこっそりしていたから。

 唯の家をこっそり出た瞬間、私たちを風が襲った。
「寒い……です」
「寒いね、じゃあ――」
 首に巻いていたマフラーをほどき、梓にも巻いてあげた。
「温かいです。ありがとうございます」
「うん、じゃあ行こうか」
「はい!」

 近くの神社――。
「まだ早かったみたいだね」
「そうですね。でも間に合ってよかったです」
 神社の境内に入ってから携帯の時計を見たら、年が変わるまでにはまだちょっと時間があった。
「今年は、どんな一年だった?」
「澪先輩がいなくて寂しい一年でした。でも、来年は澪先輩と一緒に過ごす一年にします!」
「私も梓がいなくて寂しかったぞ。4月から一緒の大学に行こうな」
「絶対行きますから、待っていてくださいね」
 梓の瞳には、強い意志が宿っている。
「わかった、待ってるぞ」
 といって、私は梓の頭を撫でた。
「えへへ」
 さっきまでの凛々しい顔つきはどこへやら、とたんにへにゃりと破顔する梓もかわいい。


 と――。
 ボーン。ボーン。
 新年をの到来を告げる鐘が鳴る。
「あけましておめでとうございます、澪先輩!」
「あけましておめでとう、梓」

 私はきょろきょろと見渡し、周りに人影がないことを確認する。
「?」
 梓がきょとんとしている。きょとんとした梓もかわいい。
 そんな梓の顔を両手でそっと包んだ。さすがに気づいたみたい。
「みっみみみおせん――」
 静かに目を閉じ、梓の唇に私の唇を重ねた。

 数秒後、そっと唇を離し目を開けると、梓が顔を真っ赤にしていた。
「今年初めてのキスだな」
「ですね……でも、澪先輩大胆すぎます……外ですよ……」
 今更ながら、自分のやったことが恥ずかしくなって顔が真っ赤になっている。

 お互い赤面して動けなくなっていたけど――。
「み、澪先輩、お参り行きましょう!」
「そ、そうだな」
「行きましょう!」
 二人で、一緒にお参りをする列に加わる。

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 お祈りすることは――。
 梓が大学に合格しますように。
 梓と一緒にいられますように。

 そして、ずっと放課後ティータイムのみんなが一緒でありますように。