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ドキドキが止まらない。
 この日をずっと待ちわびていた。
 でも、この日を迎えると胸が高鳴ってもう収拾がつかなくなっちゃって。

 別にステージに立つわけでもないし、ファンクラブのみんなの前でケーキカットをするわけでもなんでもないんだけど。

 今日は、愛しの梓が私の下宿先に引っ越してくる日。
 ふたりでの新しい生活が始まる日。

 私たちの通う大学に進学すると梓が初めて私の下宿に遊びに来たときで――たしかGWの頃だったと思う――、こう言ったのを今も覚えてる。
 『同じ大学に入って、澪先輩と一緒に住みます!!』
 つい、嬉しくて。梓の頭を撫でながら。
 『私は待ってるぞ』
 と返した。

 梓、純、憂と、みんな同じ大学を第一希望にして、3人揃って必死に勉強していた。私も力になってあげたいと思って、ちょこちょこと暇を見ては梓の家や平沢家とかで勉強を見たり。

 私たち、放課後ティータイムにとっての1年は早かったと思う。
 でも、梓と私の1年は、とても、とても……長かった。
 たまに梓の家に遊びに行ったり、逆に私の家に梓が来たりということはあったけど、それでも寂しかった。それは梓も一緒だと思う。


 合格発表の日。
 私たち4人組は大学の講義はおやすみなので、愛する後輩の結果を一緒に見に行こうということになった。もちろん、3人とも合格しているって信じていたさ。3人がとても頑張っていたのを知っているから。それでも唯は憂ちゃんが合格しているのか不安だったらしく、憂ちゃんよりも不安がっていたり、律が純ちゃんと共闘して梓を弄り倒しているのを止めようとして、その、一緒に弄られたり……。

 みんな揃って結果発表を見た。
 結果は――。




 それで、今に至る。
『もしかしたら荷物が先に届くかもしれないので、澪先輩は家で待っていてください。お昼時には着くと思います』と言われていたので家で待っていたけど、今すぐにでも駅に迎えに行きたい。ううん、梓の家まででも迎えに行きたい。
 逸る気持ちを抑える。でも、何も手に付かないままお昼を過ぎていた。

 と――。

 ピンポーン。

 インターホンが来客を伝える。
 急いで立ち上がり、インターホンの受話器を取った。

 期待と不安で震える体をなんとか押さえ込み、声を出した。
「はい」
『澪先輩!』
 私の名前をはつらつとした声で呼ぶのは、
『梓です!!』
 私の愛しの人。

 返答すること自体がもどかしく、受話器を戻してすぐに玄関に飛んでいって鍵を開ける。
 そこには、まぶしいぐらいはつらつとした笑顔の梓がいた。

 いろいろ言いたいことがあったけど、一番に言いたい言葉を紡ぐ。

 ・ ・ ・ ・
「おかえり、梓」

 私の言葉に、梓は一瞬驚いた表情を見せた後――。

 ・ ・ ・ ・
「ただいまです、澪先輩」