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 パパとママが遊びに来て泊まることを考えて借りた2DK。3階のちょうど角の部屋で東向きだけど窓があるダイニング。南向きの2部屋。それが私の家。

 寮ではあんまり騒げないのか私の下宿にみんなで集まって、お菓子を食べて、ひたすらしゃべって、疲れて寝て。使ってない1部屋も使ってみんなで泊まったりもしたっけ。そういうときは寂しくなかったけど。
 独りになると妙に広くて、とても寂しかった。

 梓が到着して数十分ぐらいで引っ越し業者の方が来た。
 梓の荷物を広げるのを手伝う。もちろん、今日一日で全部広げたら大変だから、生活に必要なものだけ。服とか。

 いろいろと準備をしていたら夕飯時になったから、豪勢ではないけどお手製料理を一緒に食べて。
 お風呂に入って、お互いの髪を乾かして梳かして。

「ふわあぁ」
「ん、梓、眠いの?」
 いろいろな話題で盛り上がっていたところ、梓が大きなあくびをした。時計を見やるとすでに日が変わりそうになっていた。
「! 眠くないです! まだ澪先輩とお話ししたいです」
「ふふっ、それはうれしいけど…。お話はまた明日でも出来るから、今日は寝よう? 梓も疲れてるだろ」
 土日遊びにきて、その間しか一緒に居られないわけじゃないんだからな。
「そう、ですね。今日はもう寝ましょう」
 梓が視線を落として口を閉じてしまった。本当はもっとお話ししたかったのかな。
 と、顔を上げた。ほおを赤らめながら。
「澪先輩、これから一緒のベットで寝ても……いいですか?」
「……うん。一緒に寝よう」
 うれしくて、でもちょっと恥ずかしくて。
 一緒に寝られることが分かって、梓の表情がぱあっと明るい笑顔になって。

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「電気消すけど、いい?」
「はい、大丈夫です」
 カチっ。スイッチの軽い音と天井の照明が消えて真っ暗になった。
 3月も終わりになると多少は暖かくなってきたけどまだ寒い。私一人ならすぐにベットまで移動してすぐにでも布団に潜り込んだけど――今日からは梓がいる。これから一緒に寝るとを思うと鼓動がいっそう早くなって、顔が赤くなるのが分かる。
 ちょっと深呼吸。
(……よし!)
 心の準備が出来たからベットまで移動して、布団に潜り込んだ。ちょっと早足で。

 布団に潜り込んだらすぐに梓を抱き寄せる。ちょうど、一年前と同じような感じで。
「にゃっ!?」
 と、悲鳴(?)が上がったあと、小さな声で(そして照れている声音で)抗議した。
「澪先輩……一言言ってください……」
「ごめん。でも、寒かったから」
 勢いをつけないと出来そうになかったから、というのは声に出さなかった。
 だって本当に大切な人と一緒にいることはとてもうれしいけど、なぜかどきどきが止まらないんだ。
 腕の中の梓も緊張しているのかすごく体をこわばらせていたけど、背中をそっと撫でていたら少しずつ力が抜けていった。

「あの、澪先輩…お願いがあるんですけど、いいですか?」
「なに?」
「二人の時は、その……澪って呼んでいいです、か?」
「……じゃあ、二人の時は敬語を使わないでほしいな」
「……うん、わかった」

 梓との心の距離がちょっとだけ、でもすごく心の距離が近くなったとおもう。

「おやすみ、梓」
「うん、おやすみ、澪」

 耳元でそっと囁く。
「大好きだよ、梓」
 この部屋には梓と私しかいないけど、梓にだけ聞いて欲しかったから、耳元で。
 新しい朝が来るまで、おやすみなさい。