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澪先輩はとにかく人気者だ。
 1年次のライブで一躍スターになりFCまで存在する。
 通学途中も、澪先輩は次々と声を掛けられる。

 なんだろう……。この気持ちは……。
「梓、どうかした?」
 澪先輩は急に振り返り、私の顔を覗き込んでくる。
「べ、別に何でも無いです」
 私が答えるとふーん、と頷いて、澪先輩は律先輩とおしゃべりを始める。

 けど、私は……。

  ―――いつからだろう?
 私がこんな気持ちを抱くようになったのは……。

「―――でさあ、あの時……」
 澪先輩が誰かとおしゃべりするたびに、私の胸に鈍い痛みが走る。それは、醜くて今すぐにでも
捨ててしまいたい感情。




―――嫉妬。

 そう。私は嫉妬してるんだ……。澪先輩に近付くみんなに。
 同じ学校の子。ファンクラブの子。そして、けいおん部の仲間である律先輩にさえも……。
 つくづく自分が嫌になってしまう。けれど、この感情は私の中で膨らむばかり。
 見苦しくて、それを認めたくなくて、私は必死に平静を装う。上辺だけの笑顔という仮面をつけて。

 ―――なのに。

「梓、具合悪いの?」
 澪先輩だけが、私の異変に気付いてしまう。こんな風に。
 そんなの言えるワケない。澪先輩が好きだから、みんなに焼きもち妬いてるなんて。
 だから私は―――、
「いえ、昨日遅くまでテスト勉強してたんでちょっと寝不足なんです」
 心を殺しながら、私は仮面を被ったまま答えるだけ。その度に、私の心は悲鳴を上げる。
 けどしょうがない。これは澪先輩を好きになってしまった私への罰だから……。
「あんまり無理するなよ? 梓は辛くても頑張っちゃうから」
 と言うと澪先輩は私の頭を撫でてくれた。
「ハイ、大丈夫です。」
 澪先輩の忠告に素直に頷くと、澪先輩はいつもの笑顔を見せた。思わず私は目を逸らしてしまった。




 もし、私が告白したら、澪先輩はどんな表情をするんだろう?
 澪先輩は笑顔でいるんだろうか?

 ついついそんな事を考えてしまう。結果は分かってるのに。私が振られてお終い。
それでけいおん部五人の仲にもヒビが入ってギクシャクしてしまう。

 だから私が我慢すれば良いんだ。
 幾ら心を痛めても、私は我慢する。それだけのこと。
 だって、澪先輩を好きな気持ちは捨てられないから―――

 好きです、澪先輩……



お終い