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放課後を迎え、教室を出ると私は足早に部室に向かう。
最近は急に気温が下がったこともあるけど、今日はまた天気予報で言ってた予想気温より更に下回っていると思われるような寒さ。もう廊下にいるだけで震えてきてしまう程。

こんなに早く行ってもまだ先輩達も来てないだろうし部室も暖かいわけじゃないけど先に来て部室の暖房を入れる事ぐらいは出来るかな、と思いながら部室に入る。
と、

「梓?今日はまた早いな」
「澪先輩!?」

澪先輩だけが先に来ていたようで、少し驚いてしまった。

「澪先輩一人だけですか?他の皆さんは・・・」
「ああ、それが・・・」

澪先輩は何やらため息混じりで話し始める。

「今日はまた一段と寒くなったからさ、なんか部室にすぐ行って暖房を入れても部室全体に行き渡るまでが寒いよ~って唯が言い出して・・・」
「はあ」
「で、なんか律の提案でジャンケンで負けたやつが一足早く先に部室に行って暖房を入れに行くって事になってさ。負けちゃった私が先に一足早く部室に来てたってこと・・・代わりに私は今日の教室掃除はしなくてすんだんだけど」
「そ、そうだったんですか」
「まあみんな、ただ暖かい部屋ですぐにお茶が飲みたいだけだろうけどさ」
「あ、それはなんとなく私もそう思いました」

お互いに顔を見合わせて苦笑する。




「くしゅんっ」
「梓、大丈夫か?今暖房つけたばかりでまだ寒いしな・・・」

そう言うと澪先輩の両手がそっと私の頬に当たる。顔が近い。

「少し唇が青いな、頬も冷たいし」
「そ、そうですか?」
「梓に風邪でも引かれたら嫌だし・・・よし、部室が暖まるまで私が暖めてあげる」

そう言うと澪先輩は腕を私の背中に回し、優しく包みこむようにして抱きしめてくれた。

「どうかな?少しは暖かい?」
「は、はいっ!あ、ありがとうございます」

ああ、暖かいだけじゃなくて柔らかでいい香りがして・・・もう寒さなんてどこかに吹き飛んじゃいそうです。
けどワガママを言うなら、

「出来れば唇も暖めてほしいです、澪先輩」

ちょっと調子良すぎだとは思いつつも、私は顔を上げて目を閉じ軽く唇をつきだす。

「む・・・仕方ないな」

そう言うと澪先輩の手が私の頭に回りゆっくりと引き寄せられ、

ーちゅっ

澪先輩の唇と私の唇が重なった。
柔らかな唇の感触が数秒程続き、唇だけでなく体中が暖まっていく。

「・・・よし、唇ももう青くないし大丈夫だな」
「すいませんワガママ言っちゃって・・・」
「いいよ、言い出したのは私の方だしさ」

唇が離れ、無理言った事を謝る私と照れ笑いを浮かべる澪先輩。




「やっぱり澪先輩の体は暖かいですね・・・こうして抱きしめられているとすごく心地良いです」
「そうだな・・・私も好きだよ、梓」

抱きしめながら、澪先輩は私の頭を優しく撫でる。

「んっ・・・」
「それに、こうして梓を抱きしめていると梓の温もりを感じられる」
「温もり・・・ですか?」
「うん。単純な暖かさとは別の・・・梓の心や鼓動を感じられるから、こんなにも幸せで心地良いんだと思うんだ」

深く染み入るような声で、澪先輩はそう言ってくれた。

「そうですね・・・私もこうしていると澪先輩の温もりが伝わってくるから、心が満たされてすごく幸せな気持ちになってきます」

抱きしめられているだけだった私もまた澪先輩の背中に腕を回し、私からも先輩をぎゅっと抱きしめる。

「もう少し・・・このまま澪先輩の温もりを感じていたいです」
「私も、梓の温もりをもうしばらく感じていたいな」
「澪先輩・・・」
「梓・・・」

そうして澪先輩と私はもう一度キスをすると、しばらく抱きしめあったままお互いの温もりを感じあっていた――。

(FIN)




おまけ

{部室の外}

「(りっちゃん隊員!部室があったかすぎて入れないでありますっ)」
「(あったかってレベルじゃねーぞっ、こっちからすると熱すぎて・・・ってムギ?)」
「(二人とも、もっと、もっと熱くなっていいわーっ・・・REC)」

(ホントにFIN)