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ザァァ…

雨かぁ。まったく、嫌になっちゃうね。休日は晴れで気分良くすごしたい。
だからといって平日に降ると今度は通勤が大変なんだよねぇ。
そしてそれを考えると、今度は雨の降るタイミングがないけど。
さて、雨はいいんだけど、ひとはちゃんはまだかなぁ。

ガチャ
あ、ひとはちゃんかな。

…あがってこないなぁ。どうしたんだろ。見に行ってみよう。

「せ、せんせい…」
「わぁ!ひとはちゃんずぶ濡れじゃない!待ってて、タオル持ってくるから!」

「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
「急に降られたの?」
「はい、油断してました」
「そっか。うーん、風邪引くといけないから、お風呂も沸かしてくるよ」
「……お願いします」
なんだろう、今の間は。まぁ気にしてる場合じゃない、早くお風呂を入れよう。

うーん、お風呂入れてて思ったけど、ここにひとはちゃん入れていいのかなぁ…。
あんまり綺麗じゃないし…。まぁそうも言ってられないか。風邪を引いたら大変だ。

チャポーン
考えてみればすごい状況だ。
僕しか使っていないお風呂に、僕のよく知っている女の子が入っている。
今まで一度だってそんな経験は無いんだよなぁ。それがこんなにも緊張するものだとは。
お湯を流す音がまた…。
お風呂の外で聞いてるのに、なんでこんなにも頭に残るんだろう。
何故か無性にそわそわするし。
あれは体を流している音なのかな。髪を洗っている音なのかな…。
うぅ、ひとはちゃんが僕のお風呂で…首筋や足を…。

考えたくもないけど、聞こえちゃうとどうしても、意識しちゃうなぁ。
それに、髪を洗っているってことはひとはちゃんはしっとりした髪になってるわけで…。
となると、さっきのずぶ濡れのひとはちゃんを思い出しちゃうなぁ。
雨に濡れて冷えていたけど、とても綺麗だなと思ってしまったし…。
うーん、ずっとここに住んでいるけど、こんなこと考えてると別の部屋みたいだ。
僕とひとはちゃんの部屋…って、あれ…。普段と、同じ…?

僕とひとはちゃんの距離って…。

ガチャ
「先生」
「ひゃい!」
「…?あの、タオルを」
「ドアノブにかけてるよ!」
「あ、はい、ありがとうございます」
考え事をしているときって焦るなぁ。それもその子のことを考えていたから余計に。

「先生、着るものを貸してください」
「あぁぁ、うん、そうだね!」
着るもの着るもの…。

…あれ?着るもの?誰が着るの?

ひとはちゃんが。女の子が。僕の服を。
うわわわ、まさか僕の着古してるのを着せるわけにはいかないし、綺麗なやつを用意しなきゃ!
えーと綺麗なやつ綺麗なやつ…ってここは洗濯物の山だ!
あぁ、そうだ、この前クリーニングに出したアレなら!
「はい、ひとはちゃん!」
「先生これ…」
「クリーニングに出したやつだから!綺麗なやつだから!それでお願い!」
これでダメと言われたらどうしよう。
我が家にはひとはちゃんが着れるような綺麗な服は無いんだけど…。

「えっと…はい…」
あぁ、良かった。大丈夫そうだ。

「…先生のエロ」
「えっ、なに、ひとはちゃん」
「なんでもありません」
何だったんだろう。まぁとりあえず落ち着いて待とうかな。
さっきみたいに変にひとはちゃんを意識しないようにね。
自分の部屋のお風呂場で、女の子が着替えているというのがすごく妙な気持ちにさせるけど。
こういう時はガチレンの名シーンでも思い出そう!
おぉ、燃えてきた!邪念も飛びそう!

ガチャリ
「お風呂、ありがとうございました」
「あ、ちゃんと暖まれ…」
邪念は落ち着いたはずだったのに。これじゃ全く意味が無い。

決して狙っていない。いないけれど。
僕はなんでアレを渡したのか。よりによってワイシャツを…。

「あんまりジロジロ見ないで下さい、変態」
「あ、ご、ごめん!」
慌てて顔を背けたけれど、それでもひとはちゃんの首筋や足が、頭から消えてくれない。
どうしても、ひとはちゃんを意識してしまう。

「それにしても裸ワイシャツなんて…」
「ほんとにごめん!」
「最初は狙ってやったんじゃないかと思いましたよ」
「そんなことないよ!」
それはもう、さっきの僕を叱り飛ばしたいぐらいだよ。

「もういいです。チクビと遊びます」
「あ、うん」
ひとはちゃんが動いて、その度に裾がひらひら揺れる。そこから見えるひとはちゃんの素足。
正直、目のやり場に困るんだけど。…と、あれ?

「っ!っと!っ!」
ひとはちゃんが腕をぶんぶん振っている。一体何を。
「ひとはちゃん、何してるの?」
「…先生、袖を」
「あ。そっか」
僕のワイシャツだから当然ひとはちゃんには大きいわけで、勿論袖もぶかぶかだ。
あまりにぶかぶかなもんだから、どうやらうまく通すことも難しいみたいだ。
それだと手が使えないから確かに不自由だよね。

「それじゃ失礼するよ」
ワイシャツ一枚の女の子が目の前にいるけれど。なんとか邪念を抑えて…。
袖をつかんで…巻いて…手を通して。

「「あ…」」
手が触れる。うわ気まずい。意識しちゃってるから余計に…。な、何か話さないと…。
と思っていたらひとはちゃんが喋りだした。

「先生は…」
「え?」
「…。こんな格好、漫画でもないとありえない状況ですよ。どうするつもりですか?」
「ど、どうもしないよ!」
するわけがない。僕とひとはちゃんとはそんな距離じゃないからね…。

「先生のエロ本ではこのあと」
「わわわわ、何言ってるの!」
恥ずかしながら、僕の嗜好まで知られている相手だけど。
そしてお互いがお互いを知っているけど。

ポツリ
「先生の意気地なし」
「え?」
「先生は優しいですね、って言ったんです。それじゃ私はチクビと遊びます」
「うん、そうして欲しい、かな」
僕は今のひとはちゃんを直視できないわけで。情けないことに。

「なんだか私が邪魔みたいな言い方ですね」
「いや、そうじゃなくて直視できないと言うか…」
「私はそんなに目の毒ですか?」
「そんなことないよ!」
「保養ですか?」
「うっ…えっと…」
「変態ですね」
「返す言葉もございません…」
それでもきっとこれでいい。僕は、君とのこの時間が好きだから。この距離が好きだから。


それはそれでいいんだけれど…。
チクビと遊んでいるひとはちゃんの裾がとても危険なことになっていたのは秘密にした。
こっそりひとはちゃんを見ていたなんて、知られたくないしね。
それなのに。

「度を越した変態ですね」
「…ばれてた?」
「私も先生と同じですから。ちゃんと見てますよ」
あっさりばれていたらしい。それに僕と同じらしい。
今日は服が乾くまでしばらく一緒だね。
それじゃ、このお互いに好きな時間を、二人で堪能しよう