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――――――――――


ザー!

帰宅後、熱いシャワーを浴びて汗を流す。
けれど、悩みは滓となって内に沈み込むばかりだ。

――俺はふたばのために何が出来る?
勉強、教えてやったりとか…。いつも丁寧に教えてきた。今日だってこの後は勉強会だ。
――それこそ誰でも出来るだろ。そもそも頑張ってるのはあいつ自身だし、それを導いたのは矢部先生だ。
毎日学校に連れて行ってやってる。常識とか、生活全体の面倒も…。
――もうあいつ一人で大丈夫なんだよ。それに、そういう子ども扱いを反省したばっかだろうが。
じゃあやっぱりさ、あいつを笑顔にしてやれる事だよ。一番ふたばらしくしてやる事。うん。
――何だよそのガキみてーな…。いや、本当にガキの頃、なんとなく思いついてやってるだけだろ。しかも一方的に。
で、でもさ!かなり出来てるじゃん!三女もみんなも俺に期待してくれてるし!この前はちょっと失敗したけど、次は上手くやるって!
――だとしてもそれだけ?そのたった一つ?
それだけで十分じゃねーか…。
――そう思ってないから悩んでるくせに。それに、これからは?あいつが『上』に行くほどどんどん難しくなるんだぜ?
が、頑張る、よ…。
――言うだけなら簡単だよな。この間の取材陣だって、俺一人で追い払えたと思うのか?
………。

「くそっ!!」





Tシャツと短パンに着替え、自室のベッドに座り込む。
相変わらず答えは出ない。いや、もう出てるのか?もう出来る事は何もない、って…。
「嘘だ」
やめてくれ。それだけは。

ピンポーン

  「こんばんはーっス」
  「ふたばちゃんこんばんは。信也なら部屋よ。あら、今日は可愛らしくワンピースなのね?…ちょっとサイズ小さ過ぎ、かな?」
  「あ、あはは。ちょっといめーじちぇんじっス」
  「……うん。女の子だもんね。それじゃ、勉強頑張ってね」
  「はーいっス」

来た、か。ダメだ。今日はとてもじゃないけどそんな気分になれない。
……せっかく来てくれたってのに、追い返すのか…?ただでさえ少ない『出来る事』を自分で捨てるのか?

でもやっぱりダメだ。今日は、今日だけは勘弁してくれ。

カチャリ

ふたばが部屋に入ってきた、のだろう。でも俺は俯いてその姿を見ない。見る資格すら無い気がして。

「ごめん、ふたば。今日は調子が悪いんだ。勉強会はまたにしてくれ」



?返事が無いな。どうした?
「ふたば?」

パチン

!?突然電気が消えた?
停電?いや、窓のブラインドからわずかに街灯の明かりが漏れて来てる。さっきの音。電源が消されたんだ。
誰が?決まってる。スイッチはドアのすぐ横だ。

「何だよ、ふたば?びっくりするだろ?」


「………信也」


「何だよ突然…?ちゃんと名前で呼ぶなんて、さ」また誰かの『なりきりゴッコ』か?

「ごめんね」

言葉が心に突き刺さる。

そうだ。俺はなんてバカなんだ!
つい昨日まで俺は何を考えてた?何をしなくちゃならなかった?
こいつに謝らなきゃならなかったんだろう!?
自分の事ばっかり考えて、一番大事な事を忘れてた!
くそっ!せっかくふたばが勇気を出して、また一緒に学校へ行けるよう頑張ってくれたのに!
「違うんだ、ふたば。あやま「わたし、信也の気持ちを分かってなかった」

…わたし!?

「わたしのせいで、信也をすごく不安にさせた。ごめん。違うの。わたし、信也の事が好き。世界中の誰よりもアイシテル!」
「へ?あ、はぁう?あ、あわわ!?」
驚きのあまり、滅茶苦茶な返事になる。
な、何だって?アイシテル…愛してる!!?
ふたばが、俺の事を。
いや、そりゃ知ってるつもりだ。知ってるけど!でもこれは何だか違うぞ!?

「……そうだよね。突然こんな事言われても信じられないよね…」
「い、いや、そうじゃなくってさ…?」
「だからわたし、今日、それを証明するよ…!」

シュル パサッ

目はまだ暗さに慣れない。だから衣擦れ音が奇妙なほどに耳に残る。

プッ ファサ

目が暗さに慣れてきた。そこに在るのは……。

「ふっ!!?!?」

「しっ!静かに!…おばさんたちに、聞こえちゃう」
「む、むぐぅ」
俺は自分の手で自分の口をふさぐ。さっきから情けない姿ばっかりだ。
でも、今の俺にはそんな事を考える余裕は、無い。


ふたばの、はだか。


子供の頃は何度も一緒に風呂に入った。最近でも、不意にその一部を垣間見た。
でも、今は。美しく、魅惑的な『女性』になったふたばの裸身が、両手を広げ佇んでいる。


すごい。


暖かな、優しい小麦色にやけた肌。
溢れる程の生命力と瑞々しさを湛えて、わずかな月明かりの下でもはっきりと浮かび上がり、
その光彩は、俺に『天恵』を想い起こさせる。

子供の頃から毎日自由に走り回って育まれた手脚。
凛と磨き上げられた紅玉のような美しさと、生身の艶かしさが奇跡のように共存している。

四肢を結ぶ身体…わずかな陰影を宿したお腹。
女性らしい柔さの下に息づくしなやかな筋が透け、内包する健やかさが映し出されて。

そして、脚線の基点。深く、生い茂って。
性格的に、在るがままにしてるんだろうな。
でも、髪と同じ、赤み掛かった草叢に発する酸い芳香は、俺の雄を強烈に刺激してどうしようもなく興奮させる。

あぁ、でも。
やっぱりそこに目が行ってしまう。
大きい、そして彫刻のように型の整った胸。
引き締まった身体に反するように主張する、豊かな乳房は、呼吸と共にふるふると揺れ、慈愛に満ちた母性を訴えてくる。


その姿はまるで、豊穣の女神を思わせて。


けれど、けれど。此処に居るのは間違いなくふたばで。
だってそうだ。頭頂で結われた髪。それが語る溌剌な気勢が、何よりも『ふたば』を証明している。

あぁ…!その、ふたばが。いつも元気で明るい笑顔で周囲を惹き付けるふたばが。
今はその顔を羞恥に染め、気弱げに目を逸らし、それでも俺から逃げ出さずに…!

「あ、な…ぅ、ふた、ば…!??」

ひとつだけ、身に着けて。髪留め。小6のときの誕生日プレゼント。俺が贈ったもの。
大事なトコロに結び、見せ付けている。
それはきっと、『丸井ふたばの全ては、佐藤信也のモノだ』と、示しているん、だ、ろう。

「うん。そうだよ。
いつも信也が守ってくれたわたしだよ。だから…」

ゆっくり近づいてくる。

一歩毎にぴょこん、とちょんまげが揺れる。
可愛い。やっぱりこの髪形が一番だ。いや、違う。俺はさっきそれを感じた。感じ続けている。
何を?だってこのちょんまげは、どう見たってふたばだろ?何が違う?

一歩毎にゆさり、と乳房が揺れる。
すごい。目が離せない。ダメだ。何か言わなくちゃならない事があったはずだ。
なんだっけ?ずっと一緒に居られるんだから、いつでも言えるだろ?今じゃなきゃダメなのか?

頭がグルグルして思考がカタチにならない…!

「だから今日、そのお礼に、わたしの全てを信也にあげる…」
「ちがっ!待っふむぅ」

そう言って、ふたばが頭を抱いてくれる。

うああぁ!気持ちいいっ!!
柔らかくて、あったかくて、いい匂いがして!
そして何より、瑞々しい柔肌が吸い付いてきて、俺の顔に余すところなくその悦楽を伝えてくれる!

でも、違う。
こんな『証明』は要らないんだ。そんな見返りとしてのカタチを望んじゃいないんだ。
俺はただ純粋に想って。ただお前に笑っていて欲しくて…!
「いいよ。もっとギュッとして?」

その言葉を聞くや否や、俺はふたばの背に腕を回し、全力で抱きしめる!

「わひゃっ!?」
ふたばが驚きの声を上げる。普段なら案配を確認するんだろうが、今の俺はそれどころじゃない。

「うむぐぅ…」
顔の全てが乳房に埋まった。このままでは窒息だ。だから、
「ぶふ~。ず~」
正面から顔を押し付けた事で、胸の谷間にわずかに出来た隙間から無理矢理息を吸う。呼吸の度に変な音がする。

息苦しい。恥ずかしい。

でも。ふたばの谷間を通った空気は甘く化学変化するように感じられて、とてもじゃないがやめられない。
背に回した腕からも滑らかな肌触りと心地良い弾力が返って来て、さらに力を込めてしまう。
加わる力に合わせて千変する悦楽をもっと味わいたくて、頭を押し付けたままグリグリと動かす。

…って、アホか俺は!これじゃまるで変態…でもいい!もうとんでもない変態でもなんでもいいや!!
「ぶ~!ずすぅ~~!」
「んやぁ、待っ!しんちゃ、じゃなくて信也!待って、落ち着いて!!」

ぴたり。やめる。

「……あふぉ、ふぉっふぉだふぇ。ずひゅ~!」
やっぱ無理。やめられない。

「ちょっ!ぁぅん…っ、ほんとに落ち着くっス!」
ふたばが抱き付く俺の肩を捕み、ぐいぃっとすごい力で無理矢理引き剥がす。

「はぁっ、はぁっ、かはっ、はっ…、はあぁ……」

興奮と酸欠でぼうっとしていた頭が、徐々に晴れてくる。

………………………。

「落ち着き、ました」
「よろしい」

格好悪ぃ…。


「信也…。………?ええっと、何だっけ…?
あっ、じゃなくて!…隣、座るよ?」
「あっ…?あっ、ああ。うん。はい。です」何回返事してんだよ、俺。

ふたばが隣にゆっくりと座る。顔を真っ赤に染めながらも、その美しい肢体を隠そうとせず。
じろじろ見るような無粋な男でありたくない。そう思いつつ、どうしても目が行ってしまう。

「びっくり、しちゃった」
「あ、いや、その…。お、俺も驚いちゃってさ。なんで急にこんな?」
急すぎて心臓が痛い。順番も準備も無くて、イメージを造る思考すら断片だ。まして、振る舞いに現すなんて出来やしない。
それに、そうだ。『ふたば』はまだこんな事望んでいなかったはずだ。

……でも、十日以上まともに話してなかっだろ?その間に想いが変わったかも知れないじゃないか。

「うん。ふ…………さんの事。わたしがはっきりしなかったから、信也を不安にさせちゃったね…。ごめん。
でも、違うの。わたしが一番アイシテルのは信也なの。それを、伝えたくって…」
……?微妙に、会話が繋がってない…事もない、かな?
「ふたば…。違うんだ。お前は何も悪くない。もちろん富士見選手だって。
本当は分かってたんだ。でも…」
「信也……っ!」                                「やっぱり、こうすれば伝わったっス」
「え?なんて言っ」
また最後まで言えなかった。
当たり前だ。

目前に迫る閉じたまぶた、長い睫毛。唇に触れる柔らかな感触。
何年ぶりかの、ふたばとのキス。でも違う。こんな蕩けそうな甘さじゃなかった―――


―――っ!!!
何だ何だ何だ!?さっきから展開が速すぎる!まるで、


まるで、出来の悪い――――みたいに!


「ん…んぐっ?」
その違和感を声に乗せようとして、でも、途中で止まってしまう。
だってそうだよ。下手にしゃべろうとしたら、ふたばの舌を噛んでしまう……!

『ん…くちゅ、んぅ…くっ、んぅう…、…ん。ぷちゅ…』
すぐに、どちらがどの音を立てているのか分からなくなった。

ふたばの舌あったかい。目を瞑るべきだろうか?キスってこんなに気持ち良いんだ。ふたばの唾液は本当に甘いや。
鼻息が相手に掛かってもいいのかな?もっと舌を動かして応えなきゃ。もっと俺の唾液も飲んで。歯並び綺麗だな。

また思考が滅茶苦茶に混線する。いや、既にそれを自覚する事すら出来ない。

「ん、んくっ…ぅ…。はぁっ…。しん、ちゃん…」
「ぷはぁっ…。ぁ、ふたば…」

ふたばが唇を離す。二人の間に銀色の橋が架かり、堕ちる。
ふたばが目を覗き込んでくる。その瞳は、見た事の無い色に蕩けていて。

「信也、ばんざーい」
「ばん…?ああ、うん」
言われるがままに両手を挙げる。そのまま、ふたばにTシャツを脱がされる。
っつ!?
さっきから恥ずかしい思いの連続で、俺の脳の回路が次々にショートしていく。
でもだめだっ!まだ、俺は、お前に…!

……でも、もう此処まで来たんだ。後でも良いんじゃないか…?
このまま進めば幼馴染以上になれる。『特別』になれるんだ。そしたらきっと、俺の不安は消えてくれる。
安心してからゆっくり言えばいいじゃないか…。

「……格好いい。男の子の、身体だね」
ふたばが…うん、間違い無い。この表情は『ふたば』で。
ふたばが顔を赤くして俺の身体の感想を口にする。

『ふたば』がそう言ってくれた。だからやっぱり、これで良いんだよ。
「あ、ああ。うん。うれ、しい。ふたっ…」
三度。
今度は肩に手を置かれ、キスをしたままベッドに押し倒される。
俺の薄い胸板の上で、ふたばの大きな乳房がつぶれるのを感じる。
質量を、体温を、その存在を身体中で感じる。
もっと感じたくて、また力いっぱい抱きしめる。

あぁ…!女の子ってなんて柔らかくて、すべすべして、温かいんだ…!

「ふうっ…。うぅん…。くちゅ…、ちゅぱ…」
「ん…、ちゅぅっ…。ふくっ、うんっ…」

………。

どのくらいそうしていただろうか。どちらからとも無く、唇を離す。
ふたばが、頭を俺の横に落とす。

「わたし、あったかい、かな…?」
耳に掛かる吐息が俺の思考をさらに曇らせる。
もう殆ど『前』は見えない。『後ろ』を振り向いても、同じく。

「ああ!すっごくあったかい!
あ、いや、うん。本当に温かいよ。なんだか感動するくらい。って、俺何言ってんのかな?えっと…」
「ん…。良かった…」
微笑みながら、仔犬のように頬を寄せてじゃれてくる。
し、幸せ…っ!

『はぁぁ…、はぁぁ…、はぁぁ…、はぁぁ…』

二人、呼吸、鼓動すら合わせるように心を落ち着かせていく。
余裕が出来始めると頭に浮かぶのは。

手の位置。お尻に触っても怒られないかな?
腰の位置。もう少し押し付けてもバレないかな?

「…カタい、ね?」
「~~~~っつ!!?………いえ、はい」
「ぷっ、あははっ!…あ、ごめんね。ううん。嬉しいよ。だって、あのとお…わたしでこうなってくれたんだよね?」
………死にたい。

「ねぇ、足。ベッドにちゃんと乗せよ?」
そう言って、ふたばが一旦体を離す。

名残惜しいな。

そう思ったのは一瞬で、次の瞬間には目の前で自由に揺れ動く桜色に目と思考を持っていかれる。
こいつ、乳房はこんなに大きいのに、乳輪も乳首も小さくて綺麗だなんて反則だ…!

「そ、そうだな」
文字通り、『餌』に釣られて身を起こし、半端に下ろしていた足をベッドに上げる。
そのまま、背中をヘッドボードに預けるよう誘導され、最後にふたばが俺の下腹に腰を下ろした。

なぁ…、ふたば。その位置はすごく危険なんだ。
短パン越しなのに、お尻に埋まってしまったように感じられて、もう少しでアレがソレなんだよ。
さらに、だ。ヘソの下辺り…ナマに当たってないか!?
少し硬い茂みがくすぐったくて、そのちょっと下は…ふにって…な、なんだか、湿って…!!

こいつ、どこまで分かっててやってるんだ!?

「ズボンと……、脱がせる、ね?」
「は、はひっ?…わっ、ちょっ、やめっ!」
ふたばがもう一度腰を浮かせ、短パンごとパンツを脱がせようとしたところを、必死で止める。
色んな事に気を取られて、危ないところだった…!

「そ、それは流石に自分で脱ぐよ。その…、恥ずかしいし、さ」
それだけは自分でやらなきゃいけない。絶対に。

「でも、わたしがしてあげたい…」                        「それじゃあっちの話にしよう」
ふたばがしゅんとした顔になる。いや、なっているんだと思う。確認できない。

なぜなら、さっきからずっと、俺の目と意識の大半はふたばの乳首に固定されているから。

………。

いや、これは仕方ない。仕方のない事なんだ。
だって、あんまり身長差が無い上、中途半端に馬乗りされてるから、ちょうど目の高さにソレが来ているんだ。
だから、どうしようもない事なんだ…っ!

「もしわたしにさせてくれたら、わたしも自由に触らせたげる。約束してくれるなら、先にでもいい」
そう言いながら両腕を組んで、強調させる。目の前で。

ごくり…。

いやいやいや。落ち着くんだ、佐藤信也。
この選択には、お前の男としての名誉と自尊心がかかっているんだぞ!


仮性なのは、絶対バレたくない。だから、自分で脱がなきゃ…!

「い、いや。でも、その…」
「ほいっ」ふよん。と、頭の上に乗せられる。
「約束しますっ!!」

どうしようもない事なんだ…っ!


「そ、それじゃ、触ります」さっきからなぜ敬語なのかは、自分でも分からない。

あぁ、ついにこの至福が手に「あ、ちょっと待って」両腕で隠されてしまう。

「ふたばぁ…?」
「ね、わたしはわたしを自由にさせてあげるんだから、やっぱり信也のも好きにさせてよ。
その…わたしも、触ってみたい…」
真っ赤な顔で、けれどはっきりとした口調で要求を増やしてくる。
俺の…?触……っ!
「いやもうどうぞ!そんなのいくらでも約束します!」むしろこちらからお願いしたいくらいだよ!

「ん。約束だからね?じゃあ…」

その柔らかさを証明して、腕によって抵抗無くひしゃげ「あ、もう一つ」

「何でしょうっ!?」
「15分だけ、ね?信也も色々先を……だろうし、あんまり遅くなっちゃまずいし」
色々先………。
「……、……、……!」
俺は壊れたおもちゃのように首をぶんぶん振り、肯定の意を伝える。

「それじゃ…」

腕が離れるとともに復元し、ただ柔らかいだけではない事を「それと」

「ほんともう何でも約束するから!!」


「…目、怖いっス……」


深く、反省した。


「ふぅ、ん…」
日常を営むための部屋に、不釣合いな美しい調べが満ちる。
演奏しているのは、俺。この、両の手。

その大きさに合わせるため、手をいっぱいに広げ、正面から鷲づかみにして『持つ』。
楽器の心得なんて無いけれど、今、俺の手にあるのはどんな指遣いにも応えて心地よさを生み出す名器だ。
10の指それぞれの動きに合わせて自在に姿を変え、ふっくらした存在を伝え、鈴の音を響かせて俺を愉しませてくれる。

…『つきたての餅のような』って表現を考えた人は偉いなぁ……。

沈み込む柔らかさ、たおやかな抵抗、ぴっとりと張り付く手触り、安らぐ温もり。人を幸せにさせる要素が全部濃縮されてる。
でも、もちろんお餅なんか比べ物にならない。だってコレは生きている。
だってほら。

「ふあぁっ」
ぐにゅ~っとふたばの方向に押さえつけ、手のひら全体で大きくつぶす。と、
進むごとに抵抗が大きくなる。でもそんな程度じゃ俺を押し返せないよ。
さらに力を込めると指の間から逃げ出そうとする。だからそれじゃ俺を愉しませるだけなんだって。
掌でぐりぐりと捏ねながら、指の股で挟むようにして全てを蹂躙してやると、
やっと観念したのか、許しを請うように俺の手にさらなる芳味を差し出してきた。

…………そろそろ許してやるか。
放す。

とぷん。

音が聞こえそうな…いや、聞こえた。音ともに大きく弾みながら前に飛び出し、美しい半球に戻る。
いや、これも違うな。理想的な半球から外れたものがある。
「あ…、勃ってる…」
「言っちゃ、ダメっ…ス……」
捏ねる前より明らかに主張を強めた突起。桜色の。

「スっ…吸ってモいい?」緊張と恥ずかしさのあまり、声が裏返る。
「…うん、いいっスよ。約束…ううん、しんちゃんのしたいようにして?」
慈愛に満ちた静かな微笑み。声。

まだ俺の傍に居る『女の子』だと思ってた。でも今は。
彼女は魅力的な『女性』で。深い愛情を湛えた『母』の輪郭すら有して。
その美しい『女』の象徴に目を奪われ、赤ん坊のように口を寄せる。

「ん」
美味しい。例えるものは無い。けど、明確にそう認識出来る。

「あンっ」
ちゅうちゅうと吸う。
その形状。その感触。その温もり。『これはこうするためのものなんだ』。
その発見はあまりにも偉大で、感動的で。神秘的ですらあって。

「はぁ、あ」
両手で『持ち上げ』、自分の顔にさらに寄せる。
再び手を満たす幸せ。視界を埋める肌色。汗の甘い香り。そして声、味。
五感の全てをふたばで埋められ、でも、不思議と心は空になっていく。

「しんちゃん…、いい子、いい子」
ふたばがゆっくりと俺の頭をなでてくれる。
無心の俺は、それをただ素直に受け入れる。


―――あったかくて、気持ちいい…。


辛い事も、嫌な事も、怖い事も。全て溶けて消えていく。
そうだよ。何も悩む事なんて無い「あっ!ダメだ!」

ふたばが俺の肩を捕み、ぐいぃっとすごい力で無理矢理引き剥がす。

「あ……、ふた、ば…?」
突然現実に戻される。頭に在った何かも…いや、何かあったのか?引き離された。また、格好悪い事を…?

「あぁ…、しんちゃん、そんなに悲しい顔をしないで欲しいっス…。
あ!じゃなくて、『もう!15分の約束だったでしょ?…夢中になってくれたのは嬉しいけど、もっと…先。したい、でしょう?』」

誰の言葉だろう。どこかから持ってきたかのような『台詞』。
いや、もちろんしゃべっているのはふたばだ。じゃあ、ふたばの言葉だ。
「あ…ああ、そう…だった。やく、そく…。もっと…!」
『もっと先』。その言葉に急速に覚醒させられる。そうだった。俺はそれが欲しい。そうすれば、何も怖くなくなる。きっと。

「うん。じゃあ…」
ふたばが立ち上が  くちっ。 水音が耳に届く。


「……しんちゃん。ティッシュ、どこ?」


「え、あ「ティッシュ!」
ふたばが今日一番真っ赤になって、珍しく俺の言葉を遮って来た。
「そこのテーブルの上です」
「目、瞑って」
「はい!」
有無を言わさぬ迫力に、素直に目を瞑る。

下腹部の感触で、ふたばがのろのろと俺の上から退くのが分かる。
けど、その場所だけ妙にすーすーして、何かに濡れた感じが…、と思ったらすぐにティッシュで拭き取られた。
…やっぱり……!?
「ぜったい、開けちゃダメだからね」
「はいっ!」

改めて指令が下る。
ごそごそと異様に気になる音が耳に入り、薄目で確認したくなる衝動に駆られる。
が、ふたばの勘の良さとバレたときの惨劇が頭をよぎり、止めておく事にした。

…ここで下手な事をして不幸体質オチで終わったら、俺は間違いなく再起不能になってしまう……。

「……もう、いいよ」

目を開けると、ふたばは俺の足の間に正座を崩した体制で陣取り、短パンに手を掛けていた。
少し前かがみになっているせいで、肌色の実りがいっそうすごい事になっていて、
それを目の当たりしたオレはますますテントを大きくしてしまう。

でも、やばい!

「それじゃ、信也。少し腰、浮かせて」
「あのさ、ふたば。その件なんだが…」
「約束」
「いや、それはそうなんだが、ひとまず俺の話をだな…」
「約束」
「違うんだ。別にな「約束」

観念するしか無い、か…。

少し腰を上げると、すぐさまふたばが嬉しそうに短パンとパンツを一緒に下ろす。
そして押さえつけるものが無くなったと同時に、膨れ上がったモノが跳ねるように飛び出し、腹に当たってぱちんと音を鳴らす。

女の子にこんな事されるなんて!こんなところ見られるなんて!!もう死ぬしか…!

「ふぇ~!元気っス…だねぇ~。それに…すっごく、大きいっス…」
「あ、あう。いや、ふたば、その…」
「?どしたの?」
「いや、俺…か、被ってる、から…、ごめん」
「………?男の子って、ほんとにそう言うんだ…。何からなにまで……」
「え?」
「あっ、ううん。『どうして謝るのかな?わたしが信也にとって魅力的だったって事からだよね?嬉しいよ!』」
余程もの珍しいのか(そうじゃなきゃ困るけど)、視線をソレに向けたまま、答えてくる。
は、恥ずかしいよ…。

…それにしても、さっきからこいつ、何ていうか『都合の良い』台詞ばっか「うあっ!ふたっ…」
さわさわと先端部分を触られたせいで、思わず声が出る。

「あっ、ごめんね!中、ビンカンで、痛いんだよね?おクチでムいてあげれば、痛くないかな?」
「へ…?いや、何言ってわひゃ!」
な、な、な!?
いきなり皮を摘んだと思ったら、ナカミとの間に舌を差し入れて来た!
「ちょっ!?ふたっ、うひぃっ」
そのまま舌を亀頭に沿わせ、ゆっくりと動かし始める。
敏感な部分を、極上の柔らかさを持った筆でじっくりとなぞられるような感触に、背筋が震え、歓喜と困惑を伴った情けない声が上がる。

「じゅるっ…」
あぁっ!それに、舌を伝ってふたばの唾液が大量に注がれるせいで、一周し終わる頃には中身がじゅくじゅくに…!
気持ち良い!けど、恥ずかくて死にたい…!ていうかこいつ、何回俺を殺せば気が済むんだ!?

「んぅ、じゅっ……」
「……?」

一周が終わっても、ふたばは舌を差し入れたまま、動きを止めて何かを考えるようにしている。
何だろう…?
いや、内心では分かっている。『次』を血走った目で期待してしまっている。

「んむ~~ぅ」
期待通りの、いや、期待以上の快感が俺を襲う。
ふたばが、にゅぷぅり、と、またもゆっくりとした動きで先端を咥えてくれた。
覆っていた皮は唇に押され、ふたばの言葉通り口で剥かれて行く…!
と同時に、ぷりぷりの唇が亀頭をなぞりながら通り過ぎていくのがはっきりと感じられて、そのあまりの気持ち良さに、
「うあぁっ!!!」まずい…!声、大きすぎる!

部屋には鍵が付いてない。
けど、姉さんは大学進学と共に一人暮らしを始めたからこの時間は二階は俺しか使っていないし、
勉強会のときは集中したいという理由で、母さんには上がって来ないよう前から言ってる。
だから多少は大丈夫とはいえ、あまり大きな声を上げるとさすがに気付かれてしまう…!

俺は声を抑えるため、手近にあった枕を掴み、全力で噛み締める。
「ん、ちゅぅ。じゅっ、ぐりゅ」
「ぐふぅ、ふっ~~っつ」
そんな俺の葛藤を知ってか知らずか、そのまま唇をすぼめてカリ首に引っ掛け、舌で押しつぶすように舐め回してくる。

ちょっ!こいつ、力が強い、から…っ!

ふたばの舌はとんでもない柔らかさと弾力、そして滑らかさの中にわずかなざらざらを有する絶妙の感触で、
ソレに亀頭が変形するほどの強さで擦り上げられると、たまらず腰が動いてしまう。
すると自然、唇にぎゅうっと締め付けられているカリ首がぐりゅぐりゅとシゴかれ、連鎖的に快感が増して行く。
俺はますます強く枕を噛み締め、なんとか声が洩れるのを我慢する。
酸欠で頭が……。
でも何とかこれで耐えられそうだ。

「ぺちゃ…ちゅぅ。ずちゅちゅちゅ…」「ふぅ、ふ…んはぁ…はぁ、はぁ」

しばし、ふたばが奏でる水音と、俺の荒い息遣いが部屋を満たす。が。

「ぅぐっ!!?」今のは、声…腰、跳ねっ……!
「れるっ、じゅぅぐ…?」

鈴口をなぞられた瞬間、耐え切れずに声が洩れ、腰が大きく跳ねてしまった。
ふたばはその反応の大きさが気になったのだろうか?動きを止め、俺のモノを咥えたままこちらへ顔を向ける。

あ、あ、あああ…!

一旦、攻めが止んでくれたおかげで、やっと少し落ち着けると思ったのに…!
こちらを向いたふたばと、ばっちり目が合ってしまったせいで、今度は心臓が大きく跳ねる。痛い。
首筋まで薄っすらと色づき、双眸は濡れ、普段からは想像できない官能に染まった表情。
でも、その中にも新しいおもちゃで遊ぶ子供の無邪気さが、『ふたば』らしさが存在していて。
その貌がオレを咥えている情景は、あまりにも淫らで。自覚できるほどはっきりと脳が溶けていく…!

「…むふふぅ~」

けれど、間、が有ったのはわずでしかなく。
すぐさまふたばは、ニヤリ、と悪戯を思い付いたときの三女を連想させる、小悪魔的な笑みを浮かべる。
って、まさか…っ!!

「じゅっ!るれぅ!」
「んっぐぅ!」
こいつっ!思いっきり楽しそうな顔をして、集中的に攻め立てて来やがった!

一番敏感な尿道口の入り口、その内側をほじくるように、舌先をねじ込ませるように、徹底的にねぶってくる。
あまりにも執拗にエグられ、尿道だけでなく膀胱にまでふたばの唾液を詰め込まれていくような錯覚におちいる!

「んぐ~~~っ!ぅっ、ぐぅっふ!!ぐ~~~っ!?」
俺はたまらず腰を引き、既に痛みの域に差し掛かった灼け付くような快感から逃れ……られないっ!?
ダメだ!ふたばの怪力でがっしりと押さえつけられているせいで、腰から下が全く動かせない!
強制的に投与される許容外の快感を、無理矢理正面から受け止めさせられる!!
なのに声も出せないなんて、完全に拷問だろこれ!!?

「ひいぃっ…。ふたっ、ごめっ…待って、出る…っ」
「ふむっ?」

あっさりと限界を迎えそうになった俺は、全精神力を振り絞って大声を上げないようにしながら、静止を懇願する。
その声は半泣きで、掠れていて、我ながらあまりにも情けない音色で。とてもじゃないがこの暴君を止める事は出来ないように思われた。
でも意外な事に、ふたばはピタリと動きを止めてくれた。
どうしたんだ…?飲んでくれな……俺の願いが通じたのか?

「んっ、じゅずぅ~~。ぷぅっ」
ちょっと下品に唾をすすりながら、俺のモノを解放してくれる。
それでも、激しい責めを受けた頭部はじんじんとした余韻を残して真っ赤に腫上がり、その身は根元までずぶ濡れだ。

あぁ、でも。

「あ…ふたば?」続きを催促する、女々しい声。
格好悪い?そんなつまらない事を気にしてられる状況じゃないんだよ。
「ん。ごめんね?しんちゃん。途中で楽しくなっちゃって、順番を飛ばしちゃうところだったっス」
…順番?何のだ?

「でもやっと、ちゃんとお顔を見せてくれたね。初めまして、こんばんは」
「~~~~~~~っ!!!」
ふたばが最高の笑顔でソコに挨拶をする。
ぐわああぁっ!今度こそ本当に死にたい!頼む!誰か俺を殺してくれっ!!

でもふたばは、そんなふうに心の中で悶絶している俺を無視して、次の行動に移るわけで…。

「えっと、男の子はこうするん、だよね?」
ふたばの右手が、優しく幹の部分を握ってくれる。
「あぅっ」
「あっ!強かった?だいじょうぶ?」
「い…いや。気持ち良くて声が出たんだ…。もう少し、強く握ってくれてもいいくらい…です」
思わず素直に返してしまう。どころか、血迷った要求をしてしまう。

………。

いや、だって無理だよ!
すべすべして、ふわふわのふたばの手。自分のそれとは比べ物にならないこの感触。我慢なんて出来るわけ無い!

「良かった。えっと、これくらい…かな?」
「あ…うん。はい、です」ちょい強いけど。
「わかった。それじゃ、次はお手てで気持ち良くしてあげるね?」
そう微笑みかけながら(だと思う。恥ずかしくて見れなかった)告げてくれるや否や、ゆるゆると手を滑らせ始める。

うはぁ…。

ちょっとゆっくり過ぎるけど、却ってそれが優しい快感になり、さっきまでの過酷なシゴきに耐えて来た俺を癒してくれる。
握りもやや強いけど、唾液のおかげで良い具合に摩擦が緩和されて、夢見心地の気持ち良さだ。

なんだけど。

「うわぁ~。ぐっちゅぐちゅだねぇ…。しん…やも音、聞こえるでしょ?」
「ふくろ、パンパンだね。いっぱい頑張ってくれてるお礼にマッサージしてあげる」
「お帽子、被せたり脱がせたりするのがイイんだね。くにゅくにゅしてて面白いな~。こうすると音が『くぷくぷ』に変わるし」
「居ない居ない…ばぁ~。居ない居ない…ばぁ~。気持ちいいでちゅか~?お返事してくれないと、やめちゃいまちゅよ~?」

本当にもう勘弁して下さい。

逃避のために目を逸らしたら、今度は音攻め、言葉攻めに変えてきやがった。
長女も三女もだけど、こいつも根はサドなのかよ!?エロ姉妹め!!
というかなんだその赤ちゃん言葉は!?いくら何でも…!

ぴたり。止まる。

………。
「…持ち…い」
「お返事が小さくて聞こえまちぇんよ~?今日はここまででちゅね~」
「気持ちいい、ですぅっ!」
死のう。

…いや、これも仕方ない事だ。本当に仕方ないんだ。
なんせこいつ、やたらに上手すぎる。キスも、フェラも、今だって…!

長く愉しんでいたい、という俺の希望が通じているのだろうか?昂ぶりが過ぎそうになると締まりが一旦弱まり、引けばまた強くなる。
それでもカリ首を通るときは輪っかを小さくするだけでなく、スナップを効かせコリコリと刺激にアクセントを加えてくるのを忘れない。
先端部では手のひらでこねるようにして、包み込むように亀頭全体を摩擦しながら温もりを伝えてくれる。
ふくろのマッサージに至っては、自分でもそこがこんなに気持ち良いなんて知らなかった。
なのにふたばは数度揉んだだけで絶妙な力加減に調整し、作られたばかりのゼリーが細い管を通り易くなるよう丁寧にほぐしてくれる。
俺は今、間違いなく『天にも昇る』って言葉を誰よりも理解出来てしまっている…!

でもこんなのテクニック、エロ本や女子の噂話なんかで多少の知識を持ち合わせていたとしても説明がつかない。
さっきのもの珍しそうな表情は演技とは思えないから、初めてなのは間違いないはずなのに、いったい…?

………!

頭に、ひらめくもの。天性の運動センスと観察眼。
代名詞たる前者。さらに、理知が通った近年は動作を精密に制御し、正確な感覚による修正を加える事で瞬く間に最適解に辿り着く。
……まぁ、まだときどき力加減を間違えるが、今それを思い出すのは恐ろしいのでやめておこう。
そして、後者。こいつはいつもノンキにしているように見えるが、興味ある物事に関しては並みの人間には及びもつかないほど詳細に観察している。
だから人のモノマネが上手いし、心の機微にも聡い。単純な側面であれば、その心理までトレース出来る。

つまり、だ。

今のコレは、その二つを最大限に利用した業…、
動きと強度を緻密にコントロールし、俺の反応から『気持ち良い』を正確に捉え、瞬時にフィードバックさせてる、って事か!?
なんて不遜な才能の無駄遣い!!叱ってやらなければ…!
「素直なカメさんですね~。いい子、いい子~」
「ふわぁっ。ふたばっ、直接は摩擦、強いよぉ…!ほっぺで擦るのもダメぇ!」
………。


「はぁっ、はぁっ…。っぐ…はぁぁっ…」
けれどこの天上の悦楽を味わう時間も、終わりが近付いて来た。
『優しい』とは言え、元々限界まで追い立てられていた俺だ。そんなに長くは我慢出来ない。ふたばの手が往復するごとに、腰がガクガクと震え出す。

「イキそう、なんだね。それじゃ、1度目はわたしのお口に…ね?」
「あぇ、え?口にって、その…ま、さか、飲んで…?」白々しく戸惑う俺。それに、1度目って事は…!
「うん。あっ、信也に拒否権は無いからね。幼馴染との約束は守らなければいけないのです」
「は、ぐぅ」
もう色々どろどろで。だから返答も意味不明で。それでも、必死に首を縦に振ってしっかり希望を伝える、情けない俺。
けど、ふたばは本当に嬉しそうに笑って。

「アイシテルよ、信也」

言葉が心を冷ます。

けど、もうどろどろで。カタチすら残っていなくて。
灼熱にさらされ続けた今となっては、その程度の冷たさ、何の意味も無くて。

「んっ。じゅるぅ…」
またゆっくりと、唇が被されていく。
今度は亀頭を通り過ぎて、幹まで熱に取り込まれ、溶かされていく。
けど。
「む、んぐ」
あと5cm位のところで限界になったのか、止まってしまった…。

―――もう少しで全部なんだから、頑張ってくれよ。俺も手助けしてやるから、さ――

欲望が頭をよぎり、俺は、手をちょんまげに沿え、力いっぱい押し込―――
って危ねぇ!何考えてんだ俺は!
無体をしそうになった腕を、ギリギリのところで止める。
幸いふたばは頭を撫でられたと勘違いしてくれたようだ。嬉しそうに目を細めた。

ほっ…。

いくらなんでも、そこまで欲望に負けるような最悪の男になりたくない。
………いや…あれ?欲望に負け…?俺は…?
「んふっ、んんっ……じゅるる、じゅるるるっ、じゅるるるるるっ…!」
「うああっ!」

意識が逸れかけた俺に、『無視するな』と抗議するかの如くふたばが激しい動きを開始する!

ただ俺をイかせる事だけを目的とした、一切の容赦も慈悲も無い猛烈なフェラチオ。
その締め付けは、さっきは手加減していたのだと言わんばかりに万力のようなキツさで俺を苛む。
ちょっ!ヤバイヤバイヤバイ!!

ひょっとして一旦手に移ったのは、力加減を確認するためだったのか…!?

けれどそれほどの締め付けでありながら、俺に与えられるのは純然たる快感だ。
咥え込むときは濡れてむちむちになった唇が、オレをすり潰そうとするかのように押し付けられる。
そんな柔らかくて可愛い凶器じゃ、傷一つ付けられないっていうのに!
引き抜くときはヌメヌメの口腔が、ぴったり…なんて生易しいもんじゃなく、ビッチリと隙間なく密着する。
唾をすするためなんだろうが、こいつの吸引力だと尿道が裏返りそう!
そしてさらに絶望的な事に、さっきまでの練習(そう、練習だったのだ!あれほどの快感で!)で俺の弱点を覚えられてしまった。
舌先は常に鈴口をエグり、粘膜にカリ首が力いっぱい引っ掻かれる!!

「あ、ああがぐぐっ!!!」
もう声を我慢するとか、家族に聞こえてしまうとか悠長な事は言ってられない!

だめだ、目も霞んで…!視界で踊るちょんまげが、ぼやけて……。
頭の中は狂おしいほどの快感で埋まっていく―――


『オハヨー!ふたばちゃん!』
邪魔すんなよ。お前ら何にも見えてないだろ?ふたばはただの怖がりな女の子なんだ。一方的な押し付けは迷惑なんだよ。
おかしな目で見てんじゃねぇよ!

うあぁっ!ふたばっ!俺、もう…っ!

『彼女は、君の人形じゃない』
うるせぇよ。ぽっと出のお前に何が分かる?俺だけがふたばを笑顔に出来るんだ。俺の隣が一番こいつらしくなれるんだよ。
自分勝手な願望で他人を決め付けんなよ!

最後だからっ!ごめん、ちょっと我慢して!

『まるで親鳥を慕う雛のように』
黙ってろよ。今、俺の目の前にある光景が全てだろ?ふたばは俺をアイシテルから、何でもしてくれるんだ。
負け犬の遠吠えはみっともねーぜっ!

喉、すごいっ、よ!コリコリがカリ首をエグる!粘膜でぎゅぎゅって搾られる!!悲鳴、振動になって、コスり、過、ぎぃ―――!!



『君は、君には、どこまでの覚悟がある?』



―――――――――――――――――――――――― ――――――――― ―――――っ!


―――『陸上界のアイドル』がこんなに気を許しくれて――
―――『大事な広告塔に近づくな』ってか――
―――『客寄せ要員』だ――

―――優越感を感じてる――
―――滅茶苦茶さがカモフラージュ――
―――こいつは足りないもの多すぎ――

―――何にも考えてない幸せそうな顔で――
―――俺に従順だって事を――
―――この程度では他の男になびかない――



―――自分が、ふたばの隣にいる事をあっさり許してしまう――



何だよ、これ。





「がっふぅっ!げほっ!っぅぐ、ぐはっ!」

がっはぁっ!頭、押さえられ、ごふぅっ!喉、気管にベトベトの塊が…けへっ!
全部、飲んであげ、たかった、っぐ…けど。ごほ、ごほほっ!息っ、かはぁっ、がっ、ひゅぅ!
量、多すぎてっ、ぅぐっ…鼻まで、ずっ…ぐはっ、けへぇっ!
味もっつ、がはっ!変でっ、マンガとかひとの、ぅっ、本みたいに…ぐへっ、上手くいかな、はぁ、はぁっ…かったな…。

うっ、ぐぅ……。ずずっ…ごほっ。たくさん零し、ちゃったから…怒ってる、かな?
「ごめんね。しんちゃん…」


恐る恐る、目を向けると、しんちゃんが、泣いていた。


ぽろぽろ、ぽろぽろと、涙を流していた。
しんちゃんがこんなに涙を流すところ、初めて見た。

「ごふっ…あ、あれ?ご、ごめんね?痛かった?気持ち悪かった?」

「ち、ちがぁ…ぅ。ぐぅ…ひっく」

「あ、あう…ずずっ、げへっ!…あっ!?ぜ、全部飲めなくてごめんね!次…そう!次は上手くやるから!」

「づぅっくっ、ひぁ…。ちがうぅ、ちがうんっ…だよ…。ふたばぁ…」

「う、ぅえーと…。あの…。じゃ、じゃあ……シて、みる?
しんちゃんがイれる?それともマンガみたいに小生が…、その…イれたほうが、イい?」

「あぐぅ、あぁ…!ごめん、っく。もっ、ゆるっ…ゆるし、てぇっ…ひぅっ…」

「……ゴメンね。しんちゃん。小生、何やってもダメで…。いっつもしんちゃんにめーわく掛けちゃう…」

「ちがっ、うんだよっ。ひっ…。だめなのは、おれ。めちゃくちゃなのは、おれ!…おれがだめ、なんっ…!」

「そんなことないよ!」

「おれ、がっ、おまえのため…できる、うぐっ…、ひとつだけ…だった!……のにぃ…。くぅっ…じぶっ…で、すて、た…うぁああぁぁ…」

「そんなことない!しんちゃんはすごいよ!小生に全部をくれた!!」

「きもちいいって…、きもちよくなるため…だけに、おまえじゃ…ないのに、つかった…。わかってたのに!!
…これまでも、ずっとおまえ、つかってた……あぁぁぐっ…」

「小生が、しんちゃんに、してあげたかったんだよ……?」

「なんにもわかってないのは…おれ、だった。おれが!さいあくだった!!」

「…しんちゃん。だいすき」

「しってる…。しってるよぉ……」

「……小生の事、嫌いになっちゃった…?」

「ちがっ!……ちがうぅっ。ひっく。そんなの、ぜったぃ…ないっ…」

「じゃあ「でもだめだっ!…おれじゃもう、だめなんだ…」
しんちゃんが抱き付こうとした小生の肩を捕み、ぐいぃっとすごい力で無理矢理引き離す。



「ごめん、ふたば。おれは、さいあくだ。もう、おまえとは、いっしょにいられない」



しんちゃんはそのまま涙を流し続け、ただ『ごめん』『さいあくだ』を繰り返すだけだけで。

「…ごめんっス…しんちゃん……。…ぐすっ。うぅ…ひっく…」

でも、小生は、しんちゃんと一緒にいたい。
どうしたら、ずっと一緒にいられるの?

「うぇ~~ん!!」

ああ、うぅ、う…なみだ、が、止まら、ない…。
しんちゃんに、大好きって、伝えたかった、のに……。まためーわく、掛けた…だけ、だった…。うえぇっ…。

「ふた、ば…ひゅっく。泣か…ぅくっ、ない、で?」

でも今は、しんちゃんも、泣いている。抱きしめて、くれない。


もう、小生とは、一緒にいてくれない。


苦しいよ。痛いよ。



怖い、よ―――







その後の事は、よく覚えてない。
おばちゃんが、泣きじゃくる小生たちを見て、驚いていたような気は、する。