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「わかってないな、田淵。あのジャージとTシャツ姿でも隠しきれないものを彼女は持っている。そう寝ころん
だときにわかるあの大きな山盛りを!それに気づいてないのか?お前はわかってるよな?ふたば」
「さすがっス、千葉氏。小生もそれは感じていたっス」
「!!くっ、俺はまだまだだぜ」

給食の時間に俺の後ろの班でおっぱいの話で盛り上がる千葉とふたばと田淵。
その話を聞きたくて聞いてた訳じゃないけどなんて話をしてるんだよと少しあきれた。

しかしこっちの班よりは楽しそうだなと思う。
なんてったって俺の目の前には吉岡と長女がいる。吉岡は終始キョロキョロして突然目を輝かせてるし、長女は
むしゃむしゃ…と食事に集中している。

しかも今日は班の一人が休みだったので会話がないのも当たり前かと無理矢理納得した。
と考え事をしていたら自分の給食が全く減ってないことに気付いた。これじゃあ、昼休み遊ぶ時間が減ってしま
う。

こっちが急いで食べようとしたその時、長女はちょうど食べ終わったようだった。

「ごちそうさま」

はえぇ。って俺も早く食べないと。

しばらく食べていたら何か視線を感じる。これはちょっと食べづらい。
またあいつらかと周りを見渡すとそうではなかった。
?気のせいか?と思いながら食べるのを再開するとやはり誰かの視線。
不自然にならないように顔をゆっくり上げると俺の机の上を凝視している長女が目に入った。
その視線の先を追うとデザートのフルーツポンチ。納得。
そしたら長女と目が合ってしまった。

「「!あっ…」」

何がという訳でもないけどこういう時お互い気まずいな。
この気まずさから逃れるためにさっさと給食を食べ終わってしまおうと決意する。

「ねぇ、ちょっと」

無視。

「ちょっと話を聞きなさいよ!」

無視。

「何よもう!手伝ってあげようかと思ったのに」

ん?
顔を上げると長女の得意そうな顔。

「随分と残ってるから私が半分食べてあげてもいいわ」

今俺の机の上には3分の2以上残っているパンと少し食べたポテトサラダ、それに全く手をつけていないトマト
スープ(?)とフルーツポンチがある。まだまだ食べ終わりそうには無い量だった。
パンとトマトスープとフルーツポンチを半分ずつ長女に食べてもらえば、確かに早く食べ終わる…どうしようか

ちらりと後ろを見ると千葉もふたばも半分より少ないくらいの給食が残っているだけだった。
よし、長女に半分渡そう。このまま普通に食べ続けたら一緒に遊べないと判断した。

「じゃあ頼む」

使っていないスプーンで先ずはフルーツポンチを半分、空になっている長女の皿に移す。次にトマトスープ。最
後にパンをちぎって長女に差し出す。もちろん口を付けてないほうをだ。

「?」

長女はパンを受け取ろうとしない。なんだ?
長女はじっと自分のフルーツポンチの皿を見つめていた。

「もらっていいの?これも」

それが食いたかったんじゃないのかよと思いながらパンを渡す。

半分になったしこれなら早く食べ終わるなとトマトスープを一口。
その時吉岡が、

「やっぱり佐藤君ってみっちゃんと付き合ってるの?」

と爆弾発言。

「ぐっ!」

むせたけどよく吹き出さなかった自分をほめたい。

「なっ!?」

やっぱり長女もむせてた。

「この前だって一緒にハンバーガー屋さんでデートしてたし」

あれはデートとは言わないだろと心で突っ込む。

「今も給食を分けたりしてラブラブだもん」
「それは食べ終わるのが遅くなりそうだから」で。
「佐藤君は最初私のこと好きなんだと…」
「って何の話だよ!」
「でも佐藤君はみっちゃんのこと好きって前から私は気づいてたから…」
「いやいやいや勝手に話を進めるな吉岡!」
「二人のこと応援するねっ!」

駄目だ。こっちの話を聞いてない。
まぁ長女が否定するだろうからそっちに任せるべきか?吉岡相手だと相当苦労しそうだけど。

「私とこのパンツ男が付き合ってる?」

そうだ長女、ちゃんと説明してやれ。

「違うの?みっちゃん」
「違うわ…」

いいぞ長女、その調子だ。

「こいつは私の下僕よ!」
「えぇっ!」
「は?」

こいつに期待した俺が馬鹿だった。このどうでもいい時に発揮させるSっ気はどうにかならないものか。

「…そんな…でも人の愛の形はそれぞれだもんねっ!」

吉岡も納得するなよ。

「てかどこをどう見たら俺らがそう見えるんだよ!」
「だってみっちゃんと佐藤君仲良いし」
「…幼なじみだからだろ」
「…まぁね」

そうすべてはこの一言で収まると思った。けど吉岡は

「みっちゃんと佐藤君は小さい頃から!」

と止まらない。てかなんでそんなに嬉しそうなんだよ…

結婚の約束は?とか、プロポーズは?とか吉岡に質問攻めされてる長女はかなり困っているようにも見えなくも
ない。
ここで全否定しておかなければ吉岡のことだ、とてもめんどくさいことになりそうな気がする。
何とかそれだけは阻止せねば。

「えっ?幼なじみなのにみっちゃん、佐藤君からプロポーズされてないの?」

…一足遅かったようだ。
流石吉岡、地味にきつい言葉をさらりと言う。こんなこと言われたら長女だってほら、

「そんなわけないじゃない!ちゃんとプロポーズされたわよ!」

こう返すに決まってる。
しかしながら長女声がでかすぎだ。
よく見ると周りの視線が俺らの班に集まっていた。
この会話はいろんな意味で危ないな、早急に止めさせよう。

「うん。そうだと思ったよ。それでそれで?どんな言葉だったの?」
「…えっ?」

長女も言わんこっちゃない、そんな嘘つくから答えに詰まってしまったようだ。
この不毛な会話を中断させるべく口を開いた時、

「おい、よしお
「たしか「ぼくがみっちゃんのだんなさまになるよ。ぜったいみっちゃんをおよめさんにしてあげる。」だった

はず…」

ええええええええ!なんだその、実際子供のころありそうなありきたりな言葉は!
吉岡辺りなら一発で信じそうだ。
てかどこかで聞き覚えあるぞ、その言葉。
案の定ざわめく教室。

「きゃあああああ、佐藤君そんな言葉だったんだ!」

吉岡の興奮は最高潮に達したようだ。同じく俺の心労も最高潮に。
そして吉岡に負けず劣らずな同級生達。

「う、嘘よ!佐藤君が長女にプ、プロポーズなんて」バタン
「お、おがちん」
「…」
「人が急に倒れた!悪霊のしわざね!」
「流石だな、イケメン様」
「「佐藤、お前ってやつは!」」
「しんちゃんとみっちゃんが!」
「みつばにプロポーズですって!私だってそれぐらい」
「杉崎、妙な対抗意識を燃やすな」
「先生、小学生でそれはどうかと思うな」
「先生、プロポーズする相手がいないからって小学生に嫉妬しないでください」

否応なしにも盛り上がる教室。ああ本当誰か止めてくれ。

「それにみっちゃんが言ってるのは幼稚園のころのおままごとでのことですよ?」

本当に止めやがった。
教室が水を打ったように静かになる。
対して大きい声でもなかった三女の言葉によって。

「えっ?」
「えっ?」
「えっ?」
「えっ?」
「えっ?」
「「えっ?」」
「えっ?」
「えっ?」
「えっ?」
「「「えええええええぇっ!」」」

「みっちゃんと佐藤君がおままごとでよく夫婦役やってたから、そんな言葉日常茶飯事だったような…」

皆、容易に想像がついたのか、それとも似たような光景が浮かんでいたのか、しばらくは静かなままだった。

「あー、あるな。そんな経験」
「あるある」
「先生にもあったなぁ。おままごとでの旦那様役」
「嘘はいけないですよ?」
「ふ、ふん。おままごとぐらいなら私にだって」
「はぁ、まだ対抗意識燃やしてるのか」
「なんだーおままごとのことかぁ。てっきり佐藤君からみっちゃんへの本気のプロポーズかと」

どおりで聞いたことがあったはずだ。まさか本当に自分で言っていたとは。てか普通そう考え付くよな。
変に焦って気付かなかった自分が恥ずかしい。

さっきまでの喧騒は変わらずだったが、今度は自分たちの幼いころの話で各々盛り上がっているようだ。
騒がしかったけどやっと解放されて俺は一息ついて給食を食べるのを再開した。
しばらくして視線を感じて顔を上げると長女が俺を見ていた。
いつのまにか吉岡は杉崎達のところへ行っていて俺の班の席は長女と二人だけになってしまっていたようだ。

「悪かったわね。変に話を大きくして」

めずらしい。長女がやけに素直だ。

「別に…。昔、ああ言ってたのは事実だろ、よく遊んでたし。」
「ふーん、覚えてたんだ」

「いや思い出したのはついさっきだな」
「なっ!あんた忘れてたわけ?」

急に声が大きくなりやがってどうしたんだ?

「…はぁ、本当駄目ね」

盛大にしかもわざとらしくため息をつく長女。

「まぁ、あんたが忘れてたっていうのは百歩譲って仕方がないとしましょう。子供だったんだし」

まだまだ子供が何を言ってるんだと野暮な突っ込みはしない。

「少しは成長したんだったら今から私が言う言葉をちゃんと覚えておきなさい。…後小さい声で言うから」

長女が顔を下げて表情を隠した。
??何をしたいのかさっぱりわからない。
小さい声というので顔を近づけてみる。
そしたら突然、長女が顔を上げた。
いつもではありえない距離、長女の顔が間近にある。
そしていつもではありえない表情。
それはまさに美少女といってもいい笑顔だった。
その可憐な少女が声を紡ぐ。

「わたしはずっと覚えているからね、今までもこれからも。だからちゃんとわたしをしんちゃんのおよめさんに

してね、やくそくだよ?」

は?
えええええええええええええぇぇぇぇ?
俺の心が本日最大級に叫んだ。



「ねぇ、しんちゃん。わたしをしんちゃんのおよめさんにしてね、ぜったいだよ!」
「うん!ぼくがみっちゃんのだんなさまになるよ。ぜったいみっちゃんをおよめさんにしてあげる。」
「ほんと?やくそくしてくれる?このやくそくわすれない?」
「わすれないよ!それにみっちゃんがわすれてもぼくがわすれなきゃいいんだから」
「みっちゃんはわすれないよ!しんちゃんのほうがわすれそうだよ!」
「いいやそんなことない!」
「そんなことある!」
「ない!」
「ある!」
「このままじゃ、けんかになっちゃうよ」
「うん、なにかいいほうほうないかな」
「そうだ!わすれちゃったらまたやくそくしちゃえばいいんだよ」
「うん!そうしよう。そうしたらずっとわすれないね!」

「ぼくがみっちゃんのだんなさまになるよ」
「わたしがしんちゃんのおよめさんになるの」

   END